勝訴判決。

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2003年12月22日 勝訴判決(民事再生下でも整理解雇四要件は堅持)
東京地方裁判所民事第11部   裁判官 多見谷寿郎
平成14年(ワ)第20882号   地位確認等請求事件
口頭弁論終結の日:   平成15年10月6日
原告:西本敏子   訴訟代理人弁護士:宮里邦雄、中野麻美
被告:潟Cセキ開発工機   代表者代表取締役 松崎彰義
訴訟代理人弁護士:   大原誠三郎、小田切登、石川浩司、大越有人
 

主 文

1、原告が被告に対して雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
2、被告は原告に対し、390万7750円及び各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
3、原告の請求中、本判決確定の日の翌日から毎月25日限り各金24万5000円及びこれに対する各支払日の翌日から各支払済みまで年6分の割合による金員の支払を求める部分を却下する。
4、原告のその余の請求を棄却する。
5、訴訟費用は被告の負担とする。
6、この判決は第2項に限り仮に執行することができる。

原告の全面勝訴。整理解雇4要件、どれも満たしていないと断定されました。

原告の主張
本件解雇は、整理解雇の4要件を欠くものであるばかりか、会社の組合に対する嫌悪、原告の組合加入と原告のイセキ開発工機支部長としての組合活動を決定的動機としてなされたものであり、労働組合法7条1号および3号の不当労働行為に該当し、無効である。
裁判所の判断
1、 人員削減の必要性
以上のとおり、本件解雇時点で原告ら2名分の人員削減をする必要があったか疑問である。
2、 解雇回避努力
以上のとおりであり、被告が原告について解雇回避努力をしたとは認めがたい。
3、 人選の合理性
 原告は元々優秀な社員であり、幅広く被告業務に従事してきた(このことは被告も専門能力を○としていることからも裏付けられる)。ところが、被告が新給与制度導入に際して事実上降格するとともに原告に賃金を3割以上減額したことに端を発して、原告は、組合に加入し支部長となって積極的に活動をし、賃金減額を不服として民事訴訟も提起した。しかも、被告は、組合や原告に対し、直接、組合や組合員に対する偏見や嫌悪感を表す言動を繰り返している。
 なお、松崎取締役の原告との面談時の発言は、仮に原告が組合を脱退しても残留させる意思がないのなら、組合の支部長に対しこのようなあからさまな不当労働行為を行う必要がないのであって、単なるリップサービスでの発言とは考えられない。
 以上の点を総合すると、被告は、正当な評価項目以外の理由で最初から原告を残留させるつもりがなく、正当な評価をしなかった疑いがある。被告の主張は採用できない。
4、 解雇手続きの相当性
このように被告は責めがない労働者を解雇しょうとするにもかかわらず、組合に協力を求めようとする姿勢がなく、ほとんど抜き打ち的に解雇してそのまま押し切ろうとしたに等しく、説明・協議義務を果たしていないのはもちろん、甚だしく不誠実である。

以上によれば、本件解雇は、上記いずれの点からみても合理性を欠いて社会通念上相当として是認できないものであるから、権利の濫用に当たり、整理解雇の効力の有効要件を緩和すべきであるとの被告の主張その余を検討するまでもなく無効である。

闘いはまだ終らない。

 整理解雇裁判は上記の通り原告全面勝利の判決でした。
 イセキ開発工機は民事再生下の会社です。労働争議は一日も早く解決し、会社再建に専念すべきですが、会社は性懲りもなく本件も12月29日に控訴してきました。闘いの場は、高等裁判所に移ります。

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