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「大企業と大国に異議あり!人々のアジアを足元からつくる6・17シンポジウム」報告

 6月17日、東京都の文京区民センターにて、「大企業と大国に異議あり! 人々のアジアを足元からつくる6・17シンポジウム」が開かれた。シン ポジウムには、韓国、タイ、フィリピンからゲストが招かれ、アジア各国の 立場から、WTO・FTAの推進する企業主導のグローバル化に異議がとな えられた。参加者はおよそ60名。会場には、同日おこなわれた「米軍再編 反対・東北アジアに平和を!6・17行動」のメンバーも駆けつけ、連帯の あいさつが交わされた。

▼ ゲストの報告

1)ジョセフ・ブルガナンさん(フィリピン)  ジョセフさん(ストップ・ザ・ニューコアリッション)からは、WTOに よってもたらされる途上国の影響について報告があった。たとえば、「スイ ス・フォーミュラ」とよばれる関税引下げ方式は、途上国の非農産品の関税 収入を現在の41%まで下落させる。ジョセフさんは、こうした関税収入の 低下は、途上国の貧困削減、再配分、開発政策に悪影響をもたらすと述べた 。また、WTOの影響で、フィリピンは自国の政策を自国で決める選択の余 地を狭めつつあるという。もともと、フィリピンには国内産業を保護するた めの法律、条例が数多く存在したが、それらは95年のWTO加盟後、自由 貿易の障害になるとして次々と廃止されてしまったという。こうした現状を 前にして、途上国はいま経済的にも政治的にも、WTO交渉に疑問をもちは じめている。「今後、フィリピンのような途上国が、どのような姿勢を取る のかが交渉のカギとなるだろう」と、ジョセフさんは述べていた。

2)キンコン・タリンタラックさん(タイ)  キンコンさん(FTAウォッチ)からは、自由貿易体制のもとで、タイの 小農民がどのような被害を被っているのかについて報告があった。現在、タ イ政府は中国、オーストラリア、日本、ニュージーランドなどとFTA交渉 をすすめ、輸出志向型の農業を奨励している。キンコンさんは、こうした政 策がタイの小農民の生活を破壊していると述べた。たとえば、タイと中国は アーリーハーベスト(前倒し実施)として、すでに自由貿易を実施している が、その結果、ニンニクなどは35%も価格が落ちたという。こうした貿易 体制のもとでは、儲かるのは1、2の大企業だけで、小農民はいくら努力し ても借金を増やすばかりである。キンコンさんは、このような企業主導のグ ローバル化に反対し、「公正な経済を築かなくてはならない」と報告した。

3)ピョン・ジョンピルさん(韓国)  ピョンさん(韓米FTA阻止汎国民運動本部)からは、韓米FTAによっ て予測される韓国への影響について報告があった。ピョンさんは、韓米FT Aが韓国農民を半減させること、ほとんど全ての公共サービス部門を民営化 してしまうこと、投資のさらなる自由化を促進することを述べた。また、 FTAと軍事の関係にもふれ、アメリカがFTAを結ぶのは軍事的に重要な 拠点となる国々であることが指摘された。そして、こうした大きな権力に対 抗するためには、「民衆サイドも共同戦略、共同行動を具体的に練り上げな くてはならない」との力強い提案がなされた。

▼ 会場との応答から

 報告後、会場からはゲストにたいして、日本との間で進められているFT AやEPAなどについての質問が投じられ、意見交換がなされた。とくに、 看護士の移動の自由化については、ジョセフさんから「フィリピンでは看護 士が大量に海外へ流出したため、深刻な医療低下になやまされている」との 応答があり、同時に、今後はこうした特定のイシューについて、「密接な情 報交換のメカニズムをつくり、共同のキャンペーンをはっていくことはでき ないか」という提案もなされた。この情報共有、共同行動の必要性について は、ピョンさん、キンコンさんも同様の意見を述べており、最後に日本側か らもアジア民衆の共同ネットワーク・行動をつくりあげようと発言があって 、シンポジウムは幕を閉じた。


Created byStaff. Created on 2006-06-22 03:44:15 / Last modified on 2006-06-22 03:46:17 Copyright: Default

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