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変えようとする思いがTKで芽生え始めた

[ワーカーズ23号/イシュー]「保守の聖地」から「平和運動の聖地」まで

ニュースミン チョン・ヨンギル記者 2016.10.10 13:05

10月1日、大邱中心街の半月堂交差点からソンス橋まで車両渋滞が始まった。 交通事故ではなかった。 たまに開かれるマラソン大会でもなかった。 「1946年9月全評ゼネストと10月抗争精神継承全国労働者大会」への参加の行列ができた。 労働者と市民5000人が旗を掲げて三徳交差点を通っていたためだった。 民主労総創立以来、大邱で初めて開かれた全国労働者大会。 5000人は慶北大師大付属高等学校を左側にして、路上に座った。 師大付属高校の前身は朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領が出た大邱師範学校だ。 師大付属高校のキャンパスには抗日学生運動記念碑と朴正煕大統領記念碑が並び立っている。 ここで労働者大会の参加者は「朴槿恵(パク・クネ)政権を終わらせよう」と叫んだ。 ある人たちは「まさか大邱で?」と反問するかも知れない。 信じ難いが事実だ。

▲写真/チョン・ヨンギル

しばしば大邱慶北をTKとしてまとめて「保守」と「与党支持基盤」だという。 大邱と慶北はまた違っていて、それほどかたい地域でもない。 彼らがたとえ朴槿恵政権を引き下ろせなくても、時間は流れて行くから、この政府は1年4か月経てば終わる。 集会場には80日以上、THAAD配置撤回運動を続ける慶北星州郡の市民も参加した。 大邱慶北出身の汝矣島の政治家しか知らない人々は、大邱慶北市民に向かって 「それでもセヌリ党に入れるのではないか」、「自ら招いたこと」と言うかも知れない。 しかしどうだろうか。 ここにも人が生きている。

解雇1年になる慶尚北道亀尾の旭硝子。 金属労組のチャ・ホノ(45)旭非正規職支会長が労働者大会の舞台に上がった。 彼は「非正規職も労組ができるということを見せてやりたい。 会社は時間が経てば闘争を諦めると考えている。 1年経つ間に失業給付や生計基金で戦ってきたが、今はそれさえもない。 皆が非正規職闘争は重要だと言う。 戦う非正規職労働者に力を貸して欲しい」と訴えた。 亀尾で闘争を続けていくという呼び掛けは、大きな拍手を受けた。 生計費のカンパに600人ほどが参加した。 慶北星州から来たマクワウリ農民で、THAAD配置撤回星州闘争委員会(星州闘争委)イ・ジェドン(48)副委員長も舞台に上がった。 彼は「平和が来る日まで、THAAD配置撤回のために闘争する」と話した。

翌10月2日、星州郡庁広場でこの二人とまた会った。 星州郡農民会長のイ・ジェドン副委員長は、82日間THAAD撤回キャンドル集会でマイクを持っている。 チャ・ホノ支会長は暇があれば星州に来てキャンドル集会に参加する。 4万5000人が暮らす小さな農村都市、星州は、THAAD反対、平和運動の象徴になった。 前の大統領選挙で86%が朴槿恵候補に投票した星州にはどんな変化があったのだろうか。

そのまま韓国社会と国家に疑問を投げた

大邱慶北地域の人々は、国家が本来の役割を果たせない点を指摘したが、 すべての責任を政府と大統領に押し付けることはなかった。 足りない市民意識と権力監視、不条理を自浄すべきマスコミが本来の役割を果たしていないことに対する批判が多かった。

イ・ジェドン副委員長は「THAAD問題が起きてキャンドル集会に出てきながら、この時まで地方自治体や政府がしてきた失政にだまされて暮らしてきたという話が多い。 知らずに暮らしてきたことへの自己恥辱感もあった。 星州で農民会活動していたが、多くの人々が参加できなかった。 農民会は不純、過激だというイメージをマスコミがかぶせたが、 THAAD反対運動で考えが変わった」と話した。

チャ・ホノ支会長は「2012年の大統領選挙の時に非正規職として一緒に働いた同僚の多くが朴槿恵候補に投票した。 非正規職の人生を少しでも変えてくれるだろうということだった。 しかし執権4年間、いやになって仕事をやめても他の所に移ることができる非正規職雇用さえも消えた。 「社会正義」が消え、誰かに期待するより変えようという思いが芽生え始めた」と話した。

以前キリスト教農民運動をしていたペ・ユノ(61)氏はTHAAD撤回運動をして、星州闘争委共同委員長を引き受けることになった。 ペ・ユノ氏は「THAADをよく知らなかった。誰も知らなかった。 私たちのところになぜこんなものが入ってくるのか気になって、キャンドル集会に出てきた。 しかし政府は国民の事情を考えず、自分がやりたいことばかりする。 父親がしていたことを見て学んだことばかりやる。 問題は言論だった。言論がきちんと伝えず、何度も歪曲報道するので星州社会が持っていた自負心が毀損されたと感じた」と話した。

言論に対する不信は星州市民のほとんどが同じだった。 キャンドル集会に参加してセウォル号惨事、ペク・ナムギ農民に対する国家暴力にも関心を持つようになったペ・ミヨン氏。 彼は初めてTHAAD撤回キャンドル集会に参加した理由を「不安」だという。 ペ・ミヨン(39)氏は「不安だった。 しかし多くの人が集まって、同じ声をあげるので、私の中にある不安が少しずつ消えた。 次は怒りだった。 初めてやられたのだから。 私たちのことを言論はきちんと報道しないという事実に腹が立った。 それと共に前にあったセウォル号、済州道、江汀村、密陽送電塔おばあさん。 そんな事件を一つ、二つと思い出し始めて、恥ずかしくなった」と話した。

「あらゆる事を朴槿恵政権のせいとばかりいえない」

国家、政府、言論。 権力であれ、お金であれ、持てる者の側に立つ方が多い。 しかしこれらあらゆる事を朴槿恵政権のせいとばかりは言うことができない。 果たして進歩勢力はどんな役割を果たしているのか問い直さざるをえない。

大邱で非正規職労働運動をして、4年前に星州に帰農したソン・ソヒ(42)氏は 「THAADがくることになった時、絶望的だった。 生活の問題だったから。 7月15日に国務総理がきた時だった。 皆、絶望と不安さを持っていたが、この日、大きな闘いをして、共に戦えば最後まで行けるという期待を確認した。 これまで地域で序列、抑圧的な雰囲気、権力関係の中で自分の声を出せなかったが、 この空間(THAAD反対運動)では可能だった。 何よりも自発性が大きかった。 労組活動をしながら体験したことのない経験だった。 前に立つ人々、そうでない人々は、自分ができる役割を探した」と話した。

チャ・ホノ支会長は 「今の状況は黙っていられない状況だ。 THAADキャンドル集会と労働者闘争は何も違わない。 進歩なら、社会問題が発生した時、絶えず変化して、実践しなければならない。 だが、いつからか自ら閉じ込もった。 集会はきちんと準備された舞台と音響、公演が重要だった。 力を合わせて戦わなければならなず、戦えば勝てるという自信が重要だ」と話した。

イ・ジェドン副委員長も似たような指摘をした。 彼は「権力と政府を相手に戦うべきなのに、野党は戦わない。 大邱・慶北は与党指向が強いというが、星州と金泉は目を開き始めた。 進歩陣営は地域から広く組織を作り、地域を変える役割をするべきだ」と話した。

ペ・ミヨン氏は「これまで民主主義国家だと思って生きてきたが、多様な声を聞くことができなかった。 メディアもだが、権力は世論を受け入れ、提示して、各自が選べるシステムを作らなければならない。 THAAD撤回運動で集まった力が星州を変えるために寄与すればうれしい。 学ぼうとする情熱もあって、直接出てきて討論する民主主義も作られている。 長い間の慣習で、すぐについていけない人もいる。 ゆっくりと新しい試みが、まず地域から作られなければならない」と話した。

大邱で生まれ、大邱で政治学を勉強するイ・シフゥン(31)氏は 「国家にできることとできないことを区分するのが重要だ。 政権交代万能論も問題だが、国家を打倒の対象とだけ見るのも問題だ。 また、TKと通称されるが、大邱と慶北は違う。 変化の端緒があるとすれば、地域の地べたから起きることだが、進歩陣営はここが弱点だ」と批判した。〈ワーカーズ23号〉

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-10-17 14:45:50 / Last modified on 2016-10-17 14:45:54 Copyright: Default

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