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公共部門非正規職、本当に正規職に近づいたのか?

「公共部門無期契約職労働実態および政策代案」討論会が国家人権委で開催

パク・タソル記者 2017.12.12 15:51

教育機関給食室で働く労働者A氏は無期契約職だ。 A氏は1年に1回、勤労契約を更新しなければならないが、 使用者の学校は学生数が減れば給食室の人員も減らさなければならないとし、解雇を勧めた。 解雇の基準はジャンケンだった。 A氏は再契約時点がくれば互いに牽制する状況になると話した。

郵便局で働く労働者のB氏も無期契約職だ。 B氏は夜間勤務まですべて合わせて最低賃金水準の時給を受ける。 夜間勤務をしない他の無期契約職はそれさえも受け取れないと話した。 B氏には交通費と給食費もきちんと支給されない。 B氏は「正規職転換までは望まないから、処遇ぐらいは改善すべき」と話した。

無期契約職は非正規職だ

文在寅(ムン・ジェイン)政府は「非正規職ゼロ時代」を標榜して、 真っ先に公共部門の非正規職を正規職に転換すると宣言した。 文大統領は当選直後に仁川空港を電撃訪問し、 仁川空港非正規職労働者たちの正規職転換を大々的に公表した。 しかし政府が打ち出した「公共部門正規職化」のスローガンは、 実は「無期契約職」という見かけが良い非正規職でしかないという批判が上がっている。 処遇改善と雇用安定の効果がなく、名前を変えただけの非正規職に過ぎないという指摘だ。

韓国非正規労働センターと国家人権委員会は12月12日午前、 ソウル市中区にある国家人権委員会で 「公共部門無期契約職労働実態および政策代案」の討論会を開き、 公共部門無期契約職の労働人権の実態とこれについての対策を議論した。 この討論会は今年の初めに人権委が発注し、韓国非正規センターが遂行した 「公共部門無期契約職勤労者人権状況実態調査」の結果発表を基礎に進められた。

無期契約職労働者は討論会で正規職とは違う差別的要素を指摘しながら 「無期契約職は正規職ではない」と強調した。 発表者に立った韓国非正規センターのチョン・ホンジュン政策研究委員は、 賃金と人事制度の不公平を代表的な差別事例として提示した。 チョン・ホンジュン研究委員は 「公務員や公共機関の正規職は給与体系で賃金が設計され、 勤続によって賃金が自動的に上がる構造だが、 無期契約職は給与体系が導入されておらず、勤続手当を受ける程度」 という研究結果を発表した。 チョン研究委員は各種の手当てや成果給なども、 無期契約職は公務員や公共機関正規職と比べて制限がある」と明らかにした。

人事制度も無期契約職と正規職労働者間の差別を示す代表的な事例として提示された。 チョン・ホンジュン研究委員は 「研究の課程で会った無期契約職労働者のほとんどは、 別途の昇級制度がない単一職級が多かった」とし 「彼らは無期契約職として長い間働き、熟練水準が上がっても業務に関して責任と役割が与えられる構造ではなく、 きちんと動機付与が形成されないと証言した」と話した。

無期契約職が賃金と処遇改善はないが、雇用の安定だけは保障するという通説にも異論が出された。 討論会の討論者として参加した韓国労総公共連盟のチョ・サンギ事務局長は 「期間制の非正規職労働者を無期契約職に転換しても、雇用不安は相変わらずだ」とし 「無期契約職という雇用形態はまったくなくならなければならない」と主張した。 チョ・サンギ事務局長は、無期契約職の賃金は「人件費」ではなく「事業費」に編成される場合が多く、 該当の事業と予算が縮小されれば無期契約職も解雇できると話した。 実際に、雇用労働部が勧告した無期契約職の管理規定によれば、機関は 「事業や予算が縮小または廃止され、経営上、減員が避けられない場合」は 無期契約職労働者を解雇できる。 結局、賃金と処遇はもちろん、 雇用安定の面でも無期契約職を正規職と見ることはできないという主張だ。

子会社設立、職務給制度適用についての批判も

政府が推進する公共部門正規職化方式についても問題提起が続いた。 政府が提示した子会社を通じた正規職雇用方式と 職務給制度の適用に対する批判が主な内容だった。

政府は去る7月、「公共部門非正規職勤労者正規職転換ガイドライン」を発表し、 間接雇用非正規職の正規職転換方式の一つとして「子会社正規職雇用方式」を提示した。 しかし韓国非正規センターのチョ・ドンムン代表は 「子会社の正規職方式は、間接雇用非正規職の雇用形態のひとつの下位範疇に過ぎず、 正規職転換とは見られない」と主張した。 「子会社の正規職も、使用機関と雇用機関が一致しないので製造業の完成車メーカーの社内下請非正規職と同じ間接雇用非正規職といえる」ということだ。 チョ代表は、子会社の利益と管理費用増大による費用追加が発生する子会社方式は、 直接雇用正規職採用よりも良い効果は期待するのが難しいと話した。 続いて無期契約職と子会社方式を「新カースト制度」と呼んで、既存の正規職と非正規職の差別を構造化すると主張した。

政府が正規職転換の標準モデルとして提示する職務給制度導入も批判を免れない。 政府は12月11日、庁舎管理本部労使専門家協議会で、清掃、警備労働者たちに職務給制度を導入した無期契約職への転換計画を明らかにした。 彼らは給与体系を適用される一般公務員とは違い、職務給制度を適用される。 勤続年数によって賃金が上がる給与体系ではなく、 職務給制度は職務の難易度と責任の程度によって賃金が決まる。 庁舎管理本部が導入する予定の職務給制度は1〜5等級に職務を分類し、 職務ごとに賃金を6段階に区分している。 特定職務の最高の賃金は6段階に該当するので賃金の上昇速度も相対的に下がる。 職務給制度は全公共機関の正規職転換対象職員に適用される標準賃金モデルの主要内容になるものと見られる。

公共運輸労組のパク・チュニョン政策企画室長は、政府の標準モデル案を確定するためには超企業労組との団体交渉を優先して行うべきだと指摘した。 パク・チュニョン室長は「同一労働に対する機関別の差を減らすために、 賃金体系が職務給の性格を帯びることはできるが、 熟練、正規職との格差縮小などのために年俸的な要素を入れなければならない」と主張した。 パク室長は「全公共部門の賃金体系の変化が伴わない状況では、 非正規職労働者だけから年俸的要素を排除しようとするモデルは公正ではない」と主張した。

討論会で司会をした韓国非正規センターのイ・ナムシン所長は 「2007年の期間制法施行以後、正規職化の過程で生まれた奇形的な形態が無期契約職」とし 「今は無期契約職という形態が非正規職が正規職へ行く橋になるのか、 一生非正規職のくびきをかけられる形態になるのかを決める岐路と見られる」と話した。 国家人権委員会は、政府の公共部門の正規職化政策には、 無期契約職転換と子会社雇用の形態は不適当だという政策勧告と差別是正勧告を検討してみると明らかにした。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-12-15 23:32:18 / Last modified on 2017-12-15 23:32:19 Copyright: Default

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