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起亜車1社1労組分離、「加害者が入れ換わった」

[ワーカーズ インタビュー]起亜車華城社内下請分会キム・スオク分会長、キム・ナムギュ組織室長

ユン・ジヨン記者 2017.05.23 08:08

4月29日。金属労組起亜車支部の1社1労組分離総会投票が71%の賛成で可決された。 労働界の内外から嘆きの声が流れ出た。 正規職労組に向けられた怒りも相当だった。 報道機関と政界はいち早く事件を規定した。 労労対立を強調し、正規職労組の覇権主義を批判した。 正規職は加害者、非正規職は被害者と烙印した。 そして正規職労組をはじめ、金属労組、民主労総に「貴族労組」という緋文字が刻まれた。 あっという間に労働運動陣営が「積弊」の対象になった。 そもそも社内下請労働者の要求は、会社は裁判所による不法派遣の判決を履行しろということだった。 だが不法を犯した資本は事件から消えた。 残ったのは政権と資本が作り出した「貴族労組」のフレームだけ。 では当事者である起亜車非正規職はこの事件をどう見ているのだろうか。 起亜車社内下請分会キム・スオク分会長とキム・ナムギュ組織室長に会って話を聞いた。

▲キム・スオク起亜車社内下請分会分会長

事件の発端はどこから始まったのか

キム・スオク分会長(以下キム・スオク): 昨年10月31日の特別採用合意(社内下請労働者1049人に対する一部選別採用)以後、意見の差が発生した。 特別採用合意に反対する人々がいたが、支部は強行した。 そして正規職転換闘争の過程での戦術の違いがあった。 昨年の争議対策委員会の話題であった。 会社が私たちの要求に答えなければ、分会による自主的な闘争は避けられないと判断した。 だが正規職は反対した。 分会はやむをえず昨年3回の追加ストライキをした。 「追加ストライキ」というのは、支部のストライキを行った後、非正規職の正規職化を要求するために追加でストライキをしたという意味だ。 正規職の現場と支部から批判と反対が続いた。 発端になった争点は2種類だ。 特別採用合意を受け入れるかどうかと、社内下請の独自ストライキを認めるかどうかだった。

「発端は2種類。特別採用合意受け入れと社内下請独自ストライキ認定」

▲キム・ナムギュ起亜車社内下請分会組織室長

総会投票可決以後、どんな手順を追っているか

キム・ナムギュ組織室長(以下キム・ナムギュ): 総会投票可決の次の週が休業期間だった。 金属労組、起亜車支部と編成変更の議論などの後続措置作業をした。 金属労組地域支部に編成する手続きだ。 5月16日まで、3回の非正規職代議員大会を招集し、編成の変更と新しい非正規職支会に再編するための規則改正と以後の闘争方案について議論した。 5月22日に金属労組京畿支部運営委で編成変更案件が通過すれば、規則改正総会と代議員補欠選挙を行う予定だ。 今年の賃金交渉に関しては、私たちと金属労組が文書を送って進める予定だったが、多少混乱が生まれた。 できるだけはやく賃闘(賃金闘争)を行い、争議権の確保を念頭に置いた闘争計画を確定する予定だ。

社内下請組合員の間で内部に動揺はないか

キム・ナムギュ: 「執行部の強硬路線のためにこうなったのではないのか」、「正規職と調整せざるをえないのではないか」等の意見は闘争を配置する時からあった。 ただし、これが多数の意見にならない2種類の大きな理由がある。 特別採用合意当時、但書条項があった。 1049人以外に一人の追加正規職転換もないということだった。 二番目は非正規職強制転籍の問題があった。 追加交渉がないことを認めた瞬間、残りの組合員の未来は遮断される。 分会が反対したことについても、そして闘争方式についても、間違いだと言う人は殆どいない。 もし特別採用合意で漸進的な正規職転換の内容が出てくれば、現場が割れたかもしれない。 だが正規職転換そのものを防ぐことに合意するわけがない。

キム・スオク: 強制転籍・転換配置が大きかった。 正規職化しても足りない時に、特別採用人員を受け入れて、その場にあった特別採用に反対する非正規職を追い出すことは受け入れられなかった。 俗っぽく言えば、現在少数の活動家が正規職労組と対立を生じさせているのではないかという話もある。 だが強力に反対と言える根拠は、非正規職の絶対多数が反対しているという事実だ。 もし過半数が賛成をしていれば、支部は押し通しただろう。

「特別採用反対の根拠は非正規職の絶対多数が反対しているという事実だ」

分離総会後、起亜車支部だけでなく、 金属労組、民主労総にまで「貴族労組」というフレームがかぶせられた。 非正規職の当事者としてさまざまな悩みがあるようだ。

キム・ナムギュ: (正規職労組が)何でそんなことをしたのかと言う人もいる。 ところが非正規職も簡単に(特別採用合意に)反対したわけではない。 2審まで勝訴し、判決に従って法を守れという当然の要求だった。 結局は起亜車非正規職の問題だけではなくなった。 会社は民主労総と金属労組の中で、権力と財政を握る大工場正規職労働者と非正規職を分断した。 今回の事件は、会社側の分断戦略の完成だ。 起亜車支部長の感情的な決定で、あるいは起亜車組合員たちの利害関係だけでできた局面ではない。 大統領選挙の過程で洪準杓(ホン・ジュンピョ)も起亜車支部を貴族労組だと批判した。 今は資本と保守勢力が進歩陣営の正当性そのものを押し倒そうとしている。 労組運動の貴族化、労働運動が貴族正規職だけを代弁しているというフレームは、 労働運動の正当性自体を踏みにじる企みだ。 起亜車正規職であれ、非正規職であれ、共同の被害者だ。

「会社は労働者分断戦略を完成させた。資本が労働運動の正当性自体を押し倒そうとしている」

キム・スオク: 本質的で重要な問題だ。 鄭夢九は非正規職不法派遣問題を回避するために、 保守的な正規職組合員の心理を利用して分離総会を企画した。 彼らの目標は、徹底的に正規職と非正規職を分断することだったと見る。 単に起亜車だけではなく、民主労総を、全体労働運動陣営を貴族労組として魔女狩りの対象にしてしまった。 そのフレームに巻き込まれてはいけない。

資本が1社1労組分離総会の下絵を描いたということか

キム・ナムギュ: キャンドルと民主労総の要求は財閥改革だった。 こうした社会的な要求と雰囲気を遮断するために、組織労働者を相手に戦線を張った。 この前までは財閥総師が積弊だったが、1社1労組分離投票の後には貴族労組が積弊の対象になった。 加害者をひっくり返したわけだ。 財閥と資本が加害者だったのに、一瞬で加害者が正規職労組に変わっていた。 徹底して巻き込まれたわけだ。

キム・スオク: 財閥体制76年で李在鎔(イ・ジェヨン)が拘束されたことは、財閥に途方もない恐れを与えた。 それで戦線を潰さなければならなかった。 労組を分離しようがしまいが、現場非正規職主導者がストライキできる実力を持っていれば、あえて分離させなかっただろう。 分離させてもストライキができないと知っていたから、正規職と非正規職を同時に潰したわけだ。 そこで正規職労組には活用価値があった。 会社の文書流出は、このような企画を端的に示す例だ。 文書の核心は、分離総会で可決されれば起亜車支部はもちろん、 金属労組と民主労総もまた社会的な非難を受けることになるということ、 正規職労組の賃金を下げて孤立させることができるということだった。 本質は、悩みの種だった民主労総の大工場労組を社会的に去勢しようとしていた作品が頂点に来ているということだ。 当初、この問題は正規職-非正規職の問題ではなく、資本と政府の問題だった。

「李在鎔拘束は財閥に途方もない恐れ。結局加害者を逆転した」

すべての報道機関と政界が正規職労組を批判する。 労働界一部でも以前から正規職の譲歩を前提とする賃金体系改編や、 賃金上昇分を非正規職に譲歩する方案などを要求してきた。 正規職の譲歩は必要だと思うか

キム・スオク: 私たちがいつ正規職に金をよこせと言ったか。 突然な声だ。 同情は望まない。 それをした瞬間、正規職労組は本当に自分たちが貴族だと認めるだろう。 貴族ではない人になぜ貴族のふりをさせようとするか。 労働者が得られるはずの正当な持分を完全に隠そうとする意図だ。

キム・ナムギュ: 正規職の号俸表を見ると最低賃金は1万ウォンにならない。 勤続30年を越えれば可能かもしれないが、そんな人もめずらしい。 超過労働、深夜労働のような長時間労働と成果給などで賃金が補填される構造だ。 私が正規職を代弁する理由はない。 実際にそうだ。 一昨年、起亜車の団交でも「美しい連帯」という名で正規職の賃上げ分を積み立て、 非正規職事業場の連帯基金に使おうという話が出た。 非正規職当事者が反対した。 重要なことは、不法派遣の非正規職を正規職に転換することだ。 不法派遣の問題は解決していないのに、正規職の賃金を削って非正規職に与えるのは同意されないだろう。 会社はこれを使って財閥が社会的な責任を全うするように振る舞おうとしている。 労働者どうしが自分の肉を削って満たすような問題ではない。 資本が満たすべき問題だ。 華城工場でははっきりと反対したし、そのために悪口も言われた。

今後の計画が気になる

キム・スオク: 私たちには壁が二つある。 一つは当面の不法さえ正せないという壁だ。 キャンドル抗争を経た今こそ、一回、非正規職の不法派遣を直さなければならないのではないか。 その後には10年間で1100万の非正規職を量産した非正規職悪法撤廃闘争を作らなければならない。 もうひとつの壁は、1社1労組の分離で正規職労組と金属労組が貴族労組の代表選手のように集中砲火を受けている現実だ。 そもそもの責任は法を作った政府と資本家にあるのに、なぜ労働者が標的にならなければならないのか。 文在寅政府の真情性は、以前の金大中、盧武鉉政権が作った整理解雇法、期間制法、派遣法を廃棄することだ。 われわれは単に1社1労組の議論だけに閉じ込められず、その戦いのために努力する。[ワーカーズ31号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-05-29 19:05:12 / Last modified on 2017-05-29 19:05:15 Copyright: Default

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