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韓国ガス公社、非正規職にマスク一枚も与えず大量解雇?

[ヨンジョンのバカみたいな愛](111)韓国ガス公社非正規支部の直接雇用闘争の話(1)

ヨンジョン (ルポ作家) 2020.03.05 12:55

2月7日から大邱の韓国ガス公社本社で働く 韓国ガス公社非正規職労働者たち(公共運輸労働組合韓国ガス公社非正規支部)が20日間のストライキ闘争を行った。 3日間、蔡熙峯(チェ・ヒボン)社長との面談を要求して社長室の座り込みもした。

韓国ガス公社の非正規職労働者たちは2017年7月に政府が発表した 常時・持続業務従事者に対する「公共部門非正規職正規職転換ガイドライン」によって 全ての非正規職労働者の直接雇用を要求している。

これまで2年以上、韓国ガス公社の正規職転換をめぐる議論が進められた。 韓国ガス公社側は、子会社転換を主張して昨年の年末には全職種の直接雇用案を出した。 だが定年を60歳に短縮し、非正規職労働者がする仕事が「青年選好雇用」だとし、 公開採用をするといった。 端緒からの意見を狭める暇もなく、 韓国ガス公社側は最近また消防・派遣を除く全職種の子会社転換を主張した。 直接雇用の案は「個人の案」だったと言った。

韓国ガス公社非正規支部は大邱地域のコロナ19拡散の深刻性に共感し、 組合員の健康と安全のために20日で現場復帰を決定した。 韓国ガス公社はストライキ中の非正規職労働者の出入りを止め、 トイレでコロナ感染予防のために手も洗えないようにした。 韓国ガス公社は地域経営の安定のために200億ウォンの 「共生ファンド特別支援」と脆弱階層を対象とする 2億3千万ウォン相当のマスクと殺菌消毒剤を支援するといいながら、 まさに韓国ガス公社の中で一緒に働く非正規職労働者たちには マスク一枚、手指消毒剤一本支給しなかった。

韓国ガス公社の非正規職労働者たちの15日目のストライキ闘争の話を通じ、 彼らの人生と直接雇用闘争の過程を二回にわたり、読者と分けあいたい。 〈筆者〉

▲大邱市東区新書洞、韓国ガス公社本社[出処:ヨンジョン]

正規職が永遠の正規職でしょうか?

「闘争で、闘争で、直接雇用を争奪しよう!」

2月21日午前、大邱広域市東区革新都市の韓国ガス公社本社前。 赤いチョッキを着た韓国ガス公社の非正規職労働者たち (公共運輸労働組合韓国ガス公社非正規支部)が15日目のストライキ出征式をしている。 彼らは2月7日、政府の「公共部門非正規職正規職転換ガイドライン」による 韓国ガス公社全非正規職労働者の直接雇用転換を要求して無期限ストライキに突入した。

2月18日、大邱でコロナ19の最初確診者が出た後に急速に確診者数が増加しており、 ストライキ中の労働者たちもマスクをして手指洗浄剤で手を拭いて座り込みをしていた。

イ・テヨン支会長(韓国ガス公社非正規支部大邱本社支会)が 「正規職は永遠の正規職でしょうか? われわれ非正規職がこの不公平な社会に抵抗しなければ、 私たちを助けてくれる人がいますか?」という話とともに、 マルティン・ニーメラー牧師の詩を朗読する。

ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった 私は共産主義者ではなかったから
ナチスがユダヤ人を捕まえに来たとき、私は声をあげなかった 私はユダヤ人ではなかったから
ナチスがユダヤ人を捕まえに来たとき、私のために抵抗する人は誰もいなかった

2017年11月から最近まで、韓国ガス公社の非正規職正規職転換を議論するために 15回の労使専門家協議会と9回集中協議が開かれた。 使用者側は子会社転換を主張し、昨年末に全職種の直接雇用の案を提示し、 端緒を開いた。

「美化を除く他の職種をすべて公開採用して、定年はすべて60歳でするといいました。 ここに対して争点を狭めながら討論をする段階でしたが、 ガス公社がその案は一個人の案だと言ってすべてひっくり返してしまいました。 ガス公社は消防・派遣だけを直接雇用して、 残り(美化・施設・特殊警備・戦傷など)はすべて子会社に送るといいます。 子会社も二つ作り、特殊警備非正規職労働者を分離すると言います。 社長と面談すれば逆戻り、社長と面談したらまた逆戻り、これで三回目です。 協議会使用者側の人が変わり続け、新しく入ってきた人は言いたい放題で、 当てこすって嘲弄しながらめちゃくちゃにしています。 話していて詰まると、 『公社の支部(正規職労働者、公共運輸労組韓国ガス公社支部)が直接雇用に反対するからだ』、 『直接雇用をすれば正規職の雇用不安が発生する』、 『私たちにはどうしようもない』、 こうした形です。」 (ホン・ジョンピョ韓国ガス公社非正規支部共同支部長)

ホン・ジョンピョ支部長は、非正規支部が別途職群、別途賃金での直接雇用を要求しているので、 正規職労働者と利害関係が衝突することはないという。 それでも正規職労働者が直接雇用に反対するのは、 非正規職労働者が彼らと混ざり、甲の位置を失うことの不愉快さと、 子会社を作って正規職労働者が退職後に幹部として入る機会を重視しているのではないかと言う。 多くの非正規職労働者は子会社が「正規職退職者の遊び場」になると話した。

ホン支部長は23年前の1997年、 IMF救済金融の時に1〜2週で正規職になるという言葉を信じて 韓国ガス公社の子会社である韓国ガス技術公社に臨時職として入社した。 これまで子会社から用役会社へ、さらにガス公社の孫会社に勤務をすることもした。 しかしジョンピョ氏は結局、ガス技術公社の正規職にも、 韓国ガス公社の正規職にもなれなかった。 会社がソウルから京畿道城南へ、そして大邱へと移転する間にも、 彼は相変らず非正規職の身分だった。 3年前に正規職転換をするというので期待をしたが、 今は用役としてまた子会社に行けというのだから、 回って回る非正規職の人生にただあきれるだけだ。 現在、韓国ガス公社の非正規職労働者の業務は、 本来正規職がしていたが1997年のIMF以後、外注化された仕事である。

▲2月韓国ガス公社非正規支部ストライキ初期、韓国ガス公社ロビー集会[出処:公共運輸労組韓国ガス公社非正規支部]

直接雇用すれば大量解雇、子会社に行けば非正規職として雇用継承?

韓国ガス公社の非正規職労働者たちが無期限ストライキと社長室座り込みなどに突入すると、 韓国ガス公社は2月10日、 「正規職転換政策に積極的に共感し、 『公共部門非正規職勤労者正規職転換ガイドライン(『17.7.20)』を遵守して、 非正規職勤労者の正規職転換を推進」しているという報道資料を発表した。 子会社方式の場合、職種別に現行の定年(美化・施設管理65歳、その他職種60歳)を そのまま認定し、 採用方式にも転換採用を実施して雇用安定を追求する計画だと明らかにした (その上、2019年12月末現在、正規職転換対象者1千人以上の公共機関の81.8%が 子会社方式で正規職転換をしたとし、 子会社が社会の雰囲気に反しているのではないという主張もしている)。

これは、直接雇用をすると定年は60歳に下げ、 公開採用をして大量解雇をすることなので、 子会社に行けという強要や脅迫に近い。 定年が60歳に下げられると150人の非正規職労働者がガス公社を辞めなければならず、 公開採用も現場でただ働いてきた非正規職労働者たにとっては解雇通知そのものだ。

ホン・ジョンピョ支部長はこうした韓国ガス公社の正規職転換立場は、 常時・持続業務を正規職に転換するという正規職転換の趣旨と全く合わないと話す。 正規職転換ガイドラインの趣旨は、 常時・持続業務を遂行してきた労働者の仕事を全て正規職に転換することだからだ。 正規職転換ガイドラインで 『60歳以上の者が勤める職種が清掃・警備などの高齢者親和職種に該当する場合、 機関が別途に定年を設定』できるようにしており、 『現在勤労している勤労者の転換原則』も明示している。

韓国ガス公社の非正規職労働者は、1月末にも直接雇用を要求してストライキに突入したが、 使用者側が「最適の正規職転換方案を用意するように最善を尽くす」としたため、 二日でストライキを終了した。 今回のストライキ中には蔡熙峯(チェ・ヒボン)社長との面談を要求して社長室で座り込みをしたし、 ソン・ヨンギュ副社長が韓国ガス公社と非正規職の正規職転換に関する単独協議を約束して、 3日目に社長室の座り込みを解除した。 社長室で座り込んだ非正規職労働者たちは、 韓国ガス公社側がずっと「部外者」、「不法占拠」等の発言をしたことが残念で腹立たしかったという。

用役会社から取っていく金を返せばいいだけなのになぜ?

次の発言者は、 韓国ガス公社本社が大邱に移転してきた2014年から ここで建物清掃などの美化業務を遂行してきたパク・ヒョンスク氏だ。

「私はこのように出てくるのもあまり好きではなく、 労組にもあまり関心がなかった人なのだが、 マイクを持つことになって、組長をすることになり、 地域巡回もするようになり、 色々なことをしながらここにも立っています。 トイレの問題のために私はとても怒り、腹を立てました。」

韓国ガス公社がストライキ中の非正規職労働者たちのトイレ利用さえ妨害し、 女性労働者が近くの山のふもとに行って用を足したという。 一週間前まで韓国ガス公社で働いていた労働者なのに、 何の説明もなく建物の出入りを止め、建物入口の案内所にあるトイレさえ使わせなかった。 ヒョンスク氏はトイレまで利用させないのは人権蹂躙だといった。 大邱地方雇用労働庁がストライキ中の非正規職労働者の遮断を中断しろと指導したが、 韓国ガス公社はこれを無視して出入遮断を続けていた。

「私たちは多くのこと望んではいません。 別途職群、別途賃金と言いますが、 なぜ韓国語がわからないのですか? われわれはそのまま今している仕事をそのまま直接雇用でできるようにして、 今までのように65歳まで働かせてくれと言っているだけです。 用役会社が取っていくお金を私たちに戻せば満足すると言っているのに、 なぜ言葉が聞き取れないのですか?」

ヒョンスク氏は正規職転換の議論テーブルに責任を持てない人たちが出てくると嘆く。 また、65歳まで働けるということのために苦しくても我慢してきたのに、 政府の指針のとおりに直接雇用に転換しろと言えば、 定年を60歳に下げるというのはどういうことかわからないといった。

▲韓国ガス公社非正規支部ストライキ闘争15日目、韓国ガス公社の前で宣伝戦をしている非正規職労働者たち[出処:ヨンジョン]

用役社長の名前も知らず、姓も知らない

ヒョンスク氏は朝6時に出勤してトイレと事務室会議室などの 韓国ガス公社ビルの隅々まで清掃して、清潔に管理する仕事を7年間している。 春から秋まで、外でする除草作業と正規職労働者が運動施設として使う運動服とタオルを洗濯する仕事もしてきた。 その間、用役業者が3回変わったが、ヒョンスク氏はその会社について何も知らない。

「今、私たちがいる会社は仁川にあります。 私たちは社長の名前も知りません。住所も知らない。 名刺一枚くれれば必要な時に使おうと思って写真を撮ったり書き留めておきます。」

名前も知らず姓も知らない社長が運営する用役会社で、 ヒョンスク氏は1年に1回契約書を書きなおさなければならなかった。 韓国ガス公社が偽装請負の責任を避けるために作った現場代理人(所長、韓国ガス公社の正規職退職者)は、 美化労働者たちに対して雇用をエサに絶対的な権力を振るいカプチル(パワハラ)をした。 美化労働者たちが1か月集め続けた古紙販売費用を一人占めして、 労働者たちが休暇をとったり子供が結婚する時、各々5万ウォンと20万ウォンを払うようにした。 ヒョンスク氏は、なぜか3800ウォンのクッパを食べさせてくれた時があったが、 それがその金だったとし、残りの金はみんなどこに行ったのかわからないといった。 一般エレベーターに乗らないようにして、 貨物用エレベーターに乗ったりもした。 今は一般エレベーターに乗るが、習慣になってよく貨物室に行く労働者もいるという。 賃金は号俸のない最低賃金。 これさえ初期にはよそよりも高いから削ると言って4年間凍結したこともあった。 問題提起をする人は大きな苦難に会った。

「こういうことでは再契約できないと脅迫のように話をします。 ですからみんな口はあっても話はできない...」

ヒョンスク氏は韓国ガス公社の正規職労働者たちは、 清掃労働者をカプチル(パワハラ)する相手にもならないと考えているようだといった。 いつも影扱いし、無関心なためだ。

「ただ清掃する人だ。あまり関心がありません。 無関心もカプチル(パワハラ)か? 私たちは仕事をしにきたのであって、仕事をよくしてきた方なのに、 そんな傾向はあります。 影のような感じ。 トイレで便器を磨いて洗面台を磨いていても、 男の人たちはズボンのチャックを上げながら入ってきます。 初めて働く人々はあわてたり... 本社の若い新入職員が百人きて教育を受ける時は、 エレベーターや食堂で列に並んで私たちを見ると礼儀正しく挨拶をします。 『こんにちは、こんにちは』 しかし1、2か月過ぎて、3、4か月過ぎれば変わります。 上がそうにするから... そんな優遇は望んでいるのではありません。 挨拶しても関係なく、しなくても関係ありません。 私たちが望むのは直接雇用なんです。 私たちがどんな方法だろうが、話をし続けても関心がないでしょう。」

ヒョンスク氏は正規職の労働者たちが非正規職の労働者たちの話を ちょっと聞いてほしいと話した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-04-04 13:07:51 / Last modified on 2020-04-04 13:07:53 Copyright: Default

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