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過去事件の真相究明の「ゴールデンタイム」…地方選挙前に改正案は通過するか?

解放以後の国家暴力による人権侵害、調査対象、時期をめぐり与野合意が遅延

ハ・グムチョル ビーマイナー記者 2018.03.28 13:42

過去に国家による人権侵害の真相究明など、過去の問題の解決は、 文在寅(ムン・ジェイン)政府の主な公約の一つだ。 そのために政府は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時に稼動を始め、 李明博政権になって中断した「真実和解のための過去事整理委員会(以下、真実和解委員会)」を再稼働させ、 未解決の過去事事件の調査に着手することにした。 そのためには過去事整理基本法を改正し、 委員会の活動期間を延長しなければならない。

盧武鉉政権の当時には 真実和解委員会が究明しつくせなかった事件は多く、 委員会の活動に対する広報不足などにより、陳情もされない事件も多かった。 そのため一足遅れて国家暴力被害を認識した兄弟福祉院・善感学院など、 国家による施設収容被害者、未糾明の朝鮮戦争民間人虐殺事件の遺族などは、 真実和解委員会の再稼働を切実に要求している状況だ。 しかし昨年から始まった国会の法案議論は空転を繰り返している。

[出処:ビーマイナー]

「過去事統合法」に集められた真相究明議論...「真実究明範囲」をめぐり空転

釜山の兄弟福祉院事件被害者などの国家暴力被害者は、 初めから個別特別法制定による真相究明を要求してきた。 そのため陳善美(チン・ソンミ)議員は19代国会で兄弟福祉院特別法を発議し、 20代国会でもこれを彼女の1号代表発議法案にした。 だが政府が包括的な過去問題の解決を掲げ、国会内での法案議論も過去事法改正へと方向が整理され、 被害者も過去事法改正に期待をかけた。

国会行政安全委員会(行政安全委)では昨年8月から改正案法案審査を始めた。 現在、共に民主党のソ・ビョンフン・陳善美(チン・ソンミ)議員、パルン未来党のクォン・ウニ議員、 自由韓国党の崔然恵(チェ・ヨネ)議員、正義党の秋恵仙(チュ・ヒェソン)議員が それぞれ過去事法改正案を発議している。 5本の改正案は共通に、 △真実和解委員会の活動時期延長、 △既存の法で「権威主義統治時期」と曖昧に規定されていた真実究明の範囲を明確に規定、 △過去事財団の設立などの内容を含んでいる。

行政安全委法案審査小委では、5・18光州民主化抗争、 済州4・3事件など、すでに個別の特別法が存在する事件は別途に議論し、 その他の事件の場合は包括的に過去事法の下で議論する側に方向を定めた。 そのため張俊河事件特別法制定案、朝鮮戦争民間人犠牲事件基本法制定案は、 過去事法改正案と共に併合審査されている。

現在、与野政党のどこの誰も、過去事法改正にはっきり反対している政党はない。 しかし2月28日まで合計五回にわたり法案審査小委で議論が行われたが、 合意に到達できていない。 問題になっている条項は第2条「真実究明の範囲」だ。

既存の法では真実究明の範囲を、(1) 日帝強制占領期間の抗日独立運動、(2) 日帝強制占領期間以後の海外同胞事件、(3) 朝鮮戦争前後の民間人集団犠牲事件、(4) 解放以後の権威主義統治時までの公権力による死亡・傷害・失踪および人権侵害事件、(5) 解放以後の権威主義統治時までの大韓民国敵対勢力によるテロ・人権蹂躙事件、(6) 委員会がこの法の目的を達成するために真実究明が必要と認めた事件と規定した。

争点は大きく2種類だ。 一つは日帝強制占領期間の強制動員事件と解放以後の事件をまとめて一つにするのか、 二番目は(4)、(5)に含まれている「権威主義統治時」をどこまでと見るかという問題だ。 最初の争点については日帝強制占領期間の事件の場合、解放以後の事件と較べて被害の性格や発生地の特殊性があるため、 分離して別途の法で処理する側に整理された。 しかし「権威主義統治時」の範囲を規定する問題については合意点を見出せていない。

既存の法で「権威主義統治時」が正確にいつまでなのかが規定されていなかったため、 既存の委員会内で解釈上の意見の差があり、委員会の決定事項も一貫性がなかった。 したがって、改正法では正確な日を明記することが必須だ。 だがこれを陳善美議員の法案では 「1993年2月24日まで」(すなわち盧泰愚(ノ・テウ)政府の時まで)と規定したが、 クォン・ウニ議員の法案では「この法の施行日まで」と規定するなど、 それぞれ異なった規定が提案されている。 もし範囲を「この法の施行日まで」に広げると、 最近政府によって起きた人権侵害事件まで調査できるという肯定的な面があるが、 「過去事究明」という、この法の趣旨を逸脱するというジレンマも存在する。

自由韓国党の「職務遺棄」

これに対して与党側は特定の案に固執しないという態度だ。 重要なことは改正案を通過させ、委員会が一日もはやく稼動させることだという立場だ。 共に民主党のソ・ビョンフン議員が2月28日の法案審査小委で 「われわれは(政府が出す)修正案自体を、全体を受け入れるという立場」とし 「これ(過去事法改正案)は1年を越えた法案なので、 可能ならばまず政府が仕事できる根拠でも用意してやろうと政府に修正案を作らせるように任せた」と発言したことがこれをよく示す。

しかし自由韓国党側は、この時まで党次元で合意された案を持ってこなかった。 今まで五回にわたる法案審査小委会議録を検討すると、自由韓国党側の立場は一貫して 「まだ立場を整理できない」ということだけだ。 行政安全委の自由韓国党側幹事議員の洪哲鎬(ソン・チョロ)議員は 「私は良心上、この法案に対しては意見がありません。 私は神でもないのですぐにこうなるという判断はできません。 各党の専門委員が委員会専門委員室ともっと圧縮して(...) 疎通して、 また(議論を)してほしい」(2017年9月20日)と発言したが、 5か月経った今年の2月20日の会議でも 「この部分については今、実際わが党の院内で正確なファクトを理解できていません」と同じ話を繰り返した。 そして一週間後の2月28日の会議でも 「申し訳ないが、その部分を私たちが今、整理ができず(...) それでとにかく今、それを整理をできませんでした。 今日出せというような言葉は、理解に苦しみます」とし、 議論を再び先送りすることを提案した。

これに関連して、洪哲鎬(ソン・チョロ)議員室の関係者は 「(過去事法関連の民願を提起する遺族団体などの)関連者および政府部処別に立場が違い、 調整は容易ではない状況」とし 「政府が合理的な代案を出せば反対する理由がない」とし、政府側にボールを投げた。

しかし朝鮮戦争民間人虐殺真相究明運動をしてきたアン・ギョンホ4.9統一平和財団事務局長は、 遺族団体の立場が互いに違うという洪議員側の主張を一蹴した。 アン事務局長は「私たちが要求してきた最小値は、 委員会が今、稼動してくれということだけだった。 遺族団体の立場が分かれているというのは、自分たちの責任を回避するための発言でしかない」とし 「現在、改正案は議員発議案として上程されているので 政府が代案を出せというのは無責任だ。 議員案なのだから与野が合意して早く処理しなければならない」と指摘した。

このように議論が進展せず、法案小委委員長のパルン未来党のクォン・ウニ議員は、 真実究明の範囲の中で与野間で意見の差がない「朝鮮戦争前後民間人虐殺」だけをこの法に制限的に入れて優先的に通過させ、 残りの争点については今後委員会で議論しようという提案をしている。 窮余の策ではあるが、これは解放以後の公権力による人権侵害事件被害者の立場としては、 また排除される結果になるため論議の余地がある。

▲兄弟福祉院被害生存者がクォン・ウニ議員との面談の後に座込場に戻って談笑している。[出処:ビーマイナー]

これについて兄弟福祉院被害生存者会の会員は3月27日午後2時頃、 クォン・ウニ議員室を訪問し、真実究明範囲の縮小のない改正案の早急な通過を要求した。 被害生存者会のハン・ジョンソン代表はこの席で 「議員間で合意できない部分があるのなら、 合意できるように政治的に圧迫するのが委員長の役割」と主張して権議員の決断を要求した。

行政安全委法案審査小委は3月28日午前10時にまた開く予定だ。 4月の臨時国会が予定されているが、この時期をのがせば政局は地方選挙局面で急激に傾き、正常な議論は期待が難しい。 5月には国会下半期院を新しく構成するので議論が原点に戻るという憂慮もある。 事実上、28日に開かれる行政安全委法案審査小委が過去事法改正案処理のゴールデンタイムであるわけだ。

この時をのがせば公権力によって人権を蹂躙された施設受け入れ被害者、 朝鮮戦争民間人虐殺遺族の怨恨を解く道を探すのはさらに難しくなるだろう。 果たして国会は彼らの訴えにどんな応答をするだろうか。[記事提携=ビーマイナー]

付記
この記事はチャムセサン提携言論ビーマイナーの文です。

原文(ビーマイナー/チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-04-05 10:42:52 / Last modified on 2018-04-05 10:42:57 Copyright: Default

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