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「間接雇用差別根絶、労組法第2条改正が勝負の鍵」

[第4回派遣労働フォーラム]「不法派遣訴訟、『労働者の分断』限界」

キム・ハンジュ記者 2020.06.29 15:01

2019年の用役、派遣、下請けなどの「所属外労働者」が 全労働者数に占める割合は18.1%。2017年の19%と比べて特に差はない。 公共部門の間接雇用の割合も2015年は19.9%、2019年には18.1%と大幅に減らなかった。 1000〜4999人の大規模企業では、所属外労働者の割合が0.3%増加した。 今でも韓国GM、現代自動車などでは不法派遣の問題が絶えない。 文在寅(ムン・ジェイン)政府になっても間接雇用、派遣労働問題は解決していないということだ。 間接雇用労働問題を解決するために、全国不安定労働撤廃連帯が6月26日、 ソウル市中区の金属労組会議室で第4回派遣労働フォーラムを開いた。

▲左からチョン・ビョンウク民主社会のための弁護士の会労働委員会弁護士、クォン・ドゥソプ民主労総法律院弁護士、ユン・エリム民主主義法学研究会博士、イ・サンウ金属労組組織局長、コン・ソンシク公共運輸労組組織争議副室長、イ・ジナ労働人権実現のための労務士の会労務士[出処:キム・ハンジュ記者]

使用者が悪用する派遣法…「法理的限界が多い」
「派遣法廃止、職業安定法改正で不法派遣の禁止を」

この日のフォーラムでクォン・ドゥソプ弁護士は、 間接雇用に対する現行の法理問題を重く指摘した。 現在の派遣労働は、大法院の判例による5項目の認定基準を適用している。 まず「第三者が当該勤労者に対して直・間接的にその業務の遂行自体に関する 拘束力ある指示をするなど、相当な指揮・命令をしているかどうか」だ。 元請が下請、派遣労働者に業務を間接的に命令しても派遣と見なすということだ。 だが派遣使用主は上の条項で言及された「業務遂行自体に関する拘束力」がないとし、 合法派遣を装う。 クォン弁護士は「判事が『間接的命令』と『相当な指揮・命令』に関心を持てば労働者が勝つが、 『拘束力』に埋没すれば会社が勝つ。 派遣法関連の法理が明確ではないために発生する問題」と話した。

二つ目の基準は 「当該勤労者が第三者所属の勤労者と一つの作業集団に構成されて直接共同作業をするなど、 第三者の事業に実質的に編入されたと見られるかどうか」だ。 換言すれば、特定の派遣者の労働が元請正規職の労働と連結して一つの作業を構成するかを問う。 製造業の場合、社内下請ではなくても遠く離れた業者から部品を調達したりもするが、 使用者は空間が分離しているという理由で派遣ではないと主張することが多い。 クォン弁護士は「『一つの作業集団』あるいは『直接共同作業』は概念上の業務を基準にした判断で、 これは業務の機能を中心に把握しなければならない。 したがって、正規職勤労者と空間的に離れていても、 機能的に連携していれば直接共同作業だと見なければならない」と説明した。

三つ目の基準は、派遣業者が所属労働者の選抜、教育訓練などの決定権限を独自に行使するかどうかだ。 だが多くの元下請関係は「暗黙的勤労契約関係」の下に置かれている。 派遣下請業者が独自の権限を持っていても、 暗黙的勤労契約関係でその権限は実効性を発揮しにくいという間接雇用現場の雰囲気が存在する。 昨年、韓国道路公社料金所子会社の労働者が元請韓国道路公社との暗黙的勤労契約関係を主張して訴訟に突入したのも同じ文脈だ。

そして派遣下請業者が独自の組織、機械、設備などを備えなければならないという基準だが、 クォン弁護士によれば多くの元請会社が下請に月貸形式で機械・設備を使わせている。 元請が合法派遣と偽装するために便法を使っているのだ。

クォン弁護士はこうした法理の限界により、派遣法を廃棄して職業安定法を改正すべきだと強調した。 クォン弁護士は「現在の合法的な勤労者派遣の姿は面接と採用決定、賃金など勤労条件決定を使用事業主が行い、 派遣事業主は募集広告、賃金の分配、社会保険処理、派遣事業主名の解雇通知などが唯一の役割といえる。 一時雇用の必要性があるのなら期間制で使えば良く、 専門担当者の採用などは公的雇用斡旋を活性化すれば良い問題だ。 現在の募集型、登録型の勤労者派遣の運用の現実を見れば、 臨時雇用と専門担当者の簡易な採用という法趣旨とは無関係だ。 したがって、派遣法を廃止して職業安定法を改正し、 不法派遣を禁止する方向で立法しなければならない」とした。

「不法派遣訴訟、『労働者分断』の限界がある…
階級的団結ための労組法第2条改正が『急務』」

現在の労働運動陣営の派遣法対応は、勤労者地位確認訴訟、 つまり不法派遣訴訟が主だ。 労組が勤労者地位確認訴訟を望む下請労働者たちのリストを受け、 彼らの名前で正規職化闘争を展開するのだ。 だが訴訟で労働者たちが勝っても、元請が判決の通りに正規職化をしない。 また交渉の過程で元下請労組間対立が発生することがある。 昨年、韓国GMでインソーシングをめぐり正規職労組と非正規職労組間の対立が起きた。 また直接雇用を勝訴当事者、一部の組合員だけに限定する場合もあり、 労組の中で争いが発生したりもする。 昨年の料金所労働者闘争の時に使用者側は勝訴者だけに言及して分断を試みており、 2016年〜2017年に起亜車での特別採用をめぐる「1社1労組」分離事件が同じ脈絡だ。 民主主義法学研究会のユン・エリム博士はこうした不法派遣訴訟対応は 「労働者の分断」を誘導するとし、 元請・下請の労働者階級が共に戦うことができる戦略が必要だと指摘した。

ユン博士は 「不法派遣訴訟は(法的派遣雇用期間の) 2年以上と2年以下の労働者、不法派遣が認められた労働者とそうでない者が共に戦うのが難しい。 元請が訴訟リストにより特別採用をする場合は『全員正規職化』の原則は崩れやすい。 今まで間接雇用撤廃運動が連帯と闘争力を弱まる方向でなされていないのではないかと考える」と伝えた。

したがって彼は 「元請に対して下請、用役、派遣労働者がまともな労働三権を認めさせる要求に進む方向が必要だ」とし 「その点で労組法第2条改正要求の全面化が必要だ。 現在の労組法は勤労者をとても狭く解釈しているという問題がある。 労組法第2条改正により『勤労者』と『使用者』の定義を共に拡大しなければならない。 プラットフォーム労働者を含み、請負制報酬を受け取るすべての労働者に(労働三権を)拡大する要求に進まなければならない」と強調した。

彼は問題提起と同時に「労組法第2条改正運動本部」の構成を提案した。 運動陣営が総網羅して、議題中心の機構を作り、社会的圧迫をしようということだ。 実際、これまで労組法第2条改正関連の議論は遅々として進まなかった。 政府次元で労組法改正の議論は経済社会労働委員会が受け持ってきたが、 経社労委傘下の労働時間制度改善委員会は、 間接雇用関連の議論を議題に上げもしなかった。 ユン博士は「強力な社会的運動が作られない限り、 労組法第2条の改正は議論もされない」とし 「(運動本部構成で)特殊雇用、間接雇用労組に対する法・制度的な制約を取り払う 共同闘争を組織しなければならない」と話した。

しかし金属労組のイ・サンウ組織局長は、 不法派遣訴訟対応を中断するのは難しいと主張した。 イ局長は「(労組が不法派遣)訴訟だけに頼って労組活動を軽視するという指摘があるが、 これは(訴訟人団募集で)外縁を拡大することで現れる症状と似ている。 単位事業場で不法派遣訴訟の他に間接雇用議題闘争に焦点を当てられない点は無視できない。 だが訴訟対応は労組組織拡大で機能することもある。 中小零細事業所を新しく組織する時、不法派遣をかかげて正規職化で戦おうという戦術がよく使われる。 問題はこれに留まらず、差別をなくそうという闘争を拡大すること」と話した。 間接雇用差別問題に不法派遣訴訟が踏み台として機能することができるということだ。

一方、公共運輸労組のコン・ソンシク組織争議副室長は、 文在寅(ムン・ジェイン)政府の公共部門間接雇用問題を批判した。 政府は公共部門正規職化政策で4万人を子会社で間接雇用した。 コン副室長は 「子会社は人員供給会社に過ぎない。 用役契約、組織構造は何も変わらなかった。 子会社の地域暖房安全も実質的な管理は元請の地域暖房公社がする。 熱輸送管の安全管理、点検業務は核心業務だ。 元請が管理しないわけにはいかない構造だ。 不法派遣でも見られる問題だ。 したがって、子会社の再直営化、元請責任を強化しようという要求が必要だ」と指摘した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-07-04 14:53:12 / Last modified on 2020-07-04 14:53:15 Copyright: Default

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