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THAADが中国との戦争に対応するものだという危険な所信

[保守の香] 「中国は潜在的敵国...北朝鮮が崩壊すれば中国と戦争」

キム・ハンジュ記者 2016.09.05 11:26

「北朝鮮の体制が崩壊すれば中国軍と韓米連合軍の間で戦闘が行われるが、 中国は海兵隊を黄海道と金剛山にまで投入するだろう。 THAADがあれば、中国軍の北朝鮮への進撃を防げる」

キム・ジョンボン前国家安保戦略研究所長(韓中大大学院教授)が8月24日、 保守市民団体の「正しい社会市民会議」が主催した「国益を無視したTHAAD訪中、議員外交このままでいいのか?」のセミナーでの話だ。 保守陣営はこれまで朝鮮半島THAAD配置の論理として「中国を狙うのではなく対北朝鮮用」、「レーダーの安全性」をあげた。 だがこの日のセミナーでは、これまでマスコミに出なかった新しく危険な話が出てきた。 一部は迫力ある戦争小説のようだった。

この日発表した保守学者たちには、共通した一つの前提があった。 「中国はわれわれの敵国」だというもの。 したがってわれわれは、北朝鮮を越えて「潜在的敵国」である中国に協力してはならず、戦争にも備えなければならないということだ。 パネラーとして参加した明知大のチョ・ドングン教授は、野党議員の「THAAD訪中」について「平和は結局、銃口から出る」とし 「わが国は潜在的敵国と話し合いをする国だ。 THAADを配置しなければ何の代案があるか」といった。 続いて「その上に金鍾仁(キム・ジョンイン)は戦略的曖昧性で(立場を維持していて)、何も言わない。 (THAAD配置に反対する)鄭東泳(チョン・ドンヨン)議員はバカだ」と話した。 つまり、潜在的敵国と話し合うために中国に行った野党議員、THAAD配置に反対する野党議員はバカだということだ。

建国大のパク・イナン教授はさらに一歩踏み出す。 中国を訪れたトブロ民主議員6人を国を売り飛ばした親日派扱いした。 パク教授は「旧韓国末に親日派が朝鮮皇室も知らなかった人口、地理などを日帝に知らせ、国を売り飛ばした。 これにより日程は簡単に朝鮮を占領した」とし 「野党と進歩陣営が韓国の弱点を全て敵国に知らせた。 これが売国行為でなければ何か」と声を高めた。 また、パク・イナン教授は国会議員の外交行為に関する法的根拠も出した。 パク教授は「憲法にも国会法にも『議員外交』に関する規定はない」とし、国会議員の外交行為は行政府の外交権を補完する役割に限ると主張した。 パク教授はこの根拠として三権分立を強調し、 「議員の外交権限もそのままにしておけば、国政監査、国政調査などと共にもうひとつの『議員の特権』としてその弊害が憂慮される」と明らかにした。 行政府を牽制する立法府の機能をはじめ、議員の外交活動まで全て三権分立に抵触するという奇異な主張だ。

今や敵国になった中国との関係で残されたものは何か? 「中国適性国」の結末は戦争だ。 キム・ジョンボン前所長は、中国との全面戦争まで予想した。 キム前所長は 「北朝鮮体制が崩壊すれば、中国は平壌まで占領して親中政権を作るだろう。 同時に韓国は北朝鮮を吸収統一して駐韓米軍は豆満江にまで前進配置されるだろう。 そうすると中国軍と韓米連合軍の間で戦闘が起きる。 中国は海兵隊を黄海道と金剛山にまで投入するだろう。 これに備えて中国は韓国にミサイルを撃つことになるが、THAADがあればどうしようもない」と明らかにした。 THAADが対北朝鮮用を越えて、対中国戦争用になった瞬間だ。 続いて彼は星州に配置されるTHAADでも足りないとし、朝鮮半島に2基または3基のTHAADが必要だと主張した。 金を借りても買わなければならないということだ。

米国の朝鮮半島THAAD配置を中国が頑強に拒否し、THAADに対する保守陣営の構図は「対北朝鮮」から「対中」に変わっている。 北朝鮮・米国から、中・米関係へとTHAADの議論が集中している。 このような構図変化と「中国は敵国」について進歩的な学者と研究者はどう見ているだろうか?

コリア研究院のパク・ホンソ研究委員は、初めからTHAADは米中関係だという点を強調した。 パク・ホンソ研究委員は「THAADは米中間のゲームで北朝鮮が名分を提供した。 韓国はここに挟まれている。 米国と中国は互いに核抑制力を持っているが、THAADはこれを無力化するので反発している。 キューバが米国の目の前にミサイルを配置すれば、米国が反発するのと同じ」と説明した。

また朴研究委員はこれからの東北アジア情勢に関し 「米国も北の核を放置すれば、核能力が増強されることを知っている。 これは米国に相当な負担を与える。 そのため米国と中国が『北核凍結』と『平和協定』の交渉をするだろう。 中国の王毅外交部長とアメリカのジェームズ・クレバー国家情報局長が朴槿恵政権に平和協定を打診したことがある。 朴槿恵政権は、保守勢力の抵抗により、受けるのは難しいだろう。 そうなると韓国はまた北中米で対外的に孤立させられるだろう」と明らかにした。

ソウル市立大中国語文化学科のハ・ナムソク教授は 「政府も中国を刺激しないようにしているのに、この主張(中国は敵国)は政府を越えた話」とし 「今のTHAAD政争は、親中対親米という二分法に閉じ込められている。 ほとんどが中国は北朝鮮に影響を与えると考えているが、今はそれができない。 政府と右派も論理を作るべきだが、米国の極右発言だけを借りて中国を刺激する。 政府は疎通能力もなく、新しい政策どころか話を切り出すこともできない。 報道機関も政府も二分法に追い込まれているので狭い政争局面になった」と伝えた。

平和と統一を開く人々のユ・ヨンジェ研究委員は、キム・ジョンボン前所長の発言に対し 「中国を潜在的敵国と発言することこそ重大な挑発」とし 「極右の中でも極右的な発想」と憂慮を示した。 果たして保守団体は初めから中国との戦争まで考慮してTHAAD配置に賛成したのか? さもなくばTHAAD配置を阻止しようとする中国に対する怒りをあのような形で表出しているか。 重要なことは、彼らがTHAADで守る国民の方が多いのか、 THAADが呼ぶ戦争犠牲者の数の方が多いのかなどについては、 あまり関心がないという点だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-09-20 03:19:26 / Last modified on 2016-09-20 03:19:27 Copyright: Default

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