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「延世大の無理、なぜ非正規職労働者が受け入れるのか?」

一方的構造調整に対抗する延世大清掃、警備労働者

パク・タソル記者 2018.02.01 21:57

1月31日、本館座り込み16日目をむかえた延世大清掃労働者の午前は忙しかった。 前の日にボタン雪が降り、建物がぐちゃぐちゃになった。 普段より精魂を込めて清掃し、午前10時30分に予定された記者会見にも参加しなければならない。 一方的な構造調整を施行した学校を糾弾する記者会見だった。 目をむいて見守る学校に言葉尻を捕えられたくないので、さらに長い間、掃いて拭く。 普段よりもきちんとするというが、何人か通っただけでまた床が汚れる。 こうした日は大変だが、同時に必ず必要な存在のようでもあり、もう一度気持ちをぐっと引き締める時間になったりもする。

2018年になるとすぐ、連日新聞を飾る知らせは「最低賃金」についての各種の議論だ。 そのうちの一つはソウル市内の主要私立大が最低賃金値上げと賃上げを口実に実施する清掃、警備労働者に対する構造調整だ。 大学は全日制労働者を追い出して、その場に超短時間労働者を雇用し始めた。 延世大はその先頭で最大の規模の構造調整を行っていた。

夏から企画された構造調整

延世大の構造調整の方法は、定年退職で生まれた空席を空席のままにして、 一日3時間働く超短時間アルバイトを採用するものだ。 去る12月末、定年退職した延世大の清掃労働者は17人、警備労働者は15人だった。 欠員が生じたので補充しなければならないが、 学校は同窓会館清掃労働者1人を採用しただけだ。

清掃労働者たちは、学校の構造調整が昨年の夏から企画されたと言う。 労組が入手した「労務問題懸案報告(2017.7.3)」という内部文書が、 すでにかなり前から構造調整が準備されていたことを証明する。 この文書には民主労総ソウル京畿支部との賃金交渉現況が書かれていて、 その下には学校側が考案した対応方案が羅列されている。 学校は労組が取る予想シナリオまで念頭に置いて構造調整を進めた。 例えば「時給7400ウォンを超える場合には、一定期間デモおよびストライキなどが避けられない。 ソウル地域大学別共同対応の必要および大学の困難社会的呼び掛けが必要」、 「総務処ではストライキ時に非常対策を樹立して、 全教職員に伝えて独自の人員で最低限の清掃、警備、美化などに対応する」といった文句がある。 その中でも圧巻は「長期的な方案としては、定年が到来する人員は新規採用せずに人員を削減し、 運営することによって人件費増加に対応する計画である」と書かれた項目だった。

学校の企画のとおり、今年入ってきた新規用役業者は産学協同館、 GSカルテックス館で働く清掃・警備労働者5人に対し、 定年退職で空になった席で働くことを通知した。 彼らがいた産学協同館、GSカルテックス館をアルバイトでうめて運営するということだった。 労働者たちがこれを拒否し、これまでのように出勤すると、 学校の総務チーム関係者は「無断侵入」、「業務妨害」と言って 初めて会ったアルバイト労働者に清掃を指示した。 産学協力館を12年間清掃してきた労働者は一日で外部の人物にされる状況にあきれるしかなかった。

▲31日記者会見で発言しているイ・ギョンジャ延世大分会長

公共運輸労組ソウル京仁地域公共サービス支部(ソウル京畿支部)延世大分会のイ・ギョンジャ分会長は 「5000億の積立金を積んでも金がないから非正規職の人件費を減らすという。 アルバイト労働者を使って学校が汚くなれば非難されるのはわれわれ清掃労働者たちだ。 清潔な学校にするために努力してきた私たちは、そのようにしていられない。 金がないという『無理』を止めて、今からでもきちんと対話をしてほしい」と明らかにした。

ソウル京畿支部は予算不足も言い訳だと主張する。 ソウル京畿支部のチェ・ダヘ組織次長は 「学校は清掃、警備労働者の賃金が高い方だというが、 ソウル京畿支部と交渉する主なソウルの私立大は賃金が同じだ。 清掃労働者の時給は7780ウォン、警備労働者の時給は6980ウォンで、最低賃金内外だ。 学校は入学金廃止、登録金凍結などを理由に政府から支援を受けなければ問題を解決できないという調子で話すが、 政府にもっと金を出せという主張を展開するため、こうしているようだ」と疑った。

大学教育研究所によれば、 2016年の大学別国庫補助金のうち、延世大は3105億ウォンで最多の支援を受けた。 延世大は高麗大とともに全私立大の国庫補助金の10.6%を占めている。

構造調整後に連鎖的に起きる事件

この渦中、全日制労働者の席にアルバイト労働者を供給する用役業者「コビーカンパニー」は、 延世大分会組合員たちを採証して暴力まで行使したことで問題になっている。 1月29日の朝に出勤する清掃労働者たちは、中から扉を閉めたコビーカンパニーの職員によって遮られた。 一時間後、中にいた警備労働者が退勤するために扉をあけると、 出勤しようとする労働者たちとこれを防ぐコビーカンパニー職員の間で小競り合いになり、 この過程で清掃労働者1人が大理石の床に倒される事故が起きた。

全治2週の診断を受けた被害労働者は、左ヒジと肩の痛みで毎日物理治療を受けている。 彼女は「寒い日に一時間待って、押し倒れたために衝撃が大きかった。 『どしん』と倒れたが、救急車が遅くきたので15分以上、冷たい床に横になっていた。 図体が大きい男たちがいるので、男の組合員たちが集まっても相手にならなかった」と話した。 ソウル京畿支部は元請の延世大に対し、暴力事態の真相究明を要求したが、 学校側は「(扉を閉めろと)指示していない」という言葉を繰り返すだけだった。

労働者が減った建物では苦情が発生した。 アルバイト労働者たちが午前中、短く働く間、環境が明らかに悪くなったのだ。 学校教職員が3〜4人ずつ組になって週末から清掃し始める姿も眼に触れた。 延世大分会の組合員たちが教職員にいったいなぜ清掃をするのかと尋ねたが、 黙々無返答だった。教職員の労働条件も非正規職の労働条件ほどに劣悪だということを傍証した。

学校側は延世大分会組合員たちが16日から本館座り込みを始めると、 暖房、温水を切って公憤を買った。 19日から切れた暖房と温水は22日にまた入った。

あふれる闘争支持…孤立するのは学校だ

新年早々からあふれた大学内の構造調整知らせに、多くの人々が関心を持った。 延世大学生たち、地域社会市民らは、延世大で行われている小細工に共に怒った。 30近い学生会が 「延世大学校非正規問題解決のための共同対策委」が出す立場文に支持の連名署名をしている。 延世大総学生会非常対策委は 「学校側は、学生代表者と会う前に清掃、警備労働者構造調整問題を解決しろ」というメッセージが入った立場文を渡した。

その後、雇用労働部、教育部をはじめ、青瓦台までが延世大を訪れた。 現場の労働者たちは、機関の関係者たちに構造調整の実状を知らせ、 これらの機関の関係者も学校側に問題解決を要求したが、 学校は相変らず「学校の予算が不足しており、 費用削減のためには定年退職者の不補充は避けられない」という立場で一貫している。

同じ状況だった高麗大は、1月29日に定年退職した清掃労働者10人の席にこれまでと同じように8時間の全日制労働者を雇用することに合意した。 続いて2月1日には弘益大も清掃労働者4人すべての人員削減を撤回することにした。 ソウル京畿支部は「延世大もこれ以上頑張らず、 即刻問題解決に動くことを望む」とし 「支払い能力があり、社会的な責務を果たすべき大学で、 清掃、警備労働者を解雇して短時間パートタイムを雇用すれば、 社会全般に広がれるため、 さらに大きな問題であることを自覚しなければならない」と延世大に要求した。

ハ・ヘソン労務士(ソウル京畿支部組織部長)は 「延世大の清掃、警備労働者たちが寒い冬にコンクリートの地面の上で寝て、 朝4時に起きて早く仕事を終わらせて宣伝戦をして闘争する理由は、 全体的に労働者の雇用が不安定になることを防ぐため」とし 「彼らの闘争は社会的闘争」だと説明した。 続いて「労組法第2条の使用者概念を拡大して、 元請使用者に使用者としての責任を付与する法改正が至急だ」とも付け加えた。

今年は延世大分会が誕生してから10周年をむかえる。 神のように君臨していた管理者を追い出して、労働者の権利を取り戻し始めた労働者としては、民主労組を守ってきた10年が感激だ。 座り込み3週間目にに突入したが彼らの足取りは軽く、口からは余裕がにじむ。 最後まで闘争して、コビーも追い出して、全日制雇用も守ると声を合わせて話す。

2月7日から、「第1会グローバル持続可能発展フォーラム」が延世大で開かれる。 キム・ヨンハク延世大総長は 「延世大は韓国の社会問題を解決するために深く参加する大学」とし 「分かち合いと配慮、共感、そして敬意と奉仕の精神を世界的次元で実践する」と広報した。 すでに社会的問題になってしまった延世大非正規職労働者の構造調整を正すことが、 該当フォーラムを恥じることがなく進める唯一の道ではないか。

▲延世大本館の延世大分会座込場

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-02-10 04:42:57 / Last modified on 2018-02-10 04:42:59 Copyright: Default

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