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文在寅政府は特殊雇用労働者の労働基本権保障の約束を守れ

[寄稿] 5.11非正規職大行進を控えて

イ・チャンベ(代理運転労組事務局長) 2019.05.08 16:36

4月13日、特殊雇用労働者2万人は 「労働三権完全争奪」を叫んで青瓦台へとデモ行進した。 文在寅(ムン・ジェイン)政府が候補の時に 特殊雇用労働者の労働基本権を保障するという約束を履行するどころか、 逆に使用者の対抗権などの労働改悪を推進しているからだ。

[出処:チャムセサン資料写真]

3月25日に韓国労働研究院が発刊した報告書(特殊形態勤労従事者の規模推定に対する新しい接近)によれば、 特殊雇用労働者は221万人で、就業者全体の2709万人の8.2パーセントに達すると明らかになった。 しかし特殊雇用労働者は、仕事は労働者と違わないのに事業者に分類され、 労働三権のような最も基本的な権利さえ保障されない。 そのために特殊雇用労働者は老後、健康、労災危険に対する保障から排除されている。 使用者は労組法第2条を根拠で特殊雇用労働者の労組を否定し、 団体行動も「不法」として処罰されるのが常であった。

特殊雇用労働者は1990年代の後半から20年間、労働基本権保障を要求して闘争している。 しかし歴代の政府は増える特殊雇用労働者の保護対策が必要だという点は認めつつも、 労働基本権保障は頑なに拒否してきた。

過去に盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は、特殊雇用労働者労働基本権の代わりに 「特殊形態勤労従事者保護対策」として労災保険の適用と公正取引法などの経済法的保護を推進した。 この時、労災保険の特例適用のため基準を定めるにあたり 「一身専属性、経済的従属性、非代替性」が基準として提示され、 「専属性」の概念はその後「一つの使用者」に属さない大部分の特殊雇用労働者に対し、 労働者ではないという判定をする基準になった。 その後、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権の時の 特殊雇用労働者に対する対策は、 労災保険の特例適用対象にある2つの業種を追加したことがすべてだった。

朴槿恵を引き下ろしたキャンドル運動の余波の中で行われた2017年の大統領選挙当時、 文在寅は特殊雇用労働者の労働三権保障、 ILO基本協約(結社の自由、団結権保障)の批准を約束した。 国家人権委員会も特殊雇用労働者の労働基本権保障立法を推進しろと勧告し、 雇用労働部がこれを受け入れると明らかにし、 特殊雇用労働者は20年の念願がやっとかなうようになったと期待感を持った。

しかし執権3年目になった今でも約束は履行されるどころか、 むしろ紙切れになりつつある。 経社労委傘下の労使関係制度慣行改善委員会でも、 ILO基本協約批准を議論する過程で特殊雇用労働者労働基本権に関する事項は 「今後摸索」するという抽象的な文句が含まれただけだ。 したがって、労使関係制度慣行改善委員会の公益委員の勧告案を基盤として作成された労組法改正案(韓貞愛(ハン・ジョンエ)代表発議)にも 特殊雇用労働者に関する内容はない。

むしろ経社労委は使用者対抗権を議論して推進しようとし、 韓貞愛(ハン・ジョンエ)、林利子(イム・イジャ)などの環境労働委議員は 特殊雇用労働者の労組活動を制約する改悪案を立法発議している。 現在、特殊雇用労働者に関して国会に提出された各種の法案や政府政策は、 労働三権の保障より雇用保険適用などの特殊雇用職職種別の保護対策を用意することに集中している。 それも適用対象を大統領令(施行令)で決めることにしていて、 雇用保険も労災保険のように職種を区分して制限的に適用する可能性が高い。 労働基本権も国会法案審議の過程で、職種別に保障する側で結論を出す可能性も排除できない。 プラットホーム労働者たちのような新しい職種で特殊雇用労働者が増加している状況で、 職種別保護法案は現実をきちんと反映するのは難しい。

また「専属性」などで労働者性を分ける基準をそのまま維持すれば、 それさえも特殊雇用職の一部しか適用されない法案になるだろう。 この「専属性」の基準により、 現在、労災保険特例適用の対象は20万の代理運転労働者のうち18人しかいないのが現実だ。

保守指向の団体であるILOさえ、韓国政府の労働政策に憂慮を示して特殊雇用労働者の労働基本権保障を数回勧告し、中核的協約を批准するように要求し続けてきた。 来る6月のILO 100周年総会を控えてEUの通商問題まで議論され、 文在寅政府のILO中核的協約批准はもう先送りするのが難しくなった。 しかし文在寅政府は 「社会的対話により譲歩と妥協で問題を解決」するべきだとし、 先立法、後批准の立場を取っている。 一言で、労働改悪により労働者たちの手足を縛り、 ILO中核的協約を批准しても「使用者対抗権」がしっかり作動するようにしようとしているのだ。 また、特殊雇用職には労働三権のうち団結権や団体交渉権の一部だけを狭く保障しようとしているのだ。

特別法により、労働三権のうち1権または1.5権、つまり団結権と交渉権の一部だけを保障する案は、 現実には労働基本権を否定する既存の案と特に違わない結果を生む。 すでに設立証の交付を受けた宅配連帯労組と学習誌労組は、 業者から交渉を拒否されており、 14の地方自治体で設立証の交付を受けた代理運転労組は業者の不当労働行為を告発したが、 労働部は何の措置も取っていない。 したがって、労組の設立証は現実には使用者により、 いくらでも無用の物になることが立証されている。

したがって、特殊雇用労働者たちは労働三権の全てを保障させるために、 特別法ではなく労組法2条の改正を要求している。 文在寅政府はILO中核的協約をまず批准して、 それに合わせて労組法などの関連法案を遅滞なく改正しなければならない。 「他人のために労務を提供してその代価を受け生活する者」すべてを労働者と規定し、 そこに解雇者と失職者も入れる内容の法案もすでに国会に発議されている。

労働基本権は取り引きや交渉の対象ではない。 特殊雇用労働者などは文在寅政府の労働改悪を阻止するために闘争し、 憲法が保障する労働三権を全て適用しろという要求から一寸も退かないだろう。 文在寅政府はILO中核的協約批准のための措置を遅滞なく即刻履行しろ! 労組法2条を即刻改正しろ! 特殊雇用労働者の労働三権を保障しろ!

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-05-17 12:46:24 / Last modified on 2019-05-17 12:46:26 Copyright: Default

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