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恐竜広告業体の第一企画、彼らが望めばすべて実現

[ワーカーズ27号]秘線実力者に資金支援、官僚輩出、オリンピック介入、彼らが狙うもの

ユン・ジヨン記者 2016.12.05 14:04

11月15日。 検察がサムスングループ瑞草社屋内の第一企画を押収捜索した。 17日と27日には第一企画のキム・ジェヨル社長が検察の召還調査を受けた。 秘線実力者の崔順実(チェ・スンシル)の姪、チャン・シホが実所有する冬季スポーツ英才センターに16億ウォンを渡した容疑だった。 検察は第一企画がチャン・シホ側に渡した金が代価性の賄賂なのかどうかを集中して調査していると明らかにした。 キム・ジェヨル社長は二度とも「被疑者」ではなく「参考人」の身分で調査を受けた。

第一企画は韓国最大の大企業集団であるサムスングループ系列の広告代理店だ。 TV、新聞、雑誌、ラジオなどのメディア広告をはじめ、スポーツマーケティング、PR、展示、イベントなどのプロモーション、ニューメディア事業などを展開し、 広告とコミュニケーション市場の恐竜として君臨している。 5大プロスポーツ球団を率いる初のスポーツ専門企業でもある。 第一企画は2014年からサムスンのプロサッカー団、男女プロバスケット団、男子プロバレーボール団をはじめ、 今年の1月にはプロ球団の三星ライオンズを買収した。 サムスングループが作ったスポーツ球団のほとんどを吸収して攻撃的スポーツマーケティング事業を展開しているわけだ。 第一企画のキム・ジェヨル社長はサムスングループの李健煕(イ・ゴニ)会長の二女の婿だ。

▲写真/ホン・ジノン

第一企画の出身は実力者になる

サムスングループとサムスンの広告エージェンシーである第一企画まで。 彼らは朴槿恵(パク・クネ)-崔順実(チェ・スンシル)ゲートの核心の金脈だった。 サムスンはミル-Kスポーツ財団に204億ウォンを、WIDECスポーツに35億ウォンを支援し、 崔順実の娘の鄭ユラに180億ウォンの支援計画を立てていた。 第一企画はチャン・シホが運営する冬季スポーツ英才センターに16億ウォンを支援した。 サムスンの財団寄付金のうち、第一企画の名でKスポーツ財団に後援した金は10億ウォンだ。 数十億ウォンの札束は強制的な「寄付金」という外皮をかぶっていた。 だがその実体は、きめこまかく編集されたネットワークを維持するための共謀資金の性格が濃かった。

実際に第一企画出身要人の多くは秘線実力者たちと関係を結び、重要な要職を占めた。 そして彼らは車恩沢(チャ・ウンテク)-崔順実(チェ・スンシル)が繰り広げた事業を直接推進したり支援して、国政壟断の主犯として活躍した。 代表的にはソン・ソンガク前韓国コンテンツ振興院(韓コン振)院長は、第一企画製作本部常務(補)出身だ。 ソン前院長は車恩沢の広告業界の先輩だ。 車氏が人事に介入して韓コン振の院長に任命された押し付け人事でもある。 ソン・ソンガク前院長は第一企画製作本部長だった2005年、車恩沢監督に広告製作を依頼した縁がある。 二人はポスコの系列会社である広告会社のポレカを強奪しようとした容疑で拘束起訴された。 これに加担したキム・ヨンス前ポレカ代表も第一企画出身だ。

車恩沢監督が所有する広告会社のプレーグラウンド代表のキム・ホンタクマスターも第一企画出身だ。 崔順実氏と共謀した容疑があらわれた安鍾範(アン・ジョンボム)前大統領府政策調整首席の娘も現在、第一企画のコピーライターとして働いている。 車恩沢が代表をしていたCFプロダクションのアフリカピクチャーズの主取引社は第一企画とサムスン電子、イノーションだった。

青瓦台広報企画秘書官室でも第一企画出身が席を占めた。 昨年の総選挙立候補で公職から退いたカン・ヨンファン前公報協力秘書官は第一企画出身だ。 彼は趙允旋(チョ・ユンソン)文化体育観光部長官と大学の同期だと言われている。 今年、後任に任命されたチョ・チャンス公報協力秘書官も、第一企画デジタル戦略グループ長出身だ。 ニューヨーク文化院のオ・スンジェ院長も第一企画の海外法人長出身だ。 彼は車恩沢監督とソン・ソンガク前院長の影響でニューヨーク文化院長に任命されたと言う。

創造経済-文化隆盛で第一企画を育てる

第一企画は朴槿恵大統領と崔順実車恩沢など秘線実勢が推進した創造経済-文化隆盛の受恵者でもあった。 産業に文化という服を着せて進められた創造経済-文化隆盛事業は、第一企画の事業拡大のための規制緩和と新事業支援につながった。

第一企画本社の売上は2013年の9270億ウォンから2014年には8710億ウォンと減少した。 売り上げの減少と国内事業の停滞で、第一企画は2014年からサムスングループのスポーツ球団を吸収し始めた。 危機打開策として試みたのはスポーツ・マーケティングと新産業拡大であった。 その一つがデジタル・サイネージ(Digital Signage)事業だった。 第一企画は新規建設された野球場にデジタル・サイネージなどの屋外広告事業拡大計画をたてた。 デジタル・サイネージとは、ICT(情報通信技術)と広告を接続して動画などを提供する屋外動画広告サービスだ。

第一企画はすでに2000年代の後半からデジタル・サイネージをもの欲しげに見てきた。 2009年3月、呉世勲(オ・セフン)前ソウル市長は「デザインソウルの道」事業の一環として、 江南駅の路上にメディアポールを設置した。 メディアポールはデジタル・サイネージ形態の街路施設だ。 合計22本のメディアポールを設置するために江南区庁がかけた予算は40億ウォンにのぼる。 だが6か月後、江南区は第一企画との委託運営契約を締結した。 契約内容は第一企画に収益を集める方式だった。 メディアポールの使用料や広告収益分配などの条項なく、3年間無償で賃貸するという条件がついた。 不法施設に対する企業特典の疑惑が起きた。 当時、屋外広告物などの管理法には、一部の屋上看板などを除けばデジタル広告物の設置を禁じていた。 現在、江南駅のメディアポールは運営が中断され、不要な施設に転落している状態だ。

だが朴槿恵政権は、創造経済-文化隆盛事業の一環としてデジタル・サイネージ産業活性化対策を持ち出した。 2013年12月、朴槿恵政権は「創造経済時代の放送産業発展総合計画」を発表し、 デジタル・サイネージ産業育成を政策課題にあげた。 そして未来創造科学部は2014年3月、広告産業の新しい成長動力を創出するため「スマート広告発展協議会」を発足させた。 協議会には広告業界を代表してチョ・チャンス第一企画デジタルキャンペーングループ長と キム・ジョンピル イノーション首席局長などが参加した。

2015年12月には未来創造科学部が「デジタル・サイネージ産業活性化対策」を出した。 2018年までに333億ウォンを投資して、プラットホームS/Wおよびコンテンツ、次世代ディスプレー核心技術などを開発するという計画だった。 また観光地など全国5か所に試験団地を構築し、平昌冬季オリンピックとも連係してデジタル・サイネージ・オリンピック通り5か所を構築する方針を明らかにした。

サムスン電子と第一企画はデジタル・サイネージ技術とコンテンツ分野で独歩的な企業だ。 昨年1分期、サムスン電子のデジタル・サイネージのディスプレー市場占有率は25.5%で最強者の席を守った。 後に続いた企業はLG電子で占有率は7.6%だ。 サムスンを中心とするディスプレー市場の拡大は、広告とコンテンツ市場の拡大につながる展望だ。 業界ではデジタル・サイネージ広告とコンテンツ製作、代行サービス市場において、 第一企画と現代車グループの広告会社であるイノーションなどが恩恵を受けるものと見通している。

政府は法律まで改正して規制を緩和した。 行政自治部は去る7月、規制改革の一環として「屋外広告物など管理法施行令」改正案を立法予告した。 改正案には「デジタル広告物」を広告物と明示し、デジタル・サイネージを合法化して建物と壁、屋上、路上の柱、公共施設物、窓などにデジタル広告を認める内容が含まれている。

平昌オリンピックを誘致して李健煕を赦免して...結局「不正」オリンピックの汚名

2009年12月29日。 サムスングループの李健煕(イ・ゴニ)会長が単独で特別赦免を受けた。 平昌冬季オリンピック誘致のためという理由であった。 李会長は2008年7月、脱税で懲役3年と執行猶予5年、罰金1100億ウォンを宣告された。 宣告後、彼は直ちにIOC(国際オリンピック委員会)委員を放棄した。 すると平昌冬季オリンピック誘致委員会をはじめ、韓国プロスポーツ連盟会長団と大韓体育会会長までが立ち上がった。 李健煕会長なしではオリンピックを誘致できないと騒いだ。 翌年、特別赦免を受けた李会長はゆうゆうとIOC委員に復帰した。 そして2011年7月、平昌冬季オリンピックの誘致が決定した。

だが残念なことに平昌冬季オリンピックは「平昌不正オリンピック」という汚名を抱いたまま、なんとか準備を続けている。 平昌冬季オリンピックは何と13兆ウォン以上の予算を一度に注ぐ大規模国家プロジェクトだ。 オリンピックが権力型不正で疲弊したのは、単に秘線実力者の利権介入疑惑のためだけではなかった。 オリンピックの準備の過程でサムスングループ子会社である第一企画の各種特典と不正疑惑も、平昌冬季オリンピックに致命打を飛ばした。

第一企画は11月1日、平昌冬季オリンピック開幕式と閉会式の主代理店に選ばれた。 オリンピック組織委員会は開会式、閉会式に622億ウォンの予算を投入する方針だった。 だが直ちに特典疑惑が起こった。 第一企画出身の要人がオリンピック組織委員会に入り、第一企画の選定を押したという疑惑だった。 実際に第一企画のキム・ジェヨル社長は6月、組織委員会国際副委員長につき、この他にも組織委員会に3人の第一企画出身の要人が布陣したという。

今回だけではなかった。 平昌冬季オリンピック誘致決定直後の2012年6月。 組織委員会は調達庁国市場を通じ「2018平昌冬季オリンピック大会エンブレムおよびロゴ開発用役」入札公告を出した。 平昌冬季オリンピック関連の初めての公共入札だった。 1か月ほど後、エンブレム製作受注履歴がない第一企画が最終優先交渉権者に選ばれた。 デザイン業界はあきれた。 慣例上、国内外のイベントのエンブレム製作は、小規模デザイン業者の領域だった。 売り上げ1兆ウォンを超える恐竜企業が2億ウォン程度のエンブレム開発入札まで横取りしたという反発も出てきた。 結局、韓国デザイン企業協会はオリンピック組織委員会とサムスン電子共生協力センターなどに抗議文書を送った。 当時、第一企画側は協会が推薦する業者とパートナーシップを結び、エンブレム開発を推進するという立場を明らかにした。 だがその後も協会との議論はなかった。 組織委次元でも国民対象エンブレム公募を実施したが、やはり第一企画のエンブレムが最終的に選ばれた。 第一企画は2013年5月、五色を活用した平昌冬季オリンピック・エンブレムを発表した。 第一企画のハ・ジョンジュデザイナーが製作した独自のエンブレムだった。

第一企画はオリンピック誘致段階から努めてきた。 深々と介入もした。 平昌誘致委員会の国際オリンピック委員会総会プレゼンテーションを企画して、 IOCの現場実態調査団を直接迎えた。 2014年には広告代行業者としては唯一、未来創造科学部が推進する「平昌ICT冬季オリンピック推進TF」に参加した。 検察がキム・ジェヨル社長への贈収賄罪適用を検討しているという言葉もあるが、まだ真実は明らかになっていない。 平昌冬季オリンピック組織委員会は、相変らず第一企画の特典疑惑を否定している。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-12-06 00:17:10 / Last modified on 2016-12-07 03:17:58 Copyright: Default

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