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3万のノガダはなぜ公安の標的になったか

建設労組公安弾圧、「恐喝脅迫犯」作り

パク・タソル、ユン・ジヨン記者/写真キム・ヨンウク 2016.07.04 15:35

2006年、形大工最初のストライキ、公安は不安だった

2006年6月1日、大邱慶北地域の型枠大工約2000人がゼネストに突入した。 大邱のポンニ児童公園を拠点にしてテントを張った。 ストライキ参加人員は地区別に分散し、現場を封鎖した。 朝になると現場に駆けつけ、代替要員が入るのを防いだ。 当時のストライキに参加したチェ某氏がそのストライキを思い出しながら話した。 「ノガダ(土方)がストライキをすること自体が、現実的にアピールできませんでした。 それで私達を無視して作業する現場がありました。 そんな連絡を受ければ2000人が集まって〈罷業歌〉を歌い、放送をして、工事ができないように防ぎました」。

ゼネストの勢いは日ましに大きくなった。 大邱慶北地域の建設現場がほとんど止まった。 元請の所長もストライキが終わるまで現場を止めると約束した。 労組が人員を出していたので協力が可能だった。 一日一日がお金の建設会社は地団駄を踏んだ。 警察はゼネストに神経を尖らせた。 建設会社側に建設労働者が押しかければ警察に通報しろと要請までしておいた。 彼らは建設労働者たちを締めつける方法を誰よりもよく知っていた。

チェ氏は今も警察ならば歯ぎしりするという。 6月12日、チェ氏をはじめとするストライキ参加者は、公安弾圧中止を要求して寿城警察署の前で集会を開いた。 10日夜、大邱地域の労組前幹部2人に対する事前拘束令状の発布と家宅連行が発端になった。 建設会社に対し恐喝脅迫、金品恐喝をしたという容疑ですでに9か月前に調査が終わった事案だった。 突然再捜査するというのは明白な公安弾圧の兆しであった。 前日には建設労組事務室の押収捜索もあったことで集会の雰囲気は熱かった。 寿城警察署に2000人が集まった。 彼らが乗ってきた車両は片道5車線の道路を埋めた。 警察と労組は対峙した。 一番前の警察が消火器を噴射して衝突が始まった。 突然侮辱された労組員たちは興奮して警察と衝突した。 警察はこん棒と盾で、労組員は周辺の工事現場から鉄パイプを持ってきて戦った。 「警察はいやらしくもカメラに写らない足の甲を攻撃しました。 150センチ程度の、小さい人の背たけほどもある盾で上から下に叩きつけました。 足の甲から血が吹き出し、組合員たちも怒りました。」

労働者たちの怒りは寿城警察署に向かった。 彼らは扉を閉じ、数人は警察署に集まって鉄シャッターの間に鉄パイプを刺しこんだ。 民願室のガラス窓が割れて修羅場になった。 この過程で警察は指導部をはじめ7人に拘束令状を請求した。 その日から100数か所での現場集会が禁止された。

弾圧が強まり、指導部は停滞した。 このすきを利用して、交渉していた専門建設会社も腹を切れというような提案を出してきた。 高空座り込みと交差路占拠、現場封鎖、キャンドル文化祭などが続いた。 ストライキが長びき、専門建設会社の不渡り説が流れた。 緊張した大邱市は本格的な仲裁に乗り出し、専門企業との交渉も一層積極的に変わった。 32日間のストライキの末に労組は使用者性を全面的に否定していた元請と専門業者を相手に団体協約と賃金協約を締結することができた。 8時間労働を貫徹して未払い賃金の原因になった留保賃金制度もなくした。

暮らすためのストライキ

型枠大工はコンクリートを注ぐ型枠を作ったり組み立てる人々だ。 ユロフォームという型枠が生産され、木で直接枠組みをする必要はなくなったが、フォームを扱う技術が必要な作業だ。 当時、型枠大工は殺人的な労働強度に苦しんでいた。 「標準歩掛(公共機関発注工事費の政府公示価格)」という本には、建設労働者の標準作業量、日当などが記されている。 だが実際の現場では、国家が決めた基準値を何倍も上回る殺人的な労働をした。

常時的な未払い危険も彼らを苦しめた。 賃金条件を改善するためには使用者と交渉をしなければならなかった。 だが請負と再下請からなる多段階構造で、本当の社長を探して交渉するのは不可能だった。 当時、契約では賃金を払う什長(オヤジ、チーム長)が社長だった。 だが彼らも専門建設会社から仕事を受ける人だった。 そして専門建設会社は元請会社から工事を取ってくる。 元請から日雇い労働者まで、普通5〜6段階の多段階下請けになった。 現場労働者たちは賃金が未払いになれば、什長を探して問い詰めたが、彼らには実質的な資金力がなかった。 専門建設業者が不渡りでも出せば、その責任を問うのは難しかった。 賃金を横取りして高飛びした什長もよくあった。 さまざまな問題が発生したが、専門建設業者は什長と「施工参加契約書」を締結してすべての責任から抜け出した。 賃金、食費、勤労所得税、退職金、時間外手当て、健康保険、国民年金、雇用保険など、 使用者が負担すべきあらゆる費用を一介の責任者役をする什長に転嫁した。

多段階下請構造は、費用削減のための方便だった。 費用削減に全神経を遣うので、安全も保障されない。 一日に建設労働者が2人ずつ死ぬという統計はなかなか変わらない。 賃金はIMF以後むしろ減った。 アパート価格が天上知らずに湧き上がる時期だったが、建設労働者の賃金はどんどん落ちてどん底に落ちた。 ある型枠大工の妻は、ストライキの前まで夫の仕事はおばけのようだと考えた。 「物価は天まで上がるのに、夫の賃金はいつも足踏みでした。 アパート1坪当たりの価格は何百倍にも上がっるのに、なぜ夫の月給はそのままなのか、 そのおばけのような事がまったく分かりません」。 不満が積もった渦中で、2004年に鉄筋工のストライキを目撃した。 型枠大工も建設現場の慢性的な問題を解決するためにストライキが必要だと考えた。

暮らすためのストライキだった。 彼らは賃上げ、労働時間短縮、不法多段階下請け撤廃、施工参加者制度廃止を要求してストライキを繰り広げた。 だが政府は彼らを恐喝脅迫犯だと言った。 ストライキ期間中、32人もの組合員が拘束された。 検察は労組指導部に金品恐喝と恐喝罪を適用した。 物品損壊と業務妨害、不法集会などの容疑も追加された。 委員長は懲役3年を宣告された。 「人間らしく生きようと叫び、ずいぶん殴られました。 先に犯罪を挑発したのは警察でしたが」。 検警の措置は2003年から始まった建設労組公安弾圧と相対していた。 翌年、裁判所は労組指導部の恐喝罪容疑に無罪を宣告した。 だが歴史は繰り返された。 2016年、検警はまた建設労働者たちの生存権闘争に「恐喝罪}という容疑をかけた。 別名「ノガダ(土方)」と呼ばれる彼らは、また「恐喝脅迫犯」として公安の標的になった。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-07-16 01:55:23 / Last modified on 2016-07-16 01:55:24 Copyright: Default

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