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冬の雨とキムチのチヂミ:「この闘争を終わらせたい」

[ヨンジョンのバカみたいな愛](110)韓国道路公社料金所料金受納労働者たちの直接雇用闘争の話(7)

ヨンジョン (ルポ作家) 2020.01.13 10:47

1月13日現在、韓国道路公社料金所で料金受納業務を遂行していた 1500人の労働者たちが直接雇用を要求して解雇され、闘争を始めてから198日、 金泉の韓国道路公社本社で座り込みを始めてから127日になった。 年末から始まった労使交渉は、 韓国道路公社が全体直接雇用の要求などを受け入れずに決裂した状態で、 料金受納労働者たちは金泉の韓国道路公社本社での座り込みとともに、 ソウルの青瓦台と共に民主党議員室での座り込みなどをして闘争を続けている。 現在、道路公社本社で座り込んでいる労働者たちの話を読者と分けようと思う。 - 〈筆者注〉

チヂミ闘争します

「よくいらっしゃいました」

1月7日、しとしと冬の雨が降る午後。 慶北道金泉市の韓国道路公社本社前、 料金所料金受納労働者たちのテントに入ると油の臭いが鼻を刺す。 キムチのチヂミ作りの真っ最中だ。 1500人の韓国道路公社料金所料金受納労働者たちが直接雇用を要求して解雇され、 闘争を始めてから192日、金泉韓国道路公社本社で座り込みを始めてから121日になる日だ。

「食べると福があります。 チヂミ闘争をしています。」

越冬用キムチをざくざく切って青陽唐辛子と玉ネギを適当にまぜた赤い練った物が フライパンでこんがりと焼かれている。 めずらしくトンネルも見える。

「作家さん、さあお召し上がりください。」

テントに入ると料金所の労働者たちがキムチジョンが入った皿と箸を渡す。 キムチジョン一切れを口の中に入れると、 道路公社のビルが見つからず、霧の金泉革新都市をさ迷っていた疲労が あっという間に消える。 とても久しぶりにきたのが申し訳なく、落ち着かないが、 道路公社料金受納の労働者たちは 「これまでなぜ来なかったの?」 「なぜこんなに久しぶりにきたの?」という言葉は誰もしなかった。 しばらく外出してきた人に対するように、 気楽に応対してくれて、チヂミを焼き続ける。

「ますますおいしくなっているよ〜」

二チームにわかれて休む暇もなく作ったチヂミは、 中で座り込みをしていた労働者たちにも配達される。

「クッなんだから、 もっと薄くてかりっとしてよ〜」

「お腹いっぱいなんだ。」

「ワンシク氏、焼くの嫌い? どんどん厚くなるよ〜」

チヂミ焼きチームに志願した韓国道路公社東全州営業所のパク・ワンシク氏が 同僚の可愛い「虐待」に微笑で答える。 ワンシク氏はチヂミ作りは思ったより容易ではないという。

「ときどきつぶれます。 それでも仲間たちがおいしく食べてくれるので気持ちが良い。」

▲キムチチヂミを焼く料金受納労働者[出処:ヨンジョン]

労組のチョッキは腹の肉を隠すために着た

韓国道路公社本社2階ロビー座込場に入ると座り込んでいた料金受納労働者たちが歓迎してくれる。 座込場には多くの変化があった。 一番目につく変化は、情報課刑事以外の警官が見えないことだ。 座込場の周辺に全く警官がいないわけではないが、 これまでのように座り込んでいる労働者が24時間私生活を監視されることはなくなった。 料金受納労働者たちの粘り強い闘争が作り出した結果だ。

警官がいた場所には、料金所闘争に連帯する人たちの応援メッセージが書かれた横断幕とクリスマスツリーなどが置かれていた。 ぜひ一度見たかった「チッコ広場」だ。 消化剤から筋肉弛緩剤まで、ない薬を除いてあらゆる薬がある発泡スチロールの箱で作った 「セルフチッコ薬店」、 あちこちに貼られている座り込み労働者たちに連帯する人たちの気持ちがこもったカードと手紙、 闘争中の受納労働者たちのユーモアと才覚が満ちた4行詩と絵、 どれ一つ闘争の激しさが込められていないものはない。

空間の形態にも多くの変化があった。 冷たい風を防いでもっと安定した生活のために、 ビニールを巻き、ボックスを積み、空間を分離した。 しかし、座込場に入って30分経つと、冷気がからだの中にしみ込む。 一部の労働者がソウルの青瓦台と民主党議員室座り込みのために本社から出て行き、 座り込み人員は最初の半分以下に減った。 民主労総の3つの労働組合(慶南一般労組、公共連帯労組、民主連合労組)の組合員で構成された 100人未満の座り込み隊伍が維持され、中の労働者たちの連帯感は さらに強まったという。 民主連合労組のキム・ドヨン組織部長は 「労組のチョッキは腹の肉を隠すために着ただけ」と言って労組のチョッキの色には意味がないと話した。

▲金泉韓国道路公社本社座込場職故広場[出処:ヨンジョン]

完全に近いコミューン、韓国道路公社本社の座込場

もちろん、変わらないのもある。 24時間清潔に管理されている座込場とトイレ、 徹底した分離回収、廊下と階段バルコニーごとに整然と干されている洗濯もの。 そして闘争に対する情熱と連帯に来る人に対する暖かい歓待と配慮は変わっていなかった。 清掃などの座込場管理当番があったのだが、 当番以前に率先垂範する労働者たちがいる。 韓国道路公社本社座り込み初期の姿を見て、 ここはほとんど完全に近いコンミューンのようだと考えたりしていた。 人が暮らしているのだから不平、不満や対立がないはずがなく、 いわゆる「陰口」もないはずがないが、 全員直接雇用という一つの目標の下に自然に、 そして自発的に秩序が維持されているようすは本当に感動だ。

「作家さん、 あそこに部屋が一つあきました。 ワンルームです。 リモデル可能です。」

「トイレもあるのですか?」

「トイレも近いです。」

「住所を移転して、入居してください。」

座込場が良くなったという筆者の話に、 座り込みをしていた労働者たちが熱い茶を薦めながら笑う。 これほど長くなると、年を越して闘争が続くとは、 闘争を始めた時に誰も予想できなかった。

▲金泉韓国道路公社本社座込場料金受納労働者たちの生活空間[出処:ヨンジョン]

外で買ってきた肉を食堂で焼いて食べた社長

「われわれは長く一緒に職場生活をしても、 他の人たちの3分の1も一緒に勤務できなかった。 ここにきて、みんな挽回しました。 3交代の時は外で一緒にご飯も食べられなかった。 会食する時も、誰かは残らなければならないから。」

部屋の話が会食の話題に移り、 韓国道路公社営業所業者社長に対する糾弾が始まる。

「刺しても一滴の血も出てこない。 職員のピクニックに行ったのですが、3人いるテーブルは肉を3人分、 4人いるテーブルは肉を4人分だけ注文する。 誰が一人分ずつ肉を食べるか? 社長が『もっと肉を注文しろ』そう言わなければならないのに、そうしない。 みんな表情をうかがうだけ。 『姉さん、私たちがお金払ってもっと注文しようか?』 『社長が気分が悪いだろ?』」

ひどいときは外で買ってきた肉を食堂で焼いて食べる社長もいたという。 その食堂から二度とこないでくれと言われて恥ずかしかったという労働者もいる。

「会食に行け、と言われても、みんな行かない。 顔色をうかがって罰として立たされるようなものだから。」

業者の社長は会食費をピンハネするために、 知人の食堂に行って会食をして「カラ領収書」を作った。

「業務に使うものも買わないのに。 ボールペンも買わないじゃない。 ご飯を食べてコーヒー一杯飲んだら、 コーヒーを飲みすぎだとか、そんなことを言う。」

「清掃はきれいにしろといいながら、ぞうきん一つ買わない。 家にあるタオルで使えないものを持ってきて使えと。」

「不当なことが本当に多かった。 今考えれば、なぜ私たちがそんなことに一言も言えずにやられたのか。」

2015年1月、韓国道路公社全北地域営業所で働き、 昨年7月1日に解雇されたユ・ミョンスク氏(公共連帯労組所属)は、 そこで働いていた自分の姿を思い出さすたびに腹が立つという。

正規職判決にも直接雇用を拒否する韓国道路公社

ミョンスク氏が入社した時、 韓国道路公社営業所所長は同じ事務室で勤務していた。 面接もこの人がした。 1か月後にその所長は席を整理して韓国道路公社支社に行ったが、 料金受納業務方式には何の変化もなかった。

「私が7ケ月後に事務室で主任として働き始めたのですが、 (韓国道路公社の)所長さんが私たちの仕事を審査して、 何か間違いがあれば 『ユ主任、誰が勤務していたのか? 誰がしたのか? その日の勤務票を見て差額を取れ』と すぐに支社に電話がきます。」

支社から未納処理の指示があれば処理しなければならず、 顧客が不便事項があると抗議すれば、支社の代わりに電話もした。 ミョンスク氏は自分が韓国道路公社正規職になるべきだと考えたが、 直接雇用の道は容易ではないと思い、初めは子会社を選択した。 その後、家族と知人の説得で考え直して直接雇用を選択するという内容証明を送る。

「夫もそうで、皆が直接雇用を応援するといいます。 大変なことは分かるが、その道を行ってみよう決心しました。」

闘争を始めて5か月後の12月6日、 ミョンスク氏は韓国道路公社の正規職だという判決を受けた。 だが、道路公社は2015年以後の入社者は、 不法派遣要素が除去された状態で働いていたとし、 1500人全員の直接雇用を拒否している。

昨年8月29日の745人に続いて12月26日、 大邱地方法院金泉支院は4116人の道路公社料金受納労働者が提起した勤労者地位確認訴訟で、 彼らは韓国道路公社正規職だと判決した。 これは訴訟人7301人の74%に当たる人数だが、 道路公社は相変らず判決をさらに見まもるという。

座込場であらゆる行事をしました

「7月さえ頑張れば8月には勝てる。 8月さえ頑張れば秋夕前には勝てる。 『秋夕名節には帰れる』家にはそう話しました。 座込場の中であらゆる行事をしたようです。 名節も過ごし、実家のお父さんの命日も過ごし、舅の命日も過ごしました。 小姑が一昨年なくなったのですが、その命日もここで過ごしました。 お母さんは2階の階段に上がって足を骨折しましたし。」

ミョンスク氏はここであらゆる行事をして、座り込み50日が過ぎてから家に帰ったという。 その間、多くのことがあった。 昨年9月9日、回転ドアを突破してここに入ってきた日、 社長室は20階だというので非常階段を必死にかけ上がり、 立ち往生して閉じ込められたこともあり、 警官に外に引きずり出されたりもした。 警察と道路公社の職員の侵奪に対し、 女性労働者たちが上着を脱いで抵抗した胸が痛む記憶もある。

座込場のあちこちには、ミョンスク氏が描いた絵が貼られている。 ミョンスク氏の才能を仲間たちに見つけ、絵の注文製作の要請が殺到した。 本社座り込み100日を超えても一度も会えなかった李康来(イ・ガンネ)前社長は、 退任後に国会議員選挙運動事務室の開所式に行って見ることができた。 仲間がいて、家族の応援があったから可能だった190余日だった。 中でも一番大変だった瞬間は、共に闘ったルームメートの仲間が辞めた時であった。

「10月9日、韓国労総料金所労組が合意した時、臨時職として入りました。 周囲で誰かが動揺させたようです。 その仲間がその選択をしたことよりも、その仲間と一緒に過ごした時間を思い出すとつらい... 青瓦台闘争の最初からずっと一緒にしました。 朝起きればこの友人が『姉さん、お腹がへった』と言ったのが 幻聴のように聞こえます。そんなことがとても苦しい。」

辞めていったその同僚と最近一度会ったが、 「私はなぜ姉さんのようにできなかったのかわからない。 他の人は誰にも申し訳ないとは思わないが、姉さんには申し訳ない。 うまくいきそうで気が楽だった」と話したという。 その時、少なくない人員がここの座込場から出て臨時職になったし、 ミョンスク氏はその時、ルームメートを見送った他の労働者と新しいルームメートになった。

▲金泉道路公社本社に貼られたユ・ミョンスク氏の絵[出処:ヨンジョン]

私たちがあまりにも希望を持ちすぎたのかもしれない

韓国道路公社使用者側と交渉が行われた最近も、とても大変だという。 李康来社長が初めて参加した12月11日の交渉を控えて、 受納労働者たちは2日間五体投地をして切実な気持ちをあわせた。 だが、道路公社と李康来社長は 労働組合に一言の言質も与えず、 2015年以後の入社者を分離する立場を一方的に発表し、 その内容で合意が形成されるかのようにマスコミは報道した。 李康来社長は 総選挙に立候補するために12月17日に道路公社を退任し、交渉は決裂する。 最近の1月9日までに解決方案を前向きに検討して答えるという道路公社は、 結局全体直接雇用を受け入れなかった。 賃金と職務・告訴告発取り下げに対しては、 正規職の職員が大騷ぎになるという理由で議論自体を拒否している。

「何というべきでしょうか。 疲れたというべきでしょうか。 疲れてはいけないのに、力が抜けます。 仲間たちも力が抜けて... 私たちがあらかじめ希望を持っていたからかもしれません。 良い方向で、よいと思っても、それがだめだから... 私たちがあまりにも希望を持ちすぎたのかもしれない。 道路公社はそんなところではないのに... 大きな期待もしていなかったが、それでも残念です。」

だがミョンスク氏は、道路公社がそのだからといっても 放棄して終わらせる闘争ではないといった。 最後まで行ってみたいといった。

「私たちが行くべき道だが、諦めずにやり直すという気持ちで頑張らなければいけません。 今は後悔よりも、この闘争の終わりがどこなのか、そのほうが気になります。 本当の終わりに行ってみたいです。 終わらせたいです。 どのようにしてでも... この闘争が終わる時は、私が失業給付を受けとっている時だと考えていましたが、 今は意地になっています。 最近、私たちが静かにしていたのですが、 入口で葬送曲もかけてもっと熱くしなければと思います。」

▲金泉道路公社本社座り込み場で集会中の料金受納労働者[出処:ヨンジョン]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2020-01-23 22:05:51 / Last modified on 2020-01-23 22:05:52 Copyright: Default

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