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News Item 20170609
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ビジネス米中時代の開幕、韓国外交のモメンタムを期待する

[ワーカーズ 国際]キャンドル政府の外交方向

ク・ソンチョル(東西大中国研究センター責任研究院) 2017.05.26 08:42

▲2017年4月7日、米国トランプ大統領と中国習近平主席が最初の首脳会談をしている。[出処]新華網中国語版

米中間ビジネス政治

今年のはじめ、皆の予想を破って就任したドナルド・ジョン・トランプ。 彼は不動産企業のトランプ社の前会長でビジネスマンとして有名だ。 トランプは就任の辞で米国優先主義を明言した。 またもうひとつの米国式一方主義の兆しも読まれた。 だが最近、連邦捜査局(FBI)局長のジェームズ・コミーを電撃更迭して議論になり、 トランプの米国内の位置づけは狭まっている。 すでに38%にしかならない国政支持率がこれを証明する。 まさに来年の中間選挙も大言壮語は難しくなった。 もし米国の政治制度の特性上、中間選挙で敗北すればトランプの公約はかなり後退するかも知れない。

トランプ政府の対外政策には、彼が生きてきたビジネス人生の経験が相当部分投影される可能性が高い。 4月6日と7日、フロリダ州のパームビーチで開催された米中首脳会談の結果は、 トランプ本人が当初公言していた対中国圧迫とはかなりかけ離れたものだった。 合わせてティラーソン国務長官は 「相互尊重を基礎として、両国間の差異を管理して協力分野を増大するために努力する」と言及した。 総論で包括的な合意をしたが、相変らず各論では差があるという意味だ。 首脳会談の直後、中国は対北朝鮮への旅行を制限する措置を取り、 トランプは習近平主席との通話で「中国が北朝鮮への影響力が強いと思ったが、 実際には事情はちょっと違うようだ」と中国の境遇を代弁した。 これに対して米国と中国の間である種の取り引きがあったのではないかという報道もあった。

まだ心証に過ぎないが、これからの米中関係は、 中国が米国の赤字を埋めて国内経済を活性化することを助ける方向に進む一方、 米国は東北アジアの平和と安定という安保的果実を中国に持って行かれる方向に進む公算が大きい。 このように東北アジアの国際政治がビジネス化し、米中関係が協力中心に再編されるものと見られる。 米中間の協力が高まれば朝鮮半島に加えられる圧力が減るという見方がある。 だが米中間の協力が高まるれば、周辺国家を担保とする両者間での取り引きが行われる可能性も増える。 「相対的満足度」を感じた大企業の談合で、はなはだしい被害を受ける中小企業のような境遇に追いやられる。

中国は変わるのだろうか

ひとまず中国は表面的には米国の要求を受け入れ、対北朝鮮圧迫の先鋒に出るものと見られる。 対北朝鮮制裁を強化した一連の措置は、すでに中国が積極的に動いているということを意味する。 水面下では中国は北朝鮮をなだめつつ、米国との対話も斡旋するだろう。 金正恩(キム・ジョンウン)体制の成立と同時に、北朝鮮の相次ぐ挑発でこの数年間、中国人民大衆の対北朝鮮イメージは急激に悪くなった。 今ではエリート階層まで北朝鮮に対する不満を公然と吐きだすことも多い。 中国知識人の中で韓国とさらに近づき、北朝鮮とはさらに遠ざかろうという主張もたびたび出てくる。 しかしこうした主張は文字通りぶっきらぼうな話で終わるだけで、 現実的な変化は引き出せないだろう。 ただし中国の北朝鮮に対する感情の変化は戦略的な次元から、 中長期的に詳しく調べなければならない部分であるのは明らかだ。

中国指導部としては相変らず地政学的な考慮を優先する声が高い。 そのため急激な対北朝鮮政策変化があると期待してはならない。 前朴槿恵政権は過度に中国の役割論に依存し、 むしろ円満な対中国関係に否定的な影響を与え、 これはTHAAD配置問題まで波及した。 たとえこれから追加の核実験など北朝鮮の挑発があるとしても、 中国は簡単には変わらないだろう。 だが韓国も中国を絶えず多者間会談に引き込む努力を怠ってはいけない。 当分は中国の変化を引き出すことは難しいとしても、 悪化するだけ悪化した中国の感情を韓国が積極的に活用できる日がくるかも知れないためだ。

「対話をするか、このまま一緒に自爆するか?」彼らの主張を本当に深刻に聞くべき時間が近付いてくる

▲2017年5月14日明け方、北朝鮮の中長距離ミサイル華城12号が発射された。[出処]四月網中国語版

北朝鮮の崖っぷち対話要求

5月14日明け方、北朝鮮はICBMに準じる華城12号を成功的に打ち上げた。 ちょうど中国の一帯一路首脳会談があった日だった。 なぜ、わざわざ中国の記念日と同じ日に武力デモをしたのだろうか? 北朝鮮も米国と中国の共同圧迫戦線が形成されることに不安感を感じていただろう。 この日の武力デモは、中国に対する不満を間接的に表出したもので、 同時に米国にはもう少し密度ある対話に出てこいという要求であった。 核とミサイル開発に拍車をかけ始めて以来、北朝鮮体制の第1の目標は、 米朝間直接対話による体制の保障だった。 しかし米国にとって北朝鮮はただのやっかい者に過ぎず、 国際情勢も北朝鮮に愛情(?)を注ぐだけの時間を許さなかった。 北朝鮮の崖っぷち対話要求の歴史は、こうして30余年になる。 近い将来、3代政権にわたり崖っぷちで過ごした長い時間が結実を見るかもしれない。 徹底して国益という観点から見れば、 北朝鮮の態度はやっかい者とは見られず、同様に非合理的な決定だとも見られない。 崖っぷちがまさに金氏三代政権の「生存」そのものだったことを考慮すればだ。 今後も崖っぷちで一方の手には核を、他の手にはミサイルを持って絶えず叫ぶだろう。 「対話をするか、このまま一緒に自爆するか?」 彼らの主張を本当に深刻に聞くべき時間が近付いてくる。

望ましいキャンドル政府の外交方向

2016年秋、韓国社会は朴槿恵(パク・クネ)-崔順実(チェ・スンシル)ゲートの直撃弾を受けた。 忙しい日常の中でも全国で市民のキャンドルが燃え上がった。 長い弾劾政局と、初めての「弾劾決定」も続いた。 統帥権者の不在は「コリア・パッシング」という奇想天外な表現まで言論が作り出すほど、韓国の外交安保を死地に追いやった。 それでも幸いだったのは、去る10日に新しい大統領が選出されたことだ。 短い期間に周辺列強首脳との連鎖通話と特使団派遣決定などが迅速に行われた。 だが私たちの行く道はまだ遠い。 国家の主な外交安保政策を企画して実行する指令塔がまだ人選もされていないからだ。 各主要外交ラインが安定するには少なくとも二〜三か月の時間を必要とするだろう。 この時間にわれわれは果たして何を準備するべきなのだろうか。

まず大きな枠組みでは、国家の新しい外交路線を確立しなければならない。 私たちの国家力量は、経済力や軍事力の水準から見ても堂々たる中堅国家だ。 2013年5月、Podcast13回、尹汝雋(ユン・ヨジュン)方に出演した延世大のムン・ジョンイン教授は、 韓国の生存戦略として大きく4種類の方案があると話したが、その内容は次の通りだ。 △均衡(balancing)-米国に同調し、浮上する中国を牽制し均衡を加えること、 △便乗(bandwagoning)-中国の浮上に便乗し、中国中心の世界体制の中での利益を企てること、 △独自生存(standingalone)-強大国勢力の影響にまきこまれず、文字通り独自生存の道を追求すること、 △現状維持(status-quo)-従来と同じように経済的利益は中国、安保的利益は米国から取ることだ。

ムン・ジョンイン教授は当時この四つの戦略ともに限界があるとし、 「ヨーロッパ式東北アジア安保多者協力体制」を構築することが最善だと主張した。 もちろん、彼が主張する方案にもまったく可能性がないわけではないが、 危険が大きくても最も確実な道は、やはり独自生存だけだ。 戦略的な次元から、しばらく韓米同盟の維持を積極的に考慮しなければならないが、 徐々に主権国家としての面目を取り戻さなければならない。 そのためには「戦時作戦統制権の回収」と安保次元での定期的な「韓中戦略対話」の開始も考慮する必要がある。 これは2013年6月、韓中が合意だけはしたが定例化されていない青瓦台国家安保室と中国の外交担当閣僚間の戦略対話をより拡大し、 両国の外交部、国防部、統一部などの関連機関の長もすべて包括して、年1回以上開催する方案だ。 これまでね韓中間の戦略対話は次官級から長官級までが小幅に発展してきたが、 概して単発性に終わってしまった。 韓米同盟の基本枠組みを害することなく、中国とさらに緊密な対話ができる定期的なチャンネルを構築することは重要だ。 また、このカードはTHAAD配置問題の出口になる道案内として活用することもできる。

米国には今後、自主国防の意志を明確に示す必要があり、 中国とは統一時代を準備するための密度高い対話をする機会を創り出すことにより、 両強大国の間で私たちの交渉レバレッジを上げなければならない。 THAAD運営費の分担というとんでもない要求を味わい、 THAAD配置に関して中国の無礼な干渉にまたまきこまれるほど、 韓国の力量は決して弱くはない。

今や北朝鮮は韓国主導の「統一の対象」だけでなく「平和共存」の対象としても観点の大転換を成し遂げなければならない

二番目、対北朝鮮政策において、新しい「ビジョンの提示」とこれに対する「国内的な合意」が必要だ。 北朝鮮の弾道ミサイルの発射により、当分は南北間の対話は出口を開くのが難しくなった。 これまでの政府はそれぞれ北核問題の解決法を出した。 だがこれら全てが「統一」を前提にしているということに深刻な欠陥が存在する。 もちろん統一は必ず実現しなければならない朝鮮半島の宿題だ。 私たちが普段、北朝鮮との対話が難しかったのは、左右陣営を問わず北朝鮮を統一の対象とだけみなしていたためだ。 金正恩政権は思ったよりしっかりしており、経済的には相当部分中国に依存しているが、 北朝鮮の民生も外部との接触がなくてもよく耐え抜いていると評価される。 今、北朝鮮は韓国主導の「統一の対象」だけではなく「平和共存」の対象としても、観点の大転換を成し遂げなければならない。 南北関係の特殊性だけでなく、一般的な国家としての認定も積極的に考慮しなければならない。 私たちが朝鮮半島を一緒に暮らしていく主役であることを再検討しようということだ。 互いが互いを孤立させるべき対象ではなく、まっすぐな相手として認める時、対話も可能だ。

そうした意味で、新政府の対北朝鮮政策は、これまでの朝鮮半島信頼プロセスとは次元が異なる実質的な水準の「双方向疎通」と「平和共存」の併行の方向に進むんではどうか? ある政府で発表されても、政権交代によりすぐ廃棄される政策のことではない。 どんな指向の政府が執権しても、その政策基調を受け継ぐことができるように、 やぼったい名称でも持続可能性に目標をおいた政策的モメンタムを期待する。[ワーカーズ31号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-05-31 02:29:53 / Last modified on 2017-05-31 02:29:53 Copyright: Default

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