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文在寅政権に私の人生を任せられるのか

[ワーカーズ]情勢座談

ワーカーズ 2017.05.25 07:41

「キャンドル大統領選挙」が終わった。 青瓦台には新しい主人が入った。 「ワーカーズ」は5月15日、専門家たちと共にキャンドルデモから今回の大統領選挙までの政治的争点と今後の展望を語った。

討論|キム・ソク(民主労総企画室長)、 キム・テヨン(退陣行動財閥特別委委員長)、 イ・グァンイル(聖公会大政治学科教授)、 ホン・ソンマン(チャムセサン研究所)
司会|チョン・ウニ(ワーカーズ編集長)

まず、今回の大統領選挙を一言と評したら?

キム・テヨン: 今回の大統領選挙は歴代最も望ましい(?)選挙であった。

最も望ましい?

キム・テヨン: 以前は地域や人物が中心の選挙だったが、今度は不足ではあるが、いくつかの路線と政策が論争された。 キャンドル抗争に続く大統領選挙だったからだ。 だがキャンドル抗争と大統領選挙を一つの過程として見れば、肯定と否定が同時に存在する。 肯定的なところは韓国の現代史において直接、政権退陣を要求した経験が何回もあったが、 今回は下からの大衆闘争で政権を退陣させ、21人を拘束した点だ。 非常に意味あることだ。 ところがキャンドル抗争初期、広場の大衆には既存の野党に対する信頼が高くなかった。 野党がこの問題を解決してくれるという期待もなかった。 始まりはそうだったが、結果は野党による政権交代で終わった。 キャンドル闘争は最大公約数として行われたが、最大公倍数があるのに最小公倍数を政治的に得た。

イ・グァンイル: 政治においては自任することは重要だが、共に民主党と文在寅候補はキャンドル抗争の下半期から選挙が終るまで、 キャンドルの赤子を自任し、その精神を継承して政治的に積弊を清算すると明らかにした。 「キャンドル蜂起」は表層的で構造的な問題と連結しているため、 共に民主党こそが新自由主義を呼び込んだ元祖としての責任があり、 李明博、朴槿恵政権で積弊を重ねる一助となった野党もその責任は軽くないが、 さらに民主党などが赤子を自任したことでそれらの問題がすべて覆われてしまい、 共に民主党の執権で一段落した。 キャンドルを規定する「守旧-保守独占政党政治」の構造的な効果だといえる。

キム・ソク: 結果として朴槿恵退陣が弾劾に行ったためだ。 当初、野党は朴槿恵下野の圧迫手段として弾劾を言い出したのだが、 広場キャンドルの力も朴槿恵を物理的に引き下ろすことができなかった。 それと共に、大統領罷免の決定権が国会と憲法裁判所に行き、 制度的な解決の過程を踏むことになった。 当時、広場には週末のたびに100万人以上が出てきたが、朴槿恵はびくともせず粘った。 この時、闘争の様相は変わらなければならなかった。 200万、300万と量的に拡大するにせよ、平日も週末集会の規模で拡大するにせよ、非暴力平和デモから質的に変えるにせよ、どうにかするべきだったのにそこまでは行けなかった。 キャンドルが量的にも質的にも越えられなくなり、既存野党との妥協点が現れて、 それと共に弾劾になった。 そのようにして妥協したため、序盤には特に影響力がなかった野党がキャンドルの成果を持っていく機会を得た。 文在寅候補だけでなく、 沈(シム)サンジョン、安哲秀(アン・チョルス)はもちろん、 劉承ミン(ユ・スンミン)候補もキャンドルの意に従うといった。

ところでどうして文在寅候補が政治的な恩恵を一人占めできたのか?

ホン・ソンマン: 今回の大統領選挙での主要候補5人のスペクトラムは、実はそれほど大きくなかったという点に注目しなければならない。 特に洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補を除けば、大きく強調されることもなく、大同小異だった。 主要五候補の路線上のスペクトラムを見れば、右側には自由韓国党という反共・発展主義勢力から、 左側には社民主義右派程度と言える正義党までがあったが、 政治的スペクトラムの幅は狭い。 今回のキャンドル抗争は朴槿恵退陣を掲げたが、 一方ではこのスペクトラムを越えられない闘争だったということを反証するものでもある。 今回の大統領選挙の最大の限界でもあり、韓国社会政治地形の問題でもある。 時間も非常に急迫して大統領選挙が近付いてきたし、 こうした状況で大統領選挙を行ったことで結局、現実的に文在寅候補に傾いたと見る。

大統領選挙の結果を見れば、キャンドル抗争の初期から合流していた民衆運動、階級運動陣営の責任もないか?

キム・ソク: キャンドル抗争の初期には以前のキャンドルとは違い、民主労総という組織隊伍に好意的な雰囲気があったし、自信もあった。 民衆総決起まではそれなりの役割を果たして上手くやってきた。 だがキャンドル集会の拡大にもかかわらず、朴槿恵は動かなかった。 この状況を越えることが組織隊伍の役割だが、それができなかった。 民主労総がさらなる実力を示すことができなかった。 昨年11月30日のゼネストがきちんと進められず、民主労総は何をしているのかという評価もあった。

イ・グァンイル: 今回のキャンドルは言論が始め、言論で終わったという話があった。 特に弾劾と下野(即刻退陣)の間で対立している時に、ほとんどの言論が弾劾へと推し進めたことに注目する必要がある。 弾劾になれば朴槿恵が前職大統領としての待遇は受けられないが、 下野になれば受けられることになるといった報道を吐き出し、 朴槿恵に対する大衆の怒りを刺激しながら、だ。 だが、4.19の時に李承晩(イ・スンマン)大統領は下野して海外亡命をしたではないか。 結局、弾劾は大衆の熱気を既存の国会、政党構造に持っていくことであり、言論がその役割を先導した。 当時、退陣行動、特に民衆陣営の団体が、大衆の下野・退陣要求をもっと引っ張って行かなければならなかったのではないかという惜しみが残る。

キム・テヨン: 韓国は事実、非暴力の伝統があまり強いわけではないが、数十、数百万が非暴力・平和デモを何と5か月間、事件・事故なく進めた。 とても異例な状況だ。 こうした状況が続いたのは、支配勢力も朴槿恵を捨てたからだ。 警察が光化門広場を渡さず、その前でキャンドルが警察と何週間も対峙すれば、進行の様相は完全に変わっただろう。 裁判所は仮処分の形式で大衆が青瓦台にますます近寄れるようにしたし、 状況が好転し続けたため、大きな不満もなかった。 こうしたことは韓国の裁判所が改心したりキャンドルの威力に押さえられたからなのではない。 彼らは朴槿恵をすでに放棄したから管理可能な水準で青瓦台へ向かう道を開いたのだ。 弾劾もそのような構図に捉えられてしまい、残念なことにキャンドルはそれを越えられなかった。

ホン・ソンマン: それでも民衆運動陣営の対応にも限界がある。 大統領を引きずり下ろすには平和集会ではだめで、警察の車壁を越えなければならないという当為しか存在しなかったのではないかという惜しみが残る。 暴力か非暴力かという構図を越え、多様な想像力を発揮できる空間は多かった。 ものすごい数の大衆が立ち上がったのに、大衆の怒りと想像力を十分に表出させる方法と機会をうまくつかめなかった。

キム・テヨン: 労働者・農民などの階級大衆組織が政治的に結集するにあたり、二回、決定的に時期を逃したと見る。 農民の場合、ペク・ナムギ烈士の葬儀が緊急に行われ、その後、農民内部の動力を作ることが難しかった。 労働陣営は11月30日の民主労総ゼネストが威力的にならなかったことが決定的だ。 また、ゼネストが成功しなかったと言えないわけではないが、その後、財閥問題に対する戦いがしっかりできなかったのは痛恨の極みだ。 労働者が財閥の最大の被害者なのに、民主労総が財閥に対する戦いをさらに強くやっていれば、 民主主義を要求するキャンドル闘争を階級的な要求として展開することもできたはずだが、 それができずに労働側の要求は優先順位から押しやられた。

文在寅政府が発足したが、どんな展望があるか?

キム・テヨン: 文在寅政府は資本から自由な政治ができなければ未来がない。 財閥を越えるか、越えられないかが成敗を分けると見る。 そのような点で、すべての労働政策が争点だ。 文在寅大統領は初めから整理解雇、非正規職問題を話している。 雇用委員会、労働会議所の話も出てくる。 ところが国定教科書問題と共に、政治的な意味はなくても、できるものはさっさとやるとしても、 財閥問題と労働問題はそのように解決することはできない。 制度的なものと関係がないものはない。 今の政治構図から見れば、政権が死活をかけてやっと若干の変化ぐらいはあるだろうが、 その意志があるのか確認できない。 最低賃金も6月には決定しなければならないが、労働部長官が変わり、公益委員が変わり、 若干高く決定することはあるだろうが、その程度だということで、 最低賃金制度を変えるところまで行けるか、それは違うだろう。

ホン・ソンマン: ハンギョレ新聞が選挙後に行った(5月12日〜13日)世論調査で 「文在寅政府で暮らしはどうなると期待するか」という質問に関心がある。 暮らしが良くなるという期待感は思ったより大きくなかったが、54%程度であった。 文在寅サンジョン、 二人の候補に投票した人の中にも「特別な差はないか、悪くなる」と答えた人が各々24.2%、36.2%であった。 自分が進歩だと考える人は28%、中道は47%は、ほとんど差がないか悪くなると展望した。 進歩的や中道的な考えを持つ人の相当数が今の問題は構造的で、共に民主党も解決できないと感じている。 文在寅政府に対する期待感は若い層、特に女性で一番高かった。 こうした期待に文在寅政府がきちんと対応できず、 進歩陣営が文在寅政府をはるかに超える代案に動くことが出来なければ、 むしろ若い層がさらに保守的に変わる可能性もある。

イ・グァンイル: 文在寅政権は、 初期に金大中政権が採択したものの実現できなかったドイツ式の秩序自由主義を基調に持ち出すだろう。 つまり国家が制度と政策を通じて公正で自由な市場の競争秩序を作るということだ。 キャンドル蜂起の影響で執権したため、法制度的な面で一定程度の進展はあるだろうが、 非正規職問題、多放世代に象徴される青年問題などは構造的な問題なので、 解決は容易ではないだろう。 それらの問題を以後の進歩左派の政治活動の鍵にしなければならない。 今後、改革が失敗しても急激なファッショ化は容易ではないだろう。 もちろん韓国は大いにファッショ化の基盤を内在しているが、 ヨーロッパでファッショが登場する時に重要なことが左派の実質的な政治的威嚇であったが、われわれはそうではない。 文在寅政府が失敗しても、ファッショ化のような急激な右傾化より既存の守旧勢力がまた執権する形態になる可能性が非常に高い。 だからそうした流れに対し、進歩政党や左派政治勢力が制度圏の内外でどのように対応するのかが重要だ。

キム・テヨン: 大衆、特に非正規職と未組織労働者は新政権を樹立した今が噴出する時点だ。 たとえば、労働者を締めつける損賠仮差押え解除の要求がさらに激しくなるだろう。 盧武鉉政権の時にできたかもしれないのに、今も解決出来ずにいる。 非正規職労働者もこれから爆発的に立ち上がるしかない。 非正規職と労働者は今から開かれた局面だと考える。 5か月間のキャンドル抗争が大統領選挙で終わったのかというと、全くそうではない。 87年にも6月抗争以後、7月から労働者闘争が起きたように、これから似た流れが始まるだろう。 今、全く違う何かが「タブレットPC」の役割をするかもしれない。 大きく見て動くべき時ではないか。

キム・ソク: 民主労総の11月30日のゼネストは、たとえキャンドル抗争の過程で期待された役割ができずに失敗したという話を聞くが、 見方によれば歴代最大の「政治スト」だった。 民主労総が正規職労働者中心の闘争でさまざまな限界について批判を受けているが、 社会に影響を与え、非正規職労働者を代表する新しい転機を作るために努力している。 そうした悩みの中で、直ちに6月30日「社会的ゼネスト」を準備している。 必ず成功すると思う。[ワーカーズ31号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-05-29 19:11:07 / Last modified on 2017-05-29 19:11:09 Copyright: Default

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