本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:ミレニアル世代、新自由主義時代に生まれた青年
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 001306
Status: published
View


ミレニアル世代、新自由主義時代に生まれた青年

世界青年の哭声、彼らはどこに

整理キム・ハンジュ記者 2016.06.09 18:48

司会
チョン・ウニ記者

パネル
ナヨン: 地球地域行動ネットワーク事務局長、
パク・チョンフン: アルバ労組委員長、
イ・ユチョル: 英国ブリストル大学国際政治学博士課程、
チェ・チョルゥン: 《文化科学》編集委員、自由人文キャンプ、
ハン・ヒョンシク: セミナーネットワーク セウム

「ミレニアル世代、新自由主義以後に生まれた人々」

世界経済危機の中で青年は両極化している。 世界の青年は、反資本主義運動を行ったり、さらに強い新自由主義を叫んだりもする。 反資本主義を叫ぶ青年たちは、米国のウォール街占領運動(オキュパイ・ウォールストリート)、 スペインの怒れる人々(インディグナドス)、 ギリシャのシンタクマ広場デモ、 フランスの徹夜デモなどでもうひとつの社会を作ろうとした。 しかし、極右の流れに乗った青年は、米国のドナルド・トランプの浮上に熱狂している。 また、反イスラム主義のドイツのペギーダ(PEGIDA)デモが続く一方、 フランスの極右国民戦線(FN)も青年の高い支持を受けている。 「ワーカーズ」はこれについて、活動家や研究者と世界の青年運動について話した。

世界経済危機以後多様なデモが現れた。 ヨーロッパの各地で緊縮反対運動が起きたが、右派的な傾向も現れている。 この10年の経済危機の中で、現在の運動様相が形成されてきた。 さまざまな主体がデモに加担しているが、 特にデモを主導する青年主体は世界でどのような政治的な意味合いを持つのかについて意見を交わしてほしい。

パク・チョンフン: 世界経済危機と青年たちの抵抗は、アルバ労組の結成と直接関連する。 私は米国でウォール街占領デモが起きた時、韓国でこれを行おうとしたが失敗した。 このデモの原因は、新自由主義と経済危機、低成長によるものだ。 家から追い出された人がウォール街占領デモの主体になった。 また、彼らは現在の最低賃金15ドル運動の主体になった。 韓国ではこれを「アルバイト」と考えていた。 アルバイトのような雇用形態は、世界的な現象に拡大する可能性も高い。

ハン・ヒョンシク: 青年という概念はとても曖昧だ。 青年は生物学的な規定ではなく、社会的な規定だ。 新自由主義以後に生まれた人を今、社会でいう青年と見る。 インドの場合、「改革後世代」を青年と見る。 彼らは1991年以後に生まれた。 韓国は1997年の金融危機後に新自由主義へと全面転換されたように、インドは1991年に新自由主義転換がなされた。 この時期にインドで2億人程度が生まれた。 2014年に執権したインドの国民党(BJP)は、政治的にはヒンドゥ・ファシスト、 経済的には新自由主義の極右政党だ。 この党の主な支持層が「改革後世代」だ。 新自由主義が提示する経済的な幻想を、インドでは「新しいインディア」という。 これに期待する青年は多い。

中国では、1990年代以後に青年が中産層へと大挙して進入した。 そのため中国は青年を最も高い消費指向を持つ世代と見る。 中国の「パリンホウ(80後、1980年代以後出生世代)」、 「チュリンホウ(90後、1990年代以後出生者)」も、 マーケティングの観点から区分したものだ。 中国の社会経済的な状況を考慮すれば、青年を抵抗の主体と見るのは無理がある。 したがって、青年を単に抵抗の主体として一般化するのは危険だ。 青年は具体的な社会経済的な条件の中で、抵抗の主体になる。 一方では、中国、インドと東南アジアの青年人口は5億人ほどの規模になるが、周辺部の国家に関心を持たないのも問題だ。

チェ・チョルゥン: 2000年の後半から青年運動という話ができたが、学生運動が没落して運動主体が自分自身を正体化できない時、 右派が「〜世代」、「〜青年世代」という言葉に青年を閉じこめた。 最近の韓国で、青年運動は2009年の半額登録金、2013年の「ごきげんいかが」運動があった。 その後、4〜5年間、青年運動は小康状態だ。 今、抵抗の主体としての青年の組織的運動は弱まった。 むしろ住居、アルバイトなどの個別的な問題に言及し、社会政策的に青年を扱っている。 ソウル市の青年ハブを見てもそうだ。 韓国では意味ある運動や論理がない状態で、鼓舞された青年という記号が浮遊している。 単に「青年が苦しい」と叙事化する水準だ。 道徳的な空間から抜け出せずにいる。

イ・ユチョル: 青年の二極化が激しくなっているという点を指摘しなければならない。 新自由主義に反対する青年もいるが、英国の独立党(UKIP)をはじめとして「英国優先(Britain-First)」のような団体は、 宗教から脱世俗化傾向を帯びた反イスラム主義であり、極右的指向を示す。 英国のムスリムは、北部では差別が激しく、南部では高いので、結局、中南部のレスター、バーミンガムで暮らしているが、 英国の青年連合などの極右派が、ここで「ムスリム、黒人、モンキー(アジア人)は出て行け」と叫んでいる。

経済危機以後に浮上した政治勢力は?

経済危機以後に浮上した政治勢力についての評価や、新しいメッセージはあるか?

イ・ユチョル: 現在、英国の支配階級の最大の悩みは、ヨーロッパの財政危機状況を変革することだ。 汎大西洋貿易投資パートナー協定(TTIP)、北米、ヨーロッパ間自由貿易協定が一番強い突破口だ。 これによる構造調整が起きている。 2013年から2014年に起きた「ゼロアワー契約(zero-hour contract、決まった労働時間なしで、使用者の要請があれば働いて時給を受ける労働契約)」、 英国医療保障制度(NHS)改革も、青年が敏感に反応するかもしれないものだったが、 むしろ効率的だとして歓迎する雰囲気だ。 医療の過程が速くなったと英国の人は満足している。 だが速くなっただけに、NHSのジュニアドクター(修習医)の労働時間と強度が高まったことも事実だ。

一方で、英国では新自由主義に迎合した旧労働党に、ジェレミー・コービンが登場した。 これは新鮮な衝撃だった。 エド・ミリバンド前労働党党首はオックスフォード大の出身だ。 彼は英国の社会基準では普通の人ではない。 基層から共感を受けられないのだ。 この状況で、「普通の人」のコービンが登場した。 コービンは韓国について、遠回しに言えば弘大のようなヒッピー族が多いイズリントンの出身だ。 コービンは平凡な人々の人生を理解してくれると期待された。 だが限界は明らかなように見える。 代表的に英国のEU脱退を問う国民投票に関して、コービンは既存の労働党のパラダイムから抜け出せずにいる。 コービンも民族主義を巧妙に使う。 英国政治の特徴は、ヨーロッパ中心主義(ユーロセントリズム)、選民思想が存在するが、 コービンもEU残留を支持して根深いヨーロッパの選民思想を刺激している。 私はむしろ英国社会主義政党連合の「労働組合と社会主義連盟(TUSC)」に注目するが、 彼らは今回の地方選挙で善戦して視線を引き付けた。

パク・チョンフン: 今回、米国の全米サービス労働組合(SEIU)総会に行ってきたが、SEIUは実用主義路線で組織化に努め、最近の政治的社会運動をすることを決定した。 だが個人的に見れば、ヒラリー支持のための名分作りではないかと考える。 彼らはトランプに対する恐れがとても強い。 そして人種問題、性少数者、女性、気候変化などの運動に努めている。 ヒラリーもSEIU総会にきていた。 労組の内部ではヒラリーを支持しなければ労組内で分裂が起きかねないという憂慮がある。 一方で、労組には白人中心の文化も見られる。 女性問題には開放的で白人女性委員長はいいが、黒人委員長はだめだという認識がある。 もちろん、労組の幹部は多様な人種でもある。 だが現場出身のリーダーのほとんどは黒人で、労組内部のオルグは白人だ。

ナヨン: 中国ではこの10数年間、多くの民間組織が自生的にできた。 しかし支援の経路がふさがっているので海外の支援に依存してきた。 この過程で生まれた旧体制に批判的な新しい運動が、米国と中国間の競争の構図の中で犠牲になるという問題も見られる。 基本的に、中国内のフェミニズム運動の流れは、社会主義女性の観点から抜け出し、 海外からの支援を受けつつ、これを中国内の議題に引いてくる。 しかし昨年、中国政府がフェミニストを拘禁して弾圧して問題になり、米国はこれを利用した。 代表的にはヒラリーが釈放しろと中国の女性の人権問題を批判した。

一方で、メキシコでは新自由主義の議題はすでに過去のものだ。 今は先住民、フェミニズム運動などの他の議題に集中している。 もちろん大学生43人の失踪事件など、新自由主義の影響で派生した問題と抵抗は続いている。

「指導者はいなくてもオルグはいる」

ウォール街占領デモ、インディグナドス運動などの最近の運動方式は、過去とは違う。 彼らは「指導者がいない運動」と呼ばれるようになって、パブリックスペースを占拠して総会などの討論の中で運動を展開している。 SNSによる運動の拡散なども視線を集めている。 これをどう見ているか。

ナヨン: SNSの影響力が強い。 中国も2013年から微博(ウェイボー)などのSNSを通じて運動を引き出している。 青年活動家は従来の組織と運動の資源を活用できないため、SNS等を通じて広報する面もある。 ツイッターを利用したウォール街占領デモも同じだ。 また、すばやくアクションを進行することができ、意見を一気に共有するという点で、 SNSが社会運動に及ぼす影響がある。

ハン・ヒョンシク: 指導者がいない運動は米国では古くからある。 この運動が新しいという評価は驚きだ。 すでに社会の主流集団は青年を消費者と規定して、この活動を消費に代入し、規定してきた。 SNS活動もSNSマーケティングを変形して活用したものだ。 2010年のアラブの春も、指導者がいないデモの様相があったが、組織的な介入もあった。 SNSタグ戦術は、東欧圏の色革命で出てきた。 オープンソサエティーファウンデーション(OSF)が教育した数千人の活動家が作り出した戦術だ。

進歩陣営の一部が新しいと言うものは、すでに右派で使われた古い方式であることが多い。 代表的な事例が「社会的経済」だ。 北米やヨーロッパなどの先進国で、進歩的、社会変革的指向を持つ人は、むしろ特定の対象に対する忠誠度が高いという研究結果がある。 進歩陣営もマーケティングに抱き込まれる。 世界で発生している青年運動に意味がないというのではなく、さらなる社会構造的な考察が必要だと見る。

右派の伝統的な啓蒙方式にも注目しなければならない。 現在、インドはヒンドゥ民族主義と新自由主義がとても奇妙に一致するという矛盾した状況だ。 インドは若者を経済的に誘引してヒンドゥ・イデオロギーを前面に出す。 これは古い方式だが、強い力を持っている。

青年運動と運動社会

ナヨン: 右派の古い戦術に影響力があることは認める。 左派のSNS活動は、過去の方式に対する不信から出てきた。 だが私たちが悩むべき点は、なぜ私たちが既存の運動に不信を持ち、今この位置にいるのかについてだ。

チェ・チョルゥン: 世界の青年運動を見れば、新しい要求と方式を望んでいるようだ。 また、アナーキズムの傾向性を見せている。 こうした新しい運動方式と、これに対する多様な声がSNSを通じて可能になった。 既存の左派がこうした流れを把握できず、間違って接近すれば大失敗するだろう。 キャンドル・デモの時もそのような面があった。 韓国での2009年の半額登録金闘争、2013年の「ごきげんいかが」の他に意味のある青年運動はなかった。 今はソウル市の青年ハブなど、青年の個別の問題に合わせた政策と事業があるだけだ。 青年運動が小康状態に陥ったのも、既存の左派と運動圏に対するイデオロギー的な反感があるのではないかと考える。

韓国では既存の体制に対する抵抗は、伝統的に学生運動と労組運動を通じて再生産された。 しかし韓国の学生運動は、大学の私有化や非正規職の拡大、競争の深化などの新自由主義と共に弱まった。 労組の組織率も下がっている。 この状況で、青年の広場占拠デモが新しく抵抗を再生産する空間として注目されていないのではないかと思う。 実際に世界経済危機以後、あちこちでこうした様式が作られたのではないかと思う。

チェ・チョルゥン: 韓国は、また大学をターゲットとした学生運動が出てくるべきだと見る。 新自由主義は構造調整と低成長体制を維持するメカニズムで、教育に責任を転嫁している。 就職できない理由として大学をあげ、専攻不一致を問題にすることが例だ。 現在の青年運動の問題は、既存の学生運動資源を通じて組織されず、感受性だけを要求している。

パク・チョンフン: 現在の青年運動は、SNSをはじめとするすべての資源を動員している。 なぜなら既存の組織の資源を活用できないからだ。 新しい運動の誕生は、弱まった既存の運動の反作用でもある。 全米サービス労組も既存の労働運動の方式と合わなかったため、米国労総から脱退した。

ナヨン: 新しい青年運動は、既存の運動組織の既得権に押されて話すことができなかった。 それでSNSで声をあげ始めた。 先に動いた右派が打ち出す民族主義的な欲求を左派も利用する。 オバマの戦略も、米国選民思想を扇動する方式だ。 中国をはじめとするアジアにも、西欧の議題がたくさん入ってくるが、 自国の弾圧の中で新しい議題をいかに導いていくのかについての議論が必要だ。(ワーカーズ13号)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2016-06-14 16:46:22 / Last modified on 2016-06-14 16:55:25 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について