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「労働者はふくろうではない」

[派遣美術-現場美術]ユソン企業労働者たちの叫び

シン・ユア(文化連帯) 2017.09.26 15:24

版画家イ・ユニョプは版画で疎通して、版画で語る作家だ。 労働者の闘争現場ごとにいつもイ・ユニョプの版画は共にする。 どの現場のどこから要請がきても、彼は闘争現場の核心に食い込む版画を作り出す。 彼の作業には力がある。 笑いもあり、希望もある。 そんなイ・ユニョプはおしゃべりだ。 彼が現場に出てくれば、現場の雰囲気は一瞬にして笑い花が咲く。 滑稽な身振りと表情は、彼の作品の中の労働者の姿や農夫の姿だ。

イ・ユニョプは誇張したり飾ったりしない。 それで、私たちの姿がそのままあらわれるようだ。 彼が作った版画は闘争現場のイメージでTシャツになったり、ハンカチになったり、 ハガキやウェブポスターになったり、闘争文化祭の背景に使われたりもする。 彼は闘争の当該と一緒に版画作り作業もして、版画を刷る作業もして、 彼らが言いたい話を版画に込めたりもする。 イ・ユニョプは器用な作家だ。 そのうちに座込場のあちこち設置物を作ったり、座込場の修理を手伝ったりもする。

ある日、イ・ユニョプから携帯メッセージが来た。 「ユアさん、メール送った」。 突然だがメールをあけてみれば、新しい版画作品が入っている。 作品を見るだけで、どこの現場のどの内容を表現したのかすぐにわかる。 そしてメールにはこのように書いている。 「必要みたいだから」といって闘争事業場に電話をしてイメージを送る。 日によっては筆者が電話をかける。 いろいろな現場がある。 さまざまな内容のイメージを作ってくれるか。 イ・ユニョプは電話を切って、すぐにアイディアをスケッチする。 彼が送るイメージはいつも良い。 どこからこんなアイディアが出てくるのか不思議に思うほどだ。 彼が報道機関とインタビューした文は、彼の姿をそのまま見せる。 率直だ。だから彼が好きだ。

「面白さと楽しさ。 もちろん現場は悲しいことだらけだが、私が浮き浮きすればみんなが喜び、だから私も喜ぶ。 現場が私の絵に力を集中して、私が現場の人々に力を集中する。 『私が浮き浮きすれば戦いは勝つ』と思って、騒いで回る。 最近、戦いというもので勝ったとしても、曖昧な折衝と妥結であることが多いが、 それでも派遣美術家たちが戦いのエネルギーを作り出しているということが私には嬉しい」。

「派遣美術家というものは、透明な自動車のようなものだ。 搭乗者が決まっているわけでもなく、美術家ではない人々もいて、 誰かがひとり乗れば、時間がきたらみんなが一緒に乗って行って、 リボンも巻いて絵を設置したり」

2011年に希望バスが出発する前、忠南道牙山のユソン企業支会のニュースが聞こえてきた。 血まみれの労働者たちの写真がオンラインを通じて伝えられ、 夜にはちゃんと眠ろうという労働者たちの正当な要求が、 なぜこんなに惨めに弾圧されるのか、怒りが込み上げた。 折しもユソン企業牙山支会から連絡がきた。 この不当さを世の中に知らせなければならないが、 イメージ作業をしてくれないかということだ。 当然、やるべきだと思ったし、いつものようにイ・ユニョプに電話をかけた。 一日でふくろうの人を版画にして送ってきた。

2011年5月18日、ユソンの労働者たちに何があったのか。 忠南道牙山のユソン企業工場の前は、暴力の修羅場だった。 「労働者はふくろうではない。夜にはちゃんと眠ろう」というスローガンの下で、 支会は争議手続きを取り「昼間連続2交代制および月給制争奪」のための合法ストライキに突入した。 昼間組が2時間部分ストをすると、会社は職場閉鎖を強行した。 支会は職場閉鎖が不法であり、労働者のストライキは合法だと強調して工場に入った。 だが使用者側は7日後に警察兵力と用役ならず者を動員して組合員を全員工場の外に追い出した。

工場の外の道路を間にして、遠くに会社が見えるビニールハウスに座込場を作った。 イ・ユニョプと一緒に座込場に行った。 組合員と共に工場に向けてイメージ作業を始めた。 ビニールハウスを覆っていた黒い覆いを地面に広げた。 20メートルは優に越えそうだった。 絵の具とペンキなど、絵を描けるすべての道具を持ち出して、皆が集まった。 イ・ユニョプはスケッチをするように「工場をオープンしろ」と書いて降りて行った。 そこに上塗りをする作業と字の周辺に描きたい絵と言いたい言葉を書いていった。

ペンキがかわき、組合員たちと力を合わせてビニールハウスの上に黒い覆いを上げた。 遠くの工場の前の道路に登ってみた。 文字ははっきりと見えた。 工場の塀の中から組合員の一挙手一投足を見ている櫓の見張り役の背筋は冷たくなっただろう。 われわれは休まなかった。 ふくろうの横断幕を倉庫の前と屋根の上にかけた。 広い畑の向こう側を列車が走っている。 列車に乗っている人々にも知らせたかった。 空の上を平沢米軍基地に行き来するヘリコプターが飛んで行く。 彼らにも私たちの要求が見えることを望んだ。

太陽が沈んで行く。 組合員たちは今日もビニールハウスで居眠りをする。 それでもこの日だけは工場の扉をあけろという大きな文字の下で、 少しはゆっくり眠れただろう。[続く]

付記
* この文は文化連帯が発行する話倉庫〈文化パン〉にものせられました。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-09-27 15:55:25 / Last modified on 2017-09-27 15:55:29 Copyright: Default

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