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非正規職労働者が白基玩先生の遺体安置所に行進する理由

非正規職労働者、白基玩精神を再確認して「最初の一歩、一歩踏み出すことに全力をつくす」

パク・タソル記者 2021.02.17 20:38

「非正規職という体制と、 人が働けない作業場に人を放り込んだ資本主義体制が ヨンギュンを殺した」

故白基玩(ペク・キワン)先生の遺体安置所が設置されたソウル大病院葬儀場。 今から2年前の2019年1月、ここでマイクを持った白基玩(ペク・キワン)先生は鬱憤を晴らした。 泰安火力発電所で働いて命を落とした非正規職労働者、 故キム・ヨンギュンの遺体が安置されたところだった。 そして死亡から59日目に葬儀が開かれた日、 白基玩先生は光化門広場でまた一度マイクを持った。

「ヨンギュンが命を奪われたという話を聞いて言った最初の言葉が 『金が主人で、金しか知らないこの社会がヨンギュンを虐殺した』でした。 誰が殺したのですか? 金が主人で、金しか知らない人々が殺しました。 こうした独占資本主義をひっくり返さなければなりません。」

白基玩先生は生前、 非正規職労働者の闘争の先頭に立ってきた。 白先生は2000年になって 「一緒に働いて一緒に豊かに暮らし、正しく豊かに暮らす世の中」を唱えたが、 これは非正規職の搾取と抑圧なくすべての人が平等な世の中を意味することでもあった。 キム・ヨンギュン労働者の葬儀が行われた後、 社団法人キム・ヨンギュン財団が発足した日、 白先生はまた「資本主義がある限り、非正規職がない世の中はこない。 金が支配する世の中をばっさりひっくり返さなければならない」と声を高めた。

2月15日に亡くなるまで、白基玩先生のこの10年の動きは 主に非正規職労働者たちの闘争現場だった。 そして今日(2月17日)、非正規職解雇労働者たちは白基玩先生が安置された ソウル大病院葬儀場まで、長いデモ行進を始める。 彼らは「起き上がってはたいて白基玩先生が真っ先に駆けつけたかった所は LGツインタワー、アシアナケイオー、コレイルネットワークスなど、 闘争する非正規職、解雇労働者が戦っている所だっただろう」とし 「非正規職ない世の中」という白先生の意を賛える追慕デモ行進をすると明らかにした。

白基玩先生の最後の10年、非正規職労働者闘争に連帯

白基玩先生が本格的に非正規職解雇労働者と街に出たのは2008年だ。 白先生は当時、キリュン電子女性非正規職労働者たちの占拠座り込み現場に駆けつけ、 強制鎮圧を防ぐ戦いをしたりもした。 女性非正規職労働者出身の大統領候補を支持することもした。

▲2014年12月26日キリュン電子労働者の五体投地で故白基玩先生が労働者を抱いて泣いた。この日の五体投地は青瓦台に向かったが警察に阻止され青瓦台まで行けずに終わった。

彼は2012年に労働者大統領候補として大統領選挙に立候補したキム・ソヨン 前キリュン電子分会長の遊説現場に現れて 「キム・ソヨンは命をかけて正しい話だけをするということを世の中に見せてくれ」とし 「経済民主化とかどうとかという話ではなく、 200年間、資本主義が世の中を壊したので世の中をひっくり返さなければならないということを堂々と言いなさい」と頼んだ。 白先生は1987年と1992年に労働者、学生、民衆の要求で 民衆大統領候補として立候補し、労働者民衆政治勢力化の礎石を作った人物でもあった。

2011年には八十になって韓進重工業整理解雇反対希望バス闘争に立ち上がった。 当時、白先生は労働者と共に韓進重工業の垣根を越えてマイクを持ち 「李明博政権は合法を偽装したキム・ジンスクへの殺人行為をしている。 野蛮の時代に追いやっている」と批判した。 白先生はこの事件で19年ぶりに警察から召喚状を受け 「80年間、一生独裁政権と戦って血の涙を流し、老いてしまった私にも、 警察は召喚状を送ってきた」とし 「警察は韓進重工業労働者の苦闘を破壊する蛮行を即刻中断しろ」と声を高めた。

この他にも白先生は現代自動車非正規職闘争、 ユソン企業労組破壊粉砕闘争、巨済造船所非正規職優先解雇反対闘争、 三陟東洋セメント非正規職闘争など戦う労働者の闘争現場に連帯して絶えず声をあげた。 2019年の末にも社会の元老たちと共に道路公社料金所非正規職闘争を支持して援護した。

非正規職解雇労働者、道の上から白基玩先生を見送る

白基玩先生の社会葬3日目になる17日、 解雇労働者たちはまた道上に立った。 彼らはLGツインタワー、コレイルネットワークス座込場があるソウル駅を経て、 故人が眠っているソウル大病院葬儀場まで追慕行進を行った。 LGツインタワーでは清掃労働者が、コレイルネットワークスでは秩序維持、 建築物維持補修などの業務を担当する非正規職労働者が大量解雇された。 白先生の言葉通りなら「構造調整」、「整理解雇」は「あまりにも情緒的な表現」で、 故人はこれを「強制追放」と呼んだ。 「強制追放された」非正規職労働者たちは、 白基玩先生の精神を受け継いで最後まで闘争すると約束した。

公共運輸労組ソウル地域公共サービス支部LGツインタワー分会のパク・ソヨン分会長は、 喉がつまって言葉を続けるのが難しい状況でも、 きちんと闘争の意志を伝えた。 パク分会長は「65歳になって労組を作り、もうすぐ1年5か月になる。 労組を作る前の圧迫と搾取は到底話すことができない。 白基玩先生の言葉のとおり、 命をかけて労組を作って初めて足を踏み入れた。 途方もない大財閥と戦っているけれど、 先生の険しい足跡を思い出して熱心に戦い、必ず雇用継承されるように最後まで闘争する」と明らかにした。 現在、LGは解雇された清掃労働者を雇用継承しろという社会的要求に対しても、 他のビルでの就職を提案して労組破壊疑惑を自ら大きくしている。 労働者のストライキ座り込みはすでに64日目だ。

白基玩先生の遺族 社会変革労働者党のイ・ジョンフェ代表もLGツインタワーに行き、白先生の精神を伝えた。 李代表は「白先生はこの1年間、病床についていなければ、必ず皆さんと連帯していただろう」とし 「白基玩先生がいつも言っていたように、 皆さんの最初の一歩を共に踏み出す」と力説した。 李代表は続いて「10年間賃金一銭も上げられなかった皆さんを搾取して、 LGがこのビルを建てた。 白基玩先生は、 君も働いて、私も働いて、それで君も豊かに暮らして私もよい暮らしをする社会、 ノナメギ世の中に進もうと言われたが、 現実は君は遊んで私だけが働き、君だけが豊かに暮らして私は苦しい世の中だった」とし 「具氏グループとの戦いで何としても労組が勝利して、 白基玩先生のノナメギ世の中をひらこう」と声を高めた。

この日、追慕デモ行進に参加したユン・ジョンヒ氏に 白基玩先生は非正規職にとってどんな存在だったのかを聞くと、 ユン氏は話し始めようとして涙を流した。 ユン氏はキリュン電子非正規職闘争当事者の1人で、 2005年に労組を結成したという理由で全員が解雇され、1895日戦ってきた。 社会的合意で復職の約束まで受けたが会長は夜逃げし、 労働者はそれぞれの場で非正規職の戦いを続けている。

ユン・ジョンヒ氏は 「白先生は私たちが切迫した戦いをしている時、真っ先に駆け付けて下さって先頭に立って下さった。 李小仙オモニとともに、闘争する労働者にとっては大きなしんばり棒だった。 先生は非正規職闘争をはじめとする労働運動のあちこちに力を吹き込んで下さった。 座り込んでいると立ち上がれるように、激しく叱責して、 座り込まないように応援して下さった」と故人を回顧した。

続いて「病床にいらっしゃった先生が一度はまた起き上がり、 倒れていく労働者たちにもう一度大きな力になって頂けるのではないかと考えたが、 こうして亡くなってしまってとても胸が痛く残念だ。 先生は一歩踏み出すことに最善を尽くせとおっしゃった。 その一歩を踏み出すことに全力をつくせとおっしゃったが、 そんな闘争をすることが私たちの課題として残された」と話した。

ソウル駅では解雇労働者99人がソウル駅のロビーに集まって故人を追慕し、 アシアナ航空本社を通り、ソウル大病院へと行進を始めた。 行進には故キム・ヨンギュンのお母さんキム・ミスク、 キム・ヨンギュン財団理事長、韓国サンケン、韓国ゲイツ、アシアナケイオー、 双竜車、起亜車非正規職、三票セメント、サムスン電子サービス、 コレイルネットワークス、学習誌労組、ユソン企業、大宇造船非正規職(保安産業)、 旭硝子非正規職、世宗ホテル、ニューデソン自動車学院、 イースター航空、キリュン電子、コルテックなどの非正規職・解雇労働者が参加した。

葬儀場を訪問した文大統領、非正規職の絶叫を聞いたか

[出処:ノナメギ世の中白基玩先生社会葬葬儀委員会]

一方、同日午前に文在寅(ムン・ジェイン)大統領はソウル大病院の 白基玩先生葬儀場を直接訪問して弔問した。 文大統領は遺族と葬儀委員会の関係者に 「これまで何度も白基玩先生にお目にかかり言葉を聞いた。 酒も飲んだこともあって、集会やデモの現場にもいつも行った。 だからとても残念だ」と話した。 遺族は二つの贈り物を大統領に渡しながら 「セウォル号真相究明が先生の意だった。 真相究明ができず、社会的な憂慮が強い。 きちんとした真相究明ができるように努力してほしい」と頼んだ。 二つの贈り物は白いハンカチと白先生の著書〈足袋だけ履いた足の話〉で、 ハンカチは統一されれば白先生が北のお母さんの墓地に供えようとしていたもので、 本はノナメギ思想、民衆思想が込められた白先生の最後の著書だった。

葬儀委員会のヤン・ギファン報道担当者も、 葬儀委の立場を大統領に伝えた。 ヤン報道担当者は 「先生が最後の文で残された言葉は、重大災害企業処罰法制定、 キム・ジンスク頑張れ、ノナメギ世の中、労働解放だ。 新型コロナ事態で一番苦しむのが労働者で、 非正規職労働者が人生が崖っぷちに追いやられているのだから、 大統領が問題解決をしてくれ」とし 「ここに40日以上ハンストをしたソン・ギョンドン詩人も来ているが、 先生の意のキム・ジンスク復職に関心を持ってほしい」と話した。 文大統領は遺族に話したように「よく分かった」と答えた。

文大統領が弔問を終えて葬儀場から出ると、 非正規職労働者たちが大統領に抗議するということもあった。 非正規職もうやめろのキム・スオク共同招集権者は、 「文在寅大統領、 労働尊重はどこへ行ったのですか? 非正規職の血の涙が見えませんか?」と叫びながら、 政府の労働政策に対する強い反感を示した。 葬儀委のキム・ソヨン常任執行委員長(非正規労働者蟻集クルチャム(蜜の眠り)運営委員長)、 非正規職もうやめろユ・フンヒ執行委員長、 韓進重工業前烈士追悼事業会パク・ソンホ代表なども 「非正規職の血の涙」、「労働尊重がどこにあるのですか?」と書かれた紙を持ち上げた。 文大統領は少し留まって、紙に書かれた文句を読んでその場を離れた。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2021-02-21 06:38:41 / Last modified on 2021-02-21 06:38:43 Copyright: Default

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