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討論: 掲示板文削除はもうひとつの検閲行為

イヨングン (労働ネットワーク事務局長)

去る1996年12月26日の明け方、新韓国党(現在はハンナラ党)が一方的に労動 法と安全企画部法を改悪し、全国の労働者たちがゼネストで果敢に立ち上がっ た記憶はいまだに生々しい。当時の新韓国党は「新韓国テル」という通信網 を開設・運営していたが、ここにかっぱらいの暴挙を非難する激しい悪口の 文等が途方もなく書き込まれた。これに対して新韓国テルのシステム管理者 は「公共秩序及び美風良俗に反したり他人の名誉を毀損失墜させる恐れがあ る」という判断の根拠を上げて、半分を越える掲示物を削除するに至る。当 時、通信空間で労働者ゼネストを支援した「通信支援団」は、これに対して 「悪口と直説的な表現は、健康な通信文化のために止揚されるべき部分であ り、システム管理者の直接の介入によらず、通信人等の自律性によって解決 されるべき」とし、「通信空間に対するシステム管理者の直接的介入は、厳 格な原則の下で最小限に抑制されなければならない」という原則を明らかに した。(ホームページhttp://strike.nodong.net/strike9697/sokbo-4.html#5 参照)

去年の下半期には才能教育に労組が作られた。才能教育労組は事業場(支局) が全国に散らばっていて、草創期組合員を組織して闘争を準備するのには、 どうしても通信網が必要だった。それではじめ、会社のSOLというイントラネッ トを利用しようとしたが、会社が直ちに掲示物を消し、労組幹部のIDを中止 させた。また、労組では匿名でも文を書ける会社のホームページの自由掲示 板を利用したが、しばらくしてその自由掲示板は完全に閉鎖された。このよ うに、会社のホームページや政府機関のホームページの中には、利用者が自 由に意見を書ける掲示板を閉鎖したり、全く作らないことが多く、これにネ チズンらは「インターネットの双方向性とこれを通した疎通の文化を理解で きないまま、単に一方的な広報空間としてだけ眺めるアナログ的な形態」だ と非難する。

ところが、いつからか私たち労働運動も、このような非難から自由ではなく なった。その端的な例が現代自動車労組のホームページだ。現代自動車労組 は、4.13総選挙の立候補戦の過程をめぐり論争が激化し、感情的な対立まで 表れると、関連掲示物の書き込みと削除が続く中で、結局自由掲示板を暫定 的に閉鎖するに至る。そして7月になると、「実名掲示板」の形で掲示板が開 かれた。しかし、この実名掲示板に対する組合員の反応は冷淡だった。過去 の自由掲示板には一日で数十の文が書き込まれ、論争もあったのだが、実名 掲示板になってからは利用者等の反応が冷くなった。文の責任は高まるかも 知れないが、自由な意思表現と討論の機能は相当部分放棄するしかなかった。

もちろん、労働組合が運営するホームページなら、その運営権は明らかに労 働組合にあり、ホームページに自由掲示板を置くかどうかは該当労組が判断 して決定する政策の領域だ。しかし、労働組合がインターネットという開か れた空間にホームページを作ることにした以上、そのホームページを利用す る一般のネチズンも既にもう一方の主体になるという点は当然考慮されるべ きだ。特に、社会進歩と発展を試みる運動集団が運営するホームページであ れば、通信空間内の民主主義に一層高い価値をおかなければならないのでは ないだろうか! したがって、意思表現と討論の責任性を高めるために実名掲 示板をおくことはできるが、これと共にあたかもトイレの落書のように、さ らに自由な情報交換の窓口もやはり開けておくことが必要だ。

民主主義とは、元来騒々しいものだ。意志疎通と討論をさらに積極的に引出 そうとして「匿名」も可能な自由掲示板を作ったとすれば、そういう約束は 守られ続けなければならない。また、ここに上がってきた文に対して削除が 不回避なら、その基準は可能なかぎり公式な議論を通じて具体的に明文化し た基準(規定、規則など)に局限させることによって、運営者が恣意的に判断 しないように強制しなければならない。(これと関連して、労働ネットワーク で現在討論されている「掲示板運営原則」は、労働ネットワークホームペー ジの次の掲示板を参照。 http://cham.jinbo.net/maybbs/list.php?db=labornet&code=BoardRule)

去る5年ほどの間、情報通信の民主化と進歩のために運動してきた通信人は、 96年から「情報通信検閲白書」と「サイバー権利白書」を毎年発刊し、政権 と資本(オンラインサービス業者)により強行されてきた通信の検閲と削除行 為に対抗し戦ってきた。民主主義の発展のために、表現の自由が基本権利と して前提にされなければならないと信じるのであれば、私たち自らが権力を 持っても、当然それを守らなければならない。ホームページひとつ運営する とすぐ権力者の姿に似てくるような運営者や労働組合なら、インターネット という開いた空間に市民権を得る資格もないと断言する。


Created byStaff. Created on 2000-12-08 02:50:51 / Last modified on 2005-09-05 03:55:40 Copyright: Default

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