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私の就職、国が手伝う?

ワーカーズ9号 政府就職サービス経験記

シン・ナリ記者/写真ジョンウン記者 2016.05.13 13:41

「あら、こんなことしていないで外に出て行きなさい。 国がみんな助けてやろうと大騒ぎしているのに、何しているの、子は…」。

何もせずごろごろしている私にお母さんは言った。 すぐにでもアパートの1階に降りて行って、掲示板に貼られている案内を引きはがしたかった。 町が、市が、そして国がやっているというものが多かった。 履歴書と自己紹介書を添削してくれて、模擬面接まで。 それに進路について悩む人のために、キャリアコンサルティングまですると言う。 「こんなもの、何の役に立つんだろう」。 その時は無視した。 国家のサービスを信じられない気持ちが強く、私の方が国家より自分のことをよく知っていて、準備できると考えたためだ。 最近この国のサービスが気になってきたのは、あまりにも多くなったためだ。 周囲の就職準備生たちは、こうしたサービスに、相変らず視線を向けようともしなかった。 その渦中で大統領は何度も青年の話をした。 1月に朴槿恵(パク・クネ)大統領は施政演説で32回も青年に言及した。 予算も増えた。 政府が今年、青年雇用に使う金だけでも2兆1000億ウォンだ。 その上、政府が分類する青年雇用政策は合計14部署、67事業だという。 こうまですれば、政府が手伝う就職サービスの質が気になる。 何か違うには違うのでないか。

Gulim体10ポイントの美徳

5月3日、猫を使った広報とマーケティングが上手なある市の雇用センターに行った。 ここは青年就職準備生のための雇用センターだけの特別な恩恵を誇っている。 自己探索と入社書類クリニック、面接クリニック、模擬面接まで助ける「就職士官学校」を運営していた。 何か就職のための案内と、親しい雰囲気を期待して行ったが、住民センターや区庁と特に違わないようすだった。 番号票を取って順序を待たなければならなかったが、ちょうど待機者がいなかったので、すぐに席に座ることができた。

「住民登録証をください。」

「座るとすぐまず住民登録証を出すのですか?」

「はい。」

雇用労働部に照会をしようとしているのか、そうすると私が今、会社に通っていることを分かってしまうとあわてた。 だが渡せと言うので渡した。 恐らくワークネット(労働部中央雇用情報管理所が提供する求人・求職情報サイト)に求人登録されているのかを確認しているようだった。 「ワークネットに登録されていますね」と言って住民登録証を渡した求職相談家は、 私がワークネットにチェックしていた要請事項をもう一度チェックした。

「そうですね。 年俸2400以上を望み、ソウル地域での勤務を希望されるんですね。 関心分野は正確にどのあたりですか?」

「はいそのとおりです。 しかし、それより私は履歴書と自己紹介書クリニックを受けたいのですが。」

入社書類クリニックサービス、面接クリニックサービスは当然受けられるのではなかった。 一年に五回の機会がある士官学校は、3対1の面接を通過した15人だけに与えられるサービスだった。 就職のための就職士官学校の合格が先だというわけだ。 これさえ満29歳まで許されている。 男の場合は軍隊服務を考慮して31歳まで可能だ。 相談家は京畿道が青年を「満29歳」までと限定したからだと説明した。 ソウル市の場合、青年の範囲は満34歳までだ。 昨年、政府は青年雇用事業支援の年齢を15〜29歳から15〜34歳に拡大した。 最近、初めての職場を得る年齢が遅れていることで、差別がないように年齢基準を拡大したのだ。 これがなぜ京畿道では施行されないのか、説明は聞けなかった。 相談家はただ「複雑な事情がある」とだけ言った。 もう一度、入社書類クリニックを要請した。 個人的に要請して書類を持ってきているので、別途書類を検討してやることはできるといった。 あれこれ尋ねて要請したためか、チーム長が「入社書類」を見てくれると言う。 チーム長は何年間か青年就職を担当して、講義もするベテランだといった。 チーム長は小さな部屋に案内して、履歴書と自己紹介書を丹念に検討した。 そして口を開いた。 「まず、正解がない問題なので、私の個人的な意見です。 書類の文字のポイントと字体が皆同じなのですか? Gulim体10ポイントを推奨します。 自由形式の場合、ここからここまでずっと線をひいておいてはどうでしょう。 それが今よりも見栄えが良いようですが。 連絡先にEメールも書いていますが、一マスあけて電話番号の列に合わせると良さそうですね。」

きっちりGulim体10ポイントで書いた 履歴書であった。

「自己紹介書のような場合には基本的によく使わますが、 成長過程や性格の場・短所を書かなければならないでしょう。 両親が何をしているということを書くのではなく、どんな家庭環境で育ち、 それが本人にどんな影響を及ぼしたかということです。」

クリニックが終わった。 大学4学年の時「就職講座」を聞いた。 外部の専門講師が一学期間、学生に就職コンサルティングをする講座であった。 他のことは知らないが、その当時、思い出すことの一つが自己紹介書に関することだ。

「成長過程や性格の長・短所を書くのは本当にやぼったい方式なんです。 そんなことで眼に付きますか。 どんな家庭環境で育ったのかには言及しないでください」。 混乱した気分でセンターから出た。

自己紹介書の添削に対する期待は、朴槿恵大統領が設置した他の委員会に回した。 青年との対話を強化して、青年の目の高さに合った政策を企画・調整・評価するために設立されたところだ。 「青年のための、青年による、青年の」団体であるわけだ。 ここは青年創業と就職に関するプログラムをしている。 就職について提供するサービスのうち、「自己紹介書クリニック」が眼についた。 方法は簡単だ。 サイトに自己紹介書を書き込むと、コンサルタントが回答を付ける形だ。 二日も経たずにコンサルティングが完了した。 A4用紙一枚分の自己紹介書を書き込んだが 「自己紹介書が一部分しかないので、文全体を読めない状態で細かく添削するのは難しいようだ」という所感がついていた。 「経歴中心の内容が多いので、その中で学んだ経験とノウハウをもってわかりやすく書きなさい」、 「経験を一貫して整理して、これに基づいて経験と実績、感じた点を書きなさい」ということだった。 同じことだった。 同じことを二回にわけて強調したという感じがしたが、参考になる内容だった。 だが果たしてこれがクリニックといえるのか気になった。 誠意がないという気持ちを振り切れなかった。 一日に多くても3本の自己紹介書の添削を要請する掲示板で、それさえも私が要請する前の10日間は添削要請もなかった。 コンサルタントごとに差はあるのだろうが、7人のコンサルタントが順番に引き受けても、この程度の答しかできないのか。 求職者にとって自己紹介書は書類選考で大きなストレスだ。 自己紹介書を他人に見せるのも容易ではない。 素顔を表わすようで恥ずかしくて心苦しいのが求職者の当然の気持ちではないか。 それでも掲示板にこれを書き込んで添削を頼むのは、それだけ切実なことではないか。 果たしてこの程度のコンサルティングを期待していたのだろうか。 金を払って受けるのではない無料サービスだから、この程度で満足しなければならないのだろうか。 専門コンサルタント履歴が面目を失うコンサルティングだった。

話す練習、ぴったりそこまで

首都圏のある地方自治体は、オンラインで就職サービスを提供している。 大韓民国で初めて最高の女性特化サービスを提供すると紹介されたところだ。 ここで一対一の就職相談ができる。 眼につくのはオンライン模擬面接サービスであった。 一対一の就職相談を申請すれば「私の就職相談員」が決まる。 申請した次の日、彼はメッセージを通じて、就職相談の案内を送った。 一対一就職相談は、オンラインで質問と要請事項などを書いておけば、平日48時間以内に相談員が答を付ける型式だ。 模擬面接を申請すると彼から連絡がきた。

面接のためにはコンピュータ・プログラムとスマートフォンのアプリケーションをダウンロードしなければならなかった。 コンピュータに画像カメラが必要だが、こうした条件がない場合はスマートフォンだけでも進めることもできる。 スマートフォンにアプリケーションをダウンロードしてログインした。 「就職相談室」をクリックすれば、予約した相談員のログイン状態が出てくる。 相談員もオンラインに接続しなければ進行できないので、あらかじめ時間を合わせなければならない。 相談員と約束した時間に接続したが、つながるまでに10分程度かかった。 相談員との接続は円滑なものではなかった。 ヘッドセットをつけた相談員が携帯電話の画面に顔を表わした。 相談員はやさしかった。 相談員はあらかじめ貼付した履歴書と自分の紹介書を見て「離職理由」と「入社したい理由」、「入社後の抱負」、「経歴」の6つの質問を投げた。 その間、二回接続が切れた。

「経歴職だからか、本当に回答が上手ですね。 立派です。 私にはすべての業務や会社を知らないので、専門的な相談は難しいのは事実です。 面接質問の適中率が100%になる訳には行きませんが、 こうして話す時間が役に立つでしょう。」

相談家の言葉のように、オンライン面接は「話す練習」をする程度に活用すれば良い水準だ。 「対話をして自分の話を整理する機会」程度だ。 専門的なコメントや鋭い質問を期待するよりは、面接を前にして緊張を減らすのに役に立つという気がした。 経歴断絶を体験して久しぶりに面接をする人に適切なサービスだ。 ただし、接続は円滑でない。 合計3回、接続が切れた。 最後の一回は互いの声が聞こえず、結局対話を終了した。

「親しみやすく、つきあいやすいと思われたければ」ソウル市の性差別的面接ガイド

面接ガイドはソウル雇用プラスセンターでも見つけることができた。 このセンターのホームページには、求職面接要領などを案内する掲示板がある。 問題は女性の場合だ。 ソウル雇用プラスセンターの掲示板に書き込まれた 「求職面接のための服装・女性の場合」の掲示物の内容をそのまま書き移す。

(1) 普通端正なブラウスの上にジャケットとスカートが適切だ。 何を着ても、自分によく似合うものでなければならない。

(2) 色を選ぶ時はどんな印象を与えたいのかをあらかじめ考えた方が良い。 普通は藍色、灰色、または黒は真剣で落ち着いた印象を与える。 濁った色や暗い色は素朴で信頼できる印象を与える。 親しみやすく、つきあいやすい、あるいは創造的という印象を与えたければ暖色が良い。

(3) もしアクセサリーをつけるのなら、あまり華麗だったり輝いていない上品な印象を与えるのを選ぶことが必要だ。 短すぎるスカート、透けて見えたり胸が深く開いたブラウス、 あるいはぶらぶらするアクセサリーのような散漫な格好はしない方が良い。

(4) 専門的に見られなければならず、誘惑的に見られてはいけないためだ。 化粧が上手なら洗練されて自然に見える。

女性の場合、スカートが適切な面接の服装だと案内する。 その一方で短かすぎるスカートでも、透けたり胸が深く開いたブラウスなどは着るなと助言する。 誘惑的に見られてはいけないからなんだそうだ。 もちろん面接服装の「男性の場合」は別に作って案内していない。 性を区別して提案するガイドには、完璧に性差別的だという助言を添えたい。

特色のない講演

朴槿恵政権が「青年」に関心が強いことは強い。 昨年末、青年雇用創出事業を支持する財団が作られた。 大企業の実務者との出会い、中堅・中小企業採用代行など、大卒求職者を集中的に手伝う所だ。 国民が自発的に寄付したファンドで運営される財団だ。 朴槿恵大統領が直接提案し、市場に発表されたこのファンドは、 初期には銀行の職員を強制的に加入させて問題になった。 ここで行っているあるグループの役員の講義を申請した。 他の聴講者40人と共に約90分間の講義を聞いた。 外国系の会社と今の職場で抜群の能力を誇る講師であった。 彼は「選抜および評価」、「組織運営」、「人材開発」、「補償」の四種類のカテゴリーで講義をした。 ほとんどが彼の経歴に対する内容だった。 講義を最後まで聞かずに出てきた。

政府と地方自治体は、青年のためさまざまなプログラムを準備して進めている。 予算がかかる事業だ。 自己紹介書をコンサルティングして、面接を手伝う。 毎月有名なCEOの講義もする。 しかし、これが本当に青年の就職に役に立つサービスであろうか。 それぞれ違う4か所で、それぞれのサービスを利用した後に強い疑問を感じた。 就職を準備する間、心の慰安のために現職にある人の助言、書類と面接のための忠告まで、多様な助けが必要だ。 政府はこの中で、書類、面接など実質的な助けに自信を持ち、さまざまなプログラムを用意した。 似たようなプログラムをそれぞれ違う財団あるいは委員会、団体を作って進める。 ところで、これらが就職を準備する青年にとって役に立つだろうか。 サービスを体験したが、どんな助けなのか、疑問だけが残った。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2016-05-20 02:39:46 / Last modified on 2016-05-20 02:39:46 Copyright: Default

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