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良質の時間選択制雇用? 騙されるな、詐欺だ

10大グループは雇用不安、中小企業は低賃金

パク・タソル、ユン・ジヨン記者/写真ジョンウン 2016.06.03 19:05

2013年11月26日。 三成洞コエックス展示館で開かれた「時間選択制雇用採用博覧会」。 午前10時から8時間開かれたこの日の博覧会には、何と約3万人の求職者が駆けつけた。 就職難に苦しむ人々、経歴が断絶した女性にとってはホットな問題だった。 政府と言論は言った。単にアルバイトではなく、正規職と同じ福祉恩恵を享受するようになるだろうと。 特にこの日の博覧会には韓国10大グループが最先鋒に立った。 10大グループ82社が何と1万の時間選択制雇用を作るといった。 短時間労働といっても、正規職と同じ恩恵を享受する大企業の安定した雇用。 誰が見ても魅力的な雇用だった。

10大グループの不安な「時間選択制」

それから2年。 大韓民国10大グループが採用した時間選択制雇用は、どんな姿をしているのだろうか。 雇用形態公示制を分析し、サムスンと現代車、ロッテ、新世界、CJ、韓進、LG、韓貨、GS、SKの 10大グループの時間選択制(短時間勤労)雇用現況を調べた。

2014年上半期までに6千の時間選択制雇用を作ると表明したサムスングループ。 2015年3月末基準、サムスングループに採用された短時間労働者は合計3647人。 だが、このうち政府が話した「無期契約雇用」はきわめて少なかった。 36社のうち3社だけに無期契約職時間選択制雇用が存在した。 全ての短時間労働者のうち無期契約職はせいぜい4.3%(159人)。 95%を超えるほとんどの時間制雇用は、不安定な期間制雇用であった。

現代車グループも状況は違わない。 現代車グループは2014年、合計1千の時間選択制雇用を作ると明らかにした。 2015年3月末基準、現代車グループの短時間労働者は519人。 このうち無期契約職労働者は89人(17.1%)で、期間制労働者は430人(82.8%)だった。

現代車グループ系列会社のうち、時間選択制労働者を一番多く採用したのは現代自動車であった。 2015年基準、短時間労働者は合計270人。 このうち期間の定めがない無期契約職労働者はたった一人もいなかった。 起亜自動車も合計65人の短時間労働者のうち無期契約職はいなかった。

ハンファ・グループに所属する合計445人の短時間労働者のうち、期間制労働者は83.8%(373人)だった。 ロッテグループの中でアルバイトが多いロッテリアを除く系列会社の時間制雇用は2855個。 このうち71.1%(2、032人)が期間制雇用だった。 その上、韓進グループの系列会社と関係法人に採用された750人の短時間労働者のうち、 非正規職期間制労働者の割合は98.66%(740人)にのぼる。 雇用労働部によれば、2年以上雇用が維持された時間選択制労働者の割合は38.9%ほどだ。

もちろん無期契約の形態の時間選択制雇用を大量に生産した企業もある。 新世界グループはスターバックスコリア(5643人)とイーマート(896人)で、 CJグループはフードビル(9332人)で集中的に無期契約職時間選択制の雇用を作った。 すべてサービス業種だ。 不安定労働撤廃連帯のオム・ジンニョン事務局長は 「当初、労働力そのものが安定しない低賃金雇用で、長期的な雇用に対する負担がない職種」だとし 「すでにアルバイトのような短時間労働が行われている所は、時間選択制が新しいものではない」と説明した。

政府と企業が正規職ではなく無期契約職の雇用を量産しているのも問題だ。 民主労総のウ・ムンスク未組織非正規局長は 「無期契約職は最低賃金水準の低賃金、昇進の機会や労働基本権も保証されない低質の雇用がほとんど」とし 「雇用安定でも『期間の定めがない』というだけで、経営方針によって使用主が勝手に解雇でき、『雇用が保障される』こととは大きな差がある。 民主労総では無期契約職も非正規職に分類している」と説明した。

中小企業は労働部が支援金を注ぎ込んでも「低賃金雇用」

政府が労働時間短縮、仕事と家庭の両立、雇用創出などの名目で進めた民間企業時間選択制雇用。 2年経った今、大企業の時間選択制労働者は再び雇用不安と向き合わなければならない。 雇用労働部もこれを認めるところだ。 雇用労働部の関係者は「大企業は主に期間制を選んだ」とし 「政府ではこれについて、契約期間が満了すれば正規職に転換することを誘導しているが、強制する事項ではない」と説明した。 続いて「政府が時間選択制雇用政策を始める前も後も、大企業が期間制を採用するのは同じ」と付け加えた。

雇用労働部は時間選択制を民間に導入した後、時間選択制の成功事例を大々的に広報した。 政府の話のように「仕事と家庭の両立、漸進的な退職準備などのために勤労形態を選択することができ、 最低賃金など基本的な勤労条件と賃金と福利厚生などが全日制勤労者と差別なく保障される雇用」は存在するのだろうか。

雇用労働部側に「成功事例事業場」を紹介してくれと要請した。 労働部から紹介された自動車部品業者A社。 ここは職員128人のうち48人が無期契約職時間選択制労働者だ。 政府から支援金も受けている。 雇用労働部は無期契約職と最低賃金130%以上を支払う時間選択制雇用創出企業に人件費の50%を1年間支援している。

ここで働くハン・ヨンヘ(仮名)氏は一日6時間、週5日勤務をしている。 勤労条件を聞いてみた。 時給7260ウォンを受け取るという。 「最低賃金が6千いくらでしょう。 この金額に賞与金の概念で少し加えて、今の時給になったのです。 短く働いているので、既にいる人たちにとっては良くないかもしれないが、 お母さんたち中心にとても配慮してくれる部分を福祉だと考えています。」

時給7260ウォン、税金を引けば1か月の月給は100万ウォンにならないという。 だが政府の支援金を受けるには最低賃金の130%(7839ウォン)以上を受け取らなければならない。 会社側の関係者に「時給7260ウォンで正しいか」と再度確認した。 彼はその通りだといった。 その上、「時間選択制勤労者の賃金は派遣、日雇い勤労者より20%ほど高い」と話した。 A社は2015年に京畿道女性雇用優秀企業に選ばれ、 今年3月には時間選択制雇用優秀事例腕自慢大会で最優秀賞を受賞した。

労働部から医薬、医療用品製造業者小企業のB社も紹介された。 ここで時間選択制で働くキム・ミヨン(仮名)氏は、育児のために全日制で時間選択制に転換したと述べた。 今年のはじめまで8時間の全日制勤務だったが、3月から時間選択制に転換し、一日6時間働いていた。 キム氏は「賃金は労働時間に比例して一部減ったが、福利厚生などでは差別はない」とし、満足だと伝えた。 だが6時間労働で足りない業務の空白も存在する。 追加労働は個人の持分だ。 「朝30分でも早くきて、昼休みを減らして、業務をできるだけ目標値に到達するようにしています。」

大企業は雇用が不安で、中小企業は賃金が不安だ。 労働強度も不安だ。 時間選択制雇用、それは何一つ不安ではないものがない、展示用の雇用であった。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2016-06-11 01:29:51 / Last modified on 2016-06-11 01:29:53 Copyright: Default

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