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タイ・FTAウォッチの小泉首相あての申し入れ書(在バンコク日本大使館に提出)

2006年6月7日

日本国首相 小泉純一郎 様

日本政府とタイ政府は、本年3月に日・タイ経済連携協定(JTEPA)の合意に達し、4 月3日までに協定の締結をすることになっていました。しかし、タクシン・チナワット 政権は、今年2006年2月24日に議会を解散したために、現在は暫定政権の立場で、国際 間の交渉事を決定できる立場ではありません。

ソムキット・チャトゥシーピタック副首相兼財務大臣(2006年6月1日)、財務大臣助 役のスーウィット・メーシンシー氏(2006年2月27日)など政府高官の何人かを幾度に 渡ってインタビューした結果、日本政府は暫定政権の立場にいるタイ政府に対して協定 の調印をせきたてていると一致して述べています。

私たち市民自由化協定研究会(英語名:FTA WATCH)は、2003年から自由貿易部門の協 定と方針に関する調査をし、その結果をまとめ、公式的な場でそれを政府に提出しまし たが、政府からの返答は一切なく、協定から生じる真の影響に関して調べることができ なくなっています。これまでの交渉過程における情報は一部の個人やグループによるも のに過ぎず、公開されたものではありません。交渉経過や交渉結果についての透明性は なく、政府は説明責任のを果たしていません。

さらに、以下のような問題も指摘できます。FTA WATCH は、研究者や上院議員と共同で 、タイ−オーストラリア間の自由貿易協定は、1997年タイ王国憲法の224条に反すると いうことを憲法法廷で審議してもらうよう、議会の国家調査人に要求しています。日・ タイ経済連携協定の調印も同様にタイ王国憲法に違反することになります。なぜならば 、タクシン政権は、今までにこの協定に関して、議会で正式に一度も討議したことがな いからです。

 タイ社会、そして多くの市民が団結して、タクシン政権を追放しようとした理由のひ とつとして、こうした貿易協定に関する不信もあります。こうした政治問題は、タイ社 会をいまだ混乱した道に導いています。

 日本は、タイと親交が深く、これまで密接な関係を築きあげてきました。そして今後 もこれまで以上に両国の関係が深まって行く事を期待しています。しかし、JTEPAにお いては、タクシン政権単独の方針のみが反映されています。

 もし、日本国政府がタクシン暫定政権とこの協定に調印してしまったならば、日本政 府はタイの国内政治に介入し、ある個人に属する特定のグループと関係性を持ったと疑 惑をもたれることになるでしょう。私たちは、日本政府がこの状況を理解し、協定に調 印しないことを願っています。

 ゆえに、FTA WATCH は、、日本政府が国際社会に対し、しっかりとした姿勢を示すこ とを要求します。日本政府は暫定政権であるタイの政府と協定に調印して、ある特定の グループの政治的利害を後押しすることは避け、タイ国民を安心させてください。タイ が新しい政権を迎えて、十分に公正な状況になったときにはじめて、協定を検討する準 備が整ったと言えます。その段階で、両国にとって本当に有益なあり方を考えていけれ ばと思っています。

                            サムリーチャイディー

                            市民自由化研究会

                            (FTA WATCH)

(注)タイ王国憲法224条

国王は諸外国あるいは国際機関と平和条約、和平条約あるいはその他の条約を締結する 権限を有する。

 タイ領土あるいは国家主権区域の変更に関する条項のある、または条約に基づき法令 を公布する必要のある条約は、国会の承認を受けなければならない。

(ジェトロバンコクセンター資料より)


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