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建設労組が死ねば彼らが生きる

下請構造から出る黒い金を建設労組が監視

パク・タソル、ユン・ジヨン記者/写真キム・ヨンウク 2016.07.04 15:49

黒い金は存在しなければならない

なぜ捜査機関は「恐喝」という容疑をかけて建設労組の活動を不法に追い込もうとするのか。 労組は1次公安弾圧の隠された意図を「黒い金」だという。 実際に建設産業は不正の温床と呼ばれる。 多段階下請構造は裏金を容易に作れる環境を提供する。 建設業界の黒い金スキャンダルは大抵のことでは消えない。 全国建設産業労働組合連盟のペク・ソックン委員長は 「建設業界は今まで裏金で生存してきたところ」とし 「労働組合が多段階下請構造などに問題を提起して活動するほど、不正や癒着は難しくなるほかはない」と説明した。

捜査機関も、建設業界に関する黒い金から自由ではない。 2011年、カン・ヒラク元警察庁長官がハンバ(建設現場)のブローカーから1億ウォン台の金品を得たいわゆる「ハンバ不正」事件が起きた。 この事件でカン元庁長は3年6か月間の収監生活をした。 ヤン・ソンチョル元光州警察庁長官もハンバのブローカーからの請託を受けて大企業の役員にロビー活動を行い、有罪が確定した。 元世勲(ウォン・セフン)元国家情報院長も2013年、建設業者から賄賂を取った容疑で拘束された。 1審では懲役2年の実刑を宣告されたが、2審で1年2か月に減刑された。 同年、キム・ハグィ元法務部次官は建設業者から別荘で性接待を受けたという疑惑に苦しみ、就任6日目に辞任した。 だが検察は無嫌疑処分にした。

建設労組のイ・ヨンチョル土木建築分科委員長は 「政府や企業、捜査機関の立場では、建設業界は決して透明になってはならない所」と説明する。 彼は「多段階下請構造で各種のコミッションの上納を受け取り、 日雇い労働者の人員や建設装備費用を操作して工事費から裏金を作り出す」とし 「だが雇用保険により建設人員がわかるようになって、 労組が現場監視活動をしているので労組の存在そのものが危険だと考えるようになった」と強調した。

公共の敵

建設景気の低迷と建設労組の組織拡大も政府と建設業界を緊張させる要素の一つだ。 建設産業研究院が5月に発表した「今後の国内建設景気低下の可能性診断」の資料によれば、 今年の国内の建設受注は前年比で約20%ほど低下する展望だ。 研究院は「国内建設受注の低下傾向は、今年の下半期以後に本格化する展望で、 今後2〜3年間下落傾向が続くだろう」とし 「国内建設受注の急落と今後2〜3年間の下落傾向持続の可能性に備える方案の用意と施行が必要だ」と明らかにした。

建設物量の減少は、そのまま建設労働者たちの雇用難を意味する。 中でもほとんどが日雇い労働者の土木建築分科所属の組合員が直撃弾を受ける。 建設労組の関係者は「いわゆる『ノガダ(土方)』と呼ばれる日雇いの建設労働者たちが雇用を失えばどうなるか」とし 「労働組合に組織されていなければ、ごろつきや下層階級になっていた人々だ。 失うものはなく、闘争も戦闘的だ。 政府と建設業界としては負担になるほかはない」と説明した。

イ・ヨンチョル委員長も「IMFの時は建設労働者たちが一番苦しかった時期だった。 多くの人が路上生活者に転落し、ソウル駅の路上生活者の30%が建設労働者であった」とし 「もしその時に労組に組織されていれば状況が変わっていたのではないか。 現在は労組組織の規模がその当時とは比較にならない」と話した。

確かに建設労組は着実に組織拡大を試みている。 2000年代初期より2万人程増えた。 タワークレーン分科は全国タワークレーン技師の75%(2500人)ほどが労組に組織されている。 これによりタワークレーン分科は2003年から中央交渉を進めている。 型枠大工などの日雇い労働者で構成された土木建築分科も組合員が1万人に達する。 彼らは今年から使用者団体と集団交渉を行い、全国団体協約を作る計画だった。 建設機械分科も1万5千人、電気分科も2千人の組合員が加入している。 全体建設労組組合員は合計3万人ほどと集計される。

組合員の拡大は闘争力強化につながる。 労働界の集会現場で建設労組と公権力が衝突する事例も頻繁になった。 イ・ヨンチョル委員長は「民主労組運動で、時期ごとに闘争に責任を持つ連盟がある。 今は建設労組が闘争の動力としての役割を果たしている」とし 「建設労働者たちの特性は怒っぽくて激しい。 集会現場に行けば指導部も統制できない傾向がある」と説明した。 政府としては邪魔ものにならざるをえない。 建設労組の公安弾圧が始まった時期も昨年11月、民衆総決起集会の直後からだ。

建設景気の低迷と労組組織力の拡大は、建設会社にも大きな負担になる。 労組の賃上げおよび労働条件改善、安全施設拡充などの要求は、そのまま費用の上昇に直結する。 建設労組のチョン・ジェヒ教宣室長は 「どの会社を行っても建設労組の組合員を雇用すれば費用がかかるという」とし 「建設会社としては、工事費が上昇するから労組を弾圧する」と説明した。

恐喝脅迫犯になる方法

捜査当局は建設労組への標的捜査議論を否定している。 建設業界の不正腐敗を捜査しているだけで、労組活動そのものに焦点を合わせているわけではないという主張だ。 警察庁の関係者は「労組弾圧という主張は受け入れにくい」とし 「労組活動は別として、特殊な利害関係によって正常な意思決定自体が歪曲されることが多い。 合法的な集会は法で保障されるが、理由もなくタワークレーンに上がったりすれば損失が発生する」と話した。 続いて「私たちの大きな主眼点は、建設業界の癒着と不正だ。 (労組に関することは)さまざまな項目の一つで、理念論争と見ないでほしい」と付け加えた。

だが労組は捜査当局が日常的な労組活動まで不法だとして労組を標的捜査していると主張している。 実際、政府は建設労組の組合員採用の要求と労組専従費、団体交渉での圧迫、集会、産業安全保健法違反などの告訴告発行為など、 日常的な労組活動をすべて問題にしている。

そのうち組合員採用の要求の部分は、今回初めて公安弾圧の口実になった。 だが組合員の採用の要求は、建設現場の特性上必然的な部分であり、不法行為と見なすのは難しい。 大法院は一時的な失業状態や求職中の人も労組法上の労働者だと認めている。 建設労組は超企業労組であり、同時に日雇い労働者たちが多数加入している。 民主労総のクォン・ドゥソプ法律院長は 「雇用期間が短い建設現場の特性上、労組が求職状態の組合員のために使用者に交渉を要求し、協約を締結することは自然な労組活動」とし 「政府は現場での労組活動を理由として組合員が採用から排除される問題は全く考慮していない」と指摘した。

専任費(タイムオフ)の場合、日雇い労働者に対する法的制度的な規定が存在せず、 労使が自主的に合意してきた部分だ。 団体交渉上の圧迫や告訴告発の場合も労使が共通に活用してきた圧迫カードだ。 むしろ労使関係において会社が損賠仮差押えや解雇、懲戒などで労組を攻撃する事例は珍しくない。 クォン・ドゥソプ院長は「団体交渉は労使が胸ぐらを捉まないだけで、互いの弱い部分を脅迫して譲歩を引き出す過程」だとし 「判検事が団体交渉そのものについて考え違いをしているようだ」と説明した。

7月6日、建設労組全面スト

法の判断は、労働者にとっていつも不公平だ。 産業安全保健法違反で現場を告訴告発したタワークレーン労働者たちは、恐喝・脅迫で実刑を宣告され、 各種の人命事故を起こした建設現場は罰金や無罪で犯罪がもみ消される。 建設労組によれば、2009年から2013年までの5年間で2万380件の産業安全保健法違反事件のうち、 検察が無嫌疑処分にしたり略式起訴をした事件は96.9%にのぼる。

このような不平等を隠すために政府は建設労働者たちに「恐喝脅迫犯」というイメージをかぶせる。 キム・ホジュン事務局長は「建設労働者たちがかわいそうな人々だという社会全般の認識がある。 彼らが労組を組織すること自体に文句をつけるのは難しい雰囲気」とし 「貴族労組だからと言って捕まえるわけにはいかないので、 極端なイメージを注入する方式で弾圧するのだろう」と説明した。

法制定の要求もまたいつも遮られる。 建設現場に事故が起きれば政府と国会は建設労働者福祉法案を注ぎ出すが、 法案通過までは遠い。 19代の国会で発議された建設機械労働者退職控除掛け金などの民生法案も後退する兆しだ。

建設労組は7月6日に全面ストライキに突入する。 彼らは △建設勤労者雇用改善など関する法律改正、 △適正賃金制導入、 △直接施工全面導入など、18項目の建設現場民生関連対政府要求を掲げた。 建設労組の全面ストライキは2014年以来2年ぶりだ。 公安弾圧の直撃を受けている建設労組タワークレーン分科も1日からストライキに突入している。 無期限全面ストライキを宣言した約2700人のタワークレーン労働者たちは6日、 ソウルで開かれる建設労組ストライキ集会に合流する予定だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-07-16 01:59:12 / Last modified on 2016-07-16 01:59:14 Copyright: Default

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