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新入非正規職のクーパンマンはなぜ夜中の配送をして命を失ったか

新入非正規職クーパンマンが60%、解約頻繁...労働強度の強さは賃金システム

ウン・ヘジン記者 2020.03.17 07:57

3月12日、入社13日目の非正規職クーパンマンが深夜の配送中に死亡したが、 クーパンマンの劣悪な労働条件を改善すべきだという要求が続いている。 実際にクーパンマンのほとんどが1年で解約されたり、 強い労働強度に耐えかねて退社を選択することが明らかになった。 その上、昨年4月に施行された賃金テーブルは、 賃金を上げるために休憩時間も捨てて働かなければならない構造であった。

2年後には正規職クーパンマンという夢、事実上1年で契約解止

空港港湾運送本部クーパン支部(以下支部)によれば、 いわゆる「クーパンマン」と呼ばれる全国クーパン配送労働者約7千人のうち およそ80%ほどは非正規職だ。 彼らは入社後3か月の修習期間を通過して、 1年ごと評価と連動する再契約をする。 クーパンマンは2年目になれば正規職になれると言われるが、 事実上、正規職転換の事例はきわめてめずらしい。

支部によれば、クーパン配送労働者の60%は新入クーパンマンの 「ライト クーパンマン」だ。 彼らは既存のクーパンマン(ノーマル クーパンマン)の75%働き、 月給も少ない非正規職だ。 クーパンマンの大多数がライト クーパンマンである理由は、 労働強度が高く、自発的に退社をする場合をはじめ、解約が頻繁にあるからだ。 解約の類型は3か月修習期間の脱落や1年単位の評価で低い点数を受ける場合だ。 評価が良くなければ1年単位での再契約ができない。

空港港湾運送本部のキム・ハンビョル組織部長は 「会社は2年間クーパンマンで働けば、90%が正規職になるという。 問題は、100人入社をしても評価で解雇されるので5〜10人しか残らない。 クーパン側は彼らだけを正規職の対象と解釈して90%と言っている」と指摘した。

クーパン支部のチョン・ジンヨン組織部長も 「正規職の割合も全クーパンマンの20〜30%に過ぎない」とし 「1年で再契約して2年目の時に正規職面接を受けるのだが、 その過程で無分別に解約されている。 使用者側が正規職転換をしないので、事前に契約を解約する方式を使う」と伝えた。

労働強度はクーパンマンの賃金システム

クーパンマンの賃金はこの6年間凍結状態であった。 しかしクーパンの2014年の売上額3484億ウォンから昨年には4兆4147億ウォンと、10倍以上になった。 2014年にクーパンがロケット配送を導入してからだ。 ロケット配送は配送人員のクーパンマンを使って業者が直接商品を配送するシステムだ。

昨年4月にはクーパンがジョブレベルという賃金テーブルを導入した。 分期別評価により、クーパンマンの等級を1〜9等級に分けるシステムだ。 評価による等級昇格で賃金が引き上げられる。 キム・ハンビョル組織部長は 「1レベルから6レベルになれば賃上げされるのではなく、 賃金テーブルそのものが変わる」とし 「基本給の引き上げではなく、等級による引き上げの方式は、 競争と労働条件を悪化させる。 基本給の引き上げが必要だ」と伝えた。

現在、クーパンマンとして働くチョン・ジンヨン組織部長は 「クーパンができてから賃上げはなかった。 私も5年目になるが、夜間クーパンマンなので夜間手当てを受けるだけ」とし 「7等級以上になれば確かに賃金が上がるが、 7等級以上のクーパンマンがいないだけでなく、7〜10年働かなければ月給が上がらない」と伝えた。

また彼は「(ジョブレベルは)累積点数でレベルアップを決め、 レベルアップすれば賃金が上がる構造だ。 評価なので勤続手当が存在しない」と指摘した。

特にレベルアップのための累積点数は、 個別の物量に対する実績と連動している。 路線別に消化する基準値のベースライン以上に仕事をすれば累積点数が増える。 ベースライン以上の実績をあげるには、休憩時間を捨てて超過労働をしなければならない。 インセンティブを受けるために休憩時間まで働いて累積点数を得る悪循環が続いているわけだ。

労組によれば、1から2レベルは主にライト クーパンマンだ。 そしてクーパンマンのほとんどは1〜5レベルに集中している。 6レベルには全クーパンマン7千人のうち12人しかおらず、 7レベル以上のクーパン配送労働者はいない。 クーパンが2010年に設立されたことを考慮しても、到達基準が高い。 労働強度が高く、解約が頻繁で、最高レベルに入るのは事実上不可能だ。 その上、労災でしばらく勤務できなかったり、 勤務日数や配送品が不足すれば累積点数はマイナスになることもある。

賃金凍結、雇用形態も全く同じだが増える物量

そればかりかクーパンの成長による物量増加でクーパンマンの労働強度はますます強化されてきた。 労組によれば2014年まではクーパンマン一人当たり60〜70世帯程度を担当したが、 現在は2倍を超える120〜140世帯に配送している。

夜間クーパンマンは休憩時間の保障がさらに難しい構造だ。 当日生鮮食品を朝7時までに配送する「ロケットフレッシュ配送」のためだ。 管理職のCL(Camp Leader)からの当日の物量を完了させろという指示を無視するのも難しい。 チョン・ジンヨン組織部長は 「労組があるキャンプはCLに抵抗をするなどの方式で休憩時間を使うのが当然だった。 これにより平均120〜140世帯に配送する」とし 「だが労組がない場合は休憩時間なしで170〜180世帯の配送を担当することもある」と明らかにした。

クーパン支部は2018年からクーパンとの交渉を進行中だが、進展がない。 労組では会社側に、 △6年目賃金凍結、 △非正規職量産、 △配送物量増加による労働強度深化、 △転換配置と常に変わる業務環境、 △固定夜間配送労働強度の増加などの問題を指摘してきた。 チョン・ジンヨン組織部長は 「会社は労組側の案に対して時間稼ぎをしているだけ」とし 「進展は何もない」と批判した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-03-25 10:23:42 / Last modified on 2020-03-25 10:23:49 Copyright: Default

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