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公共機関の人員削減は大事故につながる…「無資格者が地下鉄運転も」

繰り返される公共機関の安全事故対策のための討論会

パク・タソル記者 2019.03.15 19:11

火力発電所の非正規職労働者キム・ヨンギュン氏の死亡事件、 KT通信施設火災事故、白皙駅熱水官破裂事故、KTX江陵線脱線事故まで、 昨年末に発生した各種の大事故は公共機関のいいかげんな安全管理を示す指標だ。 歴代の政権は公共機関安全対策を着実に出していたが、 労災をはじめとする各種の事故は止まる兆しが見えない。 政府は3月末に総合的な安全対策を出すというが、 公共機関の従事者は現場の声が反映されない限り、各種の事故は止まらないと警告する。

3月15日午前、国会では公共運輸労組などの主催で政策討論会 「繰り返される公共機関安全事故、国民の安全を守る解決法はないか」が開かれた。 ここには6人の労働者が出てきて直接、現場の事例を証言したが、 効率性を理由として人員を削減する対策に対し、 労働者、市民の安全がなすすべもなく後退していると指摘した。

この日、問題提起をしたキム・チョル研究室長は 「公共機関改革政策の推進方式に違いがあるだけで、 この20余年間の公共部門改革の核心は、 新公共管理(NPM)の基調に立脚した公共部門構造調整と経営効率化だった」とし 「李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権は押し付け人事、 コード人事の投下等により発生する政策的な非能率性の問題の改善はいいかげんで、 公共機関の人員削減、経営効率化だけに関心を持って、 まさに公共機関の慢性的な問題を放置した」と批判した。

ソウル交通公社常務本部のパク・チャニョン事務局長は 「地下鉄現場で働くあらゆる分野で人員が足りない」とし 「機関士の場合、機関士が足りず無資格者が運転することもある」と話した。 パク事務局長は「最近、ソウル地下鉄は乗務員を指導して乗務員を管理すべき管理者に地下鉄の運転を任せている」とし 「彼らは機関士の免許があるだけで、規定で必須条件になっている実習もせずに投入されるが、 その上に運転をしたことがない人にも列車運転をさせ始めた」とした。

駅員の人員も不足しており、70%以上の駅が事実上1人駅だ。 ソウル地下鉄5〜8号線の150の駅のうち107区域(駅全体の71%)で駅員は2人配置しなければならないが、 教育、休暇などでたった1人の駅員だけが働いている日がよくある。

まるで乾いたぞうきん絞るように、足りない人員は新しい路線ができると、さらに割れる。 新しく延長した釜山地下鉄の多大区間は183人が必要人員と算出されたが、 新規採用はたった4人だけだ。 既存路線の人員を削減して転換配置し、契約職を採用するなどの事が行われていたためだ。 パク事務長は「既存路線で人員を削減し、転換配置したため、 多大区間も危険になり、残りの区間でも人員が減り地下鉄の安全は後退した」と批判した。

ガス施設を検査する検査員の業務量過多が不良調査につながるという警告もあった。 韓国ガス安全公社労組のク・グァンモ委員長は 「昨年、江陵ペンション有毒ガス窒息事故で韓国ガス安全公社が起訴されて裁判を受けているが、 該当検査員のスケジュールを調べるとその日一日で16件を遂行した。 地方の場合100km、200km走って移動をするが、 きちんと安全管理できるのか疑問」と憂慮した。

ク委員長は企画財政部の「経営評価」を批判して 「『安全管理機関』の特殊性と社会的価値を無視した一律の定規で経営効率性向上など、 強制的な革新と成果の要求で疲労感と共に内部での反発が増大している」と明らかにした。 また「収入(売上額達成率)、業務生産性、検事処理率などの指標は公共性を低下させる」とも話した。

当然、週52時間を超えて働く不法な労働環境になる。 仁川空港の環境美化労働者は一日7.5時間、週6日働く。 仁川空港地域支部のオ・スノク主席副支部長は 「社会的常識の週5日制を要求する闘争をしている」とし 「常識的な要求をしているのに誰も議論しようとせず、 (使用者側の関係者)誰もテーブルに出てこようとしない」と吐露した。

仁川空港は第2ターミナルの開港で、第1ターミナルの利用客数が減少することを考慮して1ターミナルの人員を減らした。 だがこのような予測ははずれた。 2020年にならなければ利用客が6千万人に達しないと予想していたが、 2017年にすでに6100万人を超え、今年は7400万人の旅客が仁川空港を利用するものと見られる。

オ主席副支部長は 「第1ターミナルの各種施設の維持補修人員が削減されて、 道路は2万キロ延びたのに道路管理の現場人員は1人しか増員されなかった」とし 「今年、安全が社会的な問題なって、 手荷物処理施設維持補修業務も2人1組で作業しろという文書が降りてきたが、 現在の人員では不可能な状況だ。 補充のない2人1組の作業指示は何の意味もない紙きれでしかない」と批判した。

むなしい2人1組の作業指示に対する指摘は、 故キム・ヨンギュン氏が属していた韓国発電技術支部からも出てきた。 公共運輸労組韓国発電技術支部泰安火力支会のイ・ジュンソク支会長は 「2人1組のためには50人が必要だが、13人しか補充されなかった。 公共機関での転換時点に合わせて補充するというが、 それまでは現場巡回を減らせという。 現場巡回が減れば火災の危険が高まる。 発電所の中の粉塵が混じると簡単に自然発火する」と警告した。

韓国地域暖房公社労組のキム・グァンソク委員長は 「熱水送水管が20年、30年すぎて老朽化すると腐食や破損で各種の故障が頻繁になるが、 検査所と整備所のどちらも人員が増えない」とし 「既存の人員まで減らして、監督を強化しようとするだけというのが問題」と明らかにした。

安全事故が起きると個別の公共機関の職員に責任を転嫁することも重要な問題として議論された。 キム委員長は「高陽市白皙駅の近くで起きた熱水送水管の事故で職員9人が起訴された。 だが誰が国民に被害を与えて働きたいか。 根源的な責任は企財部にある」と批判し 「3年単位で変わる経営者の声を聞くのではなく、頼むから現場の声を聞いてくれ。 現場の声が政府の構造に反映される構造にしなければならない」と訴えた。

社会公共研究院のキム・チョル研究室長は 「こうした安全人員不足と外注化、非正規職問題を主務部署は該当公共機関に押し付けて、知らんふりで一貫している」とし 「〈勤労基準法〉改正により労働時間短縮・交代制改善を並行しなければならないが、 応急的・奇形的な交代制改編で人員が補充されていない状況」と説明した。

キム・チョル研究室長は、 △公共機関民営化・機能調整中心の公共機関政策基調転換、 △外注化中断および安全人員拡充、 △公共機関の老朽施設および運営改善、 △経営評価など安全関連評価・制度改善、 △安全関連公共機関押し付け人事の根絶などを公共機関安全管理改善法案として提案した。

一方、この日は企画財政部、国土交通部、産業通商資源部所属の公務員も参加して 指摘された問題に対する答弁を聞くことができた。 公共機関の安全実態を証言した労働者たちは、 政府の安全対策に彼らの声が反映される構造を要求したが、 すっきりした回答はなかった。

キム・グァンソク委員長が 「総合対策発表前に労働界や現場の人と事前協議をするつもりがあるか」と尋ねると、 ファン・ビョンギ企画財政部安全政策チーム長は 「機会があれば一度検討してみる」という形式的な回答をした。 ファン チーム長はこの日指摘された人員不足の問題については 「今、個別の公共機関から資料を集めて審議している。 (労働者たちの要求が)3月末までに十分に反映されるように努力する」と述べた。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-03-21 17:41:45 / Last modified on 2019-03-21 17:41:46 Copyright: Default

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