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労働者を食いものにする賃金ピーク制3年、廃棄要求強く

公共機関の労働者たちの糾弾続く… 賃金ピーク制をめぐり労政の対話開始

パク・タソル記者 2018.11.30 17:12

[出処:公共運輸労組]

朴槿恵(パク・クネ)政権が「青年雇用絶壁」事態を解決するとして公共機関に導入した賃金ピーク制。 当時、政府は定年延長法を口実に、今後2年間は定年による退職者ができないので新規採用人件費はその中で解決しろという調子で2016年1月から賃金ピーク制を強行した。 企画財政部が管理する全国338の公共機関と行政安全部が管理する114の地方公企業が対象だった。

そして賃金ピーク制の導入から3年になる現在、 公共機関ではこれに対する労働者たちの怒りが極に達している。 賃金ピーク制対象労働者だけが賃金削減の被害を受けるばかりでなく、 全労働者の賃金が下方調整されているためだ。 これは別途定員に分類される賃金ピーク制の対象者が増えて、 人件費総額を蚕食する問題だ。 また、世代間の対立、強制的な賃金削減による差別の問題、 それぞれの機関ごとの賃金カット率による公平性の問題もからむ。

公共運輸労組は11月30日午前、民主労総15階の教育院で公共機関賃金ピーク制度の問題を告発し、廃止を要求する記者懇談会を開いた。 鉄道労組、国民健康保険労働組合、ソウル交通公社労組などの公共運輸労組傘下事業場の政策関係者が集まり、 それぞれの機関で起きている賃金ピーク制の問題点を説明した。

公共運輸労組のチョン・ジナ公共機関事業局長は 「別途定員管理による政府の責任放棄の問題が最大の問題」と指摘した。 チョン局長は「賃金ピーク制の対象者、 または賃金ピーク制による新規採用者を機関の総定員以外の 『別途定員』として管理しているが、 別途の定員は予算編成対象ではない」とし 「これにより人件費総額の中で彼らの人件費を解決することにし、 政府が雇用主としての役割を放棄している」と批判した。

さらに、来年からは政府の賃金ピーク制支援金が中断されることにより、 賃金ピーク制対象者の損害はさらに大きくなるものと見られる。

鉄道公社の場合、賃金ピーク制の対象労働者は2年間で40%もの賃金が削減される。 賃金ピーク制の対象者が別途定員に分類されているため、 彼らの人件費を全職員が追加で負担している。 2016年の人件費総額の75億ウォンが別途職群の人件費に使われ、 毎年増加して2017年には301億ウォン、2018年には542億ウォンを記録した。 2019年には763億ウォン(人件費予算総額の4.07%)が必要になる予定だ。

国民健康保険公団は別途定員が1175人で、 338の公共機関の総別途定員(18年基準9.049人)の13%を占める。 他機関と比べ公団の別途定員が多すぎるため賃金削減率も高いが、 定年の2年前から賃金の35%が削減される。

国民健康保険労働組合のチョ・チャンホ政策企画室長は 「労働者の唯一の老後保障である国民年金が 賃金ピーク制という一時的な制度により揺らぐ状況をむかえかねない」とし 「基準所得月額減少による寄与金の低下で今後 国民年金受領額の変動が予想される」と憂慮した。

ソウル交通公社労働組合のイ・ジェボク政策室長は 「賃金ピーク制対象の賃金が大幅に削減されると在職者の負担が減り、 対象者の賃金があまり削減されなくなると在職者の負担が増える」とし 「やむを得ず世代間の対立が起きており、労組次元でも悩みが深い」と話した。

「同一労働・同一賃金」の原則が揺らぐ

「同一労働・同一賃金」の原則を意識したせいだろうか。 政府は賃金ピーク制対象者に適する別途の職務を開発することを勧告した。 だが公共運輸労組によれば、公共機関では既存の業務の他に 特別に別途の新しい職務を開発することが難しく、 賃金ピーク制対象者の多くが既存の職務をそのまま遂行するケースが多く、 年齢差別法違反の素地があると説明した。

鉄道労組のイ・グンジョ政策局長は 「別途業務を付与するという指針そのものが列車の安全の威嚇になっている」と主張した。 イ政策局長は「新入社員が賃金ピーク制対象者の業務を同じように引継いで遂行しない」とし 「結局、賃金ピーク制の前に遂行されていた業務は人員空白につながり、 これは安全人員の減少につながっている」と説明した。

国会予算処の分析によれば、 実際に賃金ピーク制を導入した270の公共機関を調べた結果、 63%に該当する170か所は賃金ピーク制の対象者に既存の業務をそのまま任せていたことが明らかになった。 逆に賃金ピーク制職員に適する別途職務を開発したと答えた機関は65か所(24%)だけだった。

乾いたタオルを絞るように低賃金労働者の賃金を強奪

月最低賃金の150%未満(236万550ウォン)を受け取る低賃金労働者は 賃金ピーク制の適用対象から除外されるが、 ここにも落とし穴がある。 低賃金労働者の場合は長時間労働で不足の賃金を埋め合わせるようになるが、 時間外労働、各種の手当てを合わせた賃金を基準としているためだ。

郵便局物流支援団支部のアン・ドゥチャン支部長は 「郵便局物流支援団は公共機関の中で給与が最下位圏であるにもかかわらず、 無理な賃金ピーク制の削減率により賃金ピーク制最後の年には最低賃金水準に下降する」とし 「その上、削減された賃金にあわせて労働強度および労働時間を下げる勤労形態ではなく、 ただ賃金カットだけされて同じように働かなければならない状況」と訴えた。 郵便局物流支援団に所属する労働者は所定勤労時間の月209時間をはるかに上回る 月270時間以上働いている。

鉄道労組も賃金ピーク制を適用される5、6級の低賃金労働者が最低賃金水準に準じて賃金が低下した。 5、6級労働者の基本給に賃金ピーク制が適用されると31%減額され、 6級11号俸は168万2000ウォン、5級13号俸は186万8100ウォンを受けることになる。 イ・グンジョ政策局長は「賃金ピーク制を5、6級の労働者に適用すると 実際の基本給は最低賃金の150%未満に下がるが、 手当てと成果給のために最低賃金水準が維持される」とし 「賃金ピーク制適用除外基準の最低賃金150%未満という基準をさらに上げて適用する必要がある」と明らかにした。

「青年雇用創出は実質労働時間の短縮で可能」

労組は最終的には賃金ピーク制指針を廃棄させることが目標だが、 一度に指針を廃棄することは難しいため、 来年から別途定員を一般定員化させて総人件費と認定し、 賃金削減率調整および労働時間短縮などの段階的方法を踏もうと要求している。

公共運輸労組のキム・チョルン公共機関チーム長は 「労組は組合員の実質賃金の減少に甘んじても労働時間を短縮することに同意している」とし 「実質労働時間が法定労働時間の40時間に短縮されると青年雇用も増える」と明らかにした。

一方、公共運輸労組は賃金ピーク制廃止のための歩みを早めている。 12月5日から二大労総共対委が賃金ピーク制廃棄をワンポイントにした労政交渉を進める。 公共運輸労組に所属する国民健康保険労組・ソウル交通公社労組・鉄道労組、 公共運輸労組ガス公社支部・国民年金支部、 発電労組をはじめとする16の単位労組は11月30日から12月7日まで、 企画財政部の前で座り込みに入る。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-12-06 03:09:29 / Last modified on 2018-12-06 03:09:31 Copyright: Default

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