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私たちはキム・ヨンギュンの同僚で、もうひとりのキム・ヨンギュンです。

[インタビュー]公共運輸労組韓国発電技術支部泰安支会組合員

パク・タソル記者 2019.02.02 14:22

[出処:公共運輸労組韓国発電技術支部泰安支会]

石炭粉をかぶり、闇の中で最低の安全装備もなく、手伝ってくれる同僚もなく、 危険極まりない不法派遣低賃金労働を強要された青年非正規職、故キム・ヨンギュン。 故キム・ヨンギュン氏は韓国発電技術支部泰安支会60人の組合員の1人だった。

残った組合員たちは、もうひとりのキム・ヨンギュンだ。 キム・ヨンギュンの同僚も同じようにまともな教育もなく、 危険な現場に投入され、直接体で仕事を学び、 危険極まりない状況に向き合った。 労働者たちは機会があれば劣悪な環境と処遇の職場を辞めた。 経歴労働者がいないここに残った20代の若い労働者たちは、他の職場探しに汲々とした。 キム・ヨンギュンの同僚が2017年末、労組を結成した理由だ。

キム・ヨンギュンは死んだが、彼らは死んだキム・ヨンギュンの声を伝える唯一の人々だ。 闘争拠点をソウルに移した現在、泰安とソウルを行き来しながら忙しく戦っている彼らと会った。 2月1日、ソウル駅で帰郷宣伝戦をした公共運輸労組韓国発電技術支部泰安支会の イ・チャニョン(27)、キム・インソン(28)、ホン・ヒョンソク(29)、パク・ソンホ(35)組合員と話をした。 彼らの要請で記事では仮名を使った。

キム・ヨンギュン氏とはどんな縁なのか?

キム・インソン 「われわれはヨンギュンと同じ課ではないが、 特別勤務をしたり業務支援をする時に一緒に働いたことが一回二回ある。 会えば互いに挨拶もして、会食で会ったりもした。」

キム・ヨンギュン氏が死亡してどんな時間を送ったか?

キム・インソン 「死亡事故の後、2、3日出勤した。 点検業務なのでベルトコンベアの異常を確認するのだが、 死の場面が思い出されて、夜間勤務をする時は暗いところに入るのが難しかった。 今は出勤をせずトラウマ治療を併行している。 1、2週間はよく眠れずうなされた。」

イ・チャニョン 「泰安でのキャンドル集会に行って、発言もよくしたし、 週末にはソウルにきて、汎国民追慕祭に参加した。 インタビューで現場の状況を知らせたり、 人権団体で泰安火力発電所に対して実態調査をする時、証言をした。 最近は毎朝、青瓦台の前でプラカードデモをして、あちこち歩き回って市民にこの事故を知らせるために集中している。」

[出処:公共運輸労組韓国発電技術支部泰安支会]

市民の反応はどうか?

ホン・ヒョンソク 「初めはビラを配るのが照れくさかったが、 少しずつ関心を持ってもらえて、 長くなる戦いに備えて頑張っている。」

パク・ソンホ 「民主労総の傘下組織を回って、共に戦ってくれと話しているが、 たくさん助けてもらっている。 そして私たちが別の闘争現場を訪問して連帯したりもするが、 別の問題で同じように戦えるということが新しい経験だ。」

泰安からソウルに遺体安置所を移すなど、闘争拠点をソウルに移動したが変化はあったか?

ホン・ヒョンソク 「多くの労組と市民団体が私たちの戦いに合流していることを自分の目で確認すると、 重要な戦いだということが感じられる。 向き合う市民も多く、この前は国務総理が直接訪ねてきてくれた。」

李洛淵国務総理の訪問をどう見たか?

パク・ソンホ 「確実に答えず、曖昧な話をするだけだった。 『遺憾を示す』、『議論している』、『はやく解決することを願う』という話を聞くために 遺族が大統領と会おうといったのではない。 お母さん、お父さんは個人的な補償の話は言い出せずにいる。 ただ真相究明、責任者処罰、非正規職の正規職化を話しているが、 早く明確な答をしてくれることを願う。」

非正規職労働者たちが大統領との出会いを要求したが、大統領に会ってどんな話をしたいか

ホン・ヒョンソク 「お母さんが現場を訪問して、 どうしてこんな所があるのかと涙を流した。 他の人たちに現場がどれほど危険かを話すより、一度見る方がはるかに理解がたやすい。 大統領と会ったら一回でいいから現場を訪問してくれと言いたい。 それでも一番重要なことは、遺族の言葉を聞いて欲しいということだ。」

おかしな国の泰安火力発電所

[出処:公共運輸労組韓国発電技術支部泰安支会]

2015年から泰安火力発電所で働いたホン・ヒョンソク氏は、 それまで韓国発電技術の所属で、嶺東の火力発電所でも働いたが、 泰安火力発電所では特にいいかげんな運営で、労働者たちが苦しんだという。

ホン・ヒョンソク 「以前、嶺東で働いていた時はかなりしっかり教育を受けた。 しかし泰安は教育もなく、チーム長に聞いてもよく知らない。 むしろチーム長が私たちに聞いたりもしたが、 関連の経験がないので説明してもよく理解できない。 発電所で20年、30年働いた人たちが経歴職員として入ってくるが、 私たちと同じようによくわからない状態だ。」

イ・チャニョン 「韓電産業開発の人にもの乞いするように聞いて回った。 競争業者の人に仕事を聞いても、当然親切に説明してくれない。 そんなことも知らないのかというようにしかられたが、 それでも分からなければ仕事ができないので我慢して尋ねた。 試運転の時から労働者たちがきちんと仕事を理解できない問題があったようだが、 その状態が続いて引き継ぎがうまくできなかった。」

キム・インソン 「私の場合も6日間、付いて回って突然勤務地に投入された。 とにかく行けと言われて行ったし、 わからないことがあるたびに電話で聞いた。 よくわからないから毎日きてくれと言ったようだ。 そのうちに直接経験して理解していったり。 よくわからない状態で働くので危険なことでも危険だとはわからなかった。」

パク・ソンホ 「2015年、韓国発電技術が泰安事業所を運営して、 初めて『プロジェクト契約職』を導入した。 西部発電と契約した3年間働く人を選ぶ。 契約が延びれば私たちも雇用が続くが、 契約が終われば自然的に雇用を失う契約職だ。 ずっと契約職で、韓国発電技術の正規職になったのは2017年12月だ。 多分そんな便法的運営が会社に不利益を与える可能性があって、緊急に変えたようだ。」

会社、元請では労働者の安全のために何の措置も取っていないのではないか?

キム・インソン 「入札のために元請に嫌われてはいけないということが守るべきルールだった。 問題が起きると私たちの間違いではないのに、 会社は元請に無条件申し訳ないと謝罪した。 私たちの会社の管理者なら私たちの話を聞くべきなのに、 内容をよく知らなかったり、入札で不利益を受けるかと無条件低姿勢であった。」

ホン・ヒョンソク 「設備改善を要求しても、私たちの意見は何も反映されない。 私たちの要求が会社を通じて元請に上がるべきなのに、すべて切られた。 私たちが叫んでも何も変わらないので労組までできた。 労働者の意見を元気良く伝えるには、労組が必要だと考えた。」

労組に加入した時に受ける不利益は考えなかったか?

ホン・ヒョンソク 「そこでこれ以上悪くなることもなかった。 処遇も最低賃金に近く、賃上げもほとんどできなかった。 設備改善の要求に関しては、退くところもなかった。」

[出処:公共運輸労組韓国発電技術支部泰安支会]

重労働に最低賃金、不満はなかったか?

パク・ソンホ 「2015年に泰安火力発電所の第9、第10号機の競争入札で 韓国発電技術が本当に安い価格で入札した。 本来、韓電産業開発が引き受けなければならなかったのに低い金額を提示したため 韓国発電技術が取った。 こんな形で無条件に価格を下げた他の事業場もある。 そのようにして契約金額を低くすれば、どこで埋めるか。 人件費を減らするのではないだろうか。」

キム・インソン 「用役会社は人件費を食っているのと全く同じだ。 私たちに策定された人件費が月換算で400万ウォン程度だというが、 実際には半分以下であった。 残りがどこに行ったのか追跡しなければならない。」

イ・チャニョン 「今、韓国発電技術所属の職員には年齢が高い人は殆どいない。 熟練者はたくさん金を払わなければならないから20代の新入を多く使う。 また仕事が大変で労働条件も良くないので出て行く人も多い。 新入が多く、経歴職は殆どいない状態だ。」

ホン・ヒョンソク 「不満があっても、雇用安定が優先だと考えた点もある。 家族も私について泰安に引っ越したが、入札できなければ職場を失ったり 他の地域に引っ越さなければならないのではないか。」

ミスが死亡につながるのが怖い。危険要素はどれほど多いのか?

ホン・ヒョンソク 「ベルトコンベアには多くのローラーがある。 ベルトコンベアの異常信号は主に音で探す。 どこかのローラーから変な音がするのか見つけなければならないが、 現場がとても騒々しくて粉塵が多いので正確に見つけるのは容易ではない。 嶺東にいた時はアイドラーローラーが直接露出せず、みんなカバーされていた。 疑問になるローラーをチェックだけすれば、 整備チームがきてとり変える構造であった。 ところが泰安はカバーどころかぜんぶ露出していて、 また正確に何番アイドラーなのかを教えてくれと言うので、 私たちも顔を近付けてできるだけ正確に探すしかなかった。」

キム・インソン 「設備が大きくて高い。 背が届かない所が多いが、はしごもなく抑えてくれる人もいないので、 周辺の他の設備の上に乗る。 足をすべらせると大変なことになるが、 やっているうちに鈍感になった。 シュートのようなものに石炭が挟まって固着すれば、 これをシャベルで取るが、 アイドラーにシャベルが持っていかれる時もある。 そんな時はシャベルを離してしまうが、 もしずっと掴んでいれば一緒に引きこまれるだろう。」

イ・チャニョン 「石炭殻が飛ぶので視野の確保もとても難しくて危険だ。 落炭処理がつらくて辞めて行った人も多い。 完全にノガダ(土方)だから。 本来業務の点検業務よりも、身長ほどに積もった落炭をまず処理しろという。 元請からの指示がなかったというが、 落炭で設備に問題が起きそうなので片づけろという。 私たちに直接せずに、私たちの会社課長にカカオトークを送ると、 課長がまた私たちに命令するという調子だ。」

[出処:公共運輸労組韓国発電技術支部泰安支会]

労組はいつ結成されたか?

パク・ソンホ 「2017年12月頃に結成された。 プロジェクト契約職から韓国発電技術の正規職になってから少し後だった。」

キム・インソン 「管理者を除いてほとんど全員が加入した。 低賃金と危険な作業環境の問題がすべて重なり、 誰もが労組の必要性を感じていたためだ。 労組ができて賃金団体協議も締結し、賃金も少し上がった。 だが設備改善の問題は相変らず足踏みだ。 元請が動かなければいけないが、全く相手にしてくれない…」

直接雇用の要求はこうした脈絡から出たようだ。

パク・ソンホ 「キム・ヨンギュンが死んだのに、なぜ非正規職の正規職化を要求するか、 とても話が飛んでいると理解している人もいるようだ。 しかし労働者が安全な環境で働くこと、 公共財の民営化を防ぐことがすべて非正規職の直接雇用と関連がある。 今の構造ではこうした事件が起きても元請がわずかな罰金を払って終わる。 そしてこうした形で問題提起する労働者は入札で下請を変えれば追い出せる。」

ホン・ヒョンソク 「私たちはもうひとりのキム・ヨンギュンだ。 これを知ってほしい。 今の構造をそのままにしておけば、私たちの中からまた誰かが死ぬ。 キャンドル政局の時のように、市民が一緒にしてしてほしい。」

イ・チャニョン 「正規職転換の話が出る前までは、私も離職するかと考えた人の一人だった。 安定して安全な職場で働きたい夢は誰にでもあるから。 しかし今回の事故が起きて、ぜひ正規職転換を実現したい。 私達がやらなければ、3年後に誰かがきて、またこの問題を体験するのではないか。 多くの人たちと共に職場を直接変えてみたい。」

復帰時点はいつと見ているか?

キム・インソン 「はじめは特別休暇2週間を取った。 しかしさらに治療が必要な人もいて、ずっと延長してきた。 今、真相究明と責任者処罰を要求しているが、延期され続けている。 この要求が受け入れられる時になるのではないか」

パク・ソンホ 「元請(西部発電)から会社(韓国発電技術)を通じて、 はやく復帰しろという言っている。 会社は会社の立場ではないということを強調しながら、 特別休暇が終われば早く復帰させろという話を聞いたという。 元請では私たちの活動を自制させる目的があるようだ。 仕事はしなくてもまず出勤だけはしろという。」

一方、光化門キム・ヨンギュン焼香所の横に 「青年非正規職故キム・ヨンギュン市民対策委員会」代表団6人が断食を始めて12日になる。 彼らは政府が故キム・ヨンギュン氏の死の真相を明らかにして、 責任者の処罰、再発防止対策まで出さなければ葬儀ができないとし、 去る1月22日からハンストに突入した。 2月6日午後3時からハンストをしている彼らを応援する各種のイベントが開かれる。 彼らは「働いて死なない国」を望む声を全力で集める予定だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-02-11 22:11:14 / Last modified on 2019-02-11 22:11:18 Copyright: Default

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