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己亥倭乱と弾除け

[ワーカーズ]連載

イ・ジョンフェ 2019.07.25 12:52

昨年、大法院が外交協定では個人請求権が消滅していないとし、 日本の戦犯企業が日帝徴用労働者に賠償しろと判決した。 これに対して日本は韓国が1965年の韓日協定の賠償と請求権の消滅に関する国際法に違反したと強弁し、 半導体とスマートフォンに使われる三つの化学製品の韓国への輸出を規制した。 続いて日本は徴用労働者の賠償に関する大法院の判定について 第三国による仲裁委員会を設置して解決しようと要求したが、 18日にその期間が過ぎると2次カードとして経済制裁を加えると脅している。 日本が戦略物資と規定した約1100件の品目について 韓国をホワイトリスト(白色国家、戦略物資輸出簡素化対象)から除外するということだ。 そのため韓国は日本の一方的な経済規制が自由貿易の秩序を揺さぶる経済戦争だと宣言し、 WTOで問題を解決しようと要求している。 そして日本の経済制裁が続けば韓日情報保護協定GSOMIAの再延長を 検討するかもしれないと対抗している。

初めてこの事態が台頭した当時、日本の参議院選挙を前にした安倍の選挙戦略だという判断が優勢だったが、今は長期化を予想している。 そのため文在寅(ムン・ジェイン)大統領は 「李舜臣将軍は(壬辰倭乱(文禄の役)で)十二隻の船で勝利した」と闘争心を示し、 長(チョ・グク)青瓦台民情主席はSNSで竹槍歌を詠じた。 いよいよ「命賭けで独立運動をするのではないが、 日本製品の不買で小さな愛国を実践する」という全国的な不買運動も 野火のように広がっている。 両国の感情が激化し、日本では文在寅大統領弾劾までが議論され、 韓国では来年の総選挙までこの基調で行くという予想が出てきている。 これにより朝鮮半島平和プロセスをはじめとするすべての問題が埋もれている激変の状況だが、 まさにこうした経済戦争の内幕を知るのは容易ではない。 ただし歴史的に見ると、今回の経済戦争の火種は 「韓日請求権交渉」に対する解釈の違いから始まっている点を明確にする必要がある。 そして本質的には戦後のサンフランシスコ講和条約と、 その日米中心の戦後体制が持つ問題に由来するという点を見過ごしてはなるまい。

イムマニュエル・ウォーラーステインの長期歴史読み取りの立地から見れば 「16世紀以後に近代世界体制を形成し、その後の帝国の時代を開く端緒は大航海時代の開幕と密接な関連がある。 16世紀にポルトガルとスペインが大航海時代を開いた時、 ロシアもまたシベリア森林の海に進み、 前者はアメリカに植民帝国を、 後者はユーラシア帝国を建設した。 (そして)帝国としての米国がアジア太平洋から「開始」したたとすれば、 帝国としてのロシアはアジアと環太平洋で「完成」した。」 [1] そして東北アジアがその接点になり、ここで火花が散った。

植民地米国は英国から独立して南北戦争の後に西進し、 結局大西洋から太平洋まで大陸を横切る帝国を建設し、 その後、帝国主義的進出をすることになる。 その象徴的な表現がルーズベルト大統領のモンロー・ドクトリンだった。 それは南北米を問わず、われわれの土地だから手を付けるなという宣言だった。 ウォーラーステインの概念のとおり、 1870年代から1913年の間に広大な土地、自然資源、資源集約的な技術の進歩などによる 経済力と軍事力に基づいて米国ヘゲモニーの時代が開かれたのだ。 そしてスペインとの戦争で勝利してアジアではフィリピンを占有することになる。 また1905年に東京で、米国がフィリピンを統治し、 日本は大韓帝国に対する支配的地位を認める桂・タフト密約が結ばれた。 ちょうど東進を続けて不凍港ウラジオストックに到着したロシアと日本の 勝負だった日露戦争で日本が勝利し、朝鮮は日本に併合された。

その後、1922年に日本が満州事変を起こし、1933年に国際連盟を脱退、 米国の政策は中国北部で日本の特殊権益を認めない方向に変わって行く。 それでも米国は韓国に対する日本の優越的利益を認め、 韓国を日本帝国の一部分として扱った。 英国も韓国の独立を決して支持したことはなく、 事実上、1902年の日英同盟以後、 朝鮮半島に対する日本の支配権を積極的に支持してきた。 しかし太平洋戦争が終わる頃、米国合同参謀本部はソ連の協力を得たとしても、 日本を破るには少なくとも18か月以上かかり、 最低50万人の犠牲者を出すと評価した。 そして米国はソ連に参戦を提案し、サハリンと千島列島を譲り受けるだけでなく、 外モンゴル、満州などを要求するスターリンと合意しなければならなかった。 ソ連は日本が降伏する6日前に太平洋戦争に参戦した。 [2]

その後の戦後処理は、米国の強権によりサンフランシスコ講和条約に帰結した。 日本の主権を回復させ、米国と日本が軍事同盟を結ぶサンフランシスコ体制が形成されたのだ。 48の連合国と日本との条約は、ソ連の太平洋戦争参戦を要求した米国の 決定的なミスを背景としている。 社会主義国家のソ連やヨーロッパと太平洋で向かい合うことになり、 世界的な冷戦体制を構築するために、米国は日本との安保条約を結んで 日本を米国の軍事基地にしたのだ。 このために日本の戦犯は釈放され、敗戦国としての地位は明確にされなかった。 また、大部分のアジア被植民地の当事者らは戦後処理から排除され、 むしろ大東亜共栄圏の構築を通して総力戦体制を暴力的に稼動させた 帝国日本の再武装を要求した。 そのようにして生き残った戦犯たちがその後、 政治体制を維持して原爆の被害当事者であることを宣伝しつつ、 戦後秩序の恩恵を得た。 今の安倍首相の外祖父で戦犯の岸信介、麻生太郎副首相の外祖父の吉田茂が 他でもない日本の従属的戦後体制の総理だった。 その代わりに過去の問題について日本の謝罪と反省を着実に主張した人々は押し出されてきた。 2015年、ソウルの西大門刑務所を訪れて独立活動家追悼碑の前でひざまずいて謝罪した鳩山は、 戦後日本の再武装に反対して米国により追い出された鳩山総理の孫だ。 このように、サンフランシスコ体制は代を継いでその命運を維持していると言っても過言ではない。

一方、帝国主義植民支配の最大の犠牲者である韓国、北朝鮮はもちろん、 中国、台湾はサンフランシスコ講和条約に招待されず、 ソ連は参加はしたが調印を拒否した。 米国による戦後処理の強制、その結果としてのサンフランシスコ体制の持続は、 アジアにおいて日本が繰り広げる領土紛争、 朝鮮半島とは独島、 中国とは釣魚島(尖閣諸島)、 ロシアとは千島列島紛争が解決されることなく角逐してきた根拠でもある。 [3]

結局、今の経済戦争は、戦後の世界支配秩序を東西冷戦体制に構築するための米国の戦略構図、 それによるあいまいな戦後処理が呼んだ緊張の所産だ。 そして日本に戦争犯罪と植民犯罪に対する責任を問えず、 賠償・補償に関する争点は、不完全な韓日協定体制で今も続いている。 米国と日本の冷戦体制としての戦後帝国主義支配の影響が続いた結果である。 これは、韓国政府がそのように望まなくても、 日本が挑発した経済戦争を米国が仲裁するのが難しい背景でもある。

ジョバンニ・アリギ(Giovanni Arrighi)は「北京のアダム・スミス(2009)」で 世界の政治経済の中心地が北アメリカから東アジア、中国に移動すると予想した。 今、米中間の貿易戦争は、その判断が正しいかどうかの問題は別としても、 世界の経済秩序の再編過程で必然的に起きた衝突だと見なければならないだろう。 米議会の民主・共和両党議員が超党派的に参加した 「米国5世代移動通信未来保護法案」が7月16日に 上下両院で発議されたという報道を見れば、 米中間の貿易戦争がトランプの空元気による保護貿易主義だけだと見ることはできないだろう。

そのような脈絡で今、日本との経済戦争は、 自明な歴史的な背景に基づく資本戦争の延長と把握することができる。 また米中貿易戦争、核をめぐる米朝間の力比べなどで動揺する 東北アジアの政治経済地形が再編するひとつの流れと見ることもできるだろう。

帝国主義資本戦争には犠牲者が従う。 それはいつものように、やはり労働者民衆だ。 「日本輸出規制対応長官会議」で提起された対策は、 部品・素材R&D事業は予備妥当性調査を免除して、 規制対象に上がったフッ化水素などの化学物質に対しては規制を緩和するという。 そして国産化実証テストなどに特別延長勤労認定を積極的に検討し、 R&D研究陣などには裁量勤労制活用を支援するという内容だ。 大統領が招集した財閥との懇談会で、 サムスンは52時間労働制の問題を提起し、 その後「独立軍」、「土着倭寇」を云々するまでもなく、 共通して52時間の労働制例外を認め、弾力勤労制を導入しなければならないと話した。

しかし、弾力勤労制単位期間拡大反対、 最低賃金1万ウォン公約破棄糾弾、 国際労働機構中核的協約批准要求と非正規職撤廃などを掲げてストライキをした 民主労総に対しては、 安全を理由にデモ行進の一部を認めなかった。 3年前には青瓦台前も埋め尽くしたのに、国会前ではだめだということだった。

若い時に社会科学の本ばかり読み、 今は「野蛮か社会主義か」を叫んだような青瓦台の民情主席は 「こうした状況で重要なのは進歩か保守か、左か右かではなく、愛国か利敵か」 だと口にしている。 また資本主義時代とともに作られた民族、 その民族の名で労働者を弾除けに追いやっている局面だ。[ワーカーズ57号]

[脚注]

[1] ペク・ジュンギ、《ユーラシア帝国の誕生》、弘文館、2014、参照.

[2] チョ・スンスン、《韓国分断史》、形成社、1983、参照.

[3] 〈サンフランシスコ体制、米国の東アジア支配戦略〉、パクインギュ プレシアン編集人. http://www.pressian.com/news/article/?no=244719&utm_source=naver&utm_medium=search#09T0

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-07-26 16:43:28 / Last modified on 2019-07-26 16:48:09 Copyright: Default

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