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女性労働運動の伝統はどこへ行ったのか

[ワーカーズ]バンダの質問

バンダ(フェミニスト) 2018.01.18 11:23

「私がレズビアンだとということを履歴書に書けないでしょう?」

スペックは優れているが、採用は難しいという面接官。 理由は20代の女性は採用不可という内部方針のためなんだという。 就職準備生のペクソンがその話を聞くとすぐ、面接官にこのように答える。 自分はレズビアンだから結婚、出産からは遠いと言う意味だ。 面接官は快く採用を決め、ペクソンはひそかに携帯電話のスリープ画面の男性アイドルの写真を消す。 しばらく嘘を自ら叱責するが、就職は戦争なのだから自分が血を流して退却すれば、 両親はそれだけ汗を流さなければならないということを思い出す。

ウェブ小説〈オン・リアル・メディア〉の一場面だ。 この状況は全て非現実的な誇張だろうか。 同性愛者差別が明白な社会で、20代の女性だからと就職から排除される現実を避けるために、同性愛者だと嘘をつく嘘のような状況。 低出産社会において、同性愛者は出産不可を理由としてさらに攻撃されるが、 企業は出産計画がある異性愛者の女性よりもレズビアン女性を好むという展開が非現実的とばかりは感じられない。 小説の中の主人公ペクソンは27歳程度なので92年生まれ、男子選好による性鑑定識別堕胎が頂点を打った直後に生まれた。 そしてここにペクソンの友人キム・ソンという人物が小説の外にいる。 ペクソンより貧しい家に生まれた彼女はあまりスペックが高くなく、 大学も奨学金を受け取るために志望を下げて志願したが、やっと一か所合格した。

[出処:サゲ]

# 27歳、キム・ソン

私、キム・ソン。 2年前に大学を卒業するころ、中央大財団の理事長が大学入試で色直しする女子学生ではなく、 卒業後に寄付金を払う男子学生中心の選抜を指示したという報道を見た。 そして実際、評価教授が男子学生に高い点数を与えたという記事も続いた。 私も志願して落ちた大学だが、まさか私が貧しい家の女子学生だから落ちたのではなかっただろうねと自嘲していた。

韓国の正規教育12年は大学入試に向かって走り、両親は子供の人生を大学入試にかける。 だから大学入試の公正性はとても敏感だ。 当初キャンドルの導火線になった梨花デモも、鄭ユラ特典と裏口入学に対する怒りが動力になり、 崔順実(チェ・スンシル)と朴槿恵(パク・クネ)の関係まで明らかにした。 しかし両親がところで父母が崔順実でもないのに、 中央大財団理事長は単に男性だという理由で彼らに特典を与えたのだ。

そして卒業後の就職準備生の時、いくつか公社の面接で落第した時だ。 韓国ガス安全公社の社長が採用過程に介入し、点数操作で合格権に入っていた女性7人を脱落させたという記事を見た。 続けて韓国石炭公社でも似たような操作があらわれた。 就職は生存のための最低の条件だ。 特に雇用不安の中で公社は就職準備生が選ぶ夢の企業だ。 その上、公社は学歴やスペックを見ず、私のようにアルバイトをしていてスペックを積めなかった人たちも 挑戦することができる数少ない領域だ。 しかしそこでさえ、最低でも男性というスペックが必要だった。

結局、また就職の準備をして節度ある企業の非正規職として入社した。 入社初日から容貌評価とセクハラ発言が、和気あいあいとした笑いの中で続いた。 そして気を付けるべき男上司のリストが新入社員の間で静かに共有された。 該当のリストは名前と職級はもちろん、主な行為まで具体的に記述されていたが、 退社した女の先輩が作った「家系図」だといううわさだ。 新聞に連日報道されたハンセムや現代カードのような性暴力事件を思い出すと、 本当に遠くのことではないと感じる。 被害者が加害者になり、会社は沈黙を勧める姿。 自分の会社で起きた事件だとしても驚くことではないようだ。 女の入社同期三、四人が一緒に使っているグループチャットに何日か前に読んだ記事をリンクした。 「LG生活健康の女性労働者の53%以上がセクハラ被害経験、72%が被害状況に順応。 セクハラに対する企業の対応システムを半分以上が信頼していない、 拒絶した時は雇用上の不利益を受ける」。 高い失業率と不公平な就職難の中で、職場を失うことが恐ろしい。 また就職準備生に戻る自信がない。 男性上司が今よりもっと頻繁にしつこく言ってくれば、 どうするべきなのか、不安な気持ちで入社同期と対応策を悩んでいる。

#女性労働運動の伝統はどこに、私はどこで誰と団結するのか

大学の時、小サークルで韓国女性労働者運動史を勉強して胸を熱くした記憶がある。 1970年代サムスン製薬では男性管理者が鞭を持って女性労働者を統制し、 性暴力が乱舞したという。 だが女性労働者が団結して作った労組が加害者の解雇を要求してストライキを行い、 何年かの努力の末に職場からほとんど性暴力が消えたという。 コントロールデータも女性労働者が労組を作り、結婚退職制撤廃、産前後休暇定着を成功させ、 3か月に一回ずつ顔色をうかがいながら使った生理休暇も毎月使えるようになったという。 こうした伝統は80年代にも続き、パンイル物産では法的に25歳まで認めていた女性の定年を55歳に変えた闘争もあった。 東一紡織やYHのような伝説の労組は言うまでもなかった。

今よりもはるかに女性の人権が悪かった時期なのに、闘争の成果は驚くほどだ。 やはり労組があるからこそ人間扱いされることを知った。 しかし、そんな女性労働運動の伝統はどこに行ったのだろうか? 私は労組といえば、民主労総という言葉を思い出す。 だがそこは正規職の男性だけが集まっているようだ。 小さい時から地下鉄で見た民主労総のポスターには、鉢巻きを巻いた年上のオヤジしかいなかった。 就職準備の真っ最中、インターネットで見たことも思い出す。 「蛍光灯を交換する時はお父さん、コンピュータを交換する時はお兄さん、 朴槿恵(パク・クネ)変える時は民主労総!」 何かそんなところがあるようだった。 しかし話を聞いてみると、民主労総のどこかの事務室では事務幹事という名前で女性労働者を雇用して、お茶汲み、清掃、複写、会計といった仕事ばかりさせる所もあるという。 どうやらそこは70年代の女性労働者運動が盛んだった時よりも退行した性役割を信奉する人たちが暮らしている所のようだ。

「生まれれば出生申告、就職すれば労組加入」という言葉に手を打ったが、あんなところは嫌だ。 行ったとしても『若い』私たちに、オヤジギャグでも飛ばしそうだ。 合宿に行っても「花のようだ、可愛い、踊ってみろ」と言われそうで、行く前から嫌だ。 大学入学の時に予備役の先輩がそうだったように。 私たちが事務室でセクハラに苦しむことを彼らは理解できないだろう。 「容貌飾る労働」という言葉がどんな意味なのか知っているのだろうか。 「団結した労働者は敗北しない」という言葉が好きだ。 しかし私はどこで誰と団結すれば安全に出勤できる会社にできるのか分からない。 結局は、働いて「事故」になればその時、インターネットに事情を書いて、 私たちの現実と気持ちをよく知る女性団体と連帯して裁判をすることが、今の私の最善なのだろうか?[ワーカーズ38号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-01-30 13:45:10 / Last modified on 2018-01-30 13:45:13 Copyright: Default

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