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非正規職は連帯を通して、権利を探す

[企画連載]すべての労働に捧げます(4)

キム・ヘジン(全国不安定労働撤廃連帯常任活動家) 2019.03.08 11:06

〈すべての労働に捧げます〉連載を始めるにあたって

非正規職が増えるにつれ、労働者の権利はますます剥奪された。 ところで労働者たちが正規職になれば幸福になるのだろうか? 今は正規職労働者も雇用不安に苦しみ、未来の希望を失っている。 少しでもさらに稼ぐためには長時間労働も拒まず、 差別と階層化に馴染み、非正規職を蔑視したりもする。 時には非正規職を雇用の安全弁にしようとする。 非正規職という雇用形態が労働者の権利を傷つけているが、 非正規職運動の目標は単に雇用形態を正規職に変えるだけではなく、 「すべての労働者の権利を保障」することでなければならない。 非正規職ない世の中作りネットワークと全国不安定労働撤廃連帯は、 労働者にとってどんな権利が保障されなければならないのか、 非正規職の目で見て共に討論しながら「非正規職社会憲章」18条項を作った。 その内容は「すべての労働に捧げます(五月の春出版社)」という単行本で発行された。 そのうち4つの条項について読者と共に話したい。

[出処:全国不安定労働撤廃連帯]

〈非正規職ない世の中のための社会憲章18条〉

労働者たちは階層と競争を拒否して 同じ境遇の労働者たちと 団結して闘争して連帯して政治的に立ち上がる権利がある。

「私がキム・ヨンギュンだ」

2018年12月11日、「非正規職もうやめろ、1100万非正規職共同闘争(以下 非正規職もうやめろ共同闘争)」が 「文在寅(ムン・ジェイン)大統領、非正規職労働者と会いましょう」という題名の記者会見を行った。 その場で発電所非正規職労働者が泣きながら話した。 「今日、同僚が死にました。 石炭を運ぶ設備に挟まれて頭とからだが分離しました。 泰安火力発電所で働いていた25歳の青年非正規職労働者です。... 私は10月の国政監査でこう話しました。 『正規職にならなくても良いから、これ以上死なないようにしてくれ』と。 ところが今日また同僚を失いました」。 記者会見場には非正規職労働者たちの認証ショットで作った横断幕が置かれていた。 その横断幕の中にはその日未明に死を迎えた故キム・ヨンギュンの写真もあった。 その日、すべての非正規職が共に泣いた。

それから2か月の間「非正規職もうやめろ共同闘争」は 「私がキム・ヨンギュンだ」と叫びながら戦った。 生きるために出て行った職場で死に、 差別のために自尊感が壊され、 正規職化すると言われて期待したのにむしろ解雇され、 会社が不法派遣を行ってもその責任者は処罰されず、 それに抗議したという理由で労働者だけが拘束される世の中で、 キム・ヨンギュンの死は他人事ではなかった。 12月21日と22日、青瓦台の前で1泊2日闘争をして、 1月18日に九宜駅から青瓦台まで歩き、 その日、青瓦台の前でまた夜を明かした。 1月28日の1日ハンストと文化祭などをして、 汎国民追慕大会でも故キム・ヨンギュン死を知らせる闘争の現場には、 いつもプラカードを持った非正規職労働者が一番前の席を守った。

なぜこの戦いに非正規職労働者たちがこれほど力を注いだのか。 共に闘争した非正規職労働者たちはすべて自分の切実な懸案を抱いていた。 解雇されて、テント座り込みをして、使用者側の救社隊に暴行を受けたり、 構造調整による解雇を控えていたり、 労働組合を認められずに戦っていたし、 まともな正規職転換のために戦おうともしていた。 それでも誰もがキム・ヨンギュン同志の闘争に最善を尽くした。 それは、この戦いがたとえ自分の問題とは直接関係がないとしても、 非正規職労働者たちの権利を進展させる過程であることを知っていたからだ。 労働災害に対する元請の責任を明確にして、 危険の外注化を止めなければならないという社会的な声をより大きくすることにより、 安全な職場を作ることに寄与するためであった。

非正規職労働者たちは、ある戦いの勝利をその労働者たちだけのものと思わない。 KTX解雇乗務員が10年以上の解雇生活を終わらせて現場に戻ることになった時、 亀尾の旭硝子非正規職労働者たちが粘り強い闘争で不法派遣に免罪符を与えた検察に勝ち、 旭硝子資本を起訴させた時、 金泉市の非正規職解雇労働者が不当解雇訴訟で勝った時、 みんなが自分の事のように喜んだ。 誰もが不当な解雇、会社に寛大な検察に対する怒りがあったためだ。 だから非正規職労働者たちは自分の闘争をする時も、 この闘争が他の労働者に与える影響が何かを考え、 互いに助言しあって連帯することが多かった。 ある闘争の進展が別の労働者たちの道を開くことが多いからだ。

[出処:チャムセサン資料写真]

連帯闘争を越えて、共同闘争へ

故キム・ヨンギュン同志の闘争に参加したのは「非正規職もうやめろ共同闘争」があったからだ。 「非正規職もうやめろ共同闘争」は、韓国社会の不平等の核心である非正規職問題の解決が必要だという問題意識の下、 「文在寅大統領、非正規職100人と会いましょう」と要求して非正規職自らが立ち上がり、 主体になって闘争すると宣言した。 11月12日-15日まで、非正規職労働者約100人が5日間、青瓦台と大検察庁、国会などで 非正規職問題の解決を要求して共に戦った。 大検察庁闘争では6人が連行され、国会と青瓦台前での闘争では多くの人が怪我をしたが、 労働者たちは公共運輸労組と金属労組の非正規職労働者が産別の壁を越えて出会い、 共通の課題をめぐり共に戦った点に大きな意味があったと評価する。

互いの闘争に力を貸す「連帯」だけでは非正規職労働者の権利を画期的に進展させるのは難しい。 特に韓国社会は非正規悪法により非正規職を量産しており、 非正規職が労働組合を作って闘争する権利は制度で遮断している。 だから労働者たちは非正規職を量産する派遣法、期間制法を廃棄する闘争、 非正規職労働者が労組をする権利のための「特殊雇用労働組合認定」、 「元請の使用者責任認定」闘争を、 「労組法第2条改正」という形で共に行おうとしたのだ。 「非正規職もうやめろ共同闘争」は、国会や上級団体に依存せず 非正規職労働者たち自らが個別事業場への連帯を越え、 制度を変える「共同闘争」に進むために作った。

今行われている労組法改悪を防ぐためにも共同闘争が必要だ。 制度が改悪されれば最大の被害をこうむるのは、 労組がないか労組の力が弱い非正規職労働者たちだ。 弾力勤労時間制が導入されると補完装置はすべて「勤労者代表との書面合意」をすることになっており、 労組がない労働者たちは11時間の休憩時間の保障も、賃金保全方案も、2週前の通知も、 すべて安定して保障されなくなる。 これに加えて経社労委ではストライキ時の代替人員許容や事業場内での争議行為禁止などを議論しているが、 これはただでさえストライキをするのが難しい非正規職労働組合の活動を遮る。 最も大きな被害を受ける労働者を代表して現在闘争する彼らが立ち上がるほかはない。

「労働者は同じ境遇の労働者たちと団結し、闘争し、制度と政治を変える権利がある」。 「非正規職もうやめろ共同闘争」は、4月13日、 特殊雇用労働者の労組法第2条改正闘争に連帯して文在寅政府発足2年になる5月10日、 徐々に右に進む折する文在寅政府の労働政策を戻すために戦い、 7月初めのゼネストで非正規職労働者たちの労組をする権利と、 まともな正規職転換政策を貫徹させようとする。 「非正規職もうやめろ共同闘争」には労働組合がある労働者だけでなく、 まだ労働組合を作れない非正規職労働者も参加している。 労組がなくても少し勇気を出せば、 非正規職自らの力で制度を変える事に参加できる。 さらに多くの非正規職労働者が「非正規職共同闘争」に参加することを希望する。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-03-19 02:15:40 / Last modified on 2019-03-19 02:15:43 Copyright: Default

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