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News Item 201904004
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「民主政府」が作った社会的対話の被害者

[ワーカーズ・イシュー(2)]整理解雇から弾力勤労制拡大まで

キム・ハンジュ記者 2019.04.04 13:31

[順序]

(1) 経社労委、野合かナンセンスか

(2) 「民主政府」が作った社会的対話の被害者

「社会的対話機構」が「労働改悪推進機構」になったのは果たして今だけであろうか。 過去に金大中(キム・デジュン)政府は整理解雇制|派遣制を、 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は非正規職法を、労使政委員会を使って押し通した。 どちらも「民主政府」で起きたことだ。 ワーカーズが過去から現在まで続く社会的対話被害者の話を聞いた。

文在寅政府、「弾勤制」初の社会的合意…
建設現場「超長時間労働が日常化」

弾力勤労制改善のための経社労委労使政合意文

労使政は週最大52時間制度の現場定着のために次の通り合意する。

  1. 弾力的勤労時間制の単位期間を最大6ケ月でする。
    (…)

2019年2月19日

「現在300人以上の建設会社の弾力勤労制導入の割合は100%に迫ります。 建設企業が今年の初めから週52時間制を防ぐためにコンサルティングを受けた結果です。 組合員たちは弾力勤労制の導入以後、常時的な長時間労働に苦しんでいます。 しかし今回(経社労委拡大)合意されたので、現場があとどれだけ劣悪になるのか心配しています。 弾力勤労制6か月単位が導入されれば、使用者がこれを無条件に活用するのは明らかです。」
―建設企業労組キム・ジヨン広報部長

A建設企業に弾力勤労制が導入されたのは今年。 ここの労働者たちは昨年まで午前7時に出勤し、午後6時まで働いた。 昼の1時間を除いて一日に10時間労働をした。 2週に一回、土曜にも労働をした。 1週を5日と見るという雇用労働部の(奇怪な)不思議な解釈が週60時間労働を可能にした。 昨年7月から週52時間勤務制が施行されると勤労基準法違反の事業場になるところだった。 労働者たちは週5日労働ができると思った。 しかしこれは実現されなかった。 弾力勤労制のためだった。

A企業の弾力勤労制は2週単位だ。 労働者の出退勤時間はそのままにして、 午前に30分、午後に30分の休憩時間を追加して一日9時間体制にした。 隔週土曜の労働は維持したが、弾力勤労制の影響だった。 特定の週に土曜まで週54時間(9時間×6日)労働をしても、 次の週は45時間(9時間×5日)労働をするので、平均49.5時間、週52時間未満になるわけだ。 A企業は弾力勤労制適用と同時に土曜を休業日に指定した。 休業日には延長勤労手当てを支払うべきだが、弾力勤労制が適用されたため、 これさえも支払われなくなった。

B企業の海外建設現場の場合には、3か月単位の弾力勤労制が導入された。 B企業の海外労働者は弾力勤労制により、10週間以上、週64時間労働をした。 残る3週は0時間労働、一切仕事をしなかった。 このように13週(3か月)労働を1週に平均すれば50時間程度。 52時間を越えない。 もし前後交差で弾力勤労制を活用すれば、最長5か月以上、週64時間労働が可能だ。 また労働者たちは0時間労働をする時、国内に戻るが、 年次を使用できない状況が発生した。 B企業は労働者のこうした状況を利用して「年次促進制度」を活用し、 年次未使用の手当て支払いを回避した。

一方、大韓建設協会は3月15日、 国会に弾力勤労制単位期間を1年に拡大してほしいと要請した。

金大中政府の初の社会的合意「整理解雇制」…
大宇自動車大規模構造調整信号弾

経済危機克服のための社会協約

(1)企業の経営透明性確保および構造調整推進 (企業の経営透明性向上、企業財務構造改善、責任経営体系確立、企業競争力向上)
(…)

(7)労働市場の柔軟性向上(派遣勤労法律制定)

1998年2月9日

労使政委員会

金大中(キム・デジュン)政府の時、 労使政委員会は1998年2月9日に整理解雇制導入に合意した。 当時、外国為替危機とIMF救済金融を口実として 政府と経営界が整理解雇制を要求し、 労働界がこれを受け入れた。 この合意で勤労基準法に「経営上の理由による解雇」の条項が明文化された。 大規模整理解雇の信号弾は大宇自動車が打ち上げた。

「労使政委が整理解雇制に合意し、 われわれは大宇自動車が整理解雇モデルの対象になると判断しました。 予想は的中して、大宇自動車の労働者は民主労総、金属連盟と闘争を行いました。 熱く戦いましたが、整理解雇は多くの犠牲を生みました。 金大中政府は 資本の利益を代弁する集団だということを如実に示す事件でした。 この時、労働者と共に金大中政府の労使政委に 正面から闘った金属連盟委員長が現在、経社労委の文成賢(ムン・ソンヒョン)委員長です。」
―キム・イルソプ大宇自動車労組前委員長

大宇自動車の労働者1750人は2001年2月に整理解雇を通知された。 1998年に労使政委員会が整理解雇制の導入に合意した後に行われた 初めての大規模整理解雇であった。 大宇グループは1999年7月に構造調整案を発表して、 大宇自動車は1999年8月、ウォークアウトに突入した。 2000年11月には人員、事業構造の全分野にわたる構造調整が必要だという同意書も労働者たちから受けた。 同時にGMに売却する手順を追った。 労使政合意後に整理解雇を断行するため、す早く動いてきたもようだった。 2001年2月に労働者がデモをすると、 警察は兵力数千人、掘削機、リフト車を動員して暴力的に鎮圧した。 それでも当時金大中大統領は 「大宇自動車は政府の全体的な構造調整プログラムの試金石になった」とし 「大宇の事例は韓国政府が労使問題に対して法と原則により対応しているということをよく示す」と話した。

「労使政委の整理解雇合意は苦痛分担という美名の下でなされました。 労働者の反発が予想されるので、四種類の整理解雇充足要件を作りました。 要件は緊迫した経営上の事由がある時、 企業が解雇回避の努力をつくした場合などです。 しかし今までに整理解雇された事業場を見て、これに該当する事例がありましたか? コルテックは外国為替危機にもかかわらず多くの金を稼いだ黒字企業なのに整理解雇を断行しました。 労使政委員会を持つ国家機構はコルテックという資本権力に整理解雇武器をプレゼントして、 梁承泰(ヤン・スンテ)司法権力と裁判取り引きもしました。 どこに社会的対話があるのか分かりません。」
―イ・イングン金属労組コルテック支会支会長

コルテックは最悪の整理解雇事業場に選ばれる。 2007年、コルテックの労働者250人が大規模整理解雇された当時、 コルテックの当期純益は76億ウォンだった。 負債比率も同じ業界と比較して、5倍も低かった。 裁判所が直接要請したコルテック経営鑑定報告書にも 「コルテックの営業損失状況が経営上の緊迫した事由に該当するとは見られない」という結論が出た。 それでもソウル高等法院は2012年12月に破棄差戻し審理で 「未来に訪れる経営危機に対処するための整理解雇は有効だ」と判決した。 整理解雇制は未来の経営状況まで強調し、13年以上、解雇者を街頭に追い出した。

これ以外にも整理解雇制導入以後、 韓国社会では双竜自動車(2009年2646人)、 韓進重工業(2010年、400人)、 コオロン(2008年、78人)、 シグネティクス(2011年、32人)、 ハイディステクノロジー(2015年、80人)などの大規模な構造調整が相次いだ。

これと共に金大中政府は労使政委を使って派遣法を制定し、不安定労働の時代を開いた。 民主労総によれば、派遣労働者の数は2000年の5万3218人から2006年には6万6315人と、 約1万3千人増加した。 参与政府が改正した派遣法が施行された2007年には7万5020人、 2014年には13万2148人と、約5万7千人増えた。

盧武鉉政権『非正規悪法』
『労使政議論経過』国会伝達…経社労委『似た形』

労使関係先進化のための労使政大妥協宣言文

労使政は今回の合意で職権仲裁制度の廃止、代替労働の導入などの労使関係制度を 国際規範に合わせただけでなく、 不当解雇した時の罰則削除、再雇用義務化、勤労契約および解雇通知書面化など、 脆弱勤労者の保護と労働市場の柔軟性を向上させ(…) 労使政は現在国会に係留されている非正規職勤労者関連法の 早急な通過のために共同で努力しながら(…)

2006年9月11日

労使政委員会

非正規職法(期間制法制定、派遣法改正)

2004年下半期
労使政委員会合意不発

2005年3月
労使政代表者会議、
国会に非正規職法議論経過前月

2006年11月30日
国会、非正規職法通過

盧武鉉政権は 2003年から労使政委員会を通じ「労使関係法の制度先進化方案」の議論を始めた。 経営界が要求する雇用柔軟化が議題に含まれた。 議論は非正規職法の制定・改定につながった。 非正規職を2年間自由に使用できる期間制法を制定し、 派遣法の許容業種対象を拡大する方向だった。 労働界などの反対で結局合意は不発になったが、 労使政代表者会議はこれに納得せず2005年、非正規職法議論の経過を国会に伝えた。 その後2006年11月、国会は該当法案を処理するに至る。

「2006年末に非正規職法が通過する前に 民主党の禹元植(ウ・ウォンシク)議員がイーランド座り込みテントを訪問したことがあります。 その時に禹元植が 『非正規職保護法は完全でないが、ひとまず作って、処遇を改善することが役に立つと考える』と話しました。 われわれは非正規職保護法が大量解雇を呼ぶと直感しました。 2000年にもイーランドのストライキの結果として 『勤労契約2年が過ぎた組合員は正規職に転換する』という合意を導き出しましたが、 使用者側は契約期間2年を前にして労働者を解約しました。 そればかりか、非正規職使用期限を2年に制限する非正規職法が同じ結果を生みました。 2007年の非正規職法施行直前、イーランドは非正規職を大量解雇(解約)して 再び闘争を呼びました。」
―ホン・ユンギョン イーランド労組前委員長

イーランドは2007年7月の期間制法施行を控えてキャッシャーを外注化し、 契約期間が2年を超過した非正規職350人を解約した。 彼らをずっと使うには、期間制の法律で「期間の定めがない勤労者」、 無期契約職に転換しなければならなかったためだ。 イーランドの労働者たちは大量解雇を防ぐために6月から共同ストライキに突入した。 6月30日にはワールドカップモール店の無期限占拠座り込みを続けた。 「非正規職を保護する」という政府は7月20日、兵力7千人を率いて 非正規職を暴力的に鎮圧した。

一方で労使政委は派遣法対象業務も拡大することに合意した。 派遣業務規定を 「専門知識・技術または経験などを必要とする業務で大統領令が定める業務」から 「業務の性質などを考慮して適当と判断される業務」に拡大した。 派遣許容業種は26業種から32業種に増え、派遣労働は産業全般に広がった。

「現代起亜車は派遣法、期間制法が同時に悪用された事業場です。 現代起亜車は期間制法の導入以後、『分割契約』を増やしました。 勤労契約から2年後の正規職転換を避けるために6か月、3か月、1週間単位まで分けました。 2013年に蔚山のある現代車非正規職労働者は分割契約で解雇され、自ら命を絶ちました。 また現代起亜車は改正された派遣法を悪用しました。 2006年の派遣法改正で雇用義務(第6条の2、 法に違反した時は使用事業主が直接雇用しなければならない)条項が追加されましたが、 現代起亜車は正規職ではなく契約職を直接雇用しました。 派遣法、期間制法は非正規職の悪循環を呼ぶだけでした。 今でも現代起亜車はまるで適法な派遣であるかのように不法派遣を行っています。」
―キム・スオク金属労組起亜車非正規職支会支会長

現代起亜車の非正規職労働者たちは2004年から不法派遣闘争を繰り広げた。 労働部は2004年11月、現代車の127業者、9234工程に対する不法派遣判定を下した。 非正規職労組闘争の第一歩だった。 非正規職労働者たちは2006年の初のストライキ、 2010年CTS(ドア着脱)占拠ストライキ、 2012年鉄塔高空籠城、2013年希望バスなどを続けた。 2019年現在も、ソウル雇用労働庁の前で21日目(4月1日基準)の座り込みをしている。 現行の派遣法による不法派遣が摘発された使用事業主は処罰が可能で、 直ちに該当労働者を直接雇用しなければならない。 大法院は2010年に現代車社内下請が不法だと判決し、 2017年2月にソウル高等法院も現代起亜車社内下請労働者が不法に派遣されたと認めた。 それでも現代車グループの鄭夢九(チョン・モング)会長は 相変らず何の処罰も受けず、 労働者たちは相変らず路上で不法派遣解決を叫んでいる。[ワーカーズ53号]

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-04-16 19:11:55 / Last modified on 2019-04-16 19:18:31 Copyright: Default

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