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あっという間に縮んだ月給明細票

[ワーカーズ・イシュー]年俸2500万ウォン以下の低賃金労働者の給与明細書分析

パク・タソル記者 2018.06.26 13:34

以前の職場で経営難により昼食費が削減された時を記憶する。 恐らく5万ウォンだった。 初めから昼食費の名目で払われた金が大きな金額でもなく、 今まさに受け始めた月給自体がただうれしくて、たいしたことではないと思った。 だがそれは月給削減の経験がなかった私の純真な予想だった。 しばしば私に当然払われるはずだった昼食費のことを考え、 その空席は5万ウォンより大きく感じられた。 賃金労働者なら、月給に対する感覚は敏感だ(あるいは使用者の方がさらに敏感かもしれないが)。 今、労働界最大のホットイシューである「最低賃金算入範囲拡大」は、まさに賃金労働者の神経に触る。

多分、「最低賃金法一部改正法」が施行される来年1月1日からは被害が表面化して、 労働界をはるかに超えた全社会的怒りが集まるかもしれない。 さらに自分の月給通帳に手を付けた主体が国会議員なら、政府なら、さらに腹が立つのではないかと思う。 二日に一度の割合で「所得主導成長」を叫び、政府と国会がした約束があるのだ。 政府と国会は今回、最低賃金法を改正して「絶対に、最低賃金を受け取る労働者の最低賃金を削減するのではない。 むしろ彼らを保護して次上位階層にあたる人たちを保護するために法案を作った」といった。 これを主導した洪永杓(ホン・ヨンピョ)共に民主党院内代表は 「(最低賃金法改正で)年俸2500万ウォン以下を受ける労働者には被害がない」、 「(最低賃金法改正で年俸2500万ウォン未満の労働者も被害を受けるという)民主労総の主張が事実なら、 院内代表職を辞任して法案も廃棄する」などと言って自信を見せた。 改正案を通過させた当事者や労働界、どちらかが嘘をついているのは明らかだ。 われわれはその嘘を確認するために来年まで待つ余裕がない。 「ワーカーズ」は最低賃金当事者の月給明細書がどう変わるのかを分析してみることにした。

#1年目学校非正規職(調理実務士) A氏の2018年4月給与明細書

A氏の2019年度予想給与明細書

最低賃金法改正案が保護するという「年俸2500万ウォン」以下の低賃金労働者の給与明細書だ。 A氏は休み中は働かない調理実務士で、1年の年俸は1901万ウォン程度だ。 来年の最低賃金が昨年と同じ引上げ率の16.4%になると前提にすれば、 来年の基本給は183万840ウォン(8760ウォン*209時間)だ。 もちろん、最低賃金引き上げ率に対するさまざまな反発がある状況で、 この金額は無理である可能性が高い。 だが政府が約束した最低賃金1万ウォンを達成するには、 この程度の引上げ率が必要なのでこの基準を設定した。

A氏が受け取る定額給食費月13万ウォンと交通補助費月6万ウォンが来年も今と同じ水準だと仮定すれば、 来年から月6万1841ウォンが最低賃金に算入される。 今回の最低賃金法改正案が基本給対応福利厚生費の7%を越える部分を最低賃金に算入させるためだ。 福利厚生費で受ける総額19万ウォンのうち12万8158ウォン(183万840ウォン*0.07)を超過する6万1841ウォンがその金額だ。 1年で計算すれば74万2094ウォンの不利益を受ける金額だ。 定期賞与金と福利厚生費全額が最低賃金に算入される2024年になると、不利益金額は年228万ウォンに達する。

サービス連盟全国学校非正規職労働組合京畿支部のオ・ヨンソク事務局長は 「今年入社した学校非正規職労働者は、団体協約が変わって月の通常勤労時間(今年まで243時間)を基準として算定された月最低賃金(182万9790ウォン)に達しない金額を補填する12〜18万ウォン相当の『最低賃金未達補填金』も受け取れない」とし 「1年目から3年目までの労働者が大きな被害を受けるだろう」と予想した。 今年の入社者ではない2、3年目の労働者の場合、基本給と「月最低賃金」の間隙が狭まり、 補填金もそれだけ減少する。 変わった最低賃金法はこのように実質賃金を削減する直撃弾になる。 公共運輸労組教育公務職本部は教育公務職の14万人のうち今回の算入範囲改悪で不利益を受ける割合は、全体の半分以上になると把握している。

#京幾 安山地域製造労働者B氏の2018年5月給与明細書

B氏の2019年度予想給与明細書

やはり最低賃金を基準に基本給を受け取る労働者B氏の給与明細書だ。 B氏の場合、賞与金の600%を隔月で支払われる。 B氏は来年賞与金を月単位で受け取るようになるが、 今回の最低賃金法改正案によって計算し直した彼の賞与金は45万7710ウォンだ。 現行の通りなら、91万5420ウォンを受け取らなければならない。 だが基本給の25%が最低賃金に算入されるので、何と賞与金の半分が削られる。 もちろん基本給でも、賞与金をどの水準で調整するかは労使間で決める問題だが、 この金額を削っても法的には何の問題もない。 このままではB氏はむしろ昨年より少ない給与を持っていく。

今回の最低賃金改正案で賞与金を月単位で分けるのも事業主の裁量になった。 改正案第6条の2(最低賃金算入のための就業規則変更手続きの特例)は 「1か月を超える周期で支払う賃金を総額の変動なく毎月支払うように就業規則を変更しようとする場合」は労働者の同意なしで 単純な意見聴取だけで就業規則変更が可能だと明示した。 民主労総は「勤労者の団体交渉と労使自治原則を侵害した」とし 「使用者が勤労者の同意なく単に意見を聴取しただけでも一方的に賃金構造を改編できるようにすることで、 勤労者の団体交渉と労使自治原則、職場内民主主義原則を正面から侵害した」と指摘した。 民主労総はこのような権利侵害内容を根拠として6月19日、最低賃金法に対する憲法訴願審判を提起した。

#移住労働者C氏の2018年2月給与明細書

移住労働者C氏の給与明細書だ。 移住労働者賃金の場合、今年から宿泊費が大幅に控除されて賞与金がなくなるなど、 賃金改悪の前面に立っている。 この給与明細書はすでに賃金において不利益な部分が適用されている。

C氏の給与明細書には、いくつか脱落している部分がある。 まさに宿泊費の部分だが、昨年まで会社はC氏に事業場外の部屋を与えられて「寮費」の名目で10万ウォンを控除した。 そのうちに最低賃金が大幅に上がった今年からは、寮費を含む光熱費をすべて労働者の負担に転換して 24万ウォンを控除し始めたが、給与内訳には現れない部分だ。 これを可能にしたのは政府が昨年2月、宿泊費用徴収指針を作って、通常賃金の最大20%までの宿泊費を控除できるようにした。 今回の最低賃金改正案の核心の一つも宿泊費だ。 宿泊費を最低賃金に含めることだが、移住労働者だけでなく、 寄宿舎を利用する韓国の労働者にも該当する部分だ。 民主労総は「宿泊費の場合、現物で提供しておいて控除する方式を選んだ事業主が、 今では現金名目で算入して賃金総額は維持する、 それで最低賃金値上げは避ける選択ができる。 基本給は最低賃金に満たず、残りは宿泊費で埋める最低賃金引き上げ回避の典型的な小細工、 宿泊解決で苦しむ移住労働者は、最低賃金にかからず宿泊費を算定して、 別途の宿泊提供をしなくても良いという最悪の状況になりかねない」と憂慮している。

上の給与明細書は昨年とは違う大きな差がある。 C氏が昨年まで生産奨励金名目で受けていた賞与金200%が消えたのだ。 いくつかの製造業事業場を除けば、賞与金を受け取る移住労働者の数はきわめて少ない。 C氏の場合、珍しくも受け取っていた事例に属しているが、 今年最低賃金が上がって、事業主は賞与金をなくした。 このように、今回の最低賃金改正案は移住労働者を雇用する使用者にさらに多くの選択肢を提供する。 民主労総は「事業主は月賞与金の25%超過分、福利厚生費7%超過分で結局、全てが最低賃金に算入される改悪された最低賃金法と 現行の宿泊費控除指針(月通常賃金の8〜20%)と比較して、 結局自分に有利な方向で適用することができる。 宿泊費指針にあまり神経使わなかった事業場では改悪された最低賃金を適用するケースが増えるだろう」と見通した。

#マクドナルド ライダーD氏の2018年5月給与明細書

上の給与内訳のように、アルバイト労働者の場合は定期賞与金や福利厚生費そのものがないケースが多い。 それで彼らには賃金構造上、定期賞与金や福利厚生費の算入よりも最低賃金引き上げ率そのもののほうが重要だ。 だがアルバイト労働者たちは最低賃金法改正案で 「食費と宿泊費の保障ではなく小細工による被害が増加するだろう」と反発している。 青年政治共同体「ノモ」は、最低賃金改正案が6月5日閣僚会議を通過すると、 これを糾弾する記者会見を行って 「飲食店ではアルバイト労働者たちに慣例的に食費の代わりに製品を支給していたが、 今は最低賃金に食費が計算されているという小細工を使って食費を支援しなくなる可能性が高い」と主張した。

上の賃金明細書の主人公D氏はマクドナルドで最低賃金で配達の仕事をしている。 週休、年次、夜間など勤労基準法に明示されたすべての手当てなどを加えた彼の賃金は月106時間働けば103万ウォン程度だ。 配達の場合1件当たり400ウォンの配達手当てを別途に支給される。 マクドナルドのアルバイト労働者の場合、特に食費はないが現物でハンバーガーを支給される。 職級により選択可能なハンバーガーの種類も違う。 D氏は「グローバル企業のマクドナルドはイメージがあるので当分は分からないが、 2024年に条件条項がなくなるとアルバイト労働者に不利益な変更をする可能性が高い」と話した。 マクドナルドが政策を変えて、ハンバーガーの代わりに6000ウォンを食費として支払うことにして、 この6000ウォンを最低賃金に算入すれば、 食事として食べていたハンバーガーも消えかねない。 もし時間当りの賃金が1万ウォンで6時間働くとすれば、 一日の日当として6万ウォンを受け取るべきだが、日当5万4000ウォン+食費6000ウォンにしてもいい。 「ノモ」で活動するキム・ジュノ氏は 「コンビニや食堂のようにもともと勤労基準法があまり守られていなかった所で働くアルバイト労働者たちは、さらに難しくる」とし 「未払い賃金を払わないようにあらゆる弁解をする事業主のための言い訳がさらにできたこと」と批判した。〈ワーカーズ44号〉

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-07-17 20:28:11 / Last modified on 2018-07-17 20:34:29 Copyright: Default

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