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慶州の労働者はなぜMBを本当の社長と呼ぶのか

[ワーカーズ・イシュー]なぜダスに創造コンサルティングが入ってきたのか?

パク・タソル、ユン・ジヨン記者 2017.10.30 11:14

「それでダスは誰のものですか?」 かなり古い質問だが、最近になって再び頻繁に出没する質問。 答は決まっていて、李明博(イ・ミョンバク)元大統領が返事さえすれば良い質問。 ダスをめぐる実際の所有主の議論がインターネットで激烈に再点火されている。 だが李明博大統領が答えるべきは、これだけではない。 労組破壊の最強キャラになった創造コンサルティングとあなたはどんな関係なのかということ。 そしてどんな陰謀をしたのかという質問にも彼はまだ答えていない。 2012年、李明博大統領は「民主労組破壊シナリオ」を持ち出して世の中を騒がせた。 創造コンサルティングという労務法人が企画し、 コンタクタスという警護業者が犠牲になり、 李明博元大統領が相槌を打つという完璧なシナリオであった。

ところで、それがダスとどんな関係なのか? 創造コンサルティングが世の中に知られる前の2010年、ダスはすでに創造コンサルティングと接触していた。 そして李明博の側近が所有していたダスの下請企業で、いち早く労組破壊工作がなされた。 職場閉鎖とともに投入されたコンタクタスという用役業者は、李明博が大統領候補だった時に個人警護を担当する業者であった。 このような事実だけを見ても「李明博と労組破壊」は 「李明博とダス」程度でにかなり近いと見られる。 慶州地域のダスと下請企業で起きた労組破壊工作から、 2012年の労組破壊シナリオまで。 李明博元大統領の労組破壊の歴史を調べた。

[出処:青瓦台]

ダス、創造コンサルティングの扉を叩く

ダスが創造コンサルティングの扉を叩いたのは2010年7月だ。 ダスはそれから26か月の間、諮問料の名目で創造コンサルティングの口座に2761万ウォンを入金した。 創造コンサルティングが労組破壊作業に飛び込んだ草創期だ。 最初の入金が7月だったのは絶妙だ。 この時期は創造コンサルティングがヴァレオマンドを初のターゲットとする労組破壊を成功させた時だ。 ヴァレオマンドとダスはどちらも慶州地域にある事業場だ。 ヴァレオマンドが創造コンサルティングに初めて5500万ウォンを送金したその年の4月、 会社は攻撃的職場閉鎖を断行して労組を圧迫していた。 そして2か月後の6月7日、ヴァレオマンド支会は金属労組からの集団脱退を決め、企業労組になった。 迅速かつ成功的な結果であった。 ヴァレオマンドは創造コンサルティングに総額4億ウォンを越える金を注ぎ込んだ。

ダスが最初に創造コンサルティングに金を渡した7月は、ヴァレオマンド労働組合が金属労組から脱退した直後だ。 初めての「モデルケース」が成功的だったわけだ。 そしてダスは2012年8月まで、創造コンサルティングに毎月諮問料を入金した。 最後に諮問料を入金したその年の8月は「労組破壊シナリオ」が世間に知られ、沸きかえっていた時期だ。 そして相信ブレーキとKEC、ユソン企業、SJM、マンド、ボッシュ電装、コンチネンタルなどの金属労組事業場に対する労組破壊工作が最終段階に入った時でもある。 これらの事業場はすべて創造コンサルティングの諮問を受けて労組破壊を始めた所だ。

結果としてダスの民主労組は破壊されなかった。 慶州地域を始めとする金属労組所属の自動車部品メーカーは続々と崩壊したが、ダス支会は健在だった。 「成功報酬」ではなく「諮問料」だけを丹念に入金したのも、労組破壊を成功させられないまま、状況を見ていただけだったのだろう。 チョン・ジノン前金属労組慶州支部長は 「物量を納品する方式、労組の雰囲気などを総合的に考慮して、労組を破壊できる状況なのかどうかを判断したのだろう」とし 「ヴァレオマンドに労組破壊作業が入ってきた後、ダス支会も緊張したが、 本格的な試みはなかったようだ」と説明した。 慶州地域の労組の間では「(労組破壊の)目標はダスだったが、ダスだけは労組破壊工作を逃れた」という言葉が広く知られた。

ダスはいかにして労組破壊から逃れたのか

ダスは1987年の会社設立直後から約20年間、ずっと韓国労総所属の事業場だった。 その当時、現場では管理者が向こう脛を蹴飛ばしたり、ビンタすることもあり、作業環境も劣悪だった。 「形ばかりの労組」に不満を感じた労働者たちは、民主労組結成を主導した。 ダスに金属労組ができた時期は2008年7月だ。 労働者たちは速戦即決で民主労組を結成して、新しい指導部まで選出した。 李明博元大統領の妹婿で、当時ダース副社長だったキム・ジンはドイツ出張をやめて急いで工場に戻ってきた。 使用者側による金属労組加入妨害の試みもあったが、金属労組慶州支部が連帯全面ストライキを宣言すると、使用者側は結局金属労組を認めた。 労働界の関係者はダスがストライキに突入すれば、現代車の完成車生産に大きな支障が出るので労組を認めるほかはなかったのだろうと分析している。

実際に、ダスは国内自動車のシート部門の独占供給業者で、現代、起亜車などに90%に達する物量を供給していた。 自動車のシートの場合、在庫物量も豊かではなく、数日生産に支障があっても完成車の生産に大きな打撃を与える状況だった。 強大な労組の組織力も労組破壊を難しくした要因だった。 金属労組に加入した後、労働者の作業環境と福利厚生、職場の雰囲気などは明確に変わった。 支会は使用者側と毎年、社内下請労働者たちの10%を正規職に転換させる団体協約を結んだ。 ダス支会の労組組織率は現在も100%だ。 ダース支会のチェ・ジェソ支会長は 「現場は100%組織されていて、社内下請労働者も組合員に加入している」と明らかにした。 非正規職ない世の中作りネットワークのパク・チョムギュ執行委員は 「当時(労組が)VIP事業場にできたのに使用者側がじっとしていのかという話が飛び交った」とし 「だがダス支会ができてから3〜4年間、組織力は手が付けられないほど強大で、 中途半端に干渉することができなかった」と説明した。

ダスが創造コンサルティングに諮問を求め始めた時点は、ダス支会が全面ストに突入した直後だ。 2010年6月25日、支会は使用者側の賃金団体協議暫定案拒否に対抗し、残業および特別勤務拒否闘争を行い、28日に全面ストに突入した。 3か月間で合計15回の交渉をして到達した暫定合意案だった。 支会は賛否投票をして暫定合意案を可決したが、 使用者側は労組専従者条項をはじめとする労組活動のための条項は受け入れられないとして合意を拒否した。 その年の7月1日には複数労組とのタイムオフ制(勤労時間免除制度)が初めて施行された時期だ。 これを控えて組合員500人以上の大型事業場がタイムオフ問題で全面ストライキに突入したのは初めてだった。 だがストライキは一日で終わった。 専従者問題は、完成車の賃金団体協議締結状況を見た後で追加の交渉をすると労使が合意したためだ。 これにより労使はその年の6月29日、賃金団体協議調印式を行った。 そしてちょうど1か月後の7月28日、ダスは創造コンサルティングに初の諮問料を入金した。

下請に民主労組が結成された「下剋上」、これに対処したMB

李明博元大統領と側近たちは、 ダスに民主労組が結成される前、すでに労組破壊を成功させた経験がある。 自動車のシートレールを溶接してダスに納品していたセガン工業という協力業者だ。 セガン工業は李明博元大統領の妹婿のキム・ジニが1997年2月から2年9か月間、代表理事をしていた会社だ。 その後は李明博の高麗大の後輩イ・テファンが代表理事職を譲り受けた。 セガン工業の労働者が金属労組(当時は金属連盟)に加入した時期は2000年7月だ。 まだ金属労組慶州支部が発足する前だ。 当時、ダスの成長速度は恐ろしいほどであった。 ダスが受注する新規物量が増えれば、下請企業の物量も増加した。 だがセガン工業はほとんど新規採用をせず、残業と特別勤務が日常化していた。 工場は一日も休日なく稼働した。 労働者たちは長時間労働問題を打開するために労組を結成した。 だが翌年5月、会社は廃業で労組結成に対抗した。 「労使紛糾で受注が受けられなかった」というのが廃業の理由であった。

セガン工業支会は偽装廃業と集団解雇の実質的な背後としてダースを指定した。 彼らはセガン工業がダスの偽装系列会社だと主張して、 ダースに対する闘争に突入した。 当時の洗鉱工業支会チェ・ヘスル支会長は 「イ・テファン代表理事はテブ機工(現ダス)で開発部常務を兼職していた。 李明博の実兄であるイ・トンウンの長男イ・ドンヒョンもセガンで課長として勤めていた」とし 「李明博がうちの工場に来ることになれば、 何週間も前から清掃をしてVIP儀式を準備することもあった」と回想した。 民主労総慶州市協議会が廃業直後に出した報道資料には 「昨年7月に労組を結成した当時、労組を破壊するために釜山で用役ならず者を買い入れたのもテブ機工で、 セガン工業の生産物量のほとんどを持ってきて、現在稼動しているのもテブ機工であり、 セガン工業で会社にこびて労組に反対した非組合員を連れてきて働かせたのもまさにテブ機工」という主張が載っている。

セガン工業の偽装廃業は、労組設立の動きがダスに及ばないようにする事前遮断の目的が大きかった。 金属労組労働研究院のホン・ソクポム研究員も2013年に「産別労組の地域活動に対する国際シンポジウム」で 「ダスより小さい系列会社に民主労組ができたことで、当時、御用労組があったダスにも労組民主化の動きが広がりかねないという認識があった」と分析した。 集団解雇されたセガン工業支会の労働者たちは、その後、ダス正門の前でテント座り込みを行い、納品を封鎖した。 二日後にダスは救社隊と用役を使って座込場を壊し、組合員たちに暴行した。 その年の7月、金属労組慶州支部のすべての事業場が交渉を中断して二日間の全面ストライキに突入した。

初期の産別労組の時、個別事業場の問題が地域の全面ストライキに広がったのは異例だった。 ホン研究員は同じシンポジウムで「以前、単位事業場ごとに展開していた闘争が、 金属労組の発足以後一つの地域的な垣根を作って抵抗する方式に変わったという点で、 セガン工業の闘争は慶州地域の使用者に対して特別なメッセージを植え付けたと評価される」とし 「実際に単位事業場の組織力は千差万別という状況だったが、 2001年から2006年までの5年ほどの間は、 地域の使用者たちがセガン工業のようなやり方で労組を弾圧することはなかった」と説明した。

今後もセガン工業支会は李明博の自宅と事務室、希望教会などで1人デモを行った。 希望教会前のデモの途中で会った李明博は、 労働者たちに「ここでこんなことをしても意味がない。帰ったら解決する」という趣旨の話をしたという。 実際にあまり経たずに労使間の実質的な交渉が始まり、2002年6月に新会社設立と残った組合員26人の復職と未払い賃金の支払いなどで合意がなされた。 だがこうして設立された「ユガンテック」という会社は2年も経たずにまた廃業をむかえた。 チェ・ヘスル支会長は「イ・テファンが1年運営してチェ・スンナクという人に会社を売却した。 その後、ダスからの注文がますます減った」とし 「仕事が減って、組合員たちが退社し始め、結局誰も残らなかった」と説明した。 だが組合員が全員退社した後で廃業したユガンテックは、 2010年9月に「ハニャン実業」という会社として復活する。 中小企業現況情報サイトに記載された(株)ハニャン実業の情報には、 1988年セブ工業として始まり、1993年に社名をセガン工業と変更して2001年に廃業をしたセガン工業の沿革がそのまま書かれている。

もうひとつのダスの下請企業、クムガン

セガン工業が請け負っていたダスの注文は、「クムガン」というもうひとつの下請社に出された。 2003年10月22日、ダスにシートレールを納品するクムガンという協力業者が設立された。 ユガンテックがダースに納品する製品がどんどん減っていた時期だ。 クムガンの株式の64%を所有する最大株主は李明博の義理の兄弟、故キム・ジェジョンの夫人クォン・ヨンミだ。 クォン氏はダースの株主にも名前を連ねている人物だ。 キム・ジェジョンは2010年2月に死亡するまで、ダスの最大株主(48.99%)だった。 しかし死後の相続の過程でダスの株式持分19.91%を相続税として物納し、 クォン・ヨンミは本人の持分の中5%を清渓財団に寄付した。 そして李明博(イ・ミョンバク)の兄イ・サンウンがダスの最大株主(47.26%)として登板した。

クムガンの労働者たちは2013年12月10日に金属労組を結成した。 正規職労働者140人と移住労働者30数人が組合に加入した。 使用者側は労組破壊シナリオと類似の民主労組破壊工作を繰り広げた。 クムガン支会のチェ・イニョク支会長は 「労組を設立した直後、夜間に奇襲的に工場の門が閉じられた。 用役と思われる80人ほどの輩がユニフォームを着て『社内請負契約』を結んだと言って工場の中に入った」とし 「彼らは工場の通路ごとに配置され、組合員の動きを監視した。 慶州支部の連帯で一週間後に彼らを撤収させた」と説明した。 労組設立後には使用者側が主導した企業労組も結成された。 偽装入社による労組破壊の試みもあった。

チェ支会長は「5〜6人程度の偽装入社者が組合員に見つけられた。 組合員たちが感づいて圧迫すると、偽装入社の事実を告白した」とし 「そのうちチーム長格の人もいたが、使用者側と退社することで合意した」と明らかにした。 翌年も使用者側は交渉を懈怠し、労組幹部に対する不当懲戒を試みた。 労組は全面ストで懲戒無効を引き出した。

原文(ワーカーズ/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-11-02 17:00:08 / Last modified on 2017-11-02 17:00:10 Copyright: Default

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