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「社会的対話の最大の被害者は非正規職」

「社会的対話と労働」討論会

キム・ハンジュ記者 2019.01.18 14:10

民主労総が経済社会労働委員会に参加するのかに注目されている。 民主労総のキム・ミョンファン委員長は1月15日のハンギョレとのインタビューで 「プランBはない」とし経社労委への参加の意志を示した。 しかし労働界の左派陣営は討論会、連名署名などを組織して経社労委への参加を阻止することに総力を傾けている。 1月28日の民主労総代議員大会で経社労委参加が決定する。 この中でチャムセサン研究所、非正規職権利研究所(準)、民主主義法学研究会、学術団体協議会などが主催する 「社会的対話と労働」の討論会に 経社労委専門委員、民主労総政策研究院長など多様な人物が参加して論争を繰り広げた。 討論会は1月17日にソウル フランシスコ会館で開かれた。

「防御手段のない非正規職…社会的対話の最大の被害者になる」

全国不安定労働撤廃連帯のキム・ヘジン常任活動家は討論会で、 非正規職労働者が社会的対話機構の最大の被害者になると主張した。 現在、経社労委で進められている議題は弾力勤労制の期間単位拡大などの労働柔軟化だが、 防御手段となる労組も、団体協約もない非正規職が一次的に被害を受けるという意味だ。

キム活動家は 「今は労働時間柔軟化(弾力勤労制期間単位拡大)と賃金柔軟化(職務給制度)が 社会的対話の議題に上がってくる。 労働者の権利を攻撃する議題が上がってくると、 労働者たちが最善を尽くして防御しても、交渉の過程で制度的な権利は一定後退することになる」とし 「労組があれば団体交渉で防御できるが、 労働権が制約された非正規職労働者はそのまま問題に露出する」と話した。

続いて「経社労委は政府が議題の主導力を持つ」とし 「政府がどんな政策を貫徹しようとするのかにより、 社会的対話の主体の態度が変わるが、使用者団体が特に積極的だ。 政府が労働柔軟化を核心的な議題としているためだ。 今でも資本がマスコミを通じて中小資本家、フランチャイズの社長を動員し、 最低賃金に対する社会的な雰囲気を圧倒している。 政府はこの議題に同意して、案を上げる形だ」といった。

非正規職権利研究所(準)のチャン・ギヨン研究委員は 「非正規職は労働市場柔軟化の最大の被害者だ。 それと共に非正規職の問題は社会的協議機構への参加に対する口実になってきた」とし 「非正規職問題は個別の事業場次元で闘争したり交渉するには限界がある。 だから法と制度を変えなければならない。 民主労総は社会的協議機構に入って政治的次元で非正規問題を解くべきだという意見だ。 しかし、法と制度を変えるには、協議機構に参加する方法だけでなく、 下から組織して闘争しながら社会的な力を得る方法もある。 これは、二者択一の問題ではなく、後者があることで前者を支えられる。 後者は難しいから前者にしようというのは、 実際には回避してあきらめるという意味でしかない」と話した。

チャン研究委員は 「ある者は社会的対話に参加して労働市場柔軟化を防ごうという。 闘争の力で阻止できなければ、交渉で最悪ではない結果を得ようという論理」だとし 「しかし、対話に入ること自体が闘争の動員の名分と可能性を萎縮させかねない。 さらに、合意すれば柔軟化政策を承認した形になるので、 後になって反対闘争の正当性を非常に狭める」と付け加えた。

「後進的な交渉構造…総労働単位闘争を編み出す交渉を」

しかし民主労総のパク・ヨンソク政策研究院長は社会的対話が必要だとし、 韓国社会の交渉構造を指摘した。 産別交渉、地域別交渉制度がない韓国では、 労働界が議題を社会的に拡張することができないという論理だ。 そのためパク院長は、社会的対話で議題を主導し、 議題を発展させる総労働単位闘争と総労働単位交渉を編み出そうという主張だ。

パク院長は民主労総執行部の立場ではなく個人の立場だとし、 「文在寅(ムン・ジェイン)政府の改革後退で 二極化、不平等、労働排除が社会に蔓延している。 同時に、労働運動が発展するための後進的な交渉構造が障害になっている」とし 「民主労総は今年、韓国社会を変えるゼネスト・総力闘争を準備していて、 これを編み出す総労働次元の交渉が必要な状況だ。 進歩・民衆運動陣営との連帯による社会大改革闘争の時代的な課題を要求されてもいる」と話した。

続いて彼は産業政策に介入し、「乙の連帯」をするためには社会的対話が必要だという意見だ。 彼は「労働陣営の積極的な産業政策介入が資本中心の産業構造調整と雇用形態の変化を予防する方案として台頭している。 積極的介入戦略で最近ふらついている文政府の所得主導成長政策を正し、 乙(労働者・民衆・零細自営業者)の連帯を拡張する必要がある」と明らかにした。

韓国政治研究会のソン・ヨンウ研究委員(経済社会労働委員会専門委員)は、 研究者個人の意見だという点を前提にして、 社会的協議が政府の改革推進の「しくみ」として作動することができると主張した。 ソン研究委員は「文在寅政府はキャンドル抗争で誕生した。 政府は改革に対する市民社会の熱望を実現する必要がある。 しかし現在の韓国社会は親労働政党が少ない。 巨大両党体制が障害として作用している。 そのため社会的協議は市民社会の意志を議会に伝えるしくみとして作動することができる」と話した。

「ただし、社会的対話には条件が必要だ」とし 「ILO(国際労働機構)はその条件として、 △専門能力を備え独立性が保障された労働者団体と使用者団体が存在していなければならない、 △参加主体の政治的な意志が確認されなければならない、 △結社の自由と団体交渉を含む労働基本権が尊重されなければならない、 △合意した制度による支援がなければならないと提示している」と説明した。

「今の社会的対話は労働者の自由を取り引きに使っている」

法律事務所セナルのキム・ギドク弁護士は、 社会的対話で労働者の自由を取り引きしてはいけないと強調した。 「労働者の自由とは、団結する自由、労組をする自由などのILO中核的協約関連条項だが、 現在の社会的対話はこれを協議対象として取り引きしている。 労働者の自由に国家権力は干渉できず、最初から認められているものだ。 社会的対話体は、経済人総連、全経連などが彼らの要求を打ち出す空間を作る。 しかし対話に参加した労働者には自由がないので要求を貫徹することもできない。 権力の目的を貫徹するための機構として進められるほかはない」と明らかにした。

韓国労働社会研究所のファン・スオク研究委員は 「政府が社会的対話の意志があるのなら、戦略を変えなければならない」とし 「現在、政府は労働者に譲歩を強要しているが、 今まで韓国の労働運動は弾圧されてきた。 運動場が傾いている程度ではなく、対話の基本的な土台がない状況だ。 政府に労働者の味方をしろというのではなく、 使用者に正常化するよう要求しなければならない」と伝えた。

「社会的対話機構の正常化」の主張とは別に、 チャン・ギヨン研究委員は資本主義社会における社会的対話機構そのものの問題を提起した。 張研究委員は「社会的対話は労働者勢力化に対する資本と政府の反応」だとし 「労働運動が発展すれば資本と政府は無視できなくなり、 そのため、選択した方法が労働者代表を社会的協議の空間に引き出して制度化する。 資本主義において、国家は資本の円滑な蓄積を助ける役割を果たす。 結局、今、労働者に必要なことは社会的対話ではなく社会的な力だ。 闘争力と組織力が不足している非正規職にはさらにそうだ」とした。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2019-01-21 01:59:50 / Last modified on 2019-01-21 01:59:54 Copyright: Default

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