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わがままデモ、偽装就業...言論の『ドンヒオート非正規職失脚』

「歪んだ下請け構造を知っても『わがままデモ』と言えるか」

ユン・ジヨン記者 2010.07.21 12:17

良才洞現代起亜車本社前の金属労組ドンヒオート支会組合員たちの座り込みが 9日目をむかえている。使用者側の用役投入と警察の連行にもかかわらず、彼ら が場所を守っている理由は、『解雇者復職』と『元請の使用者性認定』だ。

労働者として、労働問題のために行っている座り込みだが、7月21日に10社ほど の新聞社は、彼らの『正当ではない』座り込みが会社をはじめ社会に『被害と 損害』を持たらしているという世論集めの真っ最中だ。

会社の入口は誰が防いだのか...

現在、良才洞の現代起亜車本社入口は封鎖されている。職員たちもハナロ・マー トを通じて事務室に入るという。入口はバス五台を動員して防いでいる。その 前には職員が『交通法規をしっかり守ろう』と、わけのわからない集会をして いて、60人ほどの用役も会社の前に陣を敷いている。

7月21日付の韓国日報経済面には「現代車に納品の交渉きたのに、デモ隊が入口 を防ぐとは...」という題名の記事が載った。記事の内容はエーロン・ウェバー 氏が現代車に納品交渉をしにきたが、デモ隊により出入口が封鎖され、約束時 間より20分遅く到着して製品の優秀性をきちんと説明できなかったという。

だがドンヒオート支会のイ・ベギュン支会長は「組合員は車両や通行人を妨害 しない所で座り込みを行っており、会社に乱入を試みたこともない」とし、 「だが当の会社が10人の組合員を防ぐために60人の用役と車両で正門をふさい でいる」といぶかしがった。結局、会社の過剰対応が会社のイメージを失墜さ せる自殺行為につながった。

また韓国日報は同じ記事で、アラン・ウェバー氏は『起亜車がグローバル企業 に成長できるのか疑問だ』と舌を打ちながら帰ったという。

今回の事件で現代起亜車のイメージが打撃を受けたのは明らかな事実だ。用役 業者まで動員された、ものものしい出入口封鎖は否定的なイメージに見えて当 然だ。その上、本社前で乱舞する悪口と暴力、そして座り込みに対する使用者 側の官製集会で、現代起亜車本社前はそれこそ修羅場だ。

しかし否定的なイメージが本社正門の前の姿だけで現れるのではない。本質的 には『労使関係』がイメージ形成にさらに重要な問題だろう。もしドンヒオー ト労働者の説明のとおり、『6年間一度も対話せず労働者を無視』する現代起亜 グループなら、なぜグローバル企業に成長できるのか、できるとすれば、それ も変だ。

歪んだ下請け構造を知っても『わがままデモ』と書けるか

使用者側が言論に説明する終始一貫したコメントは『わがままデモ』という簡 潔な単語だ。交渉はドンヒオートの任務で、使用者側は交渉する権限も義務も ないという説明だ。21日付の毎日経済『現代車職員が横のビルの出入口使う理 由?』の記事もやはり他の報道機関と五十歩百歩の使用者側インタビューが載っ た。記事によれば、使用者側は「彼らを雇用したのはドンヒオートの協力業者 で、起亜車は原請負業者ではないので交渉の権限も義務もない」と説明した。

だが使用者側が『協力業者』と主張するドンヒオートの実状は、現代起亜車の 『系列会社』と呼ばれても遜色がない。現在ドンヒオートの株式を35%以上現 代起亜車グループが所有している。またドンヒグループの系列会社はすべて現 代車の納品業者だ。ドンヒグループは現代自動車の下請け業者および納品業者 で、使用者側の影響が直間接的に及んでいる。

また、ドンヒオートの土地と建物はすべて現代自動車が賃貸しており、機械装 置は現代キャピタルからリースで借りて使っている。それだけでなく、ドンヒ オートが生産するモーニングは、研究、開発、販売、A/Sなどすべてを起亜車が 担当している。

労組はドンヒオートの収益構造も歪んでいると強調した。イ・ベギュン支会長 は、「ドンヒは収益構造を公開していないが、ドンヒは自分たちの1年収益率は 10億にもならず、モーニングの収益率は現代起亜車がほとんどを持っていくと 表明したことがある」と説明した。

雇用構造も現代起亜車の影響の下にあると労組は主張する。イ・ベギュン支会 長は、「現在ドンヒオートの工場長は起亜車ソハリ工場の工場長が左遷されて 配置されており、前の工場長は起亜車ソハリ工場に発令されてやめた」と明ら かにした。

ドンヒオートの組合員は、こうした証拠を提示して「それでもドンヒオートが 現代起亜車グループとは何の関係もないのか、鄭夢九会長との直接交渉を望む」 と要求している。彼らの主張は実際に理由のない話ではない。3月25日、大法院 は現代重工業社内下請支会の現代重工業使用者性を認め『元請会社が提供した 道具と装置を使用』、『元請会社工程管理者の指揮、監督下に置かれていた点』 等を理由に上げた。ドンヒオートもこのような状況に置かれているので組合員 の『元請の使用者性認定』要求は当然の動きだ。

「金属労組介入情況? 労組を知らない無知の至り」

毎日経済は同じ記事で「このデモは、金属労組など既存の労働運動勢力が介入 したという情況も捉えられるなど、闘争の真正性が疑われる」という使用者側 のインタビューを内容を載せた。

これにイ・ベギュン支部長は『労働運動勢力』、『状況捕捉』、『疑い』など の単語には『不穏さ』が続くが、彼らのインタビューの内容は『無知』に見え ると評価した。彼は「金属労組は産別労組で、産別労組は労組組合員がいる所 ならどこでも共に闘争して支援する」とし「金属労組自体がその為に作られた のに、『介入した情況が捕捉される』と話すのは無知の至りだ」と非難した。

一方、解雇された組合員の履歴も問題になった。韓国日報は記事本文で『解雇 者たちは運動圏出身で、偽装就職をした事実が明らかになり、法院の判決で正 当に解雇された』という使用者側のインタビューをのせた。

東亜日報も使用者側の話を引用し『解雇者たちはドンヒオート下請け業者職員 として就職したが、学歴を虚偽記載したり前の職場での労組幹部の経歴などを 書かなかったことがわかるなど、偽装就職したと発表され、法的な根拠により 正当に解雇された」と明らかにしている。

だが、ドンヒオート組合員の説明はこれとは違う。イ・ベギュン支会長は「組 合員に大学を中退した人がいるが、卒業しなかったので履歴書に書かなかった だけで、これを学歴の虚偽記載だという」と非難した。また「組合員の中には 常勤活動をした人はいても、労組で幹部として活動した人はない」と説明した。

歪んだ元下請の構造による被害はドンヒオートの組合員たちを路上に追い出し ている。組合員たちは『鄭夢九会長と直接交渉さえできれば座り込みをやめる』 と言っているが、まだ展望はあまり明るくはない。使用者側は一様に「交渉の 権限も義務もない」と無視し続けているためだ。

だが現代起亜車の交渉『権限』はまだないかもしれないが、『義務』は充分に 見える。イ・ベギュン支会長の「われわれは歪んだ下請け構造を問題提起する」 という言葉のように、少なくとも使用者側は武力を動員した事件鎮圧ではなく、 問題提起への回答で状況を解決するのが必要だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-07-21 23:00:30 / Last modified on 2010-07-21 23:00:32 Copyright: Default


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