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花屋で働かなければならなかった現代モービス下請労働者

[寄稿]非正規職労組への加入拡大、対立が消えて団結が残る

ソン・セギョン(金属労組大田忠北支部事務局長) 2019.10.30 08:53

2003年10月26日、勤労福祉公団で非正規職として働いたある労働者が 「非正規職撤廃」を叫んで自分のからだに火をつけた。 まさにイ・ヨンソク烈士だ。 この日を忘れられない労働者たちは、 毎年全国非正規労働者大会を開いて街頭に出て、烈士の意を思い出して知らせた。

非正規職ない忠北作り運動本部(以下、非正規運動本部)も毎年10月の最後の週に 「非正規撤廃闘争週間」を宣言し、地域の非正規労働者たちと共に 多様な活動を繰り広げてきた。 今年は非正規労働者たちの労組する権利、公共部門非正規労働者たちの 「まともな正規職転換」闘争を地域社会に知らせ、連帯の力を集めようとする。 ここに政府の労働法改悪攻勢で埋ずもれた 「労組法第2条全面制改正」問題も共に話したい。

今年の忠北地域非正規労働者の闘争は、民間委託労働者たち、 特に廃棄物収集運搬労働者たちが中心にあった。 ここに非正規労働者たちが労働組合を積極的に作り、 差別の職場を変えるさまざまな活動も繰り広げた。 ほとんどが下請、用役、民間委託など、間接雇用労働者たちだった。 小さな事業場の労働者たちの権利探し運動も本格化した。 今回の寄稿を通じ、彼らの話を共に分けあいたい。 差別の職場を変えるための非正規労働者たちの叫びと行動、 これらの労働者の話に耳を傾けてみよう。

-非正規職ない忠北作り運動本部

拡大する非正規労働者の労組加入

金属労組が会う非正規労働者は、ほとんどが下請労働者だ。 この1年間で金属労組大田忠北支部に3か所の非正規事業場が加入した。 労組加入の問い合わせも増え続けている。 以前なら解雇を覚悟して労組を作らなければならなかったが、そのような負担も減った。 この20年間続いた非正規労働者闘争の結果だ。 だが不安な雇用、常識以下のカプチル(パワハラ)、 日常的な差別、低賃金など、非正規労働者たちの現場は相変わらずだ。 変わったことがあるとすれば、 下請労働者が堂々と労組する権利を叫んで立ち上がったこと。 権利探しを始めた下請労働者の話を紹介したい。

2019年6月12日、モービス梧倉物流工場で働く下請労働者100人が 金属労組大田忠北支部に加入した。 彼らの仕事は、現代モービス物流センターに自動車部品が入ってくると 忠清地域の代理店に出庫することだ。 工場はモービスの工場だが、作業はすべて下請企業が担当している。 先日は下請企業が一つに統一された。 うわさでは不法派遣の余地をなくすためだという。 しかし明らかなことは、 元請はモービスと、働く労働者たちは、すべて下請労働者という事実だ。

[出処:非正規職ない忠北作り運動本部]

花屋で働かなければ昇進できない会社

労組の扉を叩いた理由を尋ねた。 ユン・ギソン支会長は、 梧倉物流工場で起きたカプチル(パワハラ)の事例を挙げた。

「理事だったファン○○は、本当に私たちを思い通りに働かせました。 ファン○○理事の夫人が花屋を運営していました。 われわれは勤務時間にも花屋の店に呼ばれて雑用をしました。 うまくその仕事をすれば職級が上がりました。 狂って頭がおかしくなります」。

初めての相談でこの話を聞いた時 「それでも元請がモービスと大企業下請なのに、そんなことが可能だろうか?」 と信じ難かった。 だが事実だった。 昇進基準もなく、組織運営もめちゃくちゃだった。 労働者たちがこれに我慢して耐えたことが不思議に思った。

「10年働いてもファン○○理事の気に入らなければ昇進できませんでした。 一緒に働く同僚どうしで、ある人は花屋で働いて昇進したが、 ある人は押しやられてひどいことが行われました。 もう我慢できず、労組を作ろうと決心して金属労組を訪ねました」

人々は大企業の下請も「大工場の労働者」だという。 しかし現実は「最低賃金労働者」でしかない。

「私は200万ウォン程度もらっています。 10年働いて賃金は3〜40万ウォン上がりました。 ただ最低賃金が払われます。 一人で暮らしている人は、会社に通う価値はあります。 しかし結婚すれば共稼ぎをしなければ暮らしが難しいです。 同僚はほとんどが30〜40代です。みんな子供がいます。 この月給では生活が苦しいのが現実です。 職場を放棄できないのは、変わってもあまり違わないからです。 それでもここは年間300万ウォン程度のボーナスが出ます。」

労働者たちは低賃金人生から抜け出したかった。 一日に8時間働けば、少なくとも窮乏の心配がない生活賃金を受け取りたかった。 韓国の経済力が世界12位だと言うが、 低賃金のくびきから抜け出そうという要求は欲張りだろうか!

雇用不安問題も深刻だった。 下請は業者がよく変わる。 下請労働者にとって業者変更は雇用の威嚇に感じられる。 今回は物流下請企業を一つに統合するという話が出回った。 雇用不安が襲撃してきた。

「事実、労組を作ればすぐに解雇されるという恐れもありました。 しかし労組を作って雇用継承が保障されたところが結構ありました。 恐れが消えて、無条件作らなければならないとだけ考えました」

職場の上司のカプチル(パワハラ)、低賃金、雇用不安など、 下請労働者が味わう問題は大同小異だ。 それでも労組の扉を簡単にたたくことができなかったのは、 「労組を作れば解雇(解約)」という元請の労組弾圧が蔓延していたためだ。 だがこの十数年の間に多くの下請労働者が解雇されても放棄しなかった 「労組する権利」。 その闘争の歴史があったため、今では下請労働者は自信を持って労組の扉を叩く。 もちろん元請の下請労組弾圧は相変らず激しいが。

「対立」が消えた場を「団結」が埋めた

労組を設立すると、 現場は急速に変わって行った。

「もう管理職の顔色をうかがわずに暮らせそうです。 ファン○○が住んでいる家に行きました(笑)。 もう泣きながら花屋に行くことはなくなりました」

「事実、花屋で働いた組合員と、働かなかった組合員の間に いつも対立がありました。 しかしファン理事が消えてから対立も消えました。 その代わりに労組にかたまり始めました」

労組を作って4か月で賃金以外の団体協約を締結した。 今は賃金交渉に集中している。

「私たちより先に労組を作った物流センターと部品工場があったので、 団体協約は難しくありませんでした。 下請労働者に適用される団体協約は同じです。 問題は賃金です。 他の部品業者より2〜30万ウォン低いのです。 中間で業者が横取りしているのではないかと考えています。 不足の賃金は取り戻さなければ」

10月21日。 労働者たちは「ストライキ闘争勝利前進大会」を開いた。 闘争発言をしたユン・ギソン支会長は 「われわれは一緒にいれば、何も恐ろしいことはありません。 苛酷で冷酷な現実がわれわれの前を遮っていますが、 みんな共に手を取って、その壁を乗り越えましょう。 われわれの権利のために闘います」と決意を示した。 対立が消えた場を団結で埋めた労働者の自信に満ちた雄壮な声だった。

「労組はわれわれにとって大きな力になっています。 賃上げ闘争は単にいくから賃金を上げることよりも、 闘争を通じて組合員が自ら自尊感を高めて、 労組の主人になる一番の近道だと学びました。 学んだ通り実践しようとしています」

本格的な戦いはこれからだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-11-06 12:36:31 / Last modified on 2019-11-06 12:36:34 Copyright: Default

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