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企業と政府の殺人

人命を使い捨ての品物だと考えるのか

ホン・ソンマン編集長 2016.07.25 17:19

7月19日午後、現代重工の労働者が高さ25メートルを超える作業場で働いているときに転落し、亡くなった。 労働者は安全網をつかんだが安全網がはがれて結局転落した。 現代重工は人命を使い捨ての品物だと考えているのか、 この安全網は電気線をまとめる時に使う使い捨てのケーブルタイでバルコニーに縛りつけられていたという。 こうしたいいかげんな安全措置のため、現代重工では今年になって8人の労働者が死亡した。 それでもほとんどがこうした死亡事故に対し、現代重工はせいぜい1500万ウォンの罰金を払っただけだ。
2015年7月、安全管理の不備で爆発事故が起き、下請労働者6人が死亡したハナ・ケミカルは市民団体が選定した「2016年最悪の殺人企業」に選ばれた。 しかしハナ・ケミカルの工場長は執行猶予で釈放され、ハナ・ケミカルの会社には罰金1500万ウォンが賦課されただけだ。

毒劇物を使った加湿器殺菌剤で2016年5月までに集計された死亡者数は464人にのぼる。 だが最も多くの死亡者を出したオクシーが問われる責任はとんでもないことに「表示、広告」違反。 この殺人企業に問われる最高の法的責任は「製品虚偽表示」で罰金1億 5千万ウォンを払わせることだけだ。
304人の生命を奪ったセウォル号惨事は金儲けのために乗客の安全を無視し、過剰積載運航をした清海鎮海運にも大きな責任がある。 だがセウォル号惨事で清海鎮海運に問われるのは、あきれたことに「油流出」の責任だ。 清海鎮海運は過失で船舶油を流出した点について、海洋環境管理法違反で罰金1千万ウォンを宣告されたのが全て。 事故の大部分の責任は船を操縦していた非正規職船長と船員が負った。
昨年、初動対処の不十分により中東呼吸器症候群(MERS)感染者186人のうち38人が亡くなった。 サムスンソウル病院だけで90人のMERS患者が新しく発生した。 当時、サムスンソウル病院はMERS感染患者を隔離せずに応急室に入院させ、 追加感染者の宿主役を果たした。 感染患者が爆発的に増加している状況で、きちんと疾病管理本部の疫学調査に応じず、 状況を公開せずに病棟閉鎖措置をしなかった。 これによりサムスンソウル病院は「2016年最悪の市民災害殺人企業」に選ばれた。 だがその後、サムスン病院や関係者がMERS対応問題で処罰されたという話は聞いたことがない。
韓国は企業にとっては天国だが、労働者や消費者にとっては地獄の世の中だ。 「ヘル・朝鮮」という言葉は、言い替えれば企業にとっては「ヘブン・朝鮮」という話だ。 昨年9月に米国で排出ガス操作があらわれた後、フォルクスワーゲン韓国法人のトーマス・クール社長は顧客に手紙を送り 「心から謝罪し、すべての措置を尽くすことを約束する」と言った。 しかしそれから1年間、何の「措置」も取られていない。 米国でフォルクスワーゲンは同じ事故を起こしたが消費者賠償方案を用意して賠償金として150億ドルを払うことに合意した。 こうした差は企業に問う責任の強度が違うから発生する。 働く労働者と製品を使う大衆に対し、企業や政府機関が生命を奪ったり重大な威嚇を与えたとすれば、それにふさわしい責任を問わなければならない。
ここには共に国家の責任もある。 セウォル号惨事には政府の構造的責任があったが、いつのまにか消えて一線警察の問題に置き換えられ、 政府は何の政治的責任も負わなかった。 加湿器殺菌剤事件、MERS事態でも政府は責任を避けられないが、いつのまにかなくなってしまった。 ワーカーズ今回の号で扱う「看病殺人(看病殺人の真犯人は誰だろうか)」のように、不十分な制度と政府の幇助で家族どうしが互いに殺さなければならない悲劇が行われている土地でもある。
英国では2008年から企業殺人法(Corporate Manslaughter and Corporate Homicide Act)を施行している。 この法は企業および政府機関が業務に関するすべての労働者と公衆の安全措置を取らずに死亡事故が発生した場合、企業に犯罪責任を賦課する。 上限のない懲罰的罰金の賦課が可能で、有罪が確定した事業主の名前と企業と機関の犯罪事実を地域または国家の言論などに公表しなければならない。
2016年現在、この法は英国よりも韓国に必要だ。(ワーカーズ20号)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-07-30 19:31:35 / Last modified on 2016-07-30 19:31:36 Copyright: Default

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