応答するな2002

［ワーカーズ イシュー3］ again 2002 & one more time 2017

again 2002

Be The Reds!のTシャツが恥ずかしくなかった2002年。 熱い夏を熱くした赤い悪魔の熱気は冬になっても冷めるようではなかった。 ワールドカップの時に噴出しきれなかった愛国心は、大統領選挙で熱く燃え上がった。 李会昌(イ・フェチャン)と盧武鉉(ノ・ムヒョン)の薄氷の勝負は、まるで韓国対スペイン戦のPK戦の瞬間のように心臓をどきどきさせた。 白いワイシャツを着た盧武鉉候補がギターをひきながら常緑樹を熱唱する選挙映像は、重ね重ね広く知られた。

そうした中で怒りと痛恨の涙も通りにみなぎった。 米軍のやつらが入ってきて、解放だと思ったら、ミソンさん・ヒョスンさんを装甲車で轢いて死なせたのだった。 女子高生の空しい死にキャンドルが燃え上がり、反米感情が高まり始めた。 米国の国旗がプリントされたポロ社のニットを着て光化門を闊歩していたら、蹴飛ばされそうになったという話も伝えられた。 これまでステディーセラーの商品として愛されてきた米国旗模様の衣服と雑貨は、 タンスの中に放り込まれた。 「米軍撤収」と「SOFA改正」に対する要求が広がった。

待望の大統領選挙前日の12月17日夜。 突然「一本化破棄」を宣言した鄭夢準(チョン・モンジュン)の肩透かしで「盧風」が吹きつけた。 得票率48.9%で盧武鉉大統領当選。 韓国初の高卒大統領。 民主化運動と人権弁護士のレッテルを付けた庶民大統領。 386世代は「やっと世の中が変わった!」と大声を張り上げて喜びの涙を流した。

喜びの涙が乾きもしない翌年1月9日。急報が伝えられた。 不当解雇に反対して闘争してきた斗山重工業のペ・ダロ労働者が焼身したという知らせだった。 「斗山はひど過ぎる。解雇者18人、懲戒者90人。財産仮差押え、給与仮差押え、労働組合抹殺」という血を吹くような恨が遺書に残された。 政府は無分別な損賠仮差押えが乱用されないようにすると明らかにした。 人々は「改革大統領」の改革を待った。だが何かおかしかった。 運送荷役労組、仁川地下鉄、グッドモーニングハンジュの3つの事業場に損賠仮差押えがかけられ、 鉄道ストライキには政府が直接75億ウォンの損賠を請求した。 その間、貨物連帯のパク・サンジュン烈士、農民イギョンヘ烈士などが自ら命を絶った。 そして9月。盧武鉉政権は「労使関係法・制度先進化方案(労使関係ロードマップ)」を推進した。 無労働・無賃金と必須共益事業場の代替労働許容、労組専任者賃金削減、複数労組窓口一本化などの労組破壊爆弾だった。 10月には韓進重工業のキム・ジュイク烈士が、14日後にはクァク・ジェギュ烈士が命を失った。 二人の烈士の葬儀の翌日にはセウォン・テック支会のイ・ヘナム支会長が焼身して死亡した。 盧武鉉大統領は「焼身を闘争の手段にしてはいけない」、 「民主労総はもう労働運動団体ではない」といった強攻発言を吐き出した。 労働者と農民は死に続けた。 現代重工のパク・イルス社内下請労働者と韓進重工業のキム・チュンボン非正規職労働者、現代自動車のリュ・ギヒョク社内下請労働者が命を絶った。 その渦中で、政府は派遣法と期間制法などの非正規悪法を推進した。 2004年にはイラク派兵でキム・ソニル氏が殺害され、2005年の冬にはチョン・ヨンチョル、ホン・ドクピョ農民が警察の暴力で命を落とした。 そうして5年が流れた。そして28人が消えた。

改革大統領の時期、 烈士になった労働者農民の数字だ。

one more time 2017

2012年、「朴正煕(パク・チョンヒ)の娘」の朴槿恵(パク・クネ)と「盧武鉉(ノ・ムヒョン)の嫡統者」の文在寅(ムン・ジェイン)の対決は、 保守vs進歩と規定されて各陣営の支持者を結集させた。 大統領選挙直前の世論調査では誤差範囲内に入るほど、終盤まで選挙状況は激しかった。

互いに似た政策公約に差別性がない二候補は、大衆文化を利用した宣伝をした。 文在寅は、当選すれば江南スタイルを踊るといった。 朴槿恵はカカオトーク本社を訪問して、当時国民ゲームだったエニパンを自分でしてみせた。 結果は約2%の差で違いで文在寅の敗北。 彼を支持した市民は「保守の結集力が強かった」と残念がった。

朴槿恵政権の期間、彼(文在寅)はそれなりに労働者市民の味方を自任した。 2013年の鉄道ストライキの時に政府が公権力を投入すると 「対話と妥協が先だ、公権力が先ではいけない」と一喝した。 だが結局、過去の前歴を問うだけ。 2003年の鉄道ストライキ時に青瓦台民情主席だった彼が 「鉄道ストライキは対話と妥協の余地がない」とし、 早期に公権力を投入した黒歴史が明らかになっただけだった。

2015年12月には「非正規職が史上最大だという統計を見ると、所得の二極化がさらに深刻化したという知らせを聞く時、 老いた農民が放水銃で攻撃されて倒れる姿を見る時、 参与政府を振り返り盧武鉉大統領を懐かしんだ」と吐露した。 彼はそのように盧武鉉政権の時に「非正規職悪法」の期間制法と派遣法を主導した黒歴史を忘れた。 盧武鉉政権当時、2人の農民が警察の盾で殴られて死亡したという事実も。

そして2017年、また彼が大統領選挙に挑戦する。 確かに4年前とは違う「チームトップ」の候補になって戻った。 文在寅支持者の主観的理念は進歩に近い。 世論調査専門機関リアルメーターのアンケート調査によれば、 自ら進歩の理念を持っていると考えている有権者は、 文在寅と李在明を強く支持していることが明らかになった。

だが文在寅は「進歩」というレッテルがまったく負担そうな表情だ。 3月19日、釜山選対委関連記者会見で 「4次革命の時代に進歩、保守に何の意味があるか」とし 「キャンドル民心が要求しているのも、大韓民国をさらに進歩、さらに保守にしろという理念的なものではなかった」と述べた。 共に民主党代表の時には「進歩政党路線に同意できない」とも言った。

それでうしたら文在寅はことごとに進歩的な議題と衝突する。 THAAD配置に対しては「THAAD配置問題を次期政府に渡せば外交的カードに使える」とし、既存の反対の立場をひそかに撤回した。 障害者が要求する扶養義務制廃止については「フェミニスト大統領になる」という突拍子もない返事をした。 労働界が強く要求する最低賃金1万ウォンも、現実論をあげて反対している。

文在寅候補の「進歩」という修飾語の有効期間はすでに切れた。 だが心配ない。 彼の空いた空間を進歩陣営の人々が満たしてくれているから。 文在寅の言うように、 いまや古臭い単語になってしまった進歩。 果たして「進歩」の意味は、誰の手によって色あせたのだろうか。［ワーカーズ29号］

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
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