控訴審・一括和解成立

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 賃下げ裁判控訴審事件番号: 平成16年(ネ)第307号 東京高等裁判所 第11民事部
一審被告:株式会社イセキ開発工機、  一審原告:西本敏子


2003年12月24日 会社、原告の双方が東京高等裁判所に控訴
 2003年12月12日の東京地方裁判所判決は、32%賃下げとなる新格付けは、労働契約上付与された降格権限を逸脱するものとして合理性を欠き、社会通念上許容しがたいから、権利の濫用であり無効。しかも慰謝料まで支払わせる画期的判決でした。 しかし、会社は12月24日に控訴を提起してきました。原告も女性差別による管理職への昇格差別は認められなかったので、この部分を控訴しました。
2004年2月17日 会社、控訴理由書を提出
 会社の控訴理由書は、整理解雇裁判の控訴理由書同様に趣旨不明の日本語でした。しかも又、原告は会社を倒産させた責任者であると、謂れのない誹謗中傷を平然と書いてきました。20年間、女性であるが故に一般社員に据え置かれてきた原告を、一転して責任者だと主張し始めてきました。全く何という会社でしょう。
2004年4月7日 原告、準備書面(一)、証拠書類を提出
 男性であれば年功的運用で管理職に昇格した事実、原告は女性であるが故に管理職に昇格させなかった事実を証明する証拠を提出しました。因みに、イセキ開発工機は1971年設立ですが、設立以来女性の管理職は一人もいません。最盛期約500名の従業員がいた時代でも、女性の管理職はいませんでした。3人に1人は管理職の会社でした。男性であれば年功的運用で管理職に昇格したのは明白でした。
2004年4月14日(水) 第1回口頭弁論
午後1時30分 東京高等裁判所825号法廷
大藤敏裁判長、高野芳久裁判官、佐藤道明裁判官

 

裁判の進行について
 裁判官より、別件裁判(整理解雇裁判)の進行を聞かれました。
4月19日に整理解雇裁判の和解協議が入っているので、賃下げ裁判と合わせて和解が可能かどうか検討する。賃下げ裁判は、整理解雇裁判和解協議と平行しながら進めることになりました。

2004年5月17日(月) 第2回口頭弁論
午後3時30分 東京高等裁判所825号法廷

 

2004年6月14日(月) 第3口頭弁論
午後1時30分 東京高等裁判所825号法廷

 

原告、甲46号証〜甲47号証提出。
午後1時45分から解雇裁判で和解協議が入っているため、第7民事部書記官室へ移動。

午後1時45分 東京高等裁判所第7民事部書記官室


一括和解成立!

和解成立期日:2004年6月14日午後2時、  場所:東京高等裁判所第7民事部和解室、 萩本修裁判官
※和解は解雇裁判との一括和解が条件でした。和解内容は、一審勝利判決をベールに過去の不利益を全て清算するものです。高裁で和解し、2件とも一審の勝利判決を残す決断をしました。

 1999年11月1日の32%賃下げから2004年6月14日の一括和解成立まで約5年の闘いでした。当初は在職裁判でしたが民事再生法による会社倒産、そして整理解雇と称して会社から排除されました。不当な扱いに対して真正面から精一杯闘ってきたので私に後悔はありません。 闘いの一番の成果は2件とも勝利判決を残せたことだと思っています。2004年7月に2件とも「労働判例」に掲載されました。この判決が活用されることを願っています。

(1) 【労働判例】 bW69 2004/7/1

イセキ開発工機(賃金減額)事件 (東京地裁平成15.12.12判決)

新就業規則による格付け変更の効力と差額賃金・慰謝料請求

民事19部 平成12年(ワ)第12998号、 伊藤由紀子裁判官

平成12627日:提訴、 平成151212日:勝利判決

一審判決要旨

32%賃下げとなる2級10号の格付けは、労働契約上付与された降格権限を逸脱するものとして合理性を欠き、社会通念上許容しがたいから、権利の濫用であり無効である。

(2) 【労働判例】 bW70 2004/7/15

イセキ開発工機(解雇)事件 (東京地裁平成15.12.22判決)

出向社員に対する所属部門の閉鎖を理由とする解雇

東京地方裁判所 民事11部 平成14年(ワ)第20882号、 多見谷寿郎裁判官

解雇日:平成14722日、 (平成14726日:地位保全仮処分命令申立)
平成14926日:本訴、 平成151222日:勝利判決

一審判決要旨

本件解雇は、整理解雇4要件いずれの点からみても合理性を欠いて社会通念上相当として是認できないものであるから、権利の濫用に当たり、整理解雇の効力の有効要件を緩和すべきであるとの被告の主張その余を検討するまでもなく無効である。