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News Item 20170509
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大統領候補の「正規職」を明らかにしろ

[ワーカーズ]君と私の階級意識

オ・スンウン(全国公共運輸労組政策企画次長) 2017.05.02 08:51

二人の有力大統領候補が積弊清算の開始点として、最初の雇用対策を同じように非正規職の処遇改善を約束している。 非正規職の賃金をいくらか押し上げて一部「正規職化」するということが骨子だ。 最近の世論調査で二人の候補のどちらかに投票するという回答者が75%を越えたというから、 新政府の本格的な課題は非正規職に関して稼動する可能性が高いわけだ。

二候補の非正規職公約は、まさに政府が「使用者側」である公共部門から模範を作るという方針でも重なる。 私が働いている労組の期待も大きく、先週の業務で私は二候補の非正規職公約を細かく検討し、質疑書も作った。 そしてその所感をこめて今回の文は一つの予言で始めよう。 予言はつまり、「彼らは絶対やさしい解雇を放棄しないだろう」。

[出処:資料写真]

事実、非正規職政策の核心が二候補とも「雇用安定」ではある。 契約の満了で簡単に解雇される事例から直そうということだ。 二候補はこれを「雇用安定化」、さらに「正規職化」と呼んでいる。

しかし公共部門にはそれに似た事例がすでにたくさんある。 名付けて「無期契約職」。 「原則的に期間の定めがない勤労契約を締結した勤労者」という規定で、 2006年に国務総理訓令第3条に登場した職群だ。 一方、この条項の括弧の中の名は「期間制勤労者の使用原則」だ。 当初、無期契約職は正規職につけられた新しい名前というより、 期間制雇用の劣悪な処遇を一部改善するという趣旨程度で作られた雇用という意味だ。

勤労契約書から期間が消えたといえば、多くの人は「正規職になった」と感じるようだ。 実際に無期契約職を導入して量産した過去の政府も、 昨年12月に207人の間接雇用清掃労働者を無期契約職に転換した国会も、 どちらも自分たちが「正規職化」を実現したと誇らしげに述べた。

しかし無期契約職の解雇はそんなに難しかったり、珍しいことではない。 事業場の統廃合、職制の改編、予算の削減、その上、民間委託の決定を理由として、 または評価と連動して、いつでも解雇される。 まともな賃金・手当の体系がなく、経歴勤続認定が微かでは、期間制と特に違わない。 無期契約職がしばしば「ニセ正規職」とか「無期非正規職」と呼ばれる理由だ。

なぜこんことになったのだろうか。 やはり金が問題だ。 無期契約職労働者が訴える雇用不安が変わらない現実は、「正規職化」の実績を打ち出しつつ、 人件費の追加支出は最小にするために政府が設計した最善の小細工だったのだろう。

こうした状況は直ちに最近でも猛烈に推進され、相変らずくじけない資本の夢、 賃金体系が瓦解して解雇と就職規則の変更はさらに容易になった世の中を思わせる。 「経営上の緊迫した事由」や「評価」という名分で、資本の図体と移動に合わせて労働者が採用されたり解雇される「柔軟な」世の中。 この柔軟な世の中における雇用への人々の通念と期待は、今とは完全に違っているだろう。 その世の中へ行くための朴槿恵政権による「労働改悪」の試みは、私たちが十分知っていて、 しばしば望まれる正規職、経歴を積んで未来を計画できる雇用としての正規職の話はもうしないようにしようという脅迫と同じだった。

資本の立場としては、安定した雇用を保障することは、賃金を上乗せして処遇を改善することとは規模が違う費用で、分際が違う束縛だろう。 そのくびきが消えた時、解雇は労働者、特に労組に対してふるうことができる一番簡単で確実な武器になる。 わけもなく「解雇は殺人」という文句が出てきたのではない。 また、やさしい解雇は労働者階級が受ける全賃金にさまざまな穴と切断を作り出し、 それ自体も実質的かつ体系的な賃金削減の試みになる。 資本にとっては最高の喜びの一つだ。

今、二人の有力大統領候補が雇用安定を保障すると話す「正規職」は、果たしてどんな正規職だろうか? どのような点で私達が知っている正規職なのか、またそうではないのか? 胸の中のキャンドルをまだ消さないわれわれは、今二人の候補が予算確保案を持っているかどうかにかかわらず、 次期政府で追加の財政支出が可能であれ不可能であれ、 大統領になる人の「胸算用」から把握するという体制を整えなければならない。 たとえば次のようなことは必ずチェックされなければならない。

第一に、文候補が自分の「良い雇用作り」の公約を発表するにあたり、 朴槿恵政権をはじめとする過去の政権が期間制労働者を大挙して無期契約職に転換した事例を模範に選んだ点。 そして、先立って伝えたように今、公共部門の無期契約職労働者は相変わらず差別と雇用不安を訴えている点。

第二に、安候補が非正規職の処遇改善策と連動して公正な賃金体系を備えた新しい時代の雇用標準として、 「職務型正規職」というものを提案している点。 そしてその企画は職務/性と評価と、それにともなう措置を強く暗示している点。

この2つを十分に吟味して、 私は労働者たちに期間制雇用の縮小や賃上げを約束しても、 柔軟な解雇だけは放棄できないという二人の候補の意志を感知した。

その上、二人の候補はその意志を「公正」で包む準備もした。 例えば二候補の公約には、韓国社会の非正規職の賃金を正規職に比べて70〜80%水準(文候補)、 または「平均的賃金水準」(安候補)で保障するという内容がある。 「どのように」がないとはいえ、とにかく今の低賃金の現実を放置してはならないという立場だけは表明されたわけだ。 ただし、凝視すべきは二人の候補が賃金格差を減らすと言うだけでなく、 しばしば賃金は「公正」でなければならないという点を強調していることだ。 果たして彼らの公正さが賃金ピーク制や成果年俸制の公正さとはどれほど違うのかも、 これから見なければならない。

朴槿恵がいなくても朴槿恵体制がうまく回っていったという話がある。 二人の候補の誰が大統領になろうが、結局は非正規職問題を根絶できないだろう。 そもそも根絶する意志がないという、二人の候補も積弊の一部だという非難にも一理がある。 では彼らの偽りの意志と隠れた意志をあらかじめ暴き、しっかり評価することが当面の方法というものだ。 朴槿恵前大統領が拘束された3月に続いて、もうじっとしていてはいけないとまた約束した4月も過ぎた。 5月が直ちに新しい政治を開いてくれることはないだろうが、 古い公約がさっと私たちの暇に入ろうとすることだけは共に防いで、5月を満喫したい。[ワーカーズ30号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-05-05 07:29:16 / Last modified on 2017-05-05 07:29:18 Copyright: Default

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