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死刑執行20年、人権に「後」はありません

[寄稿]人権には譲歩も放棄も気迷いもない

キム・ドクチン(カトリック人権委員会事務局長) 2018.01.01 12:32

1997年12月30日、金大中(キム・デジュン)当選者に政権を譲り渡さなければならなかった当時の金泳三(キム・ヨンサム)大統領が死刑囚23人の死刑執行を断行してからちょうど20年が経ちました。 この20年間、金泳三元大統領は、大韓民国で最後に死刑を執行した大統領として記録されています。 死刑囚出身の金大中大統領は任期中に死刑を執行しない最初の大統領になり、 人権弁護士出身の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領がその後に続き、10年間、死刑執行がない事実上の死刑廃止国になりました。

人権と生命に大きな関心がなかった李明博(イ・ミョンバク)政権になると、 法務部長官が死刑執行場の整備を命令し、 内部で死刑執行再開を議論した事実が知らされます。 与党のハンナラ党の議員が法務部長官に死刑執行をしないのは職務遺棄だとし、 今すぐ執行しろと叫びました。 宗教界、学界、法曹界、市民社会など、良心ある人々の献身的な努力でかろうじて死刑執行を防ぎました。 自分の政敵を含み、局面転換のために任期中に最も多くの死刑執行を行った朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領を継ぐ朴槿恵(パク・クネ)政権が始まった時、 任期の開始から最後まで、一日も静かな日がなかったからなのか、死刑執行はありませんでした。 今、文在寅(ムン・ジェイン)政権が始まり、世界的に歴史的な死刑執行中断20年を今日(12月30日)迎えました。

▲去る10月10日に国会で開かれた「大韓民国死刑執行中断20年、15回世界死刑廃止の日記念式」[出処:主教会議]

死刑制度の賛否討論は実際、意味がありません。 死刑制度は反人権・反文明の刑罰制度ですから、 他の意見も尊重すべきだという主張は理由のある主張にはならないからです。 「チョンOOを死刑にしてから廃止しよう」、 「ユOOのようなサイコパスだけでも死刑にしよう」、 「残酷に人殺しをしたのだから、同じようにやられなければならない」等の主張はすべてそれなりの論理を持っているように見えますが、すべて間違った主張です。 異なる主張ではなく、間違った主張ですから、討論することはできないのです。

国家保安法も死刑制度と同じように、国民の思想と表現の自由を抑圧する人権侵害的な法ですから、やはり廃止対象なので賛否討論は無意味です。 その代わりに「国家保安法をどんな過程を経て廃止すれば良いだろうか」、 「死刑制度を廃止しても本当に凶悪犯罪が増えないだろうか」、 「国家保安法がなくなれば、スパイや従北勢力が大手を振るのではないだろうか」、 「殺人犯罪被害者家族のために何をなすべきか」といった討論を提案すれば、夜を明かしてもできます。

人権には譲歩も放棄も気迷いもなく

人権を擁護して実現することは断固としていなければなりません。 断固としていなければ何もできません。 人権は、ある時代に社会的合意できる程度に守り、 次の世代にまた社会的合意で進展させるという方式では、守ることができません。 今、死刑制度の存在が反人権的であることは間違いないのに、 国家保安法が相変らず生きていること自体が人権侵害なのに、 少数者への差別を禁止するのは先送りできない至急な人権問題なのに、 信念によって殺傷兵器である銃を取れないという人々を監獄に送らず代替服務に転換させることが人権の実現なのに、 こうした当然の価値を世論や保守陣営の反発を心配してゆっくり慎重に進めていくということを、人権運動はとうてい了解することができません。

その「社会的合意」をしている間、不安に震える死刑囚は自殺して、 北朝鮮の書き込みをリツイートしたからと国家保安法違反で拘束され、 ヘイトスピーチと荒唐無けいなヘイト勢力の攻撃に苦しむ性少数者はトラウマの治療を受けなければならず、 人を殺すための練習を拒否したという理由で監獄に行く人たちが生まれます。 人権に後でということはありません。 人権の実現は今すぐやることに意味があり、効果があります。

あまりに多くの期待と要求で、大統領と政府はとても肩が重いかもしれません。 多くの部分は理解しつつも、これ以上遅らせることはできないということを申し上げたいです。 すでに大統領は知っていながら、それができない苦しさを感じていると思います。 どちらか一方の大統領ではなく、すべての国民の大統領だということを考慮することは私たちが想像することよりはるかに大きくて厳重でしょう。 それでも正しい価値は、迅速かつ正確に実現して、 それを補完する制度と装置を作り、突破することが必要です。 人権には譲歩も放棄も気迷いもあってはなりません。 2018年、相変らず期待している文在寅政府の人権実現のため、 断固として正確な歩みを待ちます。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2018-01-06 12:30:53 / Last modified on 2018-01-06 12:31:03 Copyright: Default

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