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一緒に暮らそう、鷺梁津水産市場、今はソウル市が動け

[寄稿]市民対策委、ソウル市に市民公聴会を要求

チェ・インギ(貧民解放実践連帯首席副委員長) 2019.01.30 19:54

1.映画よりさらに映画のような場所

「最近、『鷺梁津旧水産市場』状況どうですか?」 多くの事件・事故で目が回るほど忙しい大韓民国だ。 少し静かになっただけでも記憶の中から即座に忘れられる。 だが相変らずここでは一日に何度も声なき戦争をしている。 男性平均身長と体格をはるかに超えるがっしりした青年たちが 黒いユニフォームと軍靴で武装して市場を歩き回る。 空室管理という名前で商人の品物を蹴飛ばしたり、 老人に理由もなく悪口を吐く。 暴力も日常になれば免疫力を持つかのように、 警察の反応も静まっている。 さらに刺激的な何かを求めるかのように尋ねる。 「それで診断書は何週間でしたか?」

傷は表面だけにあらわれるのではない。 彼らの蛮行に耐えられずに空いた場所は水溜りのようにあちこちにでき、 市場の雰囲気をさびしくする。 一時は大韓民国の首都、ソウルの最も大きく繁盛した鷺梁津水産市場が、 わずか数か月で誰も近づかないみすぼらしい裏路地のような映画の一場面に変わったようだ。

[出処:チェ・インギ]

2.ダビデとゴリアテの戦い

水産協同組合と鷺梁津水産市場株式会社の蛮行が極に達したのは、 昨年、数回の明け渡し執行で失敗してからだ。 多くの放送と新聞は「ダビデとゴリアテ」の戦いだと面白げに伝えた。 水産協同組合は失墜した名誉を取り戻すために最後のカードを切った。 11月5日、水道と電気を切った。 だが誰が見ても「断電と断水」は水産物を売る商人の首を締める卑劣な行動だった。 そして最後に新市場に入店するように商人に圧力をかけた。

民主露天商全国連合と鷺梁津水産市場の商人は、 彼らの弾圧に対抗して水産協同組合の物流車両を阻止する強行策を駆使した。 瀬戸際戦術は有効だった。 水産協同組合は警察が見ている前でも暴力の魔手を表わし、 その時、始めてマスコミは水産協同組合の横暴に非難の矢を放った。 暴力の影が濃厚に垂れこめたゲットーのように闇に包まれた旧水産市場で、 商人たちは自分たちの金で電線をつなぎ、 海水車で水を供給して火を灯し、市場の生命線を維持する。 なんとか鷺梁津旧水産市場は新しい生活の基盤を作れるようになった。

水産協同組合はかなり前から鷺梁津水産市場現代化事業の一環として新市場への移転を決め、推進した。 数千億の莫大な予算が投入された事業だったが、十分なコミュニケーションなく建設された。 特に崔順実(チェ・スンシル)が介入したという疑惑まで提起され、 旧市場敷地にカジノなどの複合リゾートを造成するという投機的発想は、 商人の怒りを触発した。 この社会のあちこちで、開発という美名の下で金儲けの手段に転落したことがここでも再現された。 2015年9月、商人たちは緊急非常対策委員会を結成し、 新市場入居申請を拒否して現在に至る。

3.高等法院判決、旧市場の管理・監督権限は鷺梁津水産市場株式会社にはない

鷺梁津水産市場闘争の理解のために、ユン・ホンジュ氏はこのように伝える。 「去る2018年11月の損害賠償訴訟関連高等法院判決の結果を読むと、 旧市場の管理・監督権限は鷺梁津水産市場株式会社にはないという判決がありました」。 この話は、鷺梁津水産市場株式会社は水産協同組合中央会からの委託を受けて新市場を運営する権限しかなく、 暴力的に現在の旧水産市場の敷地に対して介入する権限はないということだ。

鷺梁津旧水産市場の商人ユン・ホンジュ氏はまたこのように伝える。 「われわれは、汝矣島に近いこの水産市場根拠地を商人に素直に渡さないだろうということを既に予測していました。 数十年、何重にも積み上げられた有形無形の価値を真昼にゴミのように片付ける彼らが、 最後に選択できるのは『暴力』だけではないでしょうか? しかし人よりも金が優先されてはいけません...」 数十年間、市場を生かして維持してきた商人なので、 ここの占有権を認めてほしいと言うことだ。 それも象徴的な建物を中心とする部分存続を主張している。

4.水産市場の開設者はソウル特別市長だ

農業安定法によれば、鷺梁津水産市場の開設者はソウル特別市長だと明示されている。 そして鷺梁津水産市場の正式な名称は、 農水産物流通および価格安定に関する法律(農業安定法)施行規則により、 ソウル特別市鷺梁津水産物中央卸売市場になっている。 この法は「農水産物の流通を円滑にして適正な価格を維持することにより 生産者と消費者の利益を保護し、国民生活の安定に尽くすことを目的とする」と明らかにしている。 ソウル市民の食に関するとても公的な事業なので、 国庫補助金が1540億ウォンも使われている。 そのため水産市場を水産協同組合中央会議の所有だとばかりは言えない。

今でも商人たちは、いつあるかもわからない用役と職員の蛮行に対抗し、 24時間座込場を維持して夜も昼も現場を守っている。 ほとんどが60歳以上の高齢者だ。 真冬、夜を明かして朝方に家に帰り、しばらく休んでまた商いに出てくる。 魚を売る商人ハン・サンボム氏は 「乙支路の35年になった冷麺屋も撤去してはいけないという市民の世論が広まった今、 70年の庶民の哀歓が込められ記憶が立ちこめているソウル最大の水産市場敷地を、 それも「未来遺産」に登録しておきながら、なぜ壊してなくそうとするのか?」と不満を吐露する。

5.鷺梁津旧水産市場の商人が市民対策委を結成

水産協同組合は現在選挙中だ。 水産協同組合中央会のキム・イムグォン会長は再選を放棄した。 現在のところ3人の候補が登録している状態だ。 彼らのうち鷺梁津水産市場をめぐる公式的な立場は具体的になっていないが、 ほとんどが旧水産市場に対して否定的な見解だという。

1月30日午前11時、市庁の前で鷺梁津水産市場の商人と市民社会団体の会員が集まって 「一緒に暮らそう! 鷺梁津水産市場市民対策委員会結成してソウル市民公聴会請求運動宣言」という主題で記者会見を開いた。 これから反撃の手綱をしっかり握る場だ。 対策委員会の名称も「一緒に暮らそう」だ。 これに対して商人のハン・サンボム氏は 「旧市場、新市場とも、商圏がうまく形成されることを願うという趣旨で、 市民が私たちの意向をよく理解してほしいという意だ」と解説する。 そして市民対策委員会の名でさまざまな各界各層多くの人々が参加することを薦める。

数年間「銅雀住民共同対策委」での団体活動を通して旧市場保存の必要性を中心に世論を形成してきた。 ここに昨年上半期、民主露天商全国連合と全国撤去民連合により結成された 貧民解放実践連帯、すなわち大衆組織に再組織して明け渡し執行を防いだ。 この他にも民主労総や全農等が参加する民衆共同行動、 そして労働党、緑色党、民衆党、変革党、正義党などの進歩政党を総網羅して市民対策委を結成した。

6.対策委は市民公聴会を開催する

市民対策委は記者会見で、市場開設者のソウル市に責任を要求するために、 市民公聴会の署名運動を行うことを知らせた。 現代化事業の名で扉を開いた新市場の3年を評価してみようということだ。 すでに新市場のあちこちに排水問題が発生しており、 市場の衛生と安全が担保されていないという知らせが聞こえてきている。 最近では新市場の商人も狭く閉鎖的な環境で既存の物流システムと卸売市場の機能を喪失したと主張する。 そればかりか、賃貸料の急騰で商人の被害は結局価格の上昇につながり、 消費者に転嫁されている。 その上、水産協同組合は長い間、旧市場で抵抗していた店舗に数千万ウォン台の不当利得の返還を要求している。 新市場に入居した商人までが反発しているのが実情だ。

市民公聴会はソウル市住民参加基本条例第9条 「ソウル市の重要な政策事業に対して意見を公開的に提示して 討論、公聴会および説明会をソウル市長に請求することができる」。 本当の現代化事業がきちんと行われているのかを検証する場になるだろう。 水産協同組合の選挙が終わった後、新会長は鷺梁津旧水産市場問題をどう解くのだろうか?

記者会見に参加した人々は声を揃えて主張する。 水産市場は開発資本と既得権勢力の利益と利害関係のために開発されるものではないと。 市場現代化事業の方向に根本的に問題があるのなら、今からでも一日も早く卸売市場の機能を復活する道を見つけなければならないと主張している。 それこそ直ちに市民の利益で帰結されるという意味だろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-02-09 10:00:34 / Last modified on 2019-02-09 10:00:35 Copyright: Default

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