控訴審・一括和解成立

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整理解雇裁判事件番号:平成16年(ネ)第508号 東京高等裁判所 第7民事部
控訴人:株式会社イセキ開発工機
被控訴人:西本敏子
2003年12月29日 会社、東京高等裁判所に控訴
 2003年12月22日の東京地方裁判所判決は、「本件解雇は、整理解雇4要件いずれの点からみても合理性を欠いて社会通念上相当として是認できないものであるから、権利の濫用に当たり、整理解雇の効力の有効要件を緩和すべきであるとの被告の主張その余を検討するまでもなく無効である。」と原告全面勝利の判決でした。
 しかし、会社は判決に従わず「全部不服である」と、12月29日に控訴を提起してきました。
2004年1月23日 強制執行停止決定
 会社は、東京地方裁判所の仮執行宣言を付した約400万円の支払命令に対し、600万円の担保を立てて強制執行停止決定を取りました。
2004年2月17日 会社、控訴理由書を提出
 控訴理由書は、一審判決を口汚くこき下ろした趣旨不明の日本語でした。しかも真っ赤な嘘を平然と書いてきました。20年勤務してきた会社ですが、失望させられました。 被控訴人は「準備書面(1)」と、私の陳述書を3月15日に提出しました。
2004年3月18日(木) 第1回口頭弁論
午後1時15分 東京高裁810号法廷
横山匡輝裁判長、佐藤公美裁判官、萩本修裁判官

 裁判長 「本日で弁論を終結します。判決言い渡し日は追って連絡します。」
1回で結審しましたが、和解協議の日程が入りました。受任裁判官は萩本裁判官。

2004年4月19日(火) 第1回和解協議
午前11時30分 東京高裁16階 第7民事部書記官室

   別件の女性差別による32%賃下げ裁判を含め、一括和解の協議となりました。 会社は、解雇無効の判決にも関わらず、復職は絶対認めないと主張しています。 和解協議 第1回なので双方が裁判官に考えを説明。次回は、別件裁判期日の後に入りました。

2004年5月26日(水) 第2回和解協議
午後3時 東京高裁16階 第7民事部書記官室
 
2004年6月8日(火) 第3回和解協議
午後1時45分 東京高裁16階 第7民事部書記官室


2004年6月14日(月) 第4回和解協議
午後1時45分 東京高裁16階 第7民事部書記官室


一括和解成立!

和解成立期日:2004年6月14日午後2時、  場所:東京高等裁判所第7民事部和解室、 萩本修裁判官
※和解は32%賃下げ裁判との一括和解が条件でした。和解内容は、一審勝利判決をベースに過去の不利益を全て清算するものです。高裁で和解し、2件とも一審の勝利判決を残す決断をしました。

 1999年11月1日の32%賃下げから2004年6月14日の一括和解成立まで約5年の闘いでした。当初は在職裁判でしたが民事再生法による会社倒産、そして整理解雇と称して会社から排除されました。不当な扱いに対して真正面から精一杯闘ってきたので私に後悔はありません。
 闘いの成果は2件とも勝利判決を残せたことだと思っています。特に整理解雇判決は、民事再生下であっても整理解雇4要件を堅持する画期的な判決でした。2004年7月に2件とも「労働判例」に掲載されました。この判決が活用されることを願っています。


(1) 【労働判例】 bW69 2004/7/1

イセキ開発工機(賃金減額)事件 (東京地裁平成15.12.12判決)

新就業規則による格付け変更の効力と差額賃金・慰謝料請求

民事19部 平成12年(ワ)第12998号、 伊藤由紀子裁判官

平成12627日:提訴、 平成151212日:勝利判決

一審判決要旨

32%賃下げとなる2級10号の格付けは、労働契約上付与された降格権限を逸脱するものとして合理性を欠き、社会通念上許容しがたいから、権利の濫用であり無効である。

(2) 【労働判例】 bW70 2004/7/15

イセキ開発工機(解雇)事件 (東京地裁平成15.12.22判決)

出向社員に対する所属部門の閉鎖を理由とする解雇

東京地方裁判所 民事11部 平成14年(ワ)第20882号、 多見谷寿郎裁判官

解雇日:平成14722日、 (平成14726日:地位保全仮処分命令申立)
平成14926日:本訴、 平成151222日:勝利判決

一審判決要旨

本件解雇は、整理解雇4要件いずれの点からみても合理性を欠いて社会通念上相当として是認できないものであるから、権利の濫用に当たり、整理解雇の効力の有効要件を緩和すべきであるとの被告の主張その余を検討するまでもなく無効である。