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韓国キャンドルを羨む日本の市民…「旭硝子への復職を」

旭硝子日本遠征闘争取材同行記

パク・チュンヨプ 2018-03-19 16:37 |最終アップデート2018-03-19 16:37

[編集者 注]旭硝子集団解雇から1000日が近付いてきました。 旭硝子の解雇労働者たちは、2月21日から3月9日まで日本の東京と大阪にある旭硝子工場を訪問し、解雇事態解決を要求する日本遠征闘争を終えました。 ニュースミンは3月4日から7日まで、日本の東京を訪問して取材し、 4日と5日には旭硝子解雇労働者の闘争を応援する日本市民と会いました。 これから旭硝子グループの主要歴史を扱った記事を連載します。

関連記事: 旭硝子解雇1000日、解雇労働者日本本社遠征闘争記

「韓国のキャンドル革命がうらやましい。 われわれは弾劾もできないのに」

旭硝子解雇労働者日本遠征闘争の時に会った日本人たちは、 韓国がうらやましいと口をそろえた。 日本の安部晋三総理の私学スキャンダルの議論に最近また火がついて、 日本でも安倍退陣の声が上がっているが、 韓国は日本より一足早く大統領弾劾の成果をあげたからだ。

執権与党の代表が総理に指名される(弾劾がない)日本の内閣制という特性のためだけではない。 55年体制(1955年から続く自民党-社会党両党体制)の終了後、 現執権与党以外に力のある代案勢力がない。 2009年、55年体制以後、初めて民主党が執権したが、 沖縄の米国基地移転についての立場撤回、東日本地震などの影響で2012年に没落した。 その後、東京都知事の小池が一時突風を起こしたが、 2017年の衆議院選挙で小池都知事の「希望の党」はブームを呼ぶことができなかった。

▲東京の夜道 (出処:flickr.com)

社会全般の雰囲気も低迷している。 日本社会の慢性病である政府の負債、高齢化、人口減少問題が深刻になっている。 バブル経済の崩壊を味わい、そして日本が唯一、大きな打撃を受けた2008年のリーマンショク(住宅担保融資が受けられない信用等級が低い人に貸し出す商品。 この商品は他の金融商品などとともに全世界に販売され、 償還の延滞が増えて米国の投資銀行であるリーマンブラザーズが破産申請をする。 これにより世界的な金融危機が訪れた)を体験し、 非正規職問題も社会の不安要素になった。

これまでの日本の雇用慣行は、長期雇用と年功賃金を保障するもので、これは高度成長の基礎だった。 しかしバブル経済の崩壊以後に状況は変わった。 1995年、日本経営者団体連盟(現経済団体連合会)は 「新時代の日本的経営」という報告書を発表し、 非正規職・派遣労働の全面的拡大の主張を始めた。 1999年の法改正後から派遣・契約職が拡大し、 2004年に韓国では認められていない製造業分野への派遣も認められた。

長期不況、リーマンショクなどの経済悪化の中で、 日本社会の非正規職労働の質も急激に下がった。 13歳から東京で暮らしてきた在日韓国人のイ・ヒジョン(40)氏は、 日本で正職員よりも派遣職を好んだ。 2008年、デパートの販売職として働いていた当時、 ヒジョン氏の友人もほとんどが派遣業者で働いた。 自由に働けるという長所が大きかった。 日本では年を取っても正規職になれないと悪口を言う視線もなかった。 だが状況は変わった。 リーマンショク以後、まず派遣業者社員から整理する「派遣切り」が始まった。 当時の余波で、製造業だけで40万人が雇用を失った。(関連記事:製造業派遣・用役40万人失業展望産業協会推測)

▲東京新宿のカフェ・ラバンデリアにに集まった人々。一番右がヒジョン氏。よく見ると眠っていて起きてきた猫もいる。

ヒジョン氏は低迷する日本の雰囲気が変わることを願う。 その点で、韓国のキャンドル集会がうらやましかった。 また、労働組合運動が低迷しており、 人々が不合理な労働条件に対して一緒に戦わない雰囲気の中で、 韓国旭硝子解雇労働者の闘争も凝視している。 4日、東京都新宿区のカフェ・ラバンデリアでヒジョン氏と会って話を交わした。

最近の日本社会の雰囲気はどうですか?

-ここでは真綿で首をしめるといいます。 少しずつ、少しずつ圧迫する。 人々どうしで政治的な話をしません。 することもできませんし。 私は米軍基地がある沖縄問題に関心が強いのですが、沖縄の話はマスコミでもあまり見かけません。

日本は変化を期待するのが難しい雰囲気です。 津波が起きて、安全に問題が生じたり、他の大事件があるたびに、 少しは変わるかと思うのですが、うやむやになります。 国会議事堂の前に行くと、私のようにあるいは何かが起きるのではないかと思って来た人たちがいますが、警察は全く神経も使いませんし。

日本では周辺でおきることが自分の事だと思わない傾向があるようです。 少し政治的な話をすると、周辺では「そんな話をするな」、 「大丈夫だ。大丈夫だ」、「放射能を食べてもからだに良い」といいます。

時々デモもありますが、韓国のようにかたまって何かを変えようとするというより、 主催する人たちが自己満足的にしている感じです。 労働組合が韓国より弱いからかもしれません。

ラバンデリアは16人が共同で運営している。 ここではサパティスタを支援するコーヒーを売って、 客は金を払いたいだけ払う。 運営者の1人である藤本(59)氏は、左翼か、猫が好きな人々が主な客だという。

この日、カウンターでビールを飲んでいた朝鮮籍の国籍を持つ中村イルソン(50)氏もうなづいた。 カウンターのテーブルの下には、ノーム・チョムスキーが訪問して残したサインがあり、 片隅を埋める本棚にはマルクスの書籍から朝鮮人強制徴用の問題を扱った本(筑豊軍艦島朝鮮人強制連行その後)まで、多様だった。 運動が主に「自己満足的」だというヒジョン氏の言葉のためか、 退勤後ラバンデリアに集まって談笑する「左翼」のお客さんの顔も、どこか寂しそうに見える。

▲置かれていた本(筑豊軍艦島朝鮮人強制連行その後)

韓国では、韓国社会が日本のようになっていくという話がしばしば出てきます。 労働運動問題も同じで、高齢化、人口減少問題でも。

-日本は労働組合が戦いませんが、労働組合そのものもあまりありません。 皆、個人なんです。 それで騒動もないのですが、問題がないからではありません。 問題が起きれば労働組合が話さず、個人が社会的に告発することで表面化します。 「アリさん」で有名な引越荷物会社(アリさんマークの引越社)があるんですが、 拷問のように苛酷な労働時間で問題になったのですが、 そこの若い社員がメディアに発表したことで大きな問題になりました。 そんな形で、ある外食業会社で職員が発表して一人で戦う事例もあります。 それは戦う期間も長く、勇気も必要です。 韓国は違うのでしょうか? 「カート」という映画も見ましたけど。

私がもし、何か不合理なことを受けて争うことになったら、よく考えなければならないでしょう。 私一人だけが前に出るから。 だから韓国の非正規職運動はとても重要だと思います。 正規職労働組合が(日本に比べれば)とても大きく、 今、旭硝子非正規職支会が戦っているように、非正規職運動が一番活発です。 日本でも韓国の非正規職運動を見に行く人がいます。

▲旭硝子工場で働いている日本のネチズンが匿名掲示板に不満を吐露している。日本の匿名コミュニティ5ch (https://money5.5ch.net/test/read.cgi/haken/1057143530/)画面キャプチャ

短い期間見ただけですが、日本の人たちは韓国より表情をうかがうこともなく、自由なようですが、そうではありませんか? 「真綿で首をしめる」とは言っても、韓国の非正規職問題と雇用問題ほど深刻な雰囲気があるのでしょうか?

-個人が自由な価値観を追求するのは良いです。 しかしそれが自由な社会だからだというよりも、 ただ互いに無関心で韓国より圧迫が少ないからです。 隣に座っている中村イルソンという人は、50歳なのにアルバイトをしています。 そんなことは関係ありません。 他人が何をしようが、気にしません。 学歴が低くても、英語を知らなくてもかまいません。 日本社会がとても自由を保障して、差異を認めるような社会だからではなく、 ただ無関心から始まっています。

最近の韓国社会は躍動的なようです。日本のようになってはいけないけれど。 韓国で安倍の顔が大きく出てきた記事をしばしば思い出されます。 慰安婦交渉は不可逆的だといって、独島問題でも。 **平昌オリンピックの前にボイコット云々したことも、北朝鮮を口実に憲法改正しようとしている問題でも。そんなことはもう見たくありません。

-日本でもSEALDSとアベに抵抗する日本の若い人たちの動きがありましたが、もう静かになりました。 旧世代がSealdsの闘争に連帯しませんでした。 旧世代の特徴があります。「最近の若いもの」は意識がないと。 何をしてもだめだと。

そんな面で、韓国のキャンドル集会は本当に感動的でした。 旭硝子の解雇労働者たちの闘争のような非正規職運動も本当に重要です。 韓国の肯定的な影響が私たちにもあればいいですね。

「韓国旭硝子解雇労働者、日本の労働者の課題も一手に引き受けている」
日本非正規職労働者研究所白石孝理事長

3月5日、東京都内のある喫茶店で非正規職労働者研究所理事長の白石孝(67)氏と会った。 日本の労働市場で派遣労働問題や旭硝子のような日系多国籍企業についての世論を聞く場だった。 白石氏は喫茶店に入ってくるとすぐ、スケート選手のイ・サンファと小平が抱擁する新聞を広げてみせた。

「日本はこうして小平が抱いてやるような写真を使ってはいけません。 日本人がアジアで一番で、 あとはその下にあると認識する傾向がありますが間違いです」

▲白石氏

白石氏は、 東京都荒川区庁の普通の行政職職員で、自治労の活動もした。

日本社会党は1950年に結成された総評(日本労働組合総評議会)と共に「55年体制」の一軸を担った。 だが社会党の支持基盤だった総評が70年代に衰退し、社会党もともに衰退した。 総評の主要勢力だった国鉄労働組合などの官公労系列の労組は大規模な闘争で続々と負け、 オイルショック、旧ソ連の没落などの影響で総評勢力が弱まって、 社会党も階級政党から社民主義路線に転換(1986年『新宣言』)する。 高度成長の時に可能だった社民主義政策は、日本のバブル経済が崩壊する90年代には好まれず、 衆議院総選挙で大敗して群小政党に転落した。 白石氏は第一野党の時の社会党は、与党の自民党を牽制して日本社会の右傾化を防ぐ役割を果たしたと考える。

「1945年の日本敗戦以後、新しくできた労組はほとんどが企業労組でした。 総評もなくなって日本の労組は政府、資本と協力する道を歩みます。 前にはストライキもしましたが、今は見つけるのは難しいです。 日本でも非正規職問題が深刻になっていますが正規職労組はもう非正規職の問題は無視しています。 正規職を守る闘争しかしません。」

日本国内の派遣労働の状況はどうですか。

-派遣業が今のように拡大する前は、 文字通りその分野のプロフェッショナルのものでした。 その後に派遣労働の性質が変わりました。 日本の非正規職問題は90年代に始まり、2000年以後、爆発的に深刻になります。 不法下請に不法派遣問題も生まれました。 派遣は専門性が必要な一部の職種に制限的に認めるべきなのですが、 日本も韓国もむやみに拡大しようとしています。

▲白石氏

日本をベンチマーキングしようとしたのか、朴槿恵(パク・クネ)政権は製造業の労働者派遣の合法化を試みました。 下請労働者を元請の正規職として雇用しろという判決も出ていますが、韓国旭硝子の事例のように、実際には不法派遣の形態で下請労働者を使い、法の網をくぐり抜ける問題もあります。 韓国旭硝子は旭硝子グループの系列会社ですが、日本には旭硝子の下請労働者解雇問題が知られているのでしょうか?

-ほとんど知られていません。 海外に工場がある日本企業は責任を全うするべきなのですが。 もし韓国ではなく、米国やヨーロッパで解雇問題が発生して闘争が起きたら大騷ぎになるでしょう。 日本と韓国が同じ位置ではないと考えているようです。

韓国の労働者を応援しなければなりません。 日本でするべきことは、日本企業が海外でする悪いことを日本社会に知らせることです。 私もその努力をしたいと思います。 韓国旭硝子の闘争は、日本の労働運動の課題として受け止めなければなりません。 企業の責任を認めさせなければなりません。

日本の企業労組の旭硝子労組は何もしません。 日本の労働活動家は彼らにも問題を提起しなければなりません。 韓国旭硝子解雇者の闘争は事実上、日本の労働活動家がしなければならないことをしているのです。 私たちがきちんと戦わなければなりません。

韓国と日本は互いに悪い点だけを学ぶのではなく、 良い点を見習わなければなりません。 韓国は弾劾をしたではありませんか。 無条件にすごいと思います。 日本でそんなことはできません。 安倍総理がひどいことをしているのに。

通訳:日本労働ネット、ヤスダ・ユキヒロ

原文

翻訳/文責:安田(ゆ)


Created byStaff. Created on 2018-03-27 03:35:41 / Last modified on 2018-03-27 13:41:04 Copyright: Default

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