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保守言論による新古里5・6号機建設中断揺さぶり...赤色言論が必要だ

[ワーカーズ]緑は赤

ヨン・ソンノク客員記者 2017.06.20 13:55

[編集者 注]文在寅(ムン・ジェイン)大統領は6月19日、釜山市機張の古里原子力本部で開かれた古里1号機永久停止記念式で「脱核時代に行く」と宣言した。 だが公約事項だった新古里5・6号機の建設中断については言及を避け、社会的合意だけを強調した。 『脱核時代』を発表した記念演説で、既存の政策だった建設中断を社会的合意に後退させたわけだ。 マスコミ各社は既存の政策と公約後退よりも『脱核』を中心に報道して問題を避けている。 ヨン・ソンノク客員記者は当初、新古里5・6号機建設中断政策を保守言論がどう揺さぶってきたのかを指摘する。

▲蔚山市民の約70%は新古里5、6号機の建設中断を望み、脱核政策が必要だという世論調査の結果がある。それでも言論が賛否住民の対立だけを強調するのは公共性を持つジャーナリズムが取る態度ではない。[出処]ヨン・ソンノク

蔚山の脱核団体が進める脱核学校の講演で、ドキュメンタリー〈福島5年の生存〉を作ったチェ・セヨン監督と会った。 チェ・セヨン監督は作品の他に、別途の写真数枚を紹介した。 その中の一つは1961年1月20日付の東亜日報のある記事だ。 当時原子力研究所のイ・チャンゴン研究官が寄稿した文だが、その一部をそのまま引用する。

「とにかく誰が何と言っても私たちには一つの信念がある。 麦一粒が死ぬことで多くの実を結ぶという話のように、 過度の放射能に被曝すれば生命が短縮されて(...) はなはだしくは子孫にまで影響するというが、 われわれは細くて長い生よりも短くてもいっそ大型の人生を指向しながら、 また過度の放射能を照射されるために結婚後、子孫に影響を与えることがあっても、 慰められる一つの大きな口実がある。 つまりそれはわれわれは原子の種の父になることができるということだ。」 - 1961年1月20日当時原子力研究所イ・チャンゴンの東亜日報への寄稿文より

「放射能に被曝すれば生命が短縮されて」も核発電所を作ろうという言葉だ。 イ・チャンゴンは彼の表現のとおりに「原子の種のお父さん」のような原発第1世代の核マフィアといえる。 彼は1958年から原子力界に身を置き、現在は韓国原子力文化院長である。 イ・チャンゴンのような者が核マフィアとして活動した原発第1世代だとすれば、 最近「新古里5・6号機」を自律誘致して新古里5・6号機建設を強行しろという蔚山市蔚州郡西生面の住民たちは原発被害第1世代だ。 新古里5・6号機ができなければ移住できない西生面シルリ村の住民は、 誰より先頭に立って建設強行を主張している。 核発電所に隣接した地域から抜け出したいからだ。 核発電所の被害から抜け出すために、核発電所建設に賛成するというおかしな状況が行われたのだ。 もちろん単に被害地域から抜け出したいことだけがその理由ではないだろう。 ここには韓国水力原子力や蔚州郡の利害関係や原発支援金のような金が威勢をふるっている。

当初、昨年6月に原子力安全委員会が新古里5・6号機の建設を許可した後、 相次いで蔚山近海と慶北道慶州市で地震が発生して原発密集地域の事故の憂慮が高まった。 こうした状況で、国会が原発の追加建設を禁じる原子力安全法改正案を発議し、中断の動きが始まった。 だが地域の保守政治家や団体による建設中断反対の動きにマスコミも加勢して、久しぶりにやってきた建設中断の流れに釘を刺している。

マスコミは特に古臭い「中立」の立場に立ち、双方の議論だけをあおって泥水を浴びせている。 蔚山地域の大部分のマスコミは、新古里5・6号機に対して蔚州郡西生面住民の「建設中断反対」の立場を連日「脱核陣営との賛否対立」と書き立てている。 その上、自由韓国党所属の李チェ益(イ・チェイク)・朴孟雨(パク・メンウ)国会議員、 金起ヒョン(キム・ギヒョン)蔚山市長などの保守政治家は、 経済の論理を前面に出して 「安全に建設を続けなければならない」という立場だが、 マスコミはこうした保守政治家の立場も批判なく送りだしている。

[出処:ヨン・ソンノク]

朝鮮・中央・東亜に対する韓国水力原子力の広告の洗礼

もう少し詳しく見てみよう。 西生面の住民は、古里1〜4号機、新古里1〜4号機と隣接して暮らし、被害をこうむっている。 微かな放射能に露出して、健康被害を受け、不動産取り引きができなかったり観光客数が減り、経済的損失にも耐えて暮らす。 核発電から半径5km以内には人が居住できないようにしなければならないが、 すでに古くなった核発電所周辺地域の住民に対する支援法は560メートルまでしか移住交渉の対象にしていない。

脱核団体は地域住民の苦痛と被害に対して政府が代案を出すべきであり、これ以上核発電所を作らせないという。 核発電の危険性を誰もが感じているが、マスコミを通じてみられるのは「対立状態」だ。 マスコミがこうした核発電所に一番近い地域の住民の被害問題を扱わず「対立様相」と報道するのは、 イ・チャンゴンが主張するとんでもない文章とあまり変わらない。 地域のマスコミだけでなく、中央のマスコミも埋没費用と経済的損失を強調するなど、 核発電の根本的な問題を深く扱わないという点で似ている。

メディアオヌル(2016.10.11)の記事によれば、韓国水力原子力(韓水原)が2012年から2016年9月まで、一番多く広告広報予算を執行した新聞は東亜日報であった。 韓水原は5年間で放送広告に約113億余ウォンを、印刷媒体の広告に約38億余ウォンを執行した。 この38億余ウォンのうち約7億4000万余ウォンを朝鮮・中央・東亜日報に執行した。 このうち東亜日報に一番多い2億6601万ウォンが入った。

マスコミだけが問題なのではない。 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は19代大統領選挙期間に 「新古里原子力発電所5・6号機白紙化」を約束した。 だが国政企画諮問委員会の金振杓(キム・ジンピョ)委員長は6月2日、産業通商資源部・原子力安全委員会・韓水原合同報告で 「新古里5・6号機は全ての原発安全性などを深く議論・検討して決める」とした。 韓水原は公式に「政府の政策に従う」としたが、工事はまだ続いている。 新政府が脱核ロードマップをどのように作って発表するのかは、もう少し見守らなければならないが、 新古里5・6号機に対しては断固として「中断再検討」の議論を払拭させるべきであった。

新古里5・6号機の白紙化に関する報道機関と政治の現実を見れば、 資本主義を越える赤色言論、赤色政治がいつよりも切実に感じられる。[ワーカーズ32号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-06-23 20:41:09 / Last modified on 2017-06-23 20:41:11 Copyright: Default

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