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希望拷問を越えて自ら権利を探す労働者たち

[寄稿]忠北地域コールセンター相談労働者、病院清掃労働者、廃棄物収集運搬労働者たち

ソ・ボラム(公共運輸労組忠北本部組織局長) 2019.10.29 13:40

2003年10月26日、勤労福祉公団で非正規職として働いたある労働者が 「非正規職撤廃」を叫んで自分のからだに火をつけた。 まさにイ・ヨンソク烈士だ。 この日を忘れられない労働者たちは、 毎年全国非正規労働者大会を開いて街頭に出て、烈士の意を思い出して知らせた。

非正規職ない忠北作り運動本部(以下、非正規運動本部)も毎年10月の最後の週に 「非正規撤廃闘争週間」を宣言し、地域の非正規労働者たちと共に 多様な活動を繰り広げてきた。 今年は非正規労働者たちの労組する権利、公共部門非正規労働者たちの 「まともな正規職転換」闘争を地域社会に知らせ、連帯の力を集めようとする。 ここに政府の労働法改悪攻勢で埋ずもれた 「労組法第2条全面制改正」問題も共に話したい。

今年の忠北地域非正規労働者の闘争は、民間委託労働者たち、 特に廃棄物収集運搬労働者たちが中心にあった。 ここに非正規労働者たちが労働組合を積極的に作り、 差別の職場を変えるさまざまな活動も繰り広げた。 ほとんどが下請、用役、民間委託など、間接雇用労働者たちだった。 小さな事業場の労働者たちの権利探し運動も本格化した。 今回の寄稿を通じ、彼らの話を共に分けあいたい。 差別の職場を変えるための非正規労働者たちの叫びと行動、 これらの労働者の話に耳を傾けてみよう。

-非正規職ない忠北作り運動本部

労働者たちの闘争は続いている

公共部門非正規職正規職転換政策が発表され、その議論が始まって2年経った。 その時間は10か月契約職労働者だった期間制労働者と用役業者の所属で 1年ごとに雇用不安に苦しんだ非正規職労働者が公務職という名前を得る時間だった。 もう一方では直接雇用についての議論さえきちんと形成されなかったり、 公共機関の子会社圧迫と団体協約で保障された定年縮小などの労働条件を後退させる主張により、 労働者たちが希望拷問を体験する時間だった。

公共部門非正規職正規職転換政策の発表から2年経った2019年10月。 非正規職正規職転換以後、自信がついたという清州市365民願コールセンターの相談労働者、 2年ほど正規職転換のために闘争している 医療連帯本部忠北支部ミンドゥルレ分会の清掃労働者、 民間委託を撤廃して直接雇用を要求して戦っている廃棄物収集運搬労働者の話を聞いた。

[出処:非正規職ない忠北作り運動本部]

「互いに本当にとても親密になりました。」

2019年4月1月、清州市は用役労働者123人を直接雇用した。 清州市の民願を受け付ける365民願コールセンターの労働者たちも含まれた。 清州市の代表電話は365民願コールセンターにつながる。 しかし、相談労働者たちは用役業者の所属だった。 直接雇用の前までコールセンターで働く労働者は、 毎年雇用不安と毎月繰り返される業務評価で深刻なストレスを経験した。 試験でも色々な評価で、毎月一等から25等までを並べて成果給を支払い、 評価点数が低い人々は再評価と再教育を受けるという現実の中で、 労働者たちの間の団結は夢にも見ることができなかった。 不満があっても我慢しなければならなかった。

しかし直接雇用以後、用役業者の管理者によるカプチル(パワハラ)が消え、 清州市の各部署間の協力も高まり、 相談労働者一人一人がさらに責任感と自負心を持って働ける環境ができた。 公務職転換後、良くなった点などを相談労働者に尋ねた。

「公務職になって、能力評価制度が消えました。 そうすると互いに顔色をうかがうことなく、 業務だけに集中できる雰囲気になります。 同僚とも仲良くなりました。」

相談労働者たちは勤務環境がとても良くなったと話す。 消えたのは「評価」と「不安」だけなのに、彼らの職場はこのように変わった。

このために2年待ったのか。希望拷問を終わらせよう

だが2年余りの間、希望拷問に苦しむ労働者もいる。 医療連帯本部忠北支部ミンドゥルレ分会の清掃労働者たちだ。 彼らは忠北大病院が快適で清潔な状態を維持できるように、 忠北大病院を掃いて拭く清掃労働者たちだ。 2017年7月20日の正規職転換政策発表から2年以上の時間、 国立大病院は用役労働者の正規職転換を引き延ばした。 そのうちに最近、ソウル大病院と慶北大病院が用役労働者たちを 直接雇用することに合意して、忠北大病院でも議論が始まった。 ところで現在、忠北大病院は直接雇用した時には定年を縮小するなどを主張して、 清掃労働者たちを愚弄している。 用役労働者転換について、政府のガイドラインに明示される 「既存の団体協約を尊重して高齢者に親和的な職種である 清掃、警備労働者の定年を別に決めることができる」という内容を 病院側はつとめて無視する。

病院側は清掃労働者を直接雇用すると、 満60歳以上の労働者は「1年の猶予期間付与」という、 清掃労働者たちが決して受け入れられない内容を強要している。 現在、忠北大病院清掃労働者の定年は団体協約上、満66歳だ。 このままなら直接雇用の議論が労働者の解雇に帰結する。 労働者たちはくやしさを訴えている。

「病院に入った時、満65歳まで働くものと思って入りました。 他の職種の労働者と同じ賃金を払いもせず、 定年だけ削ろうとするのはおかしくありませんか? あきれています」。

「組合員の半分は60歳を越えました。 2年待ったのに、今になってみんな出て行けというのが...(ため息) こうしてもクビになり、ああしてもクビになる状況なのです。 闘争をしないわけにいきません」。

現在、忠北大病院清掃労働者たちは出勤、昼休み、退勤宣伝戦を行いながら、 病院側の不当さを知らせている。 非正規職労働者は定年、労働条件など、 いつも「常に危険性を持っているようだ」という労働者の不安な気持ちは、 いつ頃消えるのだろうか。

社長だけが腹を肥やす民間委託はもうなくせ

清州市の生活類廃棄物収集運搬労働者の劣悪な労働環境は、昨日今日のことでない。 「夏、冬は本当にとても大変です。 重いゴミを毎日運ぶので見たら正常な人は殆どいません。 それでも労災も出せません」。

[出処:非正規職ない忠北作り運動本部]

このように働くが、 民間委託業者所属廃棄物収集運搬労働者たちは雇用不安に苦しみ、 社長の「カプチル(パワハラ)」で苦しむ。 民間委託業者は清州市と契約する時、 特別な事情がなければ労働者の雇用維持と雇用継承を約束する。 しかし現実では、大部分の業者が労働者を1年契約職として使い、 労働者は特別な事由なく解雇されないという内容をよく知らない。 また労災申請や労働組合加入を理由として解雇するという言葉を 平然と言う場合が存在する。

実際の業務はすべて労働者たちがするのに 「全体委託費用のうち社長の分け前はとても大きい」のも問題だ。 全体予算の9%の費用が利益として支払われるだけでなく、 一般管理費、その他の経費などの項目も、 コスト削減をして利益を得ているということだ。 さらに労働者に提供されるべき福利厚生(食費、被服費など)が きちんと支払われていないケースも一つや二つではない。 結局、市が労働者の福利厚生のために策定した費用が社長のサイフに入るのだ。 また、民間委託業者は同じ労働をする労働者に合理的な事由なく賃金差別を強要し、 労働者を統制して嘱託延長という武器を振り回し、 労働者に非人格的な待遇を甘受させている。

現在、清州市は生活類廃棄物収集運搬の民間委託の妥当性を議論している。 妥当性を検討する大きな指標は、公共性と効率性だ。 「業者の社長がする仕事は入札に参加すること以外にない」 という労働者の言葉のように、 民間の専門的な装備と技術力ではなく、 労働者の労働により全的に維持されている生活類廃棄物収集運搬は、 直接雇用が民間委託よりさらに多くの公共性を担保するほかはない。 また、効率性という面でも民間委託を運営した時にかかる 直接の費用と社会的費用などを考慮すれば、 民間委託の効率性の方が大きいという主張も力を失うほかはない。 よくマスコミに登場する民間委託業者の各種の不正、 汚廃水放流問題、家族経営による問題、 高い労災率などによる社会的損失と、 これを解決するための管理監督費用なども考慮されなければならないからだ。

仕事には貴賎がないという。 しかし同じ労働をしながらも、直接雇用、間接雇用に区分され、 非正規職労働者たちは賃金差別に耐えている。 「ゴミを片づけるからと、私たちをゴミ扱いしているようだ」という 清掃労働者たちの言葉のように、 非正規職労働者たちは非正規職だという理由で悲しみと不安を味わっている。 政府が作り出した希望拷問を超えて、労働者たちの団結した闘争、 これ以上はこうして生きていられないという叫びが集まる時、 労働者たちの人生がより良くなるという事実をまた思い出すべき時だ。 疲れずに共に闘争する時、非正規職労働者たちの悲しみも消えるだろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-11-04 12:25:47 / Last modified on 2019-11-04 12:25:53 Copyright: Default

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