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建設労組を平然と恐喝

パク・タソル、ユン・ジヨン記者/写真ジョンウン記者 2016.07.04 15:45

10年ぶりの公安弾圧だ。 政府が正照準したのは今回も建設労組だ。 2003年から2006年まで続いた1次建設労組公安弾圧。 そして今年2016年の2次公安弾圧まで。 歳月は流れたが様相は似ている。 労働組合活動自体を問題にしているということ。 そして建設労組の活動自体を暴力集団と似たような形に追い込んでいるということ。 10年前も今も、建設労組を捜査網に引き込むキーワードは同じだ。 『恐喝』と『脅迫』。 労組は容疑を否認しているが、拘束と手配は続く。 果たして労組と捜査機関のうち、「恐喝」するのは誰だろうか。

▲ジョンウン記者

公安弾圧の開始

2003年秋。 警察は大田と天安、京畿西部地域建設労組を相手に大々的な捜査に着手した。 元請社と団体協約を締結する過程で脅迫があったかどうかを把握するということだった。 元請の管理者らと労組幹部らが続々と警察に召喚されて調査を受けた。 大田地域建設労組幹部6人が全員拘束され、天安地域でも幹部2人が拘束された。 京畿西部地域建設労組では幹部12人が拘束され、労組が明洞聖堂で298日間座り込みをした。 検察と警察は労組が元請社を脅迫し、金品を恐喝したと主張した。 正確に言えば「建設現場で労組が産業安全の不備を告発すると脅迫して、 元請の管理者らがおじけづいて金品を払った」という主張だった。 労組幹部に適用された罪目は恐喝罪だった。

検警の主張は建設労組に恐喝脅迫組織というイメージをかぶせるには充分だった。 だが彼らの主張には相当な歪曲があった。 現場の産業安全問題を告発するのは労働組合の基本的な役割だった。 そして元請管理者が払ったという「金品」は、専任費(労組専従者賃金)であった。 どちらも労働組合活動の一部分だった。 ではその2種類の事件を不法にするほどの「脅迫」は存在したのだろうか。

当時、民主社会のための弁護士の会と人権運動サランバンなど7つの法律、人権、労働団体は「地域建設労組公安弾圧真相調査団」を作り、 労組と元請、警察と検察などに真相調査活動を繰り広げた。 警察捜査が行われた現場8か所の元請管理者証言と労組、および検警の証言を収集した。 真相調査報告書によれば、調査に応じた元請管理者のうち、脅迫されたと証言した人はいなかった。 すべて「労組から脅迫を受けた事実がない」と話し、 「脅迫されて言いなりになる会社ではない」、 「本社の承認を得て団体協約を締結した」、 「本社の法規チームで団体協約をめぐって検討して、 専任費を払うべきだと決定した」といった証言が出てきた。 その上、「すでにシナリオがみな組まれていたし、恐喝脅迫および金品恐喝という結論で(捜査を)引っ張っていった」という証言まで出てきた。

公安弾圧の過程

ではなぜ捜査機関は京畿西部と大田、天安地域を狙ったのだろうか。 京畿中西部建設支部のキム・ホジュン事務局長は 「建設現場では全国で初めて団体協約が締結されたのがまさに京畿西部地域」と話した。 彼の言葉のように2000年以後、京畿西部を始め、首都圏地域と大田、光州、釜山まで同じ内容の団体協約が締結され始めた。

建設労組のイ・ヨンチョル土木建築分科委員長は 「1988年にソウル日雇い建設労組が創立した後、2000年までは賃金や労働条件よりも雇用問題が重要だった」とし 「労組活動が求職に合わされたので、小規模な人脈を中心に動くようになり、組織化がうまくいかなかった」と説明した。

建設労組が本格的な組織化事業に飛び込んだのは2000年だ。 当時、国際建設木工労連(BWI)が韓国建設労組に組織化事業を支援し始めた。 キム・ホジュン事務局長は「BWIは、金属、公共、建設という3大労組のうち、韓国では建設が一番弱いと考えたのだろう。 戦闘力はあるが組織化されていない状況だったから」とし 「成長過程にある労組なので、BWIが組織活動家を派遣して本格的な組織化が進められた」と説明した。 その後、建設労組は「求職」の範囲を越え、法と制度遵守のための活動を繰り広げた。 その過程で組合員たちが広く組織された。

労組が法の制度遵守闘争をするためには、元請との団体協約が何よりも重要だった。 勤労基準法、産業安全法、労災補償保険法、建設勤労者の雇用改善などに関する法律などの各種の労働関係法は、建設元請業者の使用者責任を認めている。 多段階下請け建設現場では、建設労働者の未払い賃金と産業災害補償、雇用保険、退職控除などに責任がある使用者は、元請業者であった。 これにより、労組は元請と団体協約を締結し始めたが、検察はこれを不法だと主張した。 日用労働者と直接勤労契約を締結しない元請に対する団体交渉は法的根拠がなく、脅迫があったと断定した。

建設労組の公安弾圧はその後、2006年まで続いた。 忠南建設労組の下請業者組合員が不当解雇闘争をした後、解雇手当てを支払われたことにも金品恐喝と恐喝罪が適用された。 検察が労組の産業安全告発事件を無嫌疑処理して、逆に労組を誣告罪で処罰する事例もあった。 大邱慶北建設労組のストライキの時も、指導部に金品恐喝と恐喝罪の容疑をかけた。 翌年、裁判所はストライキ指導部に対して 「元請団体協約締結と専任費支払い要求は正当」として無罪判決をした。 2003年から3年間、公安弾圧で拘束された建設労組幹部は28人にのぼる。

2016年の公安弾圧

10年ぶりに戻ってきた建設労組公安弾圧のキーワードも「恐喝」だ。 昨年11月、司法府は建設労組タワークレーン分科幹部5人を恐喝脅迫容疑で拘束した。 今年の6月2日に開かれた1審宣告で、ソウル南部地方裁判所は彼ら5人を含む合計15人の労組幹部全員に有罪を宣告した。 建設労組のチョン・ミノ副委員長とソギョン・タワー支部のキム・ミョンウク支部長はそれぞれ懲役3年と2年の実刑を、それ以外の13人は執行猶予宣告を受けた。

検察と警察、裁判所は労組の「組合員採用要求」を正当な組合活動とはいえず、会社の経営権を侵害すると主張した。 合法的な集会を開いて団体交渉を拒否する会社を圧迫したこと、 そして現場の産業安全保健法違反の事実を告発する労組活動も不法だと主張した。 労組の一連の活動は、使用者を怖がらせる行為であり、使用者意思の自由を侵害したということだった。

今年の5月には警察庁が「建設現場不法行為特別摘発期間」を宣言した。 警察庁は組合員の雇用の要求と建設現場の集会やデモ、使用者側の利権に介入する行為などを無理な集団不法行為だと規定した。 全国の官署ごとに284の不正腐敗捜査専門担当チームを作り、 1316人の人員を編成して特別摘発をすると明らかにした。 これと共にソウルと京畿の建設現場に対する内偵も進めた。 労組はその後、建設労組全体をターゲットにする広範囲な公安弾圧が続くと予想している。 建設労組のチョン・ジェヒ教宣室長は「京畿道始興警察署名の文書によれば、警察はタワークレーンだけでなく、土木建築部門の賃金団体協議の問題も捜査の対象として構成していた」とし 「建設機械側も調査するという動きが把握された状況で、 タワークレーンと土木建築、建設機械など建設労組全般で弾圧が続くだろう」と説明した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-07-16 01:58:18 / Last modified on 2016-07-16 01:58:20 Copyright: Default

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