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清渓川・乙支路の技術者の運命は?

[寄稿]「都市再生産業」の仮面をかぶった朴元淳式開発主義

チェ・インギ(貧民解放実践連帯首席副委員長) 2019.01.22 17:50

1.清渓川の人々の声に耳を傾けろ。

清渓川・乙支路の労働者たちの境遇は劣悪なことこの上なかった。 1970年11月、清渓川平和市場で、ある青年が自分のからだに火をつけた。 全泰壹(チョン・テイル)の焼身自殺は労働者の低賃金と劣悪な労働条件を端的に示す事件だった。 清渓川・乙支路は産業化時代に多くの労働者が上京して構築した生産現場で、 劣悪な労働条件を打開する労働運動の出発地であった。 ここで朴正煕(パク・チョンヒ)の軍部独裁で静まっていた労働運動に火種が点いた。

[出処:チェ・インギ]

せわしく展開した都市化は劣悪な住居を拡大再生産した。 清渓川と乙支路の周辺には多くの大学が散開しており、 いわゆる民衆教会と称される教会では夜学運動が展開された。 当時、日本人牧師で社会運動家の野村基之氏は写真集 「野村リポート:視線」で、 亡くなったチェ・ジョング議員とチョン・イルウ神父の撤去反対闘争と住民運動を紹介している。 清渓川は地域をめぐる住民の処遇改善を積極的に要求する地域運動の空間だった。

清渓川の暗渠化工事と世運商街ができて、また時間が流れた後、復元工事が続いて数十年間、 ソウルの清渓川と乙支路周辺は開発事業の展示場になった。 だが2000年代に入ると開発の意味も変わった。 李明博(イ・ミョンバク)ソウル市長は市民が要求する環境と歴史文化の価値を開発と混ぜ合わせて宣伝した。 ガバナンスという名を掲げたが、偽善的な手続きと合意を勧めた。 清渓川復元工事の不当性を真っ先に知らせた人は露天商のパク・ボンギュ氏だった。 2003年8月23日、中区庁長室で露店弾圧に抗議して焼身する前に、 彼は李明博ソウル市長宛に 「庶民を見守る市政をするという広げるという公約をなぜ守らないのか?」という内容の抗議書簡を書留で送った。 死で証明するほかはない人の響きは大きかったが、開発は止まらなかった。

このように、歴代ソウル市長の開発政策は弊害が大きかった。 「ニュータウン事業と新開発主義」の実状は多くの住民を生活の基盤から追い出した。 破壊的な成長は竜山で10年前に5人の撤去民が櫓に上がった後、惨事につながった。 あっという間に炎に包まれた災難は、人間の止まらない欲望に警鐘を鳴らした。 続いて登場した朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長は一方的な開発を止めることを宣言した。 都市に活力を吹き込むという政策を出した。 これは都市再生事業に仮面を変えた。 一見、息をつくことができそうだった。

2.朴元淳式都市再生事業はどこへ行くのか?

清渓川・乙支路をめぐる開発が進められた何日か前、 清渓川乙支路保存連帯を通じてソウル市が都心複合開発による住宅供給拡大のために四大門一帯で 現在は最高90mに設定されている建築物高度制限緩和を推進するという消息を聞いた。 1990年代まで、区域別にそれぞれ異なる高さ規制が適用され、 2000年に90mの高さ規制が初めて用意された。 その後、呉世勲(オ・セフン)市長の時に110mに緩和された。 しかし2016年に朴元淳市長が洛山・仁王山・南山・北岳山の高さを基準に景観を遮らないよう、 70〜90mの建築物高度制限を適用させた。 そして2年後の2018年10月、都心地域内の新築建物を110m水準に還元する方案が進められる可能性が高いと言われた。 わずか2年前に四大門内の高さを110mから90mに下げたのに、 四大門高度制限緩和が確定すると2年で政策を変わることになる。

[出処:チェ・インギ]

現在進行中の世運商街中区笠井洞237一帯の「水標都市環境整備事業」は、 地上24階、水標洞47-1一帯の長橋区域第12地区のベンチャー専用オフィスビルディング建設事業は17階で、 今でも高層ビルに属する。 この状況で、110mになると清渓川・乙支路一帯はそれこそ超高層ビルができる。 まさにハノ建設グループはソウル、乙支路、清渓川周辺の世運再整備促進地区内の 約100万m2で都心複合再開発事業を推進している。 朴元淳式都市再生事業の流れと変化をうかがわせる項目だ。

そして2018年10月、管理処分計画認可が告示された。 既存の建築物の撤去も急速に進められ、世運3-1区域の大部分の業者が1か月から2か月で撤去された。 商人は施行社が3-1区域の賃借人に損害賠償を請求して圧力をかけたと主張した。 管理処分計画が認可された後、商人にできることは移転か廃業、あるいは撤去に反対することだが、 最高5億ウォン以上の損害賠償がかけられた。 清渓川乙支路保存連帯は管理処分計画が認可されてから2か月で3-1区域の400ほどの業者のほとんどが移転し、 10%は移転が困難で廃業し、周辺の相場は上がったと主張した。

最近、闘争が始まると世論が撤去反対で沸き立ち、 一足遅れてソウル市は具体的な事業方案の時点は明らかにしないまま 「合理的補償方案と製造業特化団地」の施行方針を出した。 もちろん、事業施行認可の取り消しに関しては、まだソウル市の立場がない。 恐らく、部分存続と工具街の移転を模索するものと見られる。 しかしこれはかなり前に清渓川露天商の移住団地である「風物市場」と、 商人の移住団地といえる松坡区文井洞のガーデンファイブの事例で十分に立証されている。 商圏の萎縮と市場が出ていけば知らんふりの長い間の行政が繰り返される可能性が高い。 その時は誰に訴えればいいのだろうか?

3.管理・監督を疎かにした中区庁の処罰と工事中断を要請している

清渓川・乙支路という空間は、江南のように荒野で計画された都市ではない。 ソウル中心にあるのに実際は郊外であるかのように扱われていた所だ。 長い間放置されていた所で、人々は大小の工具街と蚤の市などで人生を営んできた。 清渓川乙支路保存連帯が確保した「ソウル市路地基本計画」と、 「世運再整備促進地区内の古い道と周辺都市景観デザイン基本指針」には、 都心の製造業の生態系保全方法、観光資源としての価値保全方法などが詳細に記録されている。 だがまさに事業施行認可の過程では一般的な手続きを守っただけで、こうした検討は抜けていた。 特に、この一帯の観光文化資源などの多様な経済的価値はすでに常識になっている。 それなのに事業施行認可の過程でソウル市小商工人支援課と産業拠点造成班、 都市製造業を担当する経済政策課などが協議もせず、 地域の特殊性を考慮しなかったのは相変らず疑問だ。

[出処:チェ・インギ]

一方、ソウル市は2018年5月30日、整備事業の過程で「十分な事前協議のない強制退去」と 「強制退去過程での不法行為」を起こさないことを原則とする 整備事業強制撤去予防総合対策をソウル市内のすべての整備区域で全面施行すると明らかにした。 これも2009年の龍山惨事という辛い歴史の教訓だった。 12月から2月までの再建築・再開発など整備事業に対する冬季強制撤去禁止で、 整備事業現場での明け渡し執行はできず、協議による自主移住しかできない。

だが現在世運6区域の一部が「世運再整備促進地区」として認可され、 全面撤去されたり世運3-1、4、5区域笠井洞の一部が 「水票都市環境整備事業」に事業施行認可を出した状態なので、 すべての居住者が退去すれば、制限的に空き家に執行ができる。

特に重要なことは、人が抵抗しない以上、撤去ができるということだ。 施行社のハノ建設がこれを悪用し、とにかく壊そうという調子で掘削機を動員し、 工事を強行している。 清渓川乙支路保存連帯は、まだ商人が営業しているのに管理・監督なく冬季に夜間撤去をしていると強く反発している。 アスベストがあるかもしれない建物を一方的に撤去したりもする。 事前協議体を通じて管理処分認可を受けなければならないが、 商人は何の協議体にも参加した事実がない点を上げて、工事中断を要請している。 その上、ここの住民は白紙同意書に対して事業施行認可無効訴訟を続けている。 事業施行計画に同意したことはなく、これに対する何の説明もなかったという。

この他にも清渓川乙支路保存連帯は、都市整備法第81条第2項をあげて 「管理処分計画の認可を受けた後に既存の建築物を撤去しなければならない」と抵抗の刃を研いでいる。 世運再整備促進地区3-1、4、5管理処分の認可日は2018年10月26日だ。 しかし撤去が施行された時点は9月20日だ。 施行社は管理処分認可が確定する六か月前から移住を勧めた。 これは一言で事業施行認可の取り消し要件にあたる。 先に移住した人は、事業が遅れると着工もできない状況になり、 財産上の損害をこうむるためだ。 管理処分認可の前に移住を始めると、後で財産権紛争などの問題が発生する可能性があるため、 ソウル市でも事業施行認可の内容違反で行政処分をしたことがある。

4. 消費社会の開発主義は朴元淳ソウル市長でも続くのか?

李明博元ソウル市長が 清渓川復元事業で大統領選挙挑戦の足場を固めたように、 現在、特に大統領選挙走者がいない状況で、朴元淳ソウル市長の下で、 まるで手綱が解けた馬のように行政と事業が大統領選挙に向かって走っているように見える。 最近、汝矣島竜山統合開発などの大規模開発事業がそうだ。 これらの事業は住宅供給企画団を構成し、 ソウル市都市再生本部と住宅建築国関係者が四大門高度制限の緩和について積極的に検討したり、 マスコミを通じて動向を調べていたことが分かった。 清渓川・乙支路開発計画も同じだ。 マスコミで批判が続出し、議論が高まっても知らんふりを続けていたが、 1月16日に朴元淳市長は 「商人が都心で産業を続けていけるように全面再検討する」という見解を表明した。 ソウル市は工事を中止する権限を持っている。 今、その帰趨が注目されている。 朴元淳ソウル市長は果たしてどんな結論を出すのだろうか?

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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