左派の歴代級危機...「社会主義政治を見せよ」

［座談会］ 4.15総選挙評価と進歩左派政治の展望

キム・ハンジュ記者 2020.05.30 14:28

21代国会が開かれた。正義党を除いた左派政党は院内に見られない。国会の外左派運動もなかなか見られない。運動の退歩は21代総選挙の結果にも現れた。労働党、緑色党、民衆党は前の総選挙より得票率が下がった。 100万組合員を率いる民主労総の政治方針は何の力も発揮できなかった。左派政治運動の「歴代級危機」だ。チャムセサンは危機を診断して左派運動の道を探すために、正義党、労働党、社会変革労働者党、民主労総の関係者と共に 5月29日「4.15総選挙評価と進歩左派政治の展望」を主題として座談会を進めた。司会は聖公会大のペ・ソンイン教授が引き受けた。

司会
ペ・ソンイン(聖公会大)

パネル
イ・ヒョンジョン(正義党)
ヒョン・リン(労働党)
チャン・ヒェギョン(社会変革労働者党)
ヤン・ドンギュ(民主労総)

▲ペ・ソンイン聖公会大教授

ペ・ソンイン 4・15総選挙が終わった。進歩左派はどこに行くべきか。今まで具体的な像が見えない。韓国の進歩左派勢力の大衆化が必要な時点だ。先に巨大両党中心に今回の総選挙評価をしてほしい。共に民主党は勝利し、未来統合党は敗北したのか?

チャン・ヒェギョン コロナ19事態が民主党圧勝の最大の要因だ。民主党は曺国(チョ・グク)事態で限界を示した。文在寅(ムン・ジェイン)政権になってから民主党は既得権政党として面目を現わした。また、キャンドル抗争の願いを受け入れずに、改革政治を見せることができなかった。それでも民主党はコロナ局面を経て総選挙で勝利をおさめた。しかし黄教安(ファン・ギョアン)体制の未来統合党は極右勢力と連結の輪を結び、保守の革新的姿を全く見せられなかった。この点でコロナがなくても民主党は勝利しただろう。一方、総選挙は民主党を韓国社会の主勢力に転換する流れを作った。コロナ局面で民主党が先に国家介入を語る。その介入は保守的な観点だ。露骨な親資本政策を展開している。こうした傾向が強まるだろうと判断する。

イ・ヒョンジョン まず私は正義党主流を代表しておらず、党内左派という個人的な位置で話す点を明らかにする。コロナ事態で民主党が圧勝できたという点に同意する。だが何でも常に比較対象が何なのかが重要だ。セウォル号惨事で見せた朴槿恵(パク・クネ)政権の無能と今の文在寅(ムン・ジェイン)政府の差が、市民にとって多くの判断根拠になった。未来統合党が持つ無能を比較した時、相対的に良い姿に見えた。民主党は統合党との敵対的共生関係に置かれているようだ。また今回の選挙は制度的な多党制を確保できたという点で重要だった。だが民主党がこれを防いだ。民主党は衛星政党を作る前から選挙管理委員会が出した選挙制度を後退させ続けた。民主党は正義党に多くの地方区を奪われるという判断で惜敗率をなくした。政治多様性を阻害した最大の責任は民主党にある。

▲ヒョン・リン労働党代表

ヒョン・リン とにかく民主党は上手くやって選挙で勝利した。うまくやったのは左派の基準ではない。先に左派陣営はキャンドル抗争以後3年間、一歩も踏み出すことができなかった。キャンドルの継続的次元で決して高い点数を付けられない。左派の誤りだ。しかし民主党はこのキャンドルを自分の持分に引いた。その結果、進歩あるいは左派よりも民主党に力を貸して統合党を消滅させようという主張が強くなった。選挙制改革の過程でも院外の小数政党まで国会に進入するように議論したが、連動型比例代表制の封鎖条項で詰まった。同時に小数政党は民主党に簡単に振り回された。それで民主党に力を貸そうという逆効果が発生した。また民主党は進歩左派がやらないさまざまな政治活動を披露した。ソウル市長の場合、キャンドル以後3年間、いわゆる地方民主主義、参加民主主義、住民自治活動など一歩進んだ姿を見せた。しかし保守政党も地方選挙デビュー用ではあるが、地域委員会を通じて地域政治でがんばった。この点を考慮すれば、左派に対して選挙戦術だけでなく、日常政治活動に対しても評価するべきだが、この点でも問題があった。

ヤン・ドンギュ 民主労総は6月12日に公式的な総選挙評価をする。したがって私はこの討論会で個人的意見という点を前提にする。まず21代総選挙の特徴は3つある。コロナと衛星政党議論で政治争点が埋められた点、二大政党構造への回帰と巨大与党の出現、準連動型比例代表制の歪曲と進歩政党の打撃だ。民主党はコロナ事態なしでは勝てなかったと思う。コロナ以前から経済状況は製造業だけでなく、全体的に良くなかった。曺国事態で青年は怒り、民主党は打ち出せるような改革は一つもなかった。公約破棄から改悪まで行った。地方区の政党別の得票率を見ても、民主党44.9%、統合党41.5%で大きな差はなかった。統合党支持率も相当だったという意味だ。

ペ正義党について話してほしい。正義党の総選挙結果は比例代表問題を中心に評価される。だが総選挙戦略が必ず比例だけではない。正義党は民主党と同じように招聘人事戦略を取ったが、これも問題だと考える。左派政党は党役員を着実に養成して国会に送らなければならない。正義党は「民主党の真似」をしているのではないのか。

イ正義党は民主党をまねてはいけないという評価は正確だ。比例選出過程で進めた開放型選挙戦制も、民主党について行った側面がある。さらに多くの人が正義党に関心を持ち党支持率を高めるという意図だったが、これは実現されずに失敗した。正義党の公報物の前に出てきた人物も沈(シム)サンジョン代表が迎え入れた人々、人望ある候補だ。民主労働党、進歩新党から今まで成長した人は見られなかった。当選者の中にも労働運動出身はあっても、左派アイデンティティを持って進歩政党運動を着実にした人はいない。私の立場としては正義党はアイデンティティ危機に処している。フェミニズムでも、曺国事態でも、正義党は曖昧な立場にいるのではないか。

▲チャン・ヒェギョン社会変革労働者党政策委員長

チャン 進歩政治の基本出発線は自由主義勢力からの独立だ。進歩政治はこれまで自由主義勢力に従属、依存してきた。左派は政治的、イデオロギー的な独立が必要だ。しかし正義党はこの基本船を押し倒した。曺国事態であらわれた姿がそうだ。今回の選挙でも正義党は文在寅政府がよく改革をしているように自党を支持してくれといった。進歩政党が自分のポジションを大衆にどう刻印させるかという点で正義党は失敗したと見る。政党得票率は前の総選挙より上がったが「民主党より若干良い勢力」程度だ。進歩政党の主勢力として正義党は自分のアイデンティティを失っている。

ヤン正義党は民主党の影に遮られた政治をしているようだ。今回の正義党当選者も民主党の遅々として進まない改革を牽引するとインタビューした。民主党を政治闘争の対象、克服対象にしない。同時に正義党は自分を代案政党と設定しない。コロナの状況で新自由主義体制の再検討、対外依存経済批判、国家の役割などの話題がある。解雇禁止、無償医療を話せる土台があった。正義党はこうした議題を大衆の言語で争点化するべきだった。そうすれば正義党は議席数とは無関係に代案になったのではないか。

ペ左派政党の無能、無気力が言及され続けている。これまで左派は何をして、どうすれば今の限界から抜け出せたのだろうか?

チャン 1996〜1997年の全面ストライキ以後、進歩政治勢力化、労働者政治勢力化を話し続けた。だが発展どころか後退を繰り返した。特にこの3年間、進歩陣営は議会主義を強化した。衛星政党問題をめぐり、緑色党は党員総投票まで経て決めた。単に「選手」の指導部何人かの問題でないという意だ。民衆党も指導部で衛星政党参加を主張することはした。女性の党は登場でセンセーションを呼んだが、資本家と組んだり、性少数者を排除した。運動全般が質的に後退したのが今回の衛星政党問題であらわれた。左派は崩れた社会運動と階級運動をどう強化するのか重く悩まなければならない。

ヤン私はハン・サンギュン執行部の時の政治委員長だったが、当時蔚山と昌原に候補一本化の組合員総投票を強制した。これに伴い民衆党、正義党などの進歩政党が共同選挙運動本部を設けて何議席かを奪還した。それなりに意味ある結果だった。だが今回の総選挙で民主労総の選挙運動方針は脆弱だった。 21代国会課題、5進歩政党支持発表があった程度だ。一方、衛星政党が乱立するのに進歩政党の選挙連合はなされなかった。 2015年の中執、2016年代議員大会など、民主労総で進歩政党選挙連合の議論があったが、通過しなかった。現実化されにくい部分だが、悩み続けるべき地点だ。

ヒョン 労働党が進歩新党だった2010年に進歩陣営連帯会議という連帯体があった。進歩陣営連帯会議は仮設政党だが、2020年院内交渉団体構成を目標にした。党内的に地域の基礎組織を再建し、党員参加を高める計画だった。この計画が10年前に出てきたが、実践されることはなかった。 10年の間、左派政党は地域活動から手を離した。党員が不足だという側面があるだろう。左派政党の分裂過程で活動家も不足していた。左派政党の立場では党員参加は最優先の価値の一つだ。これを10年間繰り返し話した。 4年後に総選挙が終わってまた話すかもしれない。根元のない状態で、花だけ咲かせようとした過去は繰り返してはならない。

▲イ・ヒョンジョン正義党気候危機微小粒子状物質特別委員会委員長

イがんばって地域活動をしたら選挙結果が果たして違ったのだろうか。果川、議旺の場合、正義党のファン・スンシク候補は果川市議員を二回して、議長にまでなった人物だ。長い間地域活動をした候補だ。しかし民主党が迎え入れた弁護士のイ・ソヨン候補が圧勝した。地域基盤よりもイメージ政治の影響が大きくならざるをえないという意だ。李在明(イ・ジェミョン)の場合、民主党非主流の主流化に進んだ。李在明が注目される理由は、さらに鮮明にアイデンティティを打ち出したためだ。正義党の場合、もっと鮮明な路線で大衆性を強化する人が少ない。むしろ本来鮮明だった人が党内でさらに曖昧になる状況が現れている。

ペ一方では進歩政党が独自性を探さなければならないといいながら、新しい方法の運動が必要だという。進歩政党運動が「社会運動政党」を指向しなければならないということは概ね同意している。だが変革党と労働党は社会主義大衆政党を推進している。どこでどんな展望をどう作って見つけていくのか?

チャン 総選挙の後、左派政党が善戦できなかった結果を見て、もう一度集まろうという言葉が多い。韓国の左派政党運動は複数政党体制だ。分かれている理由は、思想と路線理念に基づいている。多党制時代の中に社会主義政治は相対的に小さい。それで社会主義勢力が総結集して、社会主義政治運動を活気付けようという議論がある。また少数活動家政党ではなく、大衆を包括しようという意味で、社会主義大衆政党の名前を付けている。社会主義政治勢力が市民権を得ることが目標だと考える。社会主義政治がさまざまな選択肢の一つだという事実を 2022年の大統領選挙で見せていかなければならない。

ヒョン 今回の総選挙の結果はこの4年間「左派がこの程度しかできなかった」からだ。社会主義の世の中を夢見て、それが可能だという想像を労働者と住民に与えなかった。左派政党はまず日常的な政治活動をすべきだ。そして政策生産を党員から作らなければならない。社会主義の展望に対しては、変革党は「韓国社会構造変革案」があり、労働党は「5大無償公共政策」がある。これに基づいて地域別、部門別で社会主義勢力が集まり、共有して、方向を定めなければならない。党員の交流が続いて、今後の選挙連帯あるいは党統合などの議論まで続き、合意が従えば良いのではないか。

イ正義党は民主党と決別する時期だと考える。正義党は事案で常に一歩遅れた対応をしながら曖昧な立場を出した。多様なスペクトラムの中で合意しなかったためだ。それで正義党はアイデンティティでも、原則でも、基準でも、立て直さなければならない。最近、私はコロナ時代の気候危機討論会に参加したが、民主党の対策は市場主義に立脚した民営化だ。こうした議論の中で私たちがいかに民衆の人生を守るのか、進歩政党が集まって悩まなければならない。ここで正義党が生態社会主義をいわなければと考える。今の正義党は社会主義を党次元で言わないが、「民主的社会主義」は提起されている。民主的社会主義の議論を全党員に送って内容を入れる過程が重要だ。

▲ヤン・ドンギュ民主労総副委員長

ヤン最近、統合党の最高委員が基本所得を検討すると話した。討論会でも教授たちが体制転換を話す。こうした機会と契機を左派が持ってこなければならない。今の経済危機は、保守政治では解決できない。左派が資本主義では克服できないというイシューを主導しなければならない。社会の公共性を提起して、解雇禁止宣言、国有化措置まで掲げなければならない。左派政党が社会主義市民権の確保の下にまとまれば良い。今の時期は進歩左派の時間ではないのか。今後、大統領選挙は民衆の要求を受けて抱く大統領選挙にならなければならない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
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